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人属編-15

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うさぎ地区の「DULCIS LEPUS」はすさまじい人気だった

店舗は一番小さかったが、きれいに並べられていて、
つねに補充をしていて品切れがない状態にしている

閉店間際をねらったのに、お客さんが絶えない
すごいな


「遠くまできていただきありがとうございます」
ペコリと店長さんが頭を下げる

「改めまして、私が店長のリディアです。こちらがシェフのロジーです」
二人ともきれいな女性

優しいって感じじゃなくて、クールで上品な感じの
奥の席に通されて、お茶を出される

「今朝は挨拶もろくにできずにすみませんでした」

リリー様のところへ行くのに、手土産だけとりに来てすぐに出てきちゃったんだよね
申し訳ないわ

「マキア・イーグルです」

「犬属領主ジアン・イーグルです」

「この度はご結婚おめでとうございます。本当にうれしいことです」

えっと、確かうさぎ地区店からはアクセサリーをいれるジュエリーボックスをもらったはずだ
ジュエリーいれるのに、箱自体がジュエリーだらけというw

「結婚のプレゼントありがとうございました。きれいでほれぼれしました!」

「喜んでいただけて良かったです。
うさぎ地区は宝石の加工商品が有名ですので、ぜひそちらもご覧になってみてくださいね」

冷たいマールムジュースを出された
やはりおいしい

酸味がちょうどよく、のど越しがいい

「売り上げの方はどうですか?」と、書類を見ながらここ数か月の状況を確認する
こちらの店舗も問題はないようだな

ていっても、あたしは代理の人にほとんど任せているからチェックするまでもないんだけどね

あたしの役目はレシピの提案だけだ
あとは各店舗の代理の人が売り上げや税の管理をして、レシピは店長に渡している

細かな指示は各店舗の代理の人が動いてくれているし

お飾りだなwあたし


「何か気になることとかありますか??」

「ええと、もう少し店舗を広げたいと思っています」
確かに少しせまいよね

新しく作ったお店ではなく、以前何かに使っていたお店を利用したようで、若干古い

これからどんどん商品が増えてきたら置く場所がなくなっちゃうかな
冷蔵ケースが場所とるんだよね~

「わかりました。代理の方に連絡をして場所を探していただきますね」

「作っていて何か不便なこととかはありますか?」
シェフの方にも一応話を聞いた

「いえ、比較的作りやすいです。4日後に発売されるケーキも問題はないと思います」
よかったよかった

「ケーキ!持って行ったケーキ、リリー様もおいしいと食べてくれましたよ」

「リリー様!?それは・・うれしい限りです」

おや、ずっとクールな感じだったのに、リリー様ネタでちょっと表情が緩みましたな

「たまにいらっしゃるんですか?」

「いえ、買いに来るのはバレッタ様やメイドの方々です」

ちょっとシュンとしている
なるほど、キラキラした存在なのね

生徒会長みたいな?雲の上みたいな?
剣術に魔術に仕事もできる女!そりゃモテるわなリリー様

「ケーキの後も何か新作を考えていらっしゃるんですか?」

「はい、もうだいたい決めてあります」

即答するとジアンが「え?そうなの?」ってびっくりしている
wwだってさっき決めたばかりだし

「楽しみにしております」


いくつか話してすぐに出てきた
もう閉店の時間も過ぎていたしね

「うさぎ地区を楽しんでくださいませ」

「最近スリも多いようなので、気を付けてくださいね」


もう真っ暗だ
街中はキラキラとライトアップされ、クリスマスのネオンを思い出す





「腹減ったな」

「確かに~どこに行くの?」

ジアンがにやりと笑って手を引いてくれる

「ちょっとシェイクに聞いていたお店があるから、そこにしようぜ」

おお~シェイクなら間違いなさそう


ついたお店はザ・高級店って感じの外観

「うっ・・・」
こういうところ苦手なんだよね~

一通り覚えたけどテーブルマナーとかちょっと不安だし

「来月人属へ行くだろ。そん時にも役に立つから」とジアンは臆せず入っていく

予約もしていたみたいですんなり席に通される

「よかった・・・お洋服交換しなくて」

リリー様のところへ行ったまま脱いでなかったから、ちょっとおしゃれなワンピースだ

「なんでも大丈夫だって」

そうはいかないんだよジアン君
お前なら何でも似合うとか、そういう番フィルターはほかの人には効かないからね?

「何を頼むの?」
なんかよくわからないネーミングがたくさんある

肉!魚!みたいな感じじゃない
なんとかを添えて~とかそういうやつだ

「コースで頼んでいる、順番に来るからナイフとフォークの練習もしてみるといい」

「・・・はーい」

順に運ばれてくるが、マナーが気になって食べている感じがしない
・・・せっかくうさぎ地区の食事なのに

でもやっぱりどこでもマールムを使っているね
ここのジュースもおいしい

ソースにも使っているのかな?

「ジアンは・・・どれがおいしい??」

「ん?これかな」

黙々と食べている
食べる所作もきれいだな~

「ジアンかっこいいね~」

「何言ってんだよ。ちゃんとたべろよ」

「へへ、はーい」

その後メインにデザートまで出てきてさすがにお腹がいっぱいになった

「デザートおいしいね~」

「マールム焼きはうさぎ地区の昔からの伝統料理で、どこの家庭でも作られるんだ」

「へーこれうちでも作りたいな~」
おかわりしたい

「おれのも食べるか?」

「え!いいの~?愛している~~」

「・・・マキア?」

へ?

「何飲んでる?」
何ってリンゴジュースでしょ

「これ?」
ジアンがはっした顔になっている

あたしのグラスをとって少し飲んでいる
「そんなに飲みたいなら自分で頼んでよ~」
「それはあたしのだ~」取り返す

ああ~減っちゃった

「すみませ~ん、これお代わりくださ~い」

「だだだ・・ちょっとまてまて」

ん。ジアンがどもっている

「キャハハ・・・うける~」
お代わりを持ってきたボーイのお兄さんのジュースをジアンが受け取る

「マキア、こっちのめ」

「ええ~??水・・・水かよ」

ジト目でみる

「いいじゃん・・ちょっとくらい贅沢したって・・」

「いや、ちげーよ!金ないとかじゃないから!」


ああ・・・
今日はつかれたな~

でもおいしいもの食べて満足だ~
テーブルマナーもまぁこのくらいできればいいだろ~

「マキア、帰るぞ」

「・・・え?もう?」

寝る時間か?

「・・・あ・・れ??」

足に力が入らないな~

「ほら」

ジアンが手を出してくれた
へへ・・・優しいなこのやろう

引っ張られて外に出た
風が気持ちい

「酒飲んだな」

「へ。あれお酒なの~??ジュースみたいだったよ~」

「ちょっ・・・マキア!魔力もれてるぞ!」

「え??」
ふとみると確かに漏れてる

しゅわ~っと周りに出てきている
ドライアイスかよ!

「ふふふっ・・・なにこれ~おもしろい~」

「だめだこれは・・」
ジアンに抱えられてすぐにホテルに連れ込まれた

動いたらお酒がまわったのか、ふらふらしてきた
ああ~この子お酒の耐性ないのか~

前世では結構上司に付き合わされて飲んだりしていたけどな



「ほら、寝るならこっちで寝ろ」

ソファにグデーと溶けていたらベットに運ばれた

「気づかれると厄介だな」
ジアンがブオンとシールドを張る音が聞こえる

「だめだ~ジアン~力が出ない~~」
完全な酔っ払いだ

思考がまとまらない

「大丈夫だ。そのままでいいから、寝ろ」
頭を撫でられ、そのまま寝てしまった


マキア初めてのお酒

この子にお酒を飲ませたらだめなやつだった
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