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人属編-14

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中庭の一角がならされて、訓練ができるようになっている

ジアンは上着を脱いで、バレッタさんから剣を受け取っている
本物だ

リリー様は自分が帯剣している剣を抜いている

綺麗に加工されていて、ポンメルとガードの部分にはリリー様と同じ目の色の宝石が入っている
きっと何かしらの付属効果のある魔石がはまっているのだろう

「いつ戦争がおきるかわからんぞ、常に緊張感を持て」

「・・はい」
ジアンもあきらめたのか、顔つきが変わった

かっこいいな

「なまっているんだろう。思い出させてやろう」
リリー様が一気に間合いをつめてジアンに切りにかかる

よけることで精いっぱいのジアン

「ほら、足!」
動いてないぞと蹴り上げられ、転倒する

「構えろ」
さらにどんどん追い詰めていく

ジアン・・がんばれ

弱いんじゃないのはわかる
リリー様が別格なのだ

「リリー様お強いですよね~憧れます」
バレッタさんが横で見入っている

「魔力量も剣術もトップクラスですよ」

すごい!出来る女性は何をしてもできるんだ

「早くて、ついていけません」
素早すぎて何をしているのかよくわからない


リリー様は手加減してなさそう
当たれば切れるんだろうけど、きっとその瞬間でかわしているジアン


「お、慣れてきたか」
だんだんと調子を取り戻すジアン

それでもリリー様がうまく誘導しているように見える

「何かあった時に番を守れるのはお前しかいないぞ。ちゃんと鍛えろ」
カキン!!とジアンの剣をはじいた

「ありがとうございました」
はぁはぁと肩で息をしている



もういって大丈夫かな

「ジアン!」
かけよれば、無数の小さな傷ができている

切れてんじゃん!!

ああ、もう・・・顔と手と肩も・・・!血が出ている

すぐに魔力を使う
シュ~と傷が消えていく

血が出ているところだけをぬぐってあげる


「すごいな一瞬か」
リリー様が驚いている

ふとみればリリー様もケガしている

「あの、よろしければ・・」
リリー様の手を取り魔力を流す

「・・・ほぅ・・」
リリー様の傷も完治

「すまなかったな。ジアンにけがをさせてしまった」

「いえ、いいんです。どんどん鍛えてあげてください」
ガクっとジアンがうなだれている

「そこはかばってくれるんじゃないのか」

「なんでよ。強いに越したことないじゃん」

「ハハハ!!!そうだぞ!ジアン!」


もう疲れた・・ってジアンがげっそりしている

「しかし、すごい力だな。ここまでの癒の力の持ち主を見たことがない」

あたしはその基準もわからないけど・・・

「どうだ・・一緒に戦場に「さ、部屋へ戻りましょう」」

ジアンが割って入ってくる
このままだどずぶずぶだなw




客間に戻って少し近況報告するジアン

領主間で特産品のやり取りや、魔物の報告、人属への対策
税金などいろいろと話すことが山積みらしい


あたしは大量に用意したDULCISの手土産をメイドさんたちにも配っておいた

「それと、これ、まだ未発表なんですが、来週からでる新作のケーキです」
試作品で作ってもらったホールケーキをそのままもらってきた

手土産だけもらいにいって、挨拶もできなかったし、後でもう一度いかないとな・・・

「・・・!すごいこれ、初めてです!」
メイドさんたち大興奮

DULCISの人気はすごいみたいで、うさぎ地区でも売れ行きはよさそうだ

「リリー様、こちらマキア様のお店のケーキですよ」

「ん?どれどれ」

カットしたケーキをリリー様とジアンにも出しくれる

「・・!!」
リリー様が目を丸くしている

「おいしいな!」
ホクホク顔だ。きらきらしていてカワイイ

「DULCISのお菓子を考案したと聞いたが・・」

「はい」

「うさぎ地区でもすごい人気でな。私もよく食べるよ」

「うれしいです!どんどん新作も出していきますね」

「うむ。楽しみにしている」

夢中でケーキを食べている姿が萌えなんですけど
さっきまで鬼のように剣をふるっていたのにw





「リリー様、今日はありがとうございました」
和気あいあいと気を遣わずに過ごせた

いい人だな

「いや、こちらこそ長々と引き留めてしまったな。うさぎ地区を楽しんでくれ」

「ありがとうございます」

ジアンと馬車へ乗り込む

「来月の人属大陸でまた会いましょう」とバレッタさんもお辞儀をしてくれる

「はぁ~~~」
やっと・・・って顔でお疲れのジアン

気を抜けない相手なんだろう
あたしは楽しかったけどねw

「ジアン、お疲れ~」

「・・・おぅ・・・ああなるから行きたくなかったんだよな」

「いいじゃん、楽しかった!ジアンが剣もったの初めて見たよ~」

かっこよかったし!っていえば、え、そうか・・・とまんざらでもない顔をしている

「魔物討伐には率先してガロの部隊が行くし、ガロが行けばたいてい俺の出番ないしな」
まぁジアンは兵隊ではなくて領主だしね

それはいいと思うけど

「だが、本当だな。いつ何があってもいいように鍛えなおしておかないとな」
おお、やる気になってる

「ちなみにリリー様に勝ったことはあるの?」

「・・・ない」

「一度も?」

「・・・一度も」

すご!リリー様まじで強いんだね~

「ガロは?」

「あいつでも無理だな。グレゴリー様がいい勝負だ」

うわ~あのムキムキマッチョの領主と互角なの
リリー様すげーな

「さらに魔力もすごいから、同時に使われるとほぼ無双だな」

「・・・味方でよかったね」

「・・・だな」




一度ホテルに戻って一休み

お昼を軽く食べて、ゆっくりしてから夕方にうさぎ地区店の「DULCIS LEPUS」に行くと伝えた

夕方ならお客さんもはけているだろう


フロントでもらった地図を見て、ジアンとどこに観光へ行くか話し合う

「うさぎ地区は何が有名なの?」

「ここは、加工だな。シェイクを見てればわかるように、手先が器用なんだ」
たしかに・・・シェイクめっちゃ器用

「あとは、宝石関係。うさぎ属はキラキラしたものが好きだからな」
なるなる。それもわかる

ゴテゴテな感じじゃなくて、自分をきれいに見せる使い方をしている

「見るなら、アクセサリーショップや、武器防具の店なんかかな。食べ物の特産はマールムが有名だ」

「ああ!マールム!」

「バレッタさんがいれてくれたマールムのお茶がすごくおいしかった」

「マールム農場へも行けるぞ」

おお!いいねいいね

「いくいく~」

「よし、じゃぁ遠い方から攻めていくか」

今日はDULCISにいって、明日は農場へいくことになった



うさぎ地区もおもしろい!


犬地区猫地区とはまた違うね
新婚旅行たのしい~
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