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人属編-29

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翌日


きちんと掃除の行き届いた部屋に、ベットでぐっすりと寝られた
さすが王宮だ

「さ、マキア様急いで準備をしますよ」

カーラが張り切っている
まだ寝ぼけているが・・・今日は結婚式か~

「マキア、ちょっと打ち合わせしてくる」

ジアンが出て行った
おお・・正装だ・・・かっこいい

「準備終わっているとか・・早いな~・・」
まだ眠いぜ

「何言っているんですか、マキア様が遅いんですよ」

カーラが髪の毛を結ってくれている

ボケーッとしている間にパンを口に運んで軽くおなかを満たす
パタパタとメイクをされ、ドレスを着させられて完了だ

ああーいい天気だ

素敵な結婚式になるといいね~



外は雲一つない晴天




「・・・ここに、二人を夫婦と認める。アランシュトゥイン神の加護が末永くあるように。」

壮大な教会に、ほとんどの関係者がつめかけた
警備もあちこちにひかれ、万全な状態での結婚式

新郎のルド王子は胸にいくつもの飾りのついた軍服のような白の正装服

新婦のケリー様は真っ白なドレス
首元までしっかりとレースでおおわれていて、ほとんど肌が出ていないスタイル

長いトレーン部分はキラキラと輝いている
きっといくつもの宝石がちりばめられているのだろう

頭の上にルド王子からティアラをのせられている
キラキラと・・あれが妃のあかしになるのかな


にこりともしない冷静な感じ
政略結婚なのかな



カランカラン

カランカラン


鳴りやまない教会の鐘に、上から舞う紙吹雪

街道には街の人たちがお祝いに駆け付け、王子と花嫁の姿を見ようと人だかりができている

教会の大きな出窓からルド王子とケリー妃が手を振っている
なりやまない歓声

民に喜ばれるのなら問題はないだろう

プレッシャーもすごいだろうが、ジアンは彼の周りには賢い側近が多いといっていたし
大丈夫だろう

王宮のホールでの結婚パーティは壮大だった
多分今までの中で一番

広さも、豪華さも、人数も・・・すごい

天井までいったいどのくらいあるのってくらいの高さ
そこからこれでもかとシャンデリアが何個もぶら下がっている

公爵を筆頭に、人属のほとんどの貴族が参加しているようだ



あたしたちも参加しているが・・ちらちらとみられて居心地が悪い

こそこそと扇の下で何をしゃべっているのかもだいたい見当がつく

しかし・・・シェイクやリンク、ガロもだけど体格のいい獣人属が正装になると破壊力がはんぱない
リリー様もパンツスタイルでの正装・・・めっちゃかっこいい

これは違う世界に行きそうw

何人かの人属女子がキャーキャーいっているし。わかるわかる

「マキア殿、大丈夫だとは思うが、我々とは離れないようにするのだぞ」
リリー様に注意された

ジアンや領主たちは挨拶で動き回るといっていたからな

「はい!大丈夫です!ガロたちといます」

三人が後ろに常に控えてくれているので、安心だ
人属女子の視線もすごいけどもな


「・・・お久しぶりです。シェイク様」

長い髪の毛をハーフアップにしたナターシャ様がドレスの端をもってあいさつに来た
シェイクと知り合いかな??

「・・・ナターシャ様、お久しぶりです・・」

少し失礼します。といってシェイクがナターシャ様と話すために少し離れた場所へ移動した
お似合いな二人だな~絵になる

たわわな胸をこれでもかと強調するドレスをきている貴族のこたちがたくさんいるのに、ナターシャ様はシンプルだけど上品なドレスを着ていて、とても清楚だ

「・・あの二人できてるんだよ」

こしょこしょっとリンクが耳打ちしてきた

「・・・え!!」

マジで?!二人でやいのやいのと噂話になった

「ナターシャ様がシェイクのこと好きらしいよ」

「え~まじで!?シェイクは?シェイク!」

「シェイクは断ったらしいよ~」

「もったいない!!」

こしょこしょとああでもないこうでもないと話しているとガロが「なに話してんの?」とまざってきた

人属の料理を片っ端から食べている感じだ

「ガロ・・また食べてるの・・・よく入るね~」

「いや~この濃い味付けが癖になるんだよな」
ああ~血圧上がりそう

「ガロしってた?ナターシャ様とシェイクの話」

「ああ、シェイクは断ったらしいけどな」
げ・・・まじなんだ

「ナターシャ様は婚約者いたよね?」

「そうそう。シドニー王が獣人派の侯爵家との縁談をとりつけたんだ」

結ばれない恋・・・
悲しいな~

「今回のルド王子の結婚式が落ち着いたら、次はナターシャ様の結婚式かな」

「そうか~」




~~~♪



綺麗な音色が流れてきた

ホールの中央にルド王子とケリー妃がきて、踊る

一曲終わったあとは盛大な拍手とともに、あちこちから男女のペアが中央に集まりだし、次の曲に合わせて踊りだす
楽団のレベルは高く、みんな息がぴったりとあっている

メイドさんたちはなくなりそうな料理の補充や、グラスを交換したりとあちこちたくさんいて働いている


「早く!これらを交換せんか!!」

小柄な人属のおじさんが大声でメイドに怒鳴っている
すでに酔っているのか、顔が真っ赤だ

「申し訳ございません。ただいま・・」

メイドさんたちがテーブルから料理を運び出す

どうしたどうした

「っち!!駄犬どもめ・・・!!」

・・・・
ああ~・・・そういうことね

私たちがとった料理のあとはとって食べたくないってことね

おじさんにギラリとにらまれた

むかつく
何様よ

あたしもぎろりとにらんでやった
ひるむもんか

癪に障ったのか大声で話し始めた「これはこれは!!獣の毛が!!!」と大げさに自分の皿に乗った料理をみて驚いているふりをしている

その声で周りの人属が何事?と興味津々に注目しだした

「色的に・・・そちらのお嬢さんのではないのか!?」

あたしに指をさしながらお前の毛が俺の料理にはいってるぞ!といっている

「・・・マキア、だめだよ」

ふつふつと怒りがわいてくるが、リンクが少し前に出て小声で制止してくる
他の人属もあたしたちの存在を見て、こそこそと話し始めた

「早くここら辺を掃除するんだ!毛だらけじゃないか!」

メイドさんに怒鳴り散らしているおじさん

毛なんて一本も落ちていないきれいなピカピカの床なのに

「・・・どうさないましたか?フィルタリア伯爵」

シェイクと話していたナターシャ様が割って入ってきてくれた

「これはこれはナターシャ様!見てください!私の料理に犬の毛が・・・!!!」

大げさに皿をあげて片手で顔を覆い、なんてこったのポーズをしている

「・・・申し訳ないが、私にはそれはエビの髭にしかみえませんが」

ップ・・・どこからか笑い声があがった

カー――!!っと真っ赤になるフィルタリア伯爵
馬鹿にされたと思ったんだろう

「おい!お前!!今笑っただろう!!」

絶対あたしじゃないってわかっているはずなのに、指をさしてギラリとにらんでくる

「・・・フィルタリア伯爵少し飲みすぎのようですね・・こちらへどうぞ。お水をお持ちします」
「さ、ご案内してあげて」とメイドに指示を出し、フィルタリア伯爵はホールから連れ出されていった

「・・申し訳ございません。マキア様。」

「いえ、ナターシャ様が謝られることではございません。気にしていませんので、頭をあげてください」

一王女の謝罪を受け入れないわけにはいかない

「獣人属への偏見はまだ根強く、私たちも頑張って入るのですがなかなか・・・」

「大丈夫です。わかってくれている人がいるだけで充分です」

ありがとうございますと頭を下げる
いい人だなナターシャ様

胸が・・たわわ・・
さわりたい・・・

「大丈夫ですか?」
シェイクも駆けつけてくれた

「もう、せっかくのパーティなんだから、勘弁してほしいよね~」ともぐもぐしながらリンクもプンプンだ



人属でのパーティ・・まだまだ大変そうだわ
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