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使命編-11

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「カーラー!!!!」

「マキア様っ!!お待ちしておりました~」

涙目で出迎えてくれる

「会いたかった~~」

「私もですぅ~~」

抱き合い喜び合う

何日ぶりだろう
我が家への帰宅は毎回本当にうれしいが、今回はひとしおだ


「お怪我は?おなかはすいていませんか?あぁ、こんなに汚れて・・お風呂とかは・・そうですよねないですよね。とりあえず着替えてしまいましょうか?あ、お荷物なんてそこに置いておいてください」

せわしなく動き回ってくれるカーラ
ようやく戻ってきた家には、電気がついていて、暖かいご飯とたっぷりと沸いたお風呂が準備されていた

「先ほどまで、シューマン様たちもいらっしゃったんですよ」

荷ほどきをしながら教えてくれる
お義父さんたち?
心配してくれたのかな

「帰ったのか?」

ジアンがコートを取り外しながら荷物を運び入れる

「はい。明日またいらっしゃるそうです」

「そうか、少し遅れたからな」




「マキア様、実は・・・」
こしょこしょっと耳打ちされる

「え~~~!!!!???まじで!?」

「はい。まじでございます」

フフフとにっこりのカーラを置いて、ダッシュで客間へ行く

ばたんと開ければそこには黒く光り輝く大きなグランドピアノが置いてあった



「きゃ~~~!!すんごい!!なにこれ~~」


もういいやつとわかるその重厚感
オーラがでているよ~いいピアノのオーラ!!


「昨日届いたんですよ」
こちらが一緒に同封されておりました

「マキア様へ」とかかれている

うらを見れば「ミレイ様だ!!」ミレイ様のきれいなかわいい字でのお手紙だった
封蝋をゆっくりとはがして読む




『親愛なるマキア様へ

お元気でしょうか

季節もまたいでおりませんが、私はマキア様に会いたくて仕方がありません

ピアノの練習もたくさんしております
たまにお父様たちにも聞いていただいております

届いたピアノが気に入っていただければ嬉しいです
そしてまたマキア様と連弾ができる日を楽しみにしております

マキア様と皆様の御健康をお祈りいたしております

ミレイ・リンドラルシェ』



ミレイ様だ~~

ついこの間あったばかりだけど、懐かしく感じる

魔獣討伐が濃すぎて・・・
数か月ぶりな感じだよ


「お!すごいな~」
ジアンが入ってきた

「みてみてみて!!届いたの!!!」

「あぁ、見てるってw」

「どうしよう!ちゃんとお礼の手紙書いたほうがいいよね?あ、でもあたし書き方とかよくわからないし・・」

オロオロしているとカーラが「大丈夫ですよ、素敵な用紙をご用意しております。疲れが取れましたらゆっくりと書きましょう」といってくれた


「ほら、なんか弾いてみたら??」


ああぁ・・・どうしよう

ドキドキするよ
何がいいかな



ピアノの鍵盤をポロンとひいてみる


すごくいい音だ
遠くまで透き通ってる音が響く


「戦場のメリークリスマス」

これ・・悲しい曲なんだけど、でもどこか聞いたことがあるようなメロディーで

高音からスタートする
雪が降ってきそうな感じの切ない曲

繰り返しもあって

~~~♪

~~~♪

~~~♪

あまり難しい曲ではない

フラットが沢山あるから弾きずらいかと思うけど、同じようなメロディーの繰り返しだからどちらかといえば初心者でも弾ける


~~~♪

~~~♪

~~~♪

これもミレイ様に楽譜書いて送ってあげよう

これならすぐに書けるしね
お返事と一緒に送ろう

~~~♪

~~~♪

~~~♪

最後は低音の連打から~フィーネ


ポロロン・・としめるのがいいよね~





パチパチパチ・・・

拍手が入る

「素敵です・・・」

「いい曲だな」

カーラもジアンも聞き入ってくれていた


「へへ、いい曲だよね~ピアノもいいし、音がすごくなるの」

自分の思った通りの音を出すってこんなに難しいんだって思うほどスランプの時には悩んだけど
弾けるようになるとこういう音を出したいってなるんだよね

いいピアノは出しやすい。というか、相性かな

自分の指の力とか、感じ方、音のなり方、ピアノ一つにとっても感じ方は弾き手の数ほどちがう



「とりあえず・・・風呂入ろうか」
余韻に浸っていたらジアンに怒られた

あぁ・・wきれいな新品のいいピアノなのに
薄汚れたまま触ったったよ


「ふふふ、マキア様ゆっくり入ってきてくださいね」

カーラにタオルを渡されてお風呂へ向かわされる

ずっとキャンプ続きで、ろくにお風呂とかもないし

すごい~極楽~~

泡泡のお風呂にしてもらって
耳の後ろまでしっかりと洗う

獣人になって気づいたけど、毛のよごれは毎日洗わないと汚れがたまるんだよね
すぐに汚れを吸着というか

数回洗ってよく汚れを落として
ちょーさっぱりだよ


「マキア~こっちこい」
タオルで乾かしていたらジアンに呼ばれた

「はーい」
すぐにドライヤーで乾かしてくれた


「疲れてんだから、今日は早めに休むんだぞ」

「はーい。さほどだけど、ジアンは?もしなんなら回復するよ?」

あたしは魔力も体力もばっちり回復している
でもまだ興奮状態だ

女王魔獣との闘いや、ジアンが運ばれてきたシーン、ガロが吹き飛んだところとか
フラッシュバックのように思い出しては苦くなる

「いやいやいや何回、回復するんだよw」

魔力だけはたくさんあるから回復はばっちりしてあげているけど

「魔力はまだ半分くらいかな」
魔力は回復できないからこればかりは申し訳ない

「結構使った?」

「ああ、リリー様もかなり減っていたな」

「リリー様、最初からガンガン使いまくっていたしね」

ギリシャ神話に出てくるアテナの女神のような感じだ

「みんなはどれくらいで回復するの?」

「俺なら3.4日あれば元に戻る」

「じゃぁ連日魔力での連戦ってのはきついんだね」
今回の魔獣討伐は連日だったからきつかっただろう

「ああ、今回はお前がいたからかなり助かった。本来ならシールド担当と別れて連携をとったりもするからな」

「なるほど」
みんな攻撃に徹底できたのね

「回復もできるから、長期戦にならずに済んだ。マジで感謝」
後ろからギューッと抱きしめられる

「ジアンがケガしたときは怖かったけど・・・本当に無事でよかった・・・」

何度も危ないときはあったけど、回復できる範囲でよかった

「もう連れて行かないから」

「大丈夫だよ。一緒にいたいし」







カーラのつくってくれたスープは絶品だった
胃にしみる優しい味!


保存食とかばかり食べていたからな
味気なかった食事にもおさらばだ


「明日もお手伝いに参りますね。ゆっくりとお休みください」


「カーラ!本当にありがとう~」
明日ミレイ様への手紙書くの手伝ってね~と手を振ってお見送りする




久しぶりにふかふかのベットで横になれる
自分が思っていたより疲れていたのかな


明日は~荷物をほどいて・・・
あとは、ミレイ様にお手紙書くでしょ~

あ!またピアノ弾こう~

午後にはDULCISの様子も見て、帰りにリッタさんのところにもいかなきゃね


普段の生活に戻ったことと、今後のことを考えていると高ぶっていた気持ちもおちついてきた






もう魔獣とか嫌だな・・・・


誰も傷つかなければいいな・・・



気づいたらジアンにしがみついてぐっすり眠っていた

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