初恋の幼馴染に助けてもらったと思ったらヤンデレだった

音羽 藍

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37.生暖かい気持ち

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ベッドの上で楓に抱きしめられた。

 私はまだ心臓がバクバクしている。達した後はぐったりとした。
 彼が精を吐き出したのかふるりと震えた後、荒い息を吐いた。

「はぁ……んっ」
「……小春、エロいな」

 何度も達した後のぼぉーっとしている思考の中で、じっくりとして彼に見られているのを恥ずかしく思った。

彼がごそごそと何かをしていて、ふと見ると、ゴムを外して結んで私の寝転んでいる真横に置いた。

「……楓、寝る?私お風呂行ってくる。」
「……やっぱり、もう少ししても……」
「え?なにかいった?」
「いや、そうだよな。"初めて"だもんな。」

 彼が満足げに言って、私の隣に寝転んだ。
彼は手を伸ばして、体液が入った結んだ使用済みのゴムをゴミ箱に落とした。
 熱くて重い体温、強く締め付ける腕の感覚、楓の匂いがした。
 ちょっと、独占欲と執着が怖い所があるけれど、どこか彼といると安心できる。

 眠さから微睡んであくびをした。
 
「小春……俺から逃げるなよ。」
「そんな……しないよ、"恋人"だもん。」
「あぁ、"今"は恋人だよな。」
 
眠さの中に返した言葉に少し不満がある低く響く彼の声に、思わず体がピクリと硬直した。

 今?
 いつか……は終わるのだろうか。
永遠の恋人はない。
 ……そうだよね。
 
 少しその事に寂しさを感じて、私は思わず少し眉を寄せて楓の匂いがするまくらに顔を押し付けた。

「やっぱり早々に……」
 
 私の髪を撫でる彼の指先の感覚がとても好きだ。
 くしゃくしゃにするのではなく、ゆるやかに撫でる動きで、私がくしゃくしゃされるのが嫌なのがわかっている。
 その声と髪を撫でたりしている事に甘さが混ざっている様な気がした。
 
 ちょんと耳に指先が触れた事で、胸がぎゅっとなる。
 
「楓……好き」
 
枕から離れて少し顔を背け傾けて名前をつぶやくと、私の髪をそっと撫でながら彼は笑った。

「俺も好きだよ、小春。」
 
その手つきも、私がギリギリ起きているのを知っているのか理解してないのかわからないが、耳の端に近づけて囁いてきた顔の距離も、全部が私を愛おしく思っているのがわかる。
 
「小春は……俺のものだって、ずっと分かっててほしい。」
 
その言葉に、胸が熱くなる。
怖さよりも、愛されている実感が勝って、自然と私は臀部を彼の方に体を寄せる。
 くすくすと彼が少し笑ったのが嬉しい。
 
暗い部屋の中で、二人だけの呼吸と心臓の音が重なり合う。
ふと、楓が私の耳元で囁く。
 
「……誰にも渡さないから、小春は俺だけのものだからね。」

独占的で、でもどこか愛おしい。

その言葉に、思わず体が震える。

 嬉しい。
 それとは別に、なんでこんなに私を愛してくれるのか。
 彼ならもっと良い人が選べるのに。
 初恋が叶う嬉しさに胸がいっぱいで、涙がひとすじ零れる。
 
「……楓は私と恋人の時は私だ……け…….」
 
言いかけたところで、楓に優しく唇を重ねられた。
 
キスは長く深く、甘い。
 少し危うくも感じる程に、深まる2人の貪る様なキスだった。
 ようやくちゅっと、唇が離されると息を吸っていたのを忘れていた私はぜえぜえと荒く息を吸う。
 
この前まで色々あって怖いはずなのに、胸の奥から湧き上がるのは彼に愛される幸福感で、全身が溶けてしまいそうになっていた。
  
「小春、俺はお前だけだよ?好きなの。」
「……楓、好き……」
 
小さな声で言うと、楓は満足そうに微笑み、私をぎゅっと抱きしめる。
 
「俺もだ……ずっと、ずっと好きだよ。」
 
暗闇の中で、二人だけの甘く危うい夜は、ゆっくりと過ぎる。
恋の高揚感も、悲しみも怖さも嫉妬も独占も、全て同じだ。

 汚いモノも綺麗なモノも、私の一部で、愛と生だ。
 
私は彼の腕の中で、震えながらも、幸せに浸っていた。
 
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