愛が重いなんて聞いてない

音羽 藍

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薄氷上のダンス

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「それでユリウスの事は?」
「わかったわよ、貴女顔色悪いわね……ユ……いえ殿下と一応呼んでおくわね。貴女のその番って奴なんでしょ。無事に貴女が殿下とくっついてくれて2の私からしたら万歳モノだけど。1番の懸念がそれだったから。」
「どう言う事?」

私は彼とお揃いの腕輪や指輪を一瞬見てから、彼女が語る事に嫌な予感がした。

「なんでシアが……これも呼び捨ててるけど気にしないで。今だけだから許してよ?」
「わかったわ。」
「……それでよ、シアが伏せていた竜人族の番が登場しているの。ネタバレになるけど本当にいいの?」
「良いわよ、私は死んでこっちに来ちゃったし、今更あっちのゲームは出来ないもの。」
「隠し裏ボスよ……それが殿下。言っておくけど、ゲーム上だから。今の殿下は別者というか……殿下も学園に来てて変わっているし、なんか更に冷徹というか……近寄りがたい風格があるのよね。王族だからって思っていたけど、異様よ。後、高性能過ぎるわ。なに?あの剣、鍛錬場に殿下来ていた時に見たけど、あの剣どっかで見た気がするわ。覚えてないけど。それに、まだ2人を獲得もしくは排除してないのに、強いじゃないの。夏頃に観察していた事もバレたのか、冷たい目があったのよ。怖ってなったわ……よくアレと暮らせるわね。私なら一時間一緒にいたらうんざりしそうだわ。」
「私は普通だけど……基本的には優しいわよ?敵になるとなったら……考えたくないわね。それに……裏ボスね。え、待って隠しエンディングってさっき言ってたよね?ユリウスとのエンディングあるの!?」

私はテーブルに手を置いて、彼女を見た。
ユリウスが好きだとか愛を囁くのが見えたのか!?

「……ないのよ。やはり番を探していたし、2の主人公はほら別人でしょ?それがなにがトリガーになってないか、私オタクだし、必死になって探して調べたの……それでようやくわかったのよ。1のセーブデータ削除とそれとノーマルエンドのみでのクリア。遊戯盤クリアはうーん……微妙なんだよね。私はしないでスルーしたけどまだ細かな分岐ありそうだったわ。」
「セーブデータ削除!?」
「ほら、嫉妬って奴でしょ……竜人族って番が他の男とイチャイチャしてたら……って。まさか1のセーブデータと連携してるなんて誰も思わないよねぇ。1を持たずにセーブデータない子で勧めると変わるのかは未検証だけど……その前に私も死んだからね。言っておくけど、2の主人公とイチャイチャはないわよ。ようやくその見つけたのが、誰か美しい女性と暮らしていたって、登場キャラクターが言っていた表記が合ったからわかったけど。」
「……ゲーム連携なんかあったけ?」
「公式からもセーブデータ連携はありますってお知らせきてたわよ。最初は購入特典のホームに飾れるヴァイオリンと竪琴の絵画貰えるぐらいだと勘違いしたけどね。それに貴女、具合悪過ぎて見てなかったのね。」
「私……セーブデータ削除してない。私その色々……知りたくて色々なエンディングみたまま……まずい。」
「でも、現実では大丈夫でしょ?まさかこっちで……ビッチちゃん?」
「そ、そんな事は誓ってないわ!!」

ガシンとテーブルに手を置いて立ち上がる。

ガチャと背後からどうした?と言うふうにみてくるリーンハルトに大丈夫と、急ながら手を振った。
彼が元に戻ったのを確認して椅子に深く座り考えた。

「もう、怒りすぎよ。なら良いじゃない。ゲームはゲームでしょ。」
「でも結構ゲーム通りな展開があるの……」
「あぁ、それでね……どうするの?殿下の……いえ、元ね。元駒の2人なんだけど貴女知らないって事は野放しね。困ったわ、私は今は戦闘特化のキャラクターとはそんなにご縁は作ってないの。狙っているのは……いえ、関係ないわ。とりあえず、貴女がどうするか決めて。殿下自身に頼んでも良いし、後ろの護衛君?でも良いと思うわ。お勧めは貴女が倒す事が良いよ、難易度聖地級だけどね?」
「へ?……私も戦闘は余りよ。どう言う事?」
「まずは2人について話すわね。裏隠しボスとしてのだからね?殿下の駒となったふたり。詳しくはコレを上げる。一応、私といっても貴女ね?パターンと攻略対象者を使用しての排除パターン、それに第三者を挟んでの排除パターンと、放置したパターンの死エンディングと………でもこれらは少し修正必要かもしれないわ。ゲームでは私が狙われるけど、多分狙われるのは貴女……シアでしょうし。ゲームで私が狙われていたのはいつもフードを被って首まで詰めた服装をしていたから勘違いしたのが濃厚らしいし。だからほら今はわかりやすくしてるの。そこの辺は貴女が考えてね。喋り疲れたわ……先に食べるわ。」


渡された紙を見て私はその内容に驚いた。

会えないでいる番を探して彷徨い、一の主人公を狙い暗躍しているユリウスの設定は、今まで考えなかった。

一の主人公は番の匂い消しである香水、一定の長く同じ場所に留まらないなどを多用して避けていて、会わない設定。


その中で早めに倒した方が良いとされる2人であり、殿下の駒である。
狂血のエスタレーラ、変幻のユアルラータ。

エスタレーラは色欲と同竜族喰らいとしても有名。彼女が求める祖なる神血に近いからシアは気をつけた方が良い。

ユアルラータは変声、外見など誰かの真似をするのが得意。
界隈の中では、通称劣化コピペとも呼ばれており、愉快犯。

戦闘や性的ないじめが好物であり、好感度の高い相手をコピーして時々好感度をわざと下げてきたり、しかも返事を失敗したり見破れなかったりするとそのまま……行為をしようとしてくるので寝室に入り油断している所で襲われてバッドエンド。
見破る方法としては変幻している時は攻撃(つねるなどもok)をすると解除されるので、それか左の手の甲にだけ変幻しても黒子が必ず一つある。
なぜ残しているのかは解く際に起点となる物を残しておくから。



裏ラスボスである殿下に支配されていた時は初出は遅かったが、殿下がゲームの中で早めに倒されていると抑えが無くなり放置しているとかなりNPCが沢山死んでいた。

2人の名前は、所謂コードネームであり、本名は別にあるらしい。

「今のこの世界の殿下は、貴女と付き合っているし、ストーリーとは違っているから、安心したわ。だから私からなにもしないから安心して。」

苺を摘み口に放り込む彼女はふふっと笑いながら、平民さいこーと飲み物と共に楽しんでいる様だった。


「懸念しているのは、ヒーローからの好感度が高い程ユアルラータの完成度は高く本人に近くなるという部分ね。貴女相当気に入られ……囲われてるよね?」
「それでも劣化って事でしょ?」
「そりゃそうよ。本人ではないもの。何処かしら似てない部分は残るわ、とりあえずは、早めに倒す事。倒さないとこの国の大規模の損失に繋がるもの。未検証なのは殿下自身によっての排除パターンね。なにせゲームでは駒だったから検証はできないのよね。それも攻略対象者、もしくは第三者を使用しての排除パターンにして含まれても良いものかって感じだけど……」
「でもユリウスがその2人を使うメリットは?シアが殺されたら意味ないでしょ?」
「あら、それも後半に書いてあるでしょ。せっかちね?」
「よ、読んでなかったわ。すみません……」


私は次の紙を読みながら唸った。


殿下がなぜ2人を駒として何故使うのか?

エスタレーラは元々殿下の事を愛していた。なので、殿下が探していた番を殺す事を秘密にして、相方のユアルラータが殺した事にして、探し出し殺害後殿下を慰めながら暮らす事を望んでいた。


ユアルラータはエスタレーラの事を愛して崇拝していた為に殺害をなすりつけられても構わず、性交は単なる食べるとのと同じ行為としてか考えてはいない。

「ちょっと、待って。今は私を殺したらそもそもユリウスが死亡するわ。その状態で殺すかしら?」
「ユリウスを手にできるのは……今回は無理だろうけど、どっちみち貴女は殺害されそうよ?」
「なんでよ?」
「書いてあるでしょ、祖なる神血を求めてるって。」
「……はぁ……似てるからね。後は……ユリウスが誰かと暮らしたってこのまさかエスタレーラと?」
「違うわよ、それに倒せないとバッドエンドだって言っているでしょ?エスタレーラはどっちみち、2の主人公を殺害しても別人だから意味ないのよ。ゲームの殿下自身がエスタレーラの事は嫌っていたからね。」
「あ、そうなのか。」
「エスタレーラには異母兄がいたみたいだけど、作中では2ではふんわりとしかフレーバーテキストぐらいでしか出てこないのよね。確か冒険者として旅立ったって。私は仕事が忙しくて、3が発売されてから数ヶ月後に初めてプレイした瞬間に死亡しているし……だから神回だって噂されていたけど出来なかったのは悔やむわ。」
「異母兄?エスタレーラは竜人族でしょ?」
「それが酔った勢いでメイドの人族としたらしくてね……メイドは首にして門前に吊るすと脅されて拒めずにしたって書いてあったわね。エスタレーラの母と出会う前だったからそれは……い辛かったでしょうね、異母兄も。」
「待って……メイド?メイドって最近は居ない家庭が多いって聞いたけど。」
「あぁ、この国は特殊ですもんね。それでもいる所にはいるでしょ。」
「まさか……王族?ありえないわ。彼等はそんなっ」

あのそう言うことに絶対にならないユリウスの親戚に嘘だと首を振る。

「ち、違うわよ!?不敬罪になりたくないからそこは否定しておくわ。それに王族は別枠よ。王族って執着うんぬん、貴女の殿下を見ればわかるもの。他よ、何処にも物語でもリアルでもいるでしょ、悪どい事をしそうな貴族って。」

ふと頭の隅に、彼から近づくなと言われた貴族達を思い浮かべた。

「その珍妙な表情は思い出した感じね?」
「心当たりはある程度よ。」
「そうそう、エスタレーラは気持ち悪くてまだ記憶に残っているから教えるけど、ピンク頭よ。いやよね、ピンクの髪で良い子もいるのに、悪人だと思われるのは残念よ。」
「………はぁ………」

該当者が1人頭に思い浮かんだ。
実際には会った事は無いが、彼から伝えられた人物に思い当たる気がする。

「かなりの大物じゃない。」
「でも、早めの駆除が最適よ。貴女なら色々それにできるでしょ。確か……この前大幅に大粛清があったらしいけれど、生き残りもねぇ悪よねぇって事よ。」
「まともな人は?」
「いるにいるけど、とりあえずはエスタレーラだけは完全に早めの削除が良いわ。それさえ潰せば、烏合の衆って事よ。殿下に頼んで完全な排除でも良いけど……ね?」
「だから他の人がいる所で話したくなかったのね。」
「それはそうでしょ。万が一にでもこの会話が聞かれたら、大変よ。私は一般平民だから力は無いし、やるつもりもない。」
「私が倒すメリットは?聖地級って。難しいのよね?」

扇で顔を隠しながら、彼女は微笑んだ。私はそれに嫌な予感しかしないが聞くしか無い。
















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