愛が重いなんて聞いてない

音羽 藍

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薄氷上のダンス

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つかつかと荒々しく、歩く音が響き、ユリウス以外に触られた怒りと、半身が隣にいない嘆きが込み上げて竜化しそうになり、廊下にある鏡を見つけて覗き込んだ。

「良かった……特に変わらなかったわね。」

彼は私が待っていてと頼んだから待っていてくれるはず。
だからこの嘆きはおかしいものだと、胸の底にしまう。

彼につけられたキスマークが情事を感じさせて、恥ずかしい。

後少しで、彼と会えるのだから。

そう思えば、私は思わず仮面の下の口の端が上がりニヤニヤしてしまった。

早く行こうと、足を踏み出そうとすると令嬢二人が柱の辺りで話し合っているのが見えた。

「せっかく現れたとびきり上等の玉の輿だったのに、逃してしまったわ。」
「そうですわ……せめてあのダンスを踊っていた方では無く、他の男性とダンスを踊っていた方を連れていくなんて。」

私の事だろうか?
私が歩いて目が合ったが、構わず話している。

二人は私が来ているのをわかっていて、ヒソヒソと聞こえる声で言ったのだ。

他の人の事かもしれない。
自意識過剰っていうものかもしれない。

しかし……
頭に浮かんだのは、ユリウスに着いていた爽やかなミントやシトラスの様な香り。
それが頭から離れない。
そうだ、彼がを逃れられないと判断して仕方なく踊ったのかもしれない。

そうだと、私もあの男性と踊っていたのだからと、嫉妬は互い様だと考えるのだが、チクッと胸に突き刺さる針が抜けない。

番だから、二心はない。

それに私は思いながら、通り過ぎると背後から履き捨てる様に……嘲笑いながら声が聞こえた。

「見てよ、あの子よ。黒の白雪の方を選んできてるって事は他の色んな男にうつつを抜かしているんでしょうね……男漁りばかりで……きっとあそこはガバガバなのよ。」
「やだ……端ないわよっ」

くすくすと笑う声に私は手を握り締めて、歩き去った。

金色の鹿……

ようやく見つけた時、ガチャリとドアを開けた瞬間に抱きしめられる。

青い瞳が私を見つめており、引きずられる様に部屋へ入り、ドアを閉めた。

仮面を外して、深呼吸をしながら番の匂いに安堵した。

「ユリウス……会いたかったわ。頼んで来たから……戻りましょう?」
「シアから別の男の臭いがする。」

ぞくっと彼の仄暗い瞳に、私は違うと先程まで涙を堪えていたのが溢れる。

ぽたりと溢れて落ちたのを、顔が近づけて舐められるのに、化粧を舐めてしまうと彼を抑えたが、それを拒絶と捉えたのか不満げな表情をした。

「シア、手首が少し赤い。なにかあったのか?」
「少し、その誘われたから断ったのだけど……聞いていたのではないの?」
「ここは精霊除けが多いらしくて、頼もうとしたら嫌がったからな。だから不安だった。探しに行こうと出ようとしていた。」
「そうだったのね、すれ違いにならなくて良かったわ……断ったら、聞き入れない強引な人で困ったのよ。ユリウスに早く会いたくて、走って向かったの。」

彼の目線が私の手首にあり、それに気が付かなったから、私は驚いた。

「でも本当ね。掴まれたのは少しだったけど。」

そう答えた瞬間には魔法をかけられて匂いが消え失せる。

「俺のシアをきずつけるとは……」
「ダメよ?早く帰りたいから。」

彼の髪を撫でながら宥めると、私の顎を触りながら彼の親指が唇を優しく撫でてきて、至近距離で眺められる。

その指で撫でられるのが性の香りがして、ダメだと頭の中で警鐘を鳴らす。

「……シア」
「ダメってユリウス」

私は口を開けて抗議したが、彼の親指はスッと口の中へ入り込み、舌の上や口蓋を撫でる其れはまるでペニスの様に出入りした。

私はその事に顔が熱くなり、ついつい口を閉じて吸ってしまい、上目遣いでユリウスを見上げた。

ユリウスが満足したのか、指がゆっくりと抜けていき、逆鱗の縁を撫でているので、こそばゆい。

「シア、すまない、すぐに駆けつけられなかった。」
「ううん、良いの。少しだけだったから。」

私はあの二人の女性の事は伏せておこうと思った。
彼を心配させてしまうし、こういう陰口は整った顔立ちと一般人とは違う風格のある彼と関係を持つ事になった時に、覚悟はしていたから大丈夫だ。


私の事はなんとも言われても良いが、彼がそんな女と寝たと思われるのがモヤモヤとする。

ここに来ているのに、それは緩い女だと言うのはブーメランなのではと思うのだが。

「ユリウス……キスして。」
「良いのか?さっきは嫌だと。」
「良いの、ユリウスが欲しい。」
「ッ……ほんと君はな。」

端正な顔立ちの彼が頭を抑えて、深呼吸した後、彼は顔を傾けて、顎を彼に引かれて唇が重なった。

何度も重ね合い、引いては重ねるのをして、そして重なった時に彼の舌先が入り込んだ。

歯列をなぞり、全てを彼の舌先がくまなく触られて二人の舌が絡み合い、まるで蛇の交尾の様に絡まった舌先。

私はそれにうっとりとして、そろそろ離れないと考えていると、彼の手がドレスをたくしあげてずるずると上がってくる事にダメだと思い、離れようとした。

離れて荒い息を吐くと、いつ間にか落とした仮面を取ろうとして床へ屈もうとすると横目に彼がスラックスのボタンを外しているのを見て焦る。

「ユリウス、ダメよ。もう馬車呼んだのだから。」
「君が煽ったのだから、してもらわないとな……そうだな、沢山したし、太ももで我慢しておくか。」
「わかったわ、もうしょうがないわね。」

太ももに彼のペニスを挟みこむ。
上の口では彼の指が再び入り込みそれを私はなんでと睨むと彼はこれが気に入ったらしく仕方ないなと奉仕した。

「シア良いッ……」
「ぅ………っん」

ずちゅずちゅと彼が動くたびにまるでしている時の様だと思ってしまい、段々と顔に熱が集まる。

彼の腰が引かれて抜け落ちる事で、もう良いのかと目線を上げると私の手を使い、今度はシゴいて欲しいと言う事はわかった。

「シア、愛している。黒髪の君も可愛いな。」

私はぬちゅぬちゅと上下に動かしていると、彼の片手は私のショーツ越しに恥丘を撫でており、彼が赤い顔で私の名前を呼び、花芯をぐにぐにとリズムを付けて押される続けられるたびに私はショーツにシミが増える。

「……ふぅ………ぅぅ」
「シアはイキそう?イキたい?」

うんうんと頷くと私は鼻息荒くしてついつい彼を求めた。

「ほら、シア良い子だからドレスをたくしあげて俺に見せて。」

嫌だと思ったが、煩悩と愛する彼に求めには勝てずにするすると身体は動いてスカートを上げる。

「っふぐっ…」

ぐにぐにと更に押し潰され、私ははぁっと口を開いて達した。

身体が達した衝撃をこらえて震えていると、彼が青い瞳は恍惚としており、私の手ごと持ち方向を変えて、彼が一際震えて、ショーツに熱いモノをかけた。

「ぅ……ぅぅ……ぅあっ」

ぬちゃりとしたモノと香る彼の匂いに私はそれがなにかは散々身を持って知っているので、彼を睨みながら抗議の声をあげようとしたが、達したばかりの身体は言葉は出ずにただ甘い吐息と嗚咽に似た声が漏れるだけだった。


びぐびぐと達した後の余韻に震えていると、彼は口から指を取り、私は彼の肩に顔を埋めた。

「シア、暫くは汚れを取る魔法は禁止だよ。このまま俺ので汚れていて。」

クチクチと二人の体液で湿ったショーツ上から再び触られて無理無理と頭を振ろうとするが、耳を舐められながら、言われる。

幾らか彼に触られて、快楽を得てしまった身体は正直であり、煩悩に傾いたが離れてしまった。

「さて、帰ろうか」

私は胡乱げに彼を見上げて、ほんとこの人はとジト目になった。










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