鉄と草の血脈――天神編

藍染 迅

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第四章:相撲勝負

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 先生、相撲は好きかい? え、普通だ? まあ、良いや。
 相撲ってのは日本の国技だからね。昔は宮中行事だったって事は、説明しなくても良いだろう?
 もう一つ、相撲が神事だって事も分かるよね。今でも神社で奉納相撲だとか、土俵入りとかするからね。
 土俵の上には必ず屋根があって、其れは神社の屋根だとかね。行司なんて神官其の物だし。
 そういう事を考えると、相撲というのはスポーツでも格闘技でもない。寧ろ占いなんだね。亀甲占いとか盟神探湯くがたちとかと、本質は変わらない。
 片方が勝つって事は、神の意志と考える。勝ち負けは御神託なんだよ。
 神様の意志なんだから、其れで重大事を決めても良い訳だ。
 土師氏の元祖「野見宿禰のみのすくね」は、わざわざ出雲から呼び寄せられて大和の住人「當麻蹴速たいまのけはや」と戦わされている。
 二千年も前の話になるが。
 で、相手を蹴り殺して勝負に勝った。古代人はワイルドだね。
 大事な事は、だ。勝った野見宿禰は、其れ迄當麻蹴速が住んでいた土地を授かったんだ。
「其処に住んで良し」という許しを貰った。奈良県の葛城市辺りだね。
 だから、「すもう」という名前になったんだよ。え、意味が分からない?
 簡単だろ? 「住む所」を賭けて戦ったから、其の勝負の事を「すまひ」って言ったんだよ。
 「相撲」っていう漢字は、後から適当に付けただけさ。元は「角抵」とか「捔力」という風に書いていた様だけどさ。
 住まいなんだから、土俵の上に屋根があるのも当然だろ?

 或日、道真の前に當麻蹴速の子孫だという男が現れたって話をしてみようか……。
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