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第一章 追放と仲間探し
30話「傭兵案内所の女性頭領現る」
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クラークがクレー射撃のような真似事をしたあと満足したのかその場から動き出すと、俺は本来の目的を成し遂げる為に彼女へと話し掛けるべく小走りで近づいていく。
「す、すまない! ちょっと待ってくれ!」
そう声を掛けながらクラークの肩に触れて呼び止める。
「っ!? 私の背後に立つなっ!」
すると彼女は肩を触れられた瞬間に自らの手で俺の腕を掴むと、まるで痴漢を撃退するかのように背負い投げを繰り出してきた。
その余りにも流れるような動作に為すすべもなく体が宙に浮かぶと、
「うおあっ!? そんな小さな体でどうやって俺を……!?」
クラークの見た目からは予想出来ない程の力業を目の当たりにして驚愕の言葉が自然と零れた。
……だがこのまま背負い投げ受けるという通りは何処にもなく、俺はチート能力で得た身体機能を全て活用させると、投げられた空中で体を無理やり捻り掴まれた手を振りほどいた。
そして綺麗に両足から地面に着地すると、なんとか背中を地面に付けるということは避けられたようだ。しかし幾らチート能力の恩恵で相手の技を回避出来たとしても、無理やり体を捻るというのは中々に堪えるものであり、謎の痛みが脇腹の周辺で発症している。
「おお、クラークの背負い投げから逃げたか!」
「あの兄ちゃん何者だぁ?」
「クラークちゃん今日も可愛い!」
だがそれを周りで見ていた傭兵達が次々と疑問の声を上げていくと、既に野次馬たちの視線は俺の元へと一点に注がれていた。
注目を浴びるのは生前の頃から嫌なのだが、これはこれは一体どうしたものかと。
まさか情報を聞こうとしただけで背負い投げをされて、こんな結果になろうとはな。
「貴様何者だ? 私の技を躱すとは只者ではないな。所属と職業を言え」
クラークが視線を合わせてくると完全に敵視されているようで、何処かの国の軍人のような台詞を投げ掛けてきた。しかもご丁寧なことに戦闘体制を整えているらしく、見るからに隙のない構えを維持している。
そこで不毛な戦いは避けるべきだとして言われた通りに偽名と職業を名乗ろうとするが、
「なんだなんだ、随分と騒がしいようだが何かあったのか?」
突如としてそこへ葉巻を咥えながら一人の女性が姿を現した。
「と、頭領! お疲れ様です!」
そして一人の傭兵が彼女の存在に気が付いて頭領という地位の高い人の呼び方をする。
「「「お疲れ様です! 頭領!」」」
すると一斉に他の傭兵達も視線を女性へと向けて、綺麗な姿勢を取りながら右手を心臓の位置に当てながら敬礼を披露していた。それはさながら某漫画のあれに似ているようだが、今はそれよりもこの頭領と呼ばれる女性の方が気になる。
「と、頭領……確かにその風格はあると言えるな」
頭領と呼ばれている女性へと視線を向けて全体を視界に収めると、彼女の容姿は紫色の長髪にアメシストのような綺麗な瞳を宿していて身長も高く美人であった。
しかしただの美人と侮ることなかれ。頭領は動物の毛皮を使用して作られている毛皮のコートを身に付けていて、更に額と胸元に大きな傷痕があり歴戦の猛者という印象すらも一瞬のうちに与えてくるのだ。
「ああ、全員お疲れさん。んで? そこの冒険者のような身なりをした青年君は一体誰だい?」
咥えていた葉巻を地面へと落として足で踏んで鎮火させると頭領は周囲の傭兵たちへと声を掛けたあと視線を交わしてきたが、彼女の瞳を直視すると全身が瞬く間に硬直して手足の指先すら動かせなくなった。
それほどもまでに彼女の視線からは圧を感じられるのだ。
しかも何処か親しみやすそうな雰囲気とは裏腹に。
「はっ! こちらの者は私の背後を取り、無謀にも話し掛けてきた愚か者です!」
それから頭領の疑問に答えるようにしてクラークが敬礼を維持しながらはきはきとした口調で答えていくが、果たしてそれは俺という人物の説明になるのだろうか。
ただ単純に根に持たれているような気がしてならないのだが。
「クラークの背後を取っただと? ははっ、それはすごいな!」
彼女の言葉を聞いて頭領は僅かに表情を顰めるが、何を考えたのか直ぐに笑みへと変えるとそのまま近づいてきた。そしてある程度の距離まで近付くと足を止めて、彼女は頭上から足の爪先までじっくりと観察してくる。
「うーむ、なんだろうね? キミからは妙な力の加護を感じるねぇ」
手を顎に当てながら意味有りげに呟く頭領。
「そ、そんなことはないですよ。ただの流離いの冒険者ですよぉ……あははっ」
彼女の瞳を目の当たりにすると不思議と内面を見透かされそうな気がして、変な汗が手のひらに滲む感覚を受けつつも何とか笑みを作り誤魔化した。
「ただの冒険者……ねぇ? だったらこの傭兵案内所に、どんな要件で来たんだい? まさか傭兵に転職しに来た訳じゃぁないだろう? まあ実力は申し分ないと思うがね」
そう言いながら頭領は人を疑うような声色で尋ねてくると、やはりこの女性は俺の内面を探ろうとしているに違いない。
恐らく会話をしていくうちに本音の部分を聞き出そうとしているのだろう。
ならばここからは緊張感を持ちながら一言一言に繊細な注意が必要となる。
下手にこちらが先に襤褸を出せば、俺が勇者一行の御尋ね者というのが発覚してしまうからな。
「す、すまない! ちょっと待ってくれ!」
そう声を掛けながらクラークの肩に触れて呼び止める。
「っ!? 私の背後に立つなっ!」
すると彼女は肩を触れられた瞬間に自らの手で俺の腕を掴むと、まるで痴漢を撃退するかのように背負い投げを繰り出してきた。
その余りにも流れるような動作に為すすべもなく体が宙に浮かぶと、
「うおあっ!? そんな小さな体でどうやって俺を……!?」
クラークの見た目からは予想出来ない程の力業を目の当たりにして驚愕の言葉が自然と零れた。
……だがこのまま背負い投げ受けるという通りは何処にもなく、俺はチート能力で得た身体機能を全て活用させると、投げられた空中で体を無理やり捻り掴まれた手を振りほどいた。
そして綺麗に両足から地面に着地すると、なんとか背中を地面に付けるということは避けられたようだ。しかし幾らチート能力の恩恵で相手の技を回避出来たとしても、無理やり体を捻るというのは中々に堪えるものであり、謎の痛みが脇腹の周辺で発症している。
「おお、クラークの背負い投げから逃げたか!」
「あの兄ちゃん何者だぁ?」
「クラークちゃん今日も可愛い!」
だがそれを周りで見ていた傭兵達が次々と疑問の声を上げていくと、既に野次馬たちの視線は俺の元へと一点に注がれていた。
注目を浴びるのは生前の頃から嫌なのだが、これはこれは一体どうしたものかと。
まさか情報を聞こうとしただけで背負い投げをされて、こんな結果になろうとはな。
「貴様何者だ? 私の技を躱すとは只者ではないな。所属と職業を言え」
クラークが視線を合わせてくると完全に敵視されているようで、何処かの国の軍人のような台詞を投げ掛けてきた。しかもご丁寧なことに戦闘体制を整えているらしく、見るからに隙のない構えを維持している。
そこで不毛な戦いは避けるべきだとして言われた通りに偽名と職業を名乗ろうとするが、
「なんだなんだ、随分と騒がしいようだが何かあったのか?」
突如としてそこへ葉巻を咥えながら一人の女性が姿を現した。
「と、頭領! お疲れ様です!」
そして一人の傭兵が彼女の存在に気が付いて頭領という地位の高い人の呼び方をする。
「「「お疲れ様です! 頭領!」」」
すると一斉に他の傭兵達も視線を女性へと向けて、綺麗な姿勢を取りながら右手を心臓の位置に当てながら敬礼を披露していた。それはさながら某漫画のあれに似ているようだが、今はそれよりもこの頭領と呼ばれる女性の方が気になる。
「と、頭領……確かにその風格はあると言えるな」
頭領と呼ばれている女性へと視線を向けて全体を視界に収めると、彼女の容姿は紫色の長髪にアメシストのような綺麗な瞳を宿していて身長も高く美人であった。
しかしただの美人と侮ることなかれ。頭領は動物の毛皮を使用して作られている毛皮のコートを身に付けていて、更に額と胸元に大きな傷痕があり歴戦の猛者という印象すらも一瞬のうちに与えてくるのだ。
「ああ、全員お疲れさん。んで? そこの冒険者のような身なりをした青年君は一体誰だい?」
咥えていた葉巻を地面へと落として足で踏んで鎮火させると頭領は周囲の傭兵たちへと声を掛けたあと視線を交わしてきたが、彼女の瞳を直視すると全身が瞬く間に硬直して手足の指先すら動かせなくなった。
それほどもまでに彼女の視線からは圧を感じられるのだ。
しかも何処か親しみやすそうな雰囲気とは裏腹に。
「はっ! こちらの者は私の背後を取り、無謀にも話し掛けてきた愚か者です!」
それから頭領の疑問に答えるようにしてクラークが敬礼を維持しながらはきはきとした口調で答えていくが、果たしてそれは俺という人物の説明になるのだろうか。
ただ単純に根に持たれているような気がしてならないのだが。
「クラークの背後を取っただと? ははっ、それはすごいな!」
彼女の言葉を聞いて頭領は僅かに表情を顰めるが、何を考えたのか直ぐに笑みへと変えるとそのまま近づいてきた。そしてある程度の距離まで近付くと足を止めて、彼女は頭上から足の爪先までじっくりと観察してくる。
「うーむ、なんだろうね? キミからは妙な力の加護を感じるねぇ」
手を顎に当てながら意味有りげに呟く頭領。
「そ、そんなことはないですよ。ただの流離いの冒険者ですよぉ……あははっ」
彼女の瞳を目の当たりにすると不思議と内面を見透かされそうな気がして、変な汗が手のひらに滲む感覚を受けつつも何とか笑みを作り誤魔化した。
「ただの冒険者……ねぇ? だったらこの傭兵案内所に、どんな要件で来たんだい? まさか傭兵に転職しに来た訳じゃぁないだろう? まあ実力は申し分ないと思うがね」
そう言いながら頭領は人を疑うような声色で尋ねてくると、やはりこの女性は俺の内面を探ろうとしているに違いない。
恐らく会話をしていくうちに本音の部分を聞き出そうとしているのだろう。
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