聖十字騎士学院の異端児〜学園でただ1人の男の俺は個性豊かな女子達に迫られながらも、世界最強の聖剣を駆使して成り上がる〜

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10話「決闘の情報が拡散されている?」

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 姉貴による聖剣についての授業が淡々と進んでいくと時間も頃合となり、

「この学院の目的は立派な聖剣使いを育成することが目的であり、お前たちは卒業と同時に聖騎士という名の称号が国から与えられる。聖騎士は国の貴重な戦力だ。故に私はこれから始まる聖剣を使用してでの実技授業では厳しく指導するつもりだ。全員最後まで泥水を啜ってでも食らいついてくるように。以上だ」

 そう覇気の篭る声で伝えると最後に全員の顔が前を向いてるかどうか目視で確認していた。
 そして誰ひとりとして居眠りするような人はおらず姉貴は何処か満足したような表情で、タブレット端末を右手に持つとそのまま教室を出ていく。

「……はぁ、なんだか緊張する授業だったね」
「まあ、あのサクヤ様が直々に教えて下さる訳だからね」
「居眠りなんて到底できないよ! 仮にしている人が居たら私が蹴り起こす!」

 それから姉貴の気配が完全に消えると校舎内に鐘の音が響いて、その音を皮切りにクラスの女子たちが次々と周りと話し始めていくと、先程までの緊張感に包まれた空間が一瞬にして緩いものへと変貌していた。

「あぁ~……。これから覚えることが沢山あるなぁ。流石に一夜漬けでこれだけの量は覚えられないし……既に心が折れそうだ」

 聖剣についての前提知識で膨大の量がさきの授業で知ることになると、俺としては今後の座学でそれが更に増えることは記憶容量的に覚えきれない気がしてならない。
 とうよりかはこの世界の女子達は普通に記憶力が良すぎではないだろうか。

「なにを弱音なことを言っている。そんなことではベアトリスとの決闘で死ぬ事になるぞ」

 すると横からヒカリの声で話し掛けられて反射的に顔を横へと向けると、そこには相変わらずの決め姿勢となっているのか両腕を組んだ状態で彼女が立っていた。

「死ぬって……いや、まあそうか」

 この世界では容易く死という言葉が使われることから中々に慣れない部分があるのだが、確かに決闘ではどちからが息絶えるまで続くというものらしいし、本当に難儀な世界に来てしまったものだ。

 ……しかし今更ながらに思うのだが決闘の日程は後日伝えるとベアトリスは言っていたが、そうなると必然的にいつかは姉貴の耳にも入るのではないだろうか。なんなら俺が決闘を言い渡された場面では大勢の女子達が見守っていた訳だし。

 だとしたら姉貴から滅茶苦茶怒られることは間違いないのだが……どうにも隠しようがないのもまた事実。ああ、本当にこれからどうしたらいいんだろう。
 やはり元ぼっちには難易度高いぜ、この学院というか世界はな。

「まったく、私も出来るだけ教えてやるから安心しろ」

 一人考え過ぎて憂鬱な気分に浸ると、それを一気に払拭とまではいかないが幾分が和らげてくれるような、それはまるで天使の一声にすら聞こえた。
 そう、ヒカリが聖剣についての足りない知識の部分を教えてくれると言うのだ。

「なにっ!? それは本当か!」

 彼女とは既に聖剣の扱い方を教えて貰うという約束をしているのにも関わらず、尚もプラスで知識までも教えてくれるとは……本当にヒカリは天使のような存在と言えるだろう。

 俺には勿体無いぐらいの幼馴染なのだが、これはお礼として何かしなければならないだろうな。
 受けた恩は必ず返さなければならない。それが元日本人としての侍魂。

「あ、ああもちろんだ。幼馴染の面倒は幼馴染である私が見るのが当然の責務だからな」

 ヒカリが両目を閉じながら何処か嬉しそうに言うと、それはつまり幼馴染の間柄でないと教えて貰えなかった可能性があるということなのだろうか。

 だとしたら少し不安なのだが確かに知らない男に態々、自分の時間を消費してまで教えたくはないだろう。うむ、幼馴染万歳だ。

「本当に何から何まですまないな。今度改めて礼でもさせてくれよ」
「う、うむ! あまり期待しないで待っていてやる」

 お礼という言葉に反応するヒカリは見たところ気分が向上しているようで口元が緩んでいるが、恥ずかしながら俺は女子に何かをするということ自体が初めてで今は何も思いつかない状態である。まあそれでも全ては無事に事が済んだあとの話だから、まだ焦ることはないだろう。

「あ、あのー……ちょっといいかな?」
「ん?」

 だが一応の保険としてヒカリが喜びそうなお礼を今から考えていると、不意に背後から気弱そうな女子の声が聞こえてきて何気なく振り返る。その際にヒカリも気になったのか俺とほぼ同時に顔を話し掛けてきた女子の方へと向けていた。

「ひうっ! あ、あのね……さっき聞いたんだけどベアトリスさんと決闘するって本当?」

 すると視界の真ん中には如何にも人と話すことに慣れていなさそうな雰囲気を出している女子が立っていて、彼女は視線を泳がせつつ手元を弄りながら決闘についての質問をしてきた。
 けれど彼女を見ているとなんだが生前の頃の自分を見ているようで何故か親近感が湧いた。

「あ、ああ本当だけど……。なんで知ってるんだ?」
 
 しかしそこで彼女の口から何故ベアトリスの名と決闘という単語が出てくるのかと疑問を抱くと、俺の中では徐々にだが嫌な予感がじわじわと浮上してきて仕方がない。
 そして彼女の名前は自己紹介で聞いた限りではブルーナと名乗っていた筈だ。

「や、やっぱりそうなんだ……」

 何処か怯えるようにそう呟くとブルーナは何かを言いたそうな雰囲気を出しているように見受けられた。だがしかし彼女が続けて何かを言おうとすると、

「おい、その決闘の話は誰から聞いた。答えろ」

 突如としてヒカリが机を叩いて威圧的な態度でブルーナに話し掛けていた。

「ひいぃっ! ごめんなさいごめんなさい!」

 その突然の出来事にブルーナは体を大きく跳ねさせて反応すると、腰の骨がおかしくなりそうな勢いで何度も頭を下げていた。しかし彼女の気持ちも分からなくはないのだ。
 
 俺も苛立ちを顕にしたヒカリの前では同じ行動をすると自負できる。何故なら怒りを爆発させた彼女は普通に怖い。というより初等部の頃に完全に怒ったヒカリを見て以来、怒らせないように努力しているのだ。

「別に謝る必要はない。誰から聞いたと私は尋ねているんだ」

 懐かしい記憶を思い起こしている間にもヒカリは威圧な雰囲気を緩めることはなく同じ言葉を再度ブルーナに掛けていた。

「は、はぃぃっ! え、えっとその……二組の人から聞きました……」

 妙に上擦った声で反応すると彼女は顔を俯かせて今にも消え入りそうな声で情報元を明かしていた。だがそれを聞いてヒカリは机の上に乗せていた手を退けると、

「二組だと? ……そうか。威圧的な態度を見せて悪かった」

 少しだけ疑うような素振りを見せていたが途端に落ち着いた声で謝罪の言葉を口にしていた。
 やはり自らが威圧的な態度を見せていたことには自覚があるようだ。だとしたらなるべく控えて欲しいものなのだが……気が強いヒカリには無理な相談かも知れない。

「だ、大丈夫です……。そそ、それじゃぁ私はこれで……」
「お、おう。またな」

 一体なにが目的で話し掛けてきたのか分からないが小さく手を振ると、ブルーナは逃げるようにして自分の席へと戻っていった。どうやら彼女の席は最左翼の前から二番目であるようだ。

「うーん、なんだがよく分からない女子だったな」

 思ったことを何気なく呟くが目的が分からないというのは中々にモヤモヤとした感情が残るものだ。だがそんな俺とは対照的にヒカリは難しい表情を浮かべると、

「……まずいことになったな。あのベアトリスという貴族女、恐らくハヤトとの決闘のことを言いふらしている可能性がある」

 手を顎に当てながら俄には信じがたい言葉を口にして視線を合わせてきた。

「えっ。な、なんでだよ!?」

 その言葉を聞いて思わず椅子から腰を僅かに上げて反応する。

「それは私にも分からん。だがさっきブルーナは言っていただろう。二組の者から聞いたと」

 しかしヒカリにも理由が分からないらしく考え込むように両目を閉じると、俺達の間には暫く無言の間が訪れたが、そこで一つの可能性が突如として脳内に浮かび上がる。

「ま、まあそうだけど……あれじゃないのか? 俺とベアトリスのやり取りを見ていた女子達が言いふらしたとか」

 そう、ずばり一つの可能性とは俺達のやり取りを見ていて大勢の女子達が決闘のことを噂感覚で拡散しているのではないかというものだ。なんせ女子とは大の噂好きだということを俺は日本で生活していた頃から知っている。

「仮にそうだとしても周囲に情報が拡散されている事実に変わりはない。だがこれがもしサクヤさんの耳に入ろうものなら……」

 そう怯えるようにして口を開くヒカリは最後まで言葉が続くことはなく、どうやら姉貴に怒られることを一番危惧している様子であった。

「ああっ……」

 やはりヒカリでも姉貴に対しては強くでられないのだろう。だがその気持ちは充分に俺は理解できる。この世で姉貴と対等でいられるのは唯一、ヒカリの姉さんぐらいだろうし。

 ――そして話に区切りがついた所で時を見計らうようにして鐘の音が校内に再び鳴り響くと、次の授業の開始を知らせる合図となりヒカリは浮かない顔のまま自分の席へと戻っていくのであった。
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