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第1話
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「いやしかし、まさかエバー第一王子が我々の元に食事会の招待状を送ってくるとはね…」
「これはもう決まりではないですかお父様??エバー様はこの私の事をご自分の妃とすることを決められたのですよ!」
「やはりミリアもそう思うか?ならばこれはもう決まりと言ってもいいのでは…♪」
私の目の前で、二人の人物がその表情を非常に明るいものにしながらそう会話を繰り広げている。
1人は私のお父様であるコークス、もう一人は私の妹であるミリアだ。
「家族まとめて招待を受けるなんて、私たち以外にはいないのでしょう?これって、エバー様が私たちとの関係を家族ぐるみのものにしておきたいというお考えをお持ちであるということなのでしょう?それってもう完全に私の事を受け入れる準備に取り掛かっているということじゃないですか!!」
「それが実現したなら、俺はエバー第一王子を自分の息子だと言い張れるということか…。こんなに心躍るシチュエーションはないぞ…!!」
まだエバー様から食事会の誘いが来ただけだというのに、完全に浮かれてしまっている二人。
そんな光景を冷めた目で見ていた私に気づいたのか、二人はややその機嫌を落としながらこう言葉を続ける。
「…ただ問題なのは、こいつも連れて行かないといけないということだな…。家族ぐるみで招待をされている手前仕方のない事だが、これさえなければ完璧だったのだが…」
「はぁ…。お姉様、いくらエバー様から招待を受けているとはいえ、あなたが参加することをエバー様が本心から望まれていると思いますか?」
「……」
相手をしてもきりがないということを知っているので、私はただ静かに言葉をつぐむ。
しかし反対に、ミリアは思ったことを言わずにはいられないのか、とげとげしい口調のままこう言葉をつぶやく。
「エバー様の本命はどう考えても私なのです。にもかかわらずお姉様までお誘いしたのは、ただただ気を遣われただけのことでしょう?だというのにその優しさに甘えてずけずけと王宮に上がり込むのは、かえって失礼に当たるのではないですか?エバー様は私に来てほしいとお考えなのですからお姉様はいてもいなくても変わりません」
「……」
どこからそれほどの自信が来るのかはさっぱりわからないけれど、ミリアの中ではもう完全にエバー様と自分が結ばれるストーリーが出来上がっている様子。
「ミリアの言う通りだぞクレア。まさか自分も、エバー様との関係を近しいものにできるチャンスだとか思っているんじゃないだろうな?」
「まぁ、それこそ自意識過剰というものです。そんなに恥ずかしいことはないのですから、どうかやめていただきたいですね。こんな姉を持った妹だとでも思われてしまったら、私の評価まで悪いものになってしまいますから」
完全に私の事が気に入らない様子の二人。
するとそこに、もうひとりの招待者が姿を現した。
「あら、ついに来たのね。私にも見せてもらえる?」
「マリーナお母様、どうご、こちらです」
「ちゃんと君の名前もあるぞ」
少し遅れて私たちのいた部屋に姿を現したのは、私の母であるマリーナ。
彼女もまた二人に違わず私の事が気に入らない様子で、招待状の中身を見たとたんその表情を少し曇らせる。
「どうして4人で行かないといけないのかしら…。エバー様、優しすぎますわね…」
「たった今、私も同じことをお姉様にお話ししたところです。これを本気にするのはただただ恥ずかしい事ですよと」
「一体どういう性格をしていればそんな勘違いができるのかわからんが…」
決まって3人は私の事をさげすんでくる。
…その裏には緻密なまでのミリアの根回しがあるのだが、二人はその点に全く気づいてはいない様子。
「(私からすべてを奪って自分のものにして、今度はエバー様から私がいただいていたアプローチを自分のものにして…。小さい時からその性格は全く変わっていないのね)」
元々エバー様との関係が近しいものになったのは、エバー様が私の事を気にかけてくださったことが始まりだった。
貴族会が主催の舞踏会などに参加をしたとき、普通は家族でまとまって会場の中を動いて回り、挨拶などを行うのが通例。
しかし私はミリアのせいで完全に家の中で孤立させられてしまっていて、1人でいることを余儀なくされていた。
そんな時、私の事を見つけたエバー様がそのまま私に声をかけてくださったことで、こうして定期的に招待状をいただけるようになったのだ。
…しかし3人はそれを、私だけが邪魔者だと認識しているらしい…。
「まぁ、よく考えておくことね。別にあなたなんていなくても誰も悲しまないのですし、求められてもいないのですし。エバー様だってあなたの事を渋々誘ったのでしょうしね」
「お姉様、もう私の邪魔をするのはやめてくださいね?いくら私がエバー様とお近づきになるのが悔しいからと言っても、こんなことをするのは子どもの嫌がらせと変わりませんからね」
「それじゃあ早速、準備に取り掛かることとしようか。当然クレアは除いてな」
楽しそうな表情でそう言葉を発する3人。
そこに私の居場所は、やはりないのだった。
「これはもう決まりではないですかお父様??エバー様はこの私の事をご自分の妃とすることを決められたのですよ!」
「やはりミリアもそう思うか?ならばこれはもう決まりと言ってもいいのでは…♪」
私の目の前で、二人の人物がその表情を非常に明るいものにしながらそう会話を繰り広げている。
1人は私のお父様であるコークス、もう一人は私の妹であるミリアだ。
「家族まとめて招待を受けるなんて、私たち以外にはいないのでしょう?これって、エバー様が私たちとの関係を家族ぐるみのものにしておきたいというお考えをお持ちであるということなのでしょう?それってもう完全に私の事を受け入れる準備に取り掛かっているということじゃないですか!!」
「それが実現したなら、俺はエバー第一王子を自分の息子だと言い張れるということか…。こんなに心躍るシチュエーションはないぞ…!!」
まだエバー様から食事会の誘いが来ただけだというのに、完全に浮かれてしまっている二人。
そんな光景を冷めた目で見ていた私に気づいたのか、二人はややその機嫌を落としながらこう言葉を続ける。
「…ただ問題なのは、こいつも連れて行かないといけないということだな…。家族ぐるみで招待をされている手前仕方のない事だが、これさえなければ完璧だったのだが…」
「はぁ…。お姉様、いくらエバー様から招待を受けているとはいえ、あなたが参加することをエバー様が本心から望まれていると思いますか?」
「……」
相手をしてもきりがないということを知っているので、私はただ静かに言葉をつぐむ。
しかし反対に、ミリアは思ったことを言わずにはいられないのか、とげとげしい口調のままこう言葉をつぶやく。
「エバー様の本命はどう考えても私なのです。にもかかわらずお姉様までお誘いしたのは、ただただ気を遣われただけのことでしょう?だというのにその優しさに甘えてずけずけと王宮に上がり込むのは、かえって失礼に当たるのではないですか?エバー様は私に来てほしいとお考えなのですからお姉様はいてもいなくても変わりません」
「……」
どこからそれほどの自信が来るのかはさっぱりわからないけれど、ミリアの中ではもう完全にエバー様と自分が結ばれるストーリーが出来上がっている様子。
「ミリアの言う通りだぞクレア。まさか自分も、エバー様との関係を近しいものにできるチャンスだとか思っているんじゃないだろうな?」
「まぁ、それこそ自意識過剰というものです。そんなに恥ずかしいことはないのですから、どうかやめていただきたいですね。こんな姉を持った妹だとでも思われてしまったら、私の評価まで悪いものになってしまいますから」
完全に私の事が気に入らない様子の二人。
するとそこに、もうひとりの招待者が姿を現した。
「あら、ついに来たのね。私にも見せてもらえる?」
「マリーナお母様、どうご、こちらです」
「ちゃんと君の名前もあるぞ」
少し遅れて私たちのいた部屋に姿を現したのは、私の母であるマリーナ。
彼女もまた二人に違わず私の事が気に入らない様子で、招待状の中身を見たとたんその表情を少し曇らせる。
「どうして4人で行かないといけないのかしら…。エバー様、優しすぎますわね…」
「たった今、私も同じことをお姉様にお話ししたところです。これを本気にするのはただただ恥ずかしい事ですよと」
「一体どういう性格をしていればそんな勘違いができるのかわからんが…」
決まって3人は私の事をさげすんでくる。
…その裏には緻密なまでのミリアの根回しがあるのだが、二人はその点に全く気づいてはいない様子。
「(私からすべてを奪って自分のものにして、今度はエバー様から私がいただいていたアプローチを自分のものにして…。小さい時からその性格は全く変わっていないのね)」
元々エバー様との関係が近しいものになったのは、エバー様が私の事を気にかけてくださったことが始まりだった。
貴族会が主催の舞踏会などに参加をしたとき、普通は家族でまとまって会場の中を動いて回り、挨拶などを行うのが通例。
しかし私はミリアのせいで完全に家の中で孤立させられてしまっていて、1人でいることを余儀なくされていた。
そんな時、私の事を見つけたエバー様がそのまま私に声をかけてくださったことで、こうして定期的に招待状をいただけるようになったのだ。
…しかし3人はそれを、私だけが邪魔者だと認識しているらしい…。
「まぁ、よく考えておくことね。別にあなたなんていなくても誰も悲しまないのですし、求められてもいないのですし。エバー様だってあなたの事を渋々誘ったのでしょうしね」
「お姉様、もう私の邪魔をするのはやめてくださいね?いくら私がエバー様とお近づきになるのが悔しいからと言っても、こんなことをするのは子どもの嫌がらせと変わりませんからね」
「それじゃあ早速、準備に取り掛かることとしようか。当然クレアは除いてな」
楽しそうな表情でそう言葉を発する3人。
そこに私の居場所は、やはりないのだった。
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