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【-現在⑤- 人の心を描く前に自分の心の描き方がわからない】
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薄暗い階段を登っていくと両壁にはかなり昔からあるんだろう古ぼけたアーティスティックなポスターが貼られている。そのどれもが煤けていて、煤けている事によって付け加えられる芸術性があるのは間違いないと思った。全身に白い化粧をし、その上には良く分からない縞々とも円の重なりとも言える模様で薄いシルクのようなものを纏いポーズをとっている人。それ以外にもいろいろ。その中には現在開催中の真新しいポスターもあった。
「こんな店があったんだな」
狭い階段を登り切ったところで俺は真珠に話し掛けた。
「創作意欲が湧きそうでしょ」と、真珠は慣れた様子で木造で透明の薄ガラスに、赤く大きな文字で『ドグラ・マクラ』と書いてある扉を開けて中に入っていった。
演劇部の休みは水曜日と日曜日。イビーが休んだ昨日の段階でまだ台本が出来上がっていなかった俺を見かねて、真珠は無理矢理にでも一応の完成をさせろ。という至上命令を下した。部長自らの船頭で「私もアイデア出しに協力する」という事になり学校終りにこのカフェに来ることになった。
『ドグラ・マグラ』って言うのは確か日本三大奇書って言われているもののひとつだったからそんな感じの場所なんだろうと思ったが、やはりその通りだった。コンクリート造りの建物っぽいが、店内の壁から天井まで年代物のログハウスのような深みと照りのある木材で囲まれていた。ニスの剥がれかかった古めかしい机や椅子。可愛いのか怖いのか形容しがたい西洋人形。店内に窓はなく、低い天井にはドライフラワーが点々と吊るされている。入ってすぐのカウンター席、その奥のテーブル席。そこには不釣り合いなとても小さい白熱灯。ガラス製の笠から零れるぼんやりとした灯り。音楽が無ければ不気味な雰囲気に感じ取れるだろうが、小気味の良い軽快なジャズが妖艶さや怪しさを中和させてどこか懐かしく、そして端的に言えばお洒落な感じの店内になっている。
「確かに創作意欲が湧きそうだな」俺は言い、真珠は嬉しそうに笑った。
店内に俺たち以外の客の姿はなく、真珠は迷うことなく店内右奥の席に向かった。椅子の後ろにはピアノがあり、これまた店の雰囲気の演出に役立っている。
「で、あんたどうしたわけ?」と、席に着くや否や真珠は言った。
「なにが?」と、俺は答えた。
俺たちが席に着くのを見計らったかのようなタイミングでこの店のマスターと思しき白髪初老の男性が水とメニューを持ってきた。真珠は「こんにちはマスター」と言い、マスターはにっこりと笑った。真珠はこの店の常連っぽかった。「ほら」と言い真珠はメニューを俺に差し出した。手書きの文字も味があった。この店のどこおかしこも趣のあるものばかりだ。インスピレーションが湧きまくっている。
「お前は?」
「わたしは決まってるから。早く決めなよ」と言われ俺はメニューを一瞥し「ブレンドをブラックでお願いします」と言った。マスターは軽く頷いて微笑み、カウンターに戻っていった。
しばらくの間、俺は店の雰囲気を楽しんだ。店内の壁に飾られている装飾品もポスターもいい味を出している。っていうか『良い味を出している』という言葉の汎用性の高さったらないな。便利な言葉だ。
あれは確か……岡本太郎の太陽の塔。それと、西部劇に出てきそうなガンマン、マルやサンカクで描かれた抽象画……。混沌としている。
「いい場所でしょ」
「あぁ滅茶苦茶良い。今日中にラストまで書けるんじゃないかな」
「でしょ」と真珠は誇らしげにふふんと鼻を鳴らした。
「で、あんたどうしたのよ?」
「だからなにが?」
「なにがじゃないわよ、あんた意外と分かりやすいからね? 佳花となんかあったでしょ」
閑話休題にしてもいささか急すぎるぶっこみ方だった。そして、決めていた事ではあるが話をこじらせたく無かったので、真珠には悪いが知らぬ存ぜぬを通す事にした。
「言ってる意味がよくわからないんだけど」
「佳花は普通にしてたけど、あんたはあからさまに佳花とやりにくそうにしてたわよ。佳花は裏方だから別に芝居に問題が起こらないって判断して部活中には話さなかったけどさ。佳花に訊くよりあんたに訊く方が話しやすいから今こうして話してるんだけど?」
「なんでもないって。気のせいだろ」
「あのね、あたしが何年あんたと一緒にいると思ってんの? 五年よ? ご・ね・ん! そうやって黙ってるって事はなんかまずい事でもあったんでしょ? 何があったか話しなさいよ」
真珠は確信に近いものを持っている様だった。
「なんでもないって。芝居に影響も出ないし、良い台本は書く。今からここで書き始めたら俺はたぶん今日中に書き上げられる」
「あんたが良い台本を書くのは当たり前。わたしはあんたの台本の出来を見込んで頼んでる訳だし。もともと声を掛けるつもりではいたけれど、それでも突然やってきて復帰したいっていうあんたをすんなり受け入れたのも、あんたが書いた台本とあんたがいる事によるプラスの効果を見込んだから」
話を変えようと思ったが、真珠の物言いにい些か腹が立った。
「じゃあなに、真珠は台本の為だけに俺の復部を許可したのか?」
「そんなこと言ってないでしょ、一番の理由を上げたら台本になるのは間違いないけれど、一年生たちを引っ張っていく中で芝居の事を分かっている人間は一人でも多い方が良いじゃない。それに……」
「それに?」
「はぁ」と真珠はがっくりとうなだれた後に顔を上げ、苦い顔をした。
「はぁ…………。あんた勘が良いのか悪いのかハッキリしなさいよね。あーもー……。あのさ、懐かしくなかった? 久し振りにわたしと舞台を作る事になって楽しみじゃなかった? わたしはまた前みたいにあんたと一生懸命舞台に向かって行くのがすごく楽しみだったけど」
真珠のやりにくそうな顔を見て、少し情けなくなった。
「そんなもん俺だって滅茶苦茶楽しみに思ってるって。実際今だって部活楽しんでやってるし。ってか……真珠ごめん。言わなくても良いことを言わせて申し訳ない」
「だからそういうとこなんだよ」と真珠は呆れるようにぼそっと言った。
どういうこと?と、訊こうとした時にマスターがコーヒーを運んできた。マスターは無言でコーヒーを俺の前に置き、真珠に「もう少し待ってね」と言って真珠も「はい」と穏やかに答えた。
「で、佳花とは何があったの」
話は変わらなかったようだ。
「だから何もないって」
「ケンカ?……じゃないわよね。色恋沙汰はやめてよ」
「そんなことじゃない」と俺は言いコーヒーを一口含んだ。まろやかな口当たりだが後に残る爽やかな深みがある。美味い。
「『そんなことじゃない』って事は何かがあったって事ね」
しまった。
「別に何もないって」
「あのさ、いい加減にして。さっきも話したよね、付き合いが長いから良く分かるって。変に誤魔化すのやめて。 ユーマ、あんたの不自然さの原因はどっちにあるの? あんたなの? それとも佳花?」
この時点で真珠に誤魔化しが出来ないという事が分かっていた。しかし、話すにしても何をどう話せば真珠が理解してくれるのか。その足掛かりが何も掴めない。そもそも津木エリの事で動揺をして不自然になってしまったのは、津木エリがイビーから俺のプロポーズの話を聞いていたからで、それがなければ動揺はしなかったはずだ。それを話したら今度は今度で部活内であんた何やってんのと激ギレされるだろう。
詰んだ。
王手だこれは。何を話しても真珠はきっと怒る。あぁ……。そもそも元をただせば俺がイビーにプロポーズなんかしなければこんな事にはならなかったんだな……。と思ったが、それでもあの時の直感がその行動を訴えてきたんだからそこに従って動いたことに後悔は無いし……。答えあぐねていると、真珠が「話しなさい」と鋭い目つきで言った。
「……バタフライエフェクトって知ってる?」と、俺は自分でも良く分からないまま話し出していた。
「映画の?」
「まぁ映画もそうだけど。いや、本当に人生っていうか時間の流れって言うか」
「答えになってないから」
「まぁそうだよな」
「はぁ?」
「ちょうちょの羽ばたき一つで未来が変わるって多分本当なんだと思うんだ」
「あんたなに言ってんの大丈夫?」
「あぁ」と、俺は自分でも予想だにしないことを真珠に伝えようとしていた。思考が勝手にその選択肢を選んでいた。
「俺、イビーにプロポーズしたんだよね」
「は? 何言ってんの?」
「だから、津木さんとの変な感じもイビーへのプロポーズからきてるってこと」
「はぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁ!!?」
ジャズの音楽を遮るくらいのデカイ声だった。
驚いている真珠を見て、俺は無意識にコーヒーを飲んだ。美味い。
自分でも良く分からないが、もう本当の事を話そうと脳みそが勝手に判断したんだろう。と、変な冷静さを保ちながら自己分析をしていた。真珠の時間はまだ止まっているようだった。
少しして我に返った真珠はマスターの方を一瞥し、「すいません」と頭を下げた。マスターはにっこりと笑っていた。
「ちょっと待って。どういうことか全然わからないんだけど」
「俺もなんで真珠に話したのか分かってない。だけど多分話さなくちゃいけないって思ったんだと思う」
真珠はテーブルに両肘を置き、前のめりに問いただした。
「プロポーズってなにプロポーズって。あんたイビーと付き合ってんの?」
「付き合ってない」
「はぁ?」
俺は冷静に話そうと思い、またコーヒーを飲む。少し冷めてきているがそれでも美味い。
「ちょっと待って、あんた付き合ってもないのにプロポーズしたの?」
「あぁ」
「えぇぇぇぇええぇぇぇぇぇ?」
真珠が悶絶しているところにマスターが笑顔で歩いてきて、白い物体に満たされたカフェグラスを置いた。真珠はボケっとした顔でマスターをチラっと見た後、手元に置かれたカフェグラスに視線を移した。喫茶店に入った時にコーヒーしか頼まない俺はその物体が気になり「これはなんですか?」とマスターに尋ねた。
「おぐらセーキです」
「おぐらセーキ?」
「小豆が入ったミルクセーキです」とマスターは相変わらずにっこりしている。
「すいませんマスター、ミルクセーキってなんですか?」
マスターは紳士的な態度を保ったまま「おぐらセーキというのは……」と、説明をしてくれた。
「初めて知りました。ご丁寧にありがとうございます」
「どうぞごゆっくり」
こんな食べ物があるのかと興味津々になった俺は、呆けている真珠の手元からグラスに手を伸ばしあわよくば一口食べてみたいと思ったのだが、グラスに手が近づいたところでガッ!と真珠に腕を掴まれた。
「なに勝手に食べようとしてんのよ」
「ごめんなさい」
「ってかなにあんた頭おかしいんじゃないの?」
「俺もそうなんじゃないかって最近少しだけど思い始めてる」
「前からそうだけどね。それに、少しじゃなくて普通におかしいから」
と、真珠はパフェ用のスプーンを手に取りグラスに差し込んだ。ミルクセーキの底に敷き詰められていた小倉が練乳のかき氷と一緒に上がってくる。
とんでもなく美味そうだった。物欲しそうに俺は真珠を見ていたと思うが当の本人は意に介さず、一口、二口、三口と無表情で頬張っていった。もぐもぐと咀嚼し、口の中が落ち着いたら水を飲む。半分以上食べ終わったところで真珠は眉間に皺を寄せ、俺を睨みつけてきた。
「なにがあったかは知らないけどさ、イビーがいるから演劇部に戻ってきたなんて言わないわよね」
「全く関係なくはないけれど、それでも俺は芝居がしたくて復部した。そこは今まで一緒にやってきた真珠にも伝わってるはず」
「そーいう事じゃないのよ。あんたふざけてんの」
「ふざけている気は一切ない」
「私がそういう不純な気持ちで演劇に取り組むことを許すと思ってるわけ?」
「不純じゃない。むしろ純粋だ。俺はいつだって芝居に純粋に向かってる」
「けどイビーがいるから戻ってきたのも関係してるんでしょ」
「さっきも話したけど全く関係ないわけじゃない。それとは別で俺は芝居には真剣に取り込んでいる」
「『関係ないわけじゃない』ってことは関係してるって事でしょ。なにそれマジで」
と、真珠は両肘をテーブルに着けたまま肩をすくみ上げた。
「とにかく折角来たんだし台本を終わらせようぜ」と、何故か俺は言い、椅子の後ろに掛けていた通学用の黒いリュクサックからノートパソコンを取り出した。
「良い台本を書くのは当たり前、今日書き上げるのも当たり前。だけどそれはこの話を終わらしてからよ。あんたもしかしてもう終わったとか思ってんの?」
コーヒーと水を左にずらし、俺はノートパソコンを正面に置いてデスプレイを立てた。あぁ、なるほど。だから俺はパソコンを出したのか。と、やっぱり変に冷静だった。ディスプレイを立てて真珠との間になにか気休めでも良いから隔たりが欲しかったんだ。
「聞いてんのかよ」
これ以上何も答えなければ真珠はとんでもなくキレてしまうと思ったが、何をどう話せばいいのかわからない。だけど、何かを話さなければ進まない。考えた俺は、正直に話すことを決めた。
「真珠の話はもちろん聞いてる。だけど……何を話せばいいのかわからない。真珠が怒っているのは俺も十分感じているし、それに、真珠を怒らせてしまっている現状については申し訳なく思う。嫌な思いをさせてしまってごめん。だけど、今俺が出来る事は多分それぐらいだ。とにかく、真珠は嫌な気持ちになっていると思う。そこは謝る。本当にごめん」
俺は真珠に対して頭を下げた。
「あ”ぁ……」と真珠は怒り混じりの溜息を吐いた。眉間には依然として深い皺が寄っている。
「あんたが部活に復帰したのは部活をまたやりたいと思ったからって事と、イビーが演劇部に入る事になっていたからって事ね」
「極端だけど……簡単にまとめると多分そうなっちまう」
「なにそれマジふざけんなっての」
「真珠怒らないで聴いてくれ、俺はふざけてはいない。部活中に不真面目にやっているところなんてなかったと思う。真剣に部活動に参加している事は間違いない」
「……そうね。それは確かにそうかもしれない。だけど、絶対にそういう恋愛感情って邪魔になるでしょ。イビーの事が好きだっていう自覚はかなり強い感情よ。そういう感情が入ると一緒にやっていく中で邪魔になる事の方が多いのはわかるわよね。……ちょっと待ってユーマ、あんたいつイビーにプロポーズしたの?」
「月曜日」
「だからイビーが昨日部活を休んで、それで佳花と変になってたのね」
「申し訳ない」
「謝るぐらいだったら最初からそんな事しなきゃいい。で、なに、イビーが部活に来ないってことはアンタ振られたの?」
「多分そうなると思う」
「あのね……」と小声で言った後に、真珠は場所を鑑みてか控えめの声で、それでも感情が入った力強い言い方で言った「もう十分面倒な事になってるじゃない。これでこのままイビーが来なくなったらどうすんの? あんた何なのマジで何やってんの? イビーが出演するって告知だってしてるし、急に復部したあんたと、留学して入って来たイビーとの揉め事をなんで演劇部の中に持ってくるのよ」
俺は真珠の話を黙って聴く事にした。
「そりゃイビーは可愛いし、明るくて愛嬌があって性格も良いとは思う、だけどそういうのはせめて舞台が終わってからでしょ。なんでわざわざそんなリスクのある事をするの? マジで理解出来ない。マジなにやってんの、ねぇ、何やってんのよユーマ」
それは俺も聞きたい。いや、イビーの事が好きだし結婚したいって前々から思っていたからプロポーズをしたんだけど、俺はあの時そう思った。俺は自分の自然な感情に従ってプロポーズをした。
「ねぇユーマ、覚えてる?」
「なに?」
「あんたが演劇部に復部した日、わたしはあんたに『あと一年しかないから本当の本気で部活に取り込んで』って言ったよ。……確かに部活中のあんたに変なところはなかった。今までみたいにやる気を持ってやっていたと思う。そういうところがあるから一年生たちもあんたの演出とかに納得してちゃんと話を聞いてくれてると思う」真珠は目じりを下げ、悲しそうな顔をしながら続けた「だけどユーマ、あんたの今の状態って本当に芝居に真剣に取り組んでるって言える? 部活の中では問題なくやっていたと思うけれど、部活って部活の時間だけで終わるものじゃないでしょ。部活の外で何かがあったらそれが部活に影響するのは当たり前じゃない。役作りだって……。役作りだって舞台に立つまでに大事な事って稽古の時だけじゃないよね? 役に対するアプローチを稽古以外で考えてくるから良くなっていくじゃないの? なんであんたそんな事も考えられなくなってんの」
真珠の瞳は潤んでいた。零れ出そうになっているものを必死で抑えている様だった。
「ねぇユーマ、部活を休んでいた間に何かあったの? あんたは……。あんたは芝居がある時いつでも本気だった。今でも部活中は本気だとは思うよ、だけど昔のあんたほどじゃない。今のあんたには全国大会出場を逃して泣くような芝居への情熱は無くなってる」
本当に悔しい思いをしたあの日の事を俺は思い出した。
「中学校の最後の大会でも金賞を貰うことが出来なくって、そっからあんたは今まで以上に本を読んで、今まで以上に台本を創って、それで高校になって今のあんたが出来たんじゃないの? 頑張ってたじゃない。全国に行けなかったけど、地区予選を勝ち抜いて、関東大会まで行けたじゃん」
「……。」
「わたしと中学で知り合ってからあんたはいっつも頑張ってた。だから去年離れる事も一応は認めた。だけどなに? 戻ってきたら戻ってきたで海外から来た女の子に夢中になって、しかもそのせいで部活がややこしくなって。アンタどんだけ自己中なの? 今のあんたはカッコ悪い。わたしが知っている中で一番カッコ悪い。ちびで太ってたけど一生懸命だった昔のユーマの方が全然カッコ良かった」
真珠の気持ちが痛いほど伝わってきた俺は、何も言い返せなかった。
「わたしは……」と、真珠は噛み締める様に言い、そのまま下を向いて黙った。
軽快なジャズが二人の時間を包んでいた。軽やかな気分にはなれなかった。
それからどれだけ時間が経ったかはわからないが、真珠は溶けてしまったおぐらセーキを一気に口に流し込んだ。そして立ち上がり「帰る」と言った。スクールバックから無造作に黒色で金色ジップの長財布を取り出し、六百円をテーブルの上に置いた。そうして、そのまま何も言わずに店を出ていった。
「こんな店があったんだな」
狭い階段を登り切ったところで俺は真珠に話し掛けた。
「創作意欲が湧きそうでしょ」と、真珠は慣れた様子で木造で透明の薄ガラスに、赤く大きな文字で『ドグラ・マクラ』と書いてある扉を開けて中に入っていった。
演劇部の休みは水曜日と日曜日。イビーが休んだ昨日の段階でまだ台本が出来上がっていなかった俺を見かねて、真珠は無理矢理にでも一応の完成をさせろ。という至上命令を下した。部長自らの船頭で「私もアイデア出しに協力する」という事になり学校終りにこのカフェに来ることになった。
『ドグラ・マグラ』って言うのは確か日本三大奇書って言われているもののひとつだったからそんな感じの場所なんだろうと思ったが、やはりその通りだった。コンクリート造りの建物っぽいが、店内の壁から天井まで年代物のログハウスのような深みと照りのある木材で囲まれていた。ニスの剥がれかかった古めかしい机や椅子。可愛いのか怖いのか形容しがたい西洋人形。店内に窓はなく、低い天井にはドライフラワーが点々と吊るされている。入ってすぐのカウンター席、その奥のテーブル席。そこには不釣り合いなとても小さい白熱灯。ガラス製の笠から零れるぼんやりとした灯り。音楽が無ければ不気味な雰囲気に感じ取れるだろうが、小気味の良い軽快なジャズが妖艶さや怪しさを中和させてどこか懐かしく、そして端的に言えばお洒落な感じの店内になっている。
「確かに創作意欲が湧きそうだな」俺は言い、真珠は嬉しそうに笑った。
店内に俺たち以外の客の姿はなく、真珠は迷うことなく店内右奥の席に向かった。椅子の後ろにはピアノがあり、これまた店の雰囲気の演出に役立っている。
「で、あんたどうしたわけ?」と、席に着くや否や真珠は言った。
「なにが?」と、俺は答えた。
俺たちが席に着くのを見計らったかのようなタイミングでこの店のマスターと思しき白髪初老の男性が水とメニューを持ってきた。真珠は「こんにちはマスター」と言い、マスターはにっこりと笑った。真珠はこの店の常連っぽかった。「ほら」と言い真珠はメニューを俺に差し出した。手書きの文字も味があった。この店のどこおかしこも趣のあるものばかりだ。インスピレーションが湧きまくっている。
「お前は?」
「わたしは決まってるから。早く決めなよ」と言われ俺はメニューを一瞥し「ブレンドをブラックでお願いします」と言った。マスターは軽く頷いて微笑み、カウンターに戻っていった。
しばらくの間、俺は店の雰囲気を楽しんだ。店内の壁に飾られている装飾品もポスターもいい味を出している。っていうか『良い味を出している』という言葉の汎用性の高さったらないな。便利な言葉だ。
あれは確か……岡本太郎の太陽の塔。それと、西部劇に出てきそうなガンマン、マルやサンカクで描かれた抽象画……。混沌としている。
「いい場所でしょ」
「あぁ滅茶苦茶良い。今日中にラストまで書けるんじゃないかな」
「でしょ」と真珠は誇らしげにふふんと鼻を鳴らした。
「で、あんたどうしたのよ?」
「だからなにが?」
「なにがじゃないわよ、あんた意外と分かりやすいからね? 佳花となんかあったでしょ」
閑話休題にしてもいささか急すぎるぶっこみ方だった。そして、決めていた事ではあるが話をこじらせたく無かったので、真珠には悪いが知らぬ存ぜぬを通す事にした。
「言ってる意味がよくわからないんだけど」
「佳花は普通にしてたけど、あんたはあからさまに佳花とやりにくそうにしてたわよ。佳花は裏方だから別に芝居に問題が起こらないって判断して部活中には話さなかったけどさ。佳花に訊くよりあんたに訊く方が話しやすいから今こうして話してるんだけど?」
「なんでもないって。気のせいだろ」
「あのね、あたしが何年あんたと一緒にいると思ってんの? 五年よ? ご・ね・ん! そうやって黙ってるって事はなんかまずい事でもあったんでしょ? 何があったか話しなさいよ」
真珠は確信に近いものを持っている様だった。
「なんでもないって。芝居に影響も出ないし、良い台本は書く。今からここで書き始めたら俺はたぶん今日中に書き上げられる」
「あんたが良い台本を書くのは当たり前。わたしはあんたの台本の出来を見込んで頼んでる訳だし。もともと声を掛けるつもりではいたけれど、それでも突然やってきて復帰したいっていうあんたをすんなり受け入れたのも、あんたが書いた台本とあんたがいる事によるプラスの効果を見込んだから」
話を変えようと思ったが、真珠の物言いにい些か腹が立った。
「じゃあなに、真珠は台本の為だけに俺の復部を許可したのか?」
「そんなこと言ってないでしょ、一番の理由を上げたら台本になるのは間違いないけれど、一年生たちを引っ張っていく中で芝居の事を分かっている人間は一人でも多い方が良いじゃない。それに……」
「それに?」
「はぁ」と真珠はがっくりとうなだれた後に顔を上げ、苦い顔をした。
「はぁ…………。あんた勘が良いのか悪いのかハッキリしなさいよね。あーもー……。あのさ、懐かしくなかった? 久し振りにわたしと舞台を作る事になって楽しみじゃなかった? わたしはまた前みたいにあんたと一生懸命舞台に向かって行くのがすごく楽しみだったけど」
真珠のやりにくそうな顔を見て、少し情けなくなった。
「そんなもん俺だって滅茶苦茶楽しみに思ってるって。実際今だって部活楽しんでやってるし。ってか……真珠ごめん。言わなくても良いことを言わせて申し訳ない」
「だからそういうとこなんだよ」と真珠は呆れるようにぼそっと言った。
どういうこと?と、訊こうとした時にマスターがコーヒーを運んできた。マスターは無言でコーヒーを俺の前に置き、真珠に「もう少し待ってね」と言って真珠も「はい」と穏やかに答えた。
「で、佳花とは何があったの」
話は変わらなかったようだ。
「だから何もないって」
「ケンカ?……じゃないわよね。色恋沙汰はやめてよ」
「そんなことじゃない」と俺は言いコーヒーを一口含んだ。まろやかな口当たりだが後に残る爽やかな深みがある。美味い。
「『そんなことじゃない』って事は何かがあったって事ね」
しまった。
「別に何もないって」
「あのさ、いい加減にして。さっきも話したよね、付き合いが長いから良く分かるって。変に誤魔化すのやめて。 ユーマ、あんたの不自然さの原因はどっちにあるの? あんたなの? それとも佳花?」
この時点で真珠に誤魔化しが出来ないという事が分かっていた。しかし、話すにしても何をどう話せば真珠が理解してくれるのか。その足掛かりが何も掴めない。そもそも津木エリの事で動揺をして不自然になってしまったのは、津木エリがイビーから俺のプロポーズの話を聞いていたからで、それがなければ動揺はしなかったはずだ。それを話したら今度は今度で部活内であんた何やってんのと激ギレされるだろう。
詰んだ。
王手だこれは。何を話しても真珠はきっと怒る。あぁ……。そもそも元をただせば俺がイビーにプロポーズなんかしなければこんな事にはならなかったんだな……。と思ったが、それでもあの時の直感がその行動を訴えてきたんだからそこに従って動いたことに後悔は無いし……。答えあぐねていると、真珠が「話しなさい」と鋭い目つきで言った。
「……バタフライエフェクトって知ってる?」と、俺は自分でも良く分からないまま話し出していた。
「映画の?」
「まぁ映画もそうだけど。いや、本当に人生っていうか時間の流れって言うか」
「答えになってないから」
「まぁそうだよな」
「はぁ?」
「ちょうちょの羽ばたき一つで未来が変わるって多分本当なんだと思うんだ」
「あんたなに言ってんの大丈夫?」
「あぁ」と、俺は自分でも予想だにしないことを真珠に伝えようとしていた。思考が勝手にその選択肢を選んでいた。
「俺、イビーにプロポーズしたんだよね」
「は? 何言ってんの?」
「だから、津木さんとの変な感じもイビーへのプロポーズからきてるってこと」
「はぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁ!!?」
ジャズの音楽を遮るくらいのデカイ声だった。
驚いている真珠を見て、俺は無意識にコーヒーを飲んだ。美味い。
自分でも良く分からないが、もう本当の事を話そうと脳みそが勝手に判断したんだろう。と、変な冷静さを保ちながら自己分析をしていた。真珠の時間はまだ止まっているようだった。
少しして我に返った真珠はマスターの方を一瞥し、「すいません」と頭を下げた。マスターはにっこりと笑っていた。
「ちょっと待って。どういうことか全然わからないんだけど」
「俺もなんで真珠に話したのか分かってない。だけど多分話さなくちゃいけないって思ったんだと思う」
真珠はテーブルに両肘を置き、前のめりに問いただした。
「プロポーズってなにプロポーズって。あんたイビーと付き合ってんの?」
「付き合ってない」
「はぁ?」
俺は冷静に話そうと思い、またコーヒーを飲む。少し冷めてきているがそれでも美味い。
「ちょっと待って、あんた付き合ってもないのにプロポーズしたの?」
「あぁ」
「えぇぇぇぇええぇぇぇぇぇ?」
真珠が悶絶しているところにマスターが笑顔で歩いてきて、白い物体に満たされたカフェグラスを置いた。真珠はボケっとした顔でマスターをチラっと見た後、手元に置かれたカフェグラスに視線を移した。喫茶店に入った時にコーヒーしか頼まない俺はその物体が気になり「これはなんですか?」とマスターに尋ねた。
「おぐらセーキです」
「おぐらセーキ?」
「小豆が入ったミルクセーキです」とマスターは相変わらずにっこりしている。
「すいませんマスター、ミルクセーキってなんですか?」
マスターは紳士的な態度を保ったまま「おぐらセーキというのは……」と、説明をしてくれた。
「初めて知りました。ご丁寧にありがとうございます」
「どうぞごゆっくり」
こんな食べ物があるのかと興味津々になった俺は、呆けている真珠の手元からグラスに手を伸ばしあわよくば一口食べてみたいと思ったのだが、グラスに手が近づいたところでガッ!と真珠に腕を掴まれた。
「なに勝手に食べようとしてんのよ」
「ごめんなさい」
「ってかなにあんた頭おかしいんじゃないの?」
「俺もそうなんじゃないかって最近少しだけど思い始めてる」
「前からそうだけどね。それに、少しじゃなくて普通におかしいから」
と、真珠はパフェ用のスプーンを手に取りグラスに差し込んだ。ミルクセーキの底に敷き詰められていた小倉が練乳のかき氷と一緒に上がってくる。
とんでもなく美味そうだった。物欲しそうに俺は真珠を見ていたと思うが当の本人は意に介さず、一口、二口、三口と無表情で頬張っていった。もぐもぐと咀嚼し、口の中が落ち着いたら水を飲む。半分以上食べ終わったところで真珠は眉間に皺を寄せ、俺を睨みつけてきた。
「なにがあったかは知らないけどさ、イビーがいるから演劇部に戻ってきたなんて言わないわよね」
「全く関係なくはないけれど、それでも俺は芝居がしたくて復部した。そこは今まで一緒にやってきた真珠にも伝わってるはず」
「そーいう事じゃないのよ。あんたふざけてんの」
「ふざけている気は一切ない」
「私がそういう不純な気持ちで演劇に取り組むことを許すと思ってるわけ?」
「不純じゃない。むしろ純粋だ。俺はいつだって芝居に純粋に向かってる」
「けどイビーがいるから戻ってきたのも関係してるんでしょ」
「さっきも話したけど全く関係ないわけじゃない。それとは別で俺は芝居には真剣に取り込んでいる」
「『関係ないわけじゃない』ってことは関係してるって事でしょ。なにそれマジで」
と、真珠は両肘をテーブルに着けたまま肩をすくみ上げた。
「とにかく折角来たんだし台本を終わらせようぜ」と、何故か俺は言い、椅子の後ろに掛けていた通学用の黒いリュクサックからノートパソコンを取り出した。
「良い台本を書くのは当たり前、今日書き上げるのも当たり前。だけどそれはこの話を終わらしてからよ。あんたもしかしてもう終わったとか思ってんの?」
コーヒーと水を左にずらし、俺はノートパソコンを正面に置いてデスプレイを立てた。あぁ、なるほど。だから俺はパソコンを出したのか。と、やっぱり変に冷静だった。ディスプレイを立てて真珠との間になにか気休めでも良いから隔たりが欲しかったんだ。
「聞いてんのかよ」
これ以上何も答えなければ真珠はとんでもなくキレてしまうと思ったが、何をどう話せばいいのかわからない。だけど、何かを話さなければ進まない。考えた俺は、正直に話すことを決めた。
「真珠の話はもちろん聞いてる。だけど……何を話せばいいのかわからない。真珠が怒っているのは俺も十分感じているし、それに、真珠を怒らせてしまっている現状については申し訳なく思う。嫌な思いをさせてしまってごめん。だけど、今俺が出来る事は多分それぐらいだ。とにかく、真珠は嫌な気持ちになっていると思う。そこは謝る。本当にごめん」
俺は真珠に対して頭を下げた。
「あ”ぁ……」と真珠は怒り混じりの溜息を吐いた。眉間には依然として深い皺が寄っている。
「あんたが部活に復帰したのは部活をまたやりたいと思ったからって事と、イビーが演劇部に入る事になっていたからって事ね」
「極端だけど……簡単にまとめると多分そうなっちまう」
「なにそれマジふざけんなっての」
「真珠怒らないで聴いてくれ、俺はふざけてはいない。部活中に不真面目にやっているところなんてなかったと思う。真剣に部活動に参加している事は間違いない」
「……そうね。それは確かにそうかもしれない。だけど、絶対にそういう恋愛感情って邪魔になるでしょ。イビーの事が好きだっていう自覚はかなり強い感情よ。そういう感情が入ると一緒にやっていく中で邪魔になる事の方が多いのはわかるわよね。……ちょっと待ってユーマ、あんたいつイビーにプロポーズしたの?」
「月曜日」
「だからイビーが昨日部活を休んで、それで佳花と変になってたのね」
「申し訳ない」
「謝るぐらいだったら最初からそんな事しなきゃいい。で、なに、イビーが部活に来ないってことはアンタ振られたの?」
「多分そうなると思う」
「あのね……」と小声で言った後に、真珠は場所を鑑みてか控えめの声で、それでも感情が入った力強い言い方で言った「もう十分面倒な事になってるじゃない。これでこのままイビーが来なくなったらどうすんの? あんた何なのマジで何やってんの? イビーが出演するって告知だってしてるし、急に復部したあんたと、留学して入って来たイビーとの揉め事をなんで演劇部の中に持ってくるのよ」
俺は真珠の話を黙って聴く事にした。
「そりゃイビーは可愛いし、明るくて愛嬌があって性格も良いとは思う、だけどそういうのはせめて舞台が終わってからでしょ。なんでわざわざそんなリスクのある事をするの? マジで理解出来ない。マジなにやってんの、ねぇ、何やってんのよユーマ」
それは俺も聞きたい。いや、イビーの事が好きだし結婚したいって前々から思っていたからプロポーズをしたんだけど、俺はあの時そう思った。俺は自分の自然な感情に従ってプロポーズをした。
「ねぇユーマ、覚えてる?」
「なに?」
「あんたが演劇部に復部した日、わたしはあんたに『あと一年しかないから本当の本気で部活に取り込んで』って言ったよ。……確かに部活中のあんたに変なところはなかった。今までみたいにやる気を持ってやっていたと思う。そういうところがあるから一年生たちもあんたの演出とかに納得してちゃんと話を聞いてくれてると思う」真珠は目じりを下げ、悲しそうな顔をしながら続けた「だけどユーマ、あんたの今の状態って本当に芝居に真剣に取り組んでるって言える? 部活の中では問題なくやっていたと思うけれど、部活って部活の時間だけで終わるものじゃないでしょ。部活の外で何かがあったらそれが部活に影響するのは当たり前じゃない。役作りだって……。役作りだって舞台に立つまでに大事な事って稽古の時だけじゃないよね? 役に対するアプローチを稽古以外で考えてくるから良くなっていくじゃないの? なんであんたそんな事も考えられなくなってんの」
真珠の瞳は潤んでいた。零れ出そうになっているものを必死で抑えている様だった。
「ねぇユーマ、部活を休んでいた間に何かあったの? あんたは……。あんたは芝居がある時いつでも本気だった。今でも部活中は本気だとは思うよ、だけど昔のあんたほどじゃない。今のあんたには全国大会出場を逃して泣くような芝居への情熱は無くなってる」
本当に悔しい思いをしたあの日の事を俺は思い出した。
「中学校の最後の大会でも金賞を貰うことが出来なくって、そっからあんたは今まで以上に本を読んで、今まで以上に台本を創って、それで高校になって今のあんたが出来たんじゃないの? 頑張ってたじゃない。全国に行けなかったけど、地区予選を勝ち抜いて、関東大会まで行けたじゃん」
「……。」
「わたしと中学で知り合ってからあんたはいっつも頑張ってた。だから去年離れる事も一応は認めた。だけどなに? 戻ってきたら戻ってきたで海外から来た女の子に夢中になって、しかもそのせいで部活がややこしくなって。アンタどんだけ自己中なの? 今のあんたはカッコ悪い。わたしが知っている中で一番カッコ悪い。ちびで太ってたけど一生懸命だった昔のユーマの方が全然カッコ良かった」
真珠の気持ちが痛いほど伝わってきた俺は、何も言い返せなかった。
「わたしは……」と、真珠は噛み締める様に言い、そのまま下を向いて黙った。
軽快なジャズが二人の時間を包んでいた。軽やかな気分にはなれなかった。
それからどれだけ時間が経ったかはわからないが、真珠は溶けてしまったおぐらセーキを一気に口に流し込んだ。そして立ち上がり「帰る」と言った。スクールバックから無造作に黒色で金色ジップの長財布を取り出し、六百円をテーブルの上に置いた。そうして、そのまま何も言わずに店を出ていった。
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