神様に貰ったスキルで世界を救う? ~8割方プライベートで使ってごめんなさい~

三太丸太

文字の大きさ
16 / 73
第一章 変わり始める日常

第14話 魔法のコツはクリームパン

しおりを挟む
 目の前に広がるのは雲一つない青空と白い大地。
 まるで雲の上にいるかのような光景だった。

「えっ? また?」

 昨日と同じ場所にいた。
 今度は始めから神様が立っていた。

「ヴィトくん。連日ですまんのぅ」
「神様、どうしたんですか?」
「いやな、ヴィトくんにだけスキルのこと教えてなかったなーって思ってな……。テヘッ」

 肩をすくめて舌を出す。
『やっぱり忘れてたんかい!』と言いたかったが、やはり神様なので突っ込めない。

「なんだ、よかった。他のみんなは細かく説明を受けていたみたいなのに、自分だけなかったから何か違うのかと思ってました」
「いやいや、ただ単純に忘れていただけじゃ。すまんすまん。ふぉっふぉっふぉっ」

 それはそれでどうかと思うが、再びグッと言葉を飲み込む。
 口に出さなくても神様には伝わっているはずだ。

「それでオレのスキルはどういったものなんでしょうか?」
「うむ。ヴィトくんには剣術、体術、弓術、隠密術、錬金術などに加え、“模倣コピー”と“魔法創造クリエイトマジック”というスキルがある」
「“コピー”とクリエイトマジック“?」
「うむ。“模倣コピー”は見たり受けたりした魔法や術をそのまま使えるようになるんじゃ。“魔法創造クリエイトマジック”の方は自分がイメージした魔法を作り出せるものじゃな」

 それでススリーの魔法を真似したり、詠唱が無くても魔法が使えていたのか。

「魔法を作り出せるって、何でも出来るんですか?」
「概ね可能じゃな。ただ、地面がパカッと割れるイメージをしたからといってそうなるものではない。あくまでも魔力を用いて事象を具現化するものじゃから、因果関係や作用がしっかりとしていなければ魔法はできん」
「じゃあ瞬間的に大気を凍らせて、相手が死ぬなんていう魔法は……」
「大気を凍らせることは可能じゃろうが、瞬間的に死ぬという効果まではつけられんのぅ。凍った上で凍死や窒息死を起こさせることは可能かもしれんが、相手次第でもある。魔法だからと言って全てこちらの思うように作用するわけじゃないんじゃ」

 確かになんでもこちらの思い通りになるなら、“見た瞬間魔物は死ぬ”なんて魔法を作ればそれで終わっちゃうもんな。

「そういえば詠唱は必要ないんですか? ススリーはなんか唱えてましたけど」
「なくても使うことは可能じゃよ。元々詠唱とは唱えることによってイメージの方向性や内容を固めていくためのものなんじゃ。火の魔法を使うにしても、燃やすのか爆発させるのかでイメージは異なるじゃろ? じゃからまずは詠唱で方向性と内容を形作りながら魔力を練り上げていくんじゃ。そして準備が整ったら、最後に魔法の名称をトリガーとして明確になったイメージを発動させるんじゃよ」

「なるほど……。一口でパンと言っても色々なパンがあるためイメージが定まらない。しかし、クリームパンと言えばより具体的なイメージが出来る……。となると、魔法の名称はパンの種類ということ……。そして魔力はパン粉で詠唱はレシピ……。つまり、自分の中で具体的な工程と完成図が見えていれば、レシピが無くても直接クリームパンを作り出せるッ! そういうことですね!?」

 今朝クリームパンを美味しそうにムシャムシャ食べていたグウェンさんが頭に過ぎる。

「う、うむ? 魔法をパンで例えたのはお主が初めてじゃが、そうなのか……? 合っているか分からんが、恐らくそういう事じゃ!」
「なるほど、よくわかりました! 美味しいパンを作れるよう頑張ります!」
「魔法じゃパンは作れんぞ……。ま、わかったなら良しとするか……」

 よーし頑張るぞ!!

「あ、そういえばもう1つ聞きたいことがあるんですが」
「なんじゃ?」
「魔法というのは魔物を攻撃するものだけなんですか? 仲間やみんなを守るような魔法ってあるんですか?」
「うむ。もちろんある。補助魔法や結界魔法などがそうじゃな。仲間の身体能力を向上させたり、魔法を弾く結界を張ったりできる。こんな感じじゃ」

 そういってオレに次々と補助魔法をかけてくれた。

「“身体能力強化フィジカルブースト”、”魔力強化マジックブースト”、”移動速度上昇ウィンドトレイル”、” 感覚鋭敏化セブンセンシズ”、”物理防御力上昇ボディアーマー”、”魔法防御力強化マジックアーマー”、” 全耐性強化オールレジスタンス”」

 様々な色の光が身体を包み込み、それが染み込んでいくと内側から力が漲るような感覚がしてくる。

「これは凄いですね……! 何でも出来そうな気がしてくる!」
「ふぉっふぉっふぉっ。過信は禁物じゃが、仲間の力も増幅してくれるから便利じゃぞ。それから結界はこのような感じじゃ」

 今度は周りの空間に結界を張って見せてくれる。

「“魔法反射結界マジックリフレクト”、“浄化結界クレンズドーム”、“封印結界シールドーム”、“次元隔離結界ディメンションドーム”」

 見たことのない模様か文字が描かれたガラス板のようなものが、正方形に組み合わさって空間を取り囲んでいたり、ドーム状に空間を覆っていたりしている。

「なんかすごそうなのばかりですね……」
「他にも色々あるが、必要になったらその効果や作用をイメージして“魔法創造クリエイトマジック”で作ってみるがよいぞ。今使った補助魔法や結界はヴィト君の“模倣コピー”で使用可能となっているじゃろうし、それを基に“魔法創造クリエイトマジック”で改変することも出来るはずじゃ」
「なるほど! そう考えると”コピー”と”クリエイトマジック”ってすごいですね! ありがとうございます!」
「いや、お礼を言う必要はないんじゃよ。元々ヴィト君に適性があったものじゃからの。ただ、魔法を使う際にはくれぐれも気を付けておくれよ」
「はい。今朝の失敗で身に染みてわかりました。今は使い方も教えて頂きましたし大丈夫だと思います」
「それならよかった。おっとそろそろ時間のようじゃ。ではまたのぅ」
「はい。神様もお元気で」

 再び神様の姿が薄れていき、俺の意識も遠のいていった。

「あっしまった! 魔法は使えるがあまり使いすぎると精神力が枯渇して倒れてしまうからキヲツケテ……」

 消え始めた瞬間に、また何か言い忘れていたようで神様が慌てて早口で何か言っていたがよく聞き取れなかった。
 まぁ大事な事ならまた夢(?)に出てくるでしょう……。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~

かくろう
ファンタジー
【ためて・放つ】という地味スキルを一生に一度の儀式で授かってしまった主人公セージ。  そのせいで家から追放され、挙げ句に異母弟から殺されかけてしまう。  しかしあらゆるものを【ためる】でパワフルにできるこのスキルは、最高ランクの冒険者すらかすんでしまうほどのぶっ壊れ能力だった!  命からがら魔物の強襲から脱したセージは、この力を駆使して成り上がっていく事を決意する。  そして命の危機に瀕していた少女リンカニアと出会い、絆を深めていくうちに自分のスキルを共有できる事に気が付いた。 ――これは、世界で類を見ない最強に成り上がっていく主人公と、彼の元へ集まってくる仲間達との物語である。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

処理中です...