神様に貰ったスキルで世界を救う? ~8割方プライベートで使ってごめんなさい~

三太丸太

文字の大きさ
37 / 73
第三章 異変の始まり

第35話 突然の胸騒ぎ

しおりを挟む
 インフェリテスは椅子から立ち上がり、みんなに一礼して説明を続けた。

「今回のグレイフォール王国の件で、発見の遅れは壊滅的な被害につながる事が判明いたしました。よって、魔物のランクが定まるまでは、ハンターランクE、Dの方々には、調査や巡回をメインに活動して頂き、魔物や<ワームホール>の早期発見と迅速な情報伝達に力を入れて頂くこととなりました。そして、討伐は基本的にCランク以上のハンターにお願いしていく方針です」

 タックよりも大柄で逞しいヒト族の男性が手を挙げた。

「どうぞ、お願いします」
「“ウォークライ”のベイズと申します。我がクランにもEランク、Dランクの者が多数いるのですが、その者たちを連れて討伐には行けないという事でしょうか?」
「いえ、絶対に行けないという訳ではありません。ただし、初めは高ランクのハンターと共に行動して頂くことになると思います。また、今後魔物のランクがEやDランクと確定した場合は、同ランクの者に討伐に討伐して頂くことになると思います」
「なるほど。あくまでも慣れない初めのうちはということですな。」
「はい、仰る通りです。巡回についても、戦闘になった場合や追跡係、伝達係と2手に分かれることなどを考えて基本的に4~5名程度で組んで行って頂く予定です。人数が足りないクランなどはギルドでパーティを組めるように調整する予定です。討伐に関しても同様です。」

 初めのうちは積極的に魔物を探し回って、見つけたら強いクランが速攻で行って倒してしまうということか。
 魔物の研究が進んできたら同ランクのハンターを派遣するらしい。

「本日ここにお集まり頂いた8つのクランは、Aランク以上のハンターを擁するクランの方々です。遠方の為、本日到着できなかったクランもありますが、基本的に未知の魔物が出現した場合は、まず皆様方に依頼が行く予定です。幸い、皆さん活動する拠点が異なっておりますので、拠点地域の周辺の討伐を担うとお考え下さい。もちろん、応援が必要な場合は各クランに通達致しますし、同じ町を拠点とするクランも活動しますので、全ての依頼を受け持つ必要はありません」

 そりゃそうだよね。
 うちはティルディスが拠点だけど、ティルディス周辺に発生した魔物を全て4人で倒せと言われても難しい。

「流れとしましては、各地域のギルドからE~Dランクのハンターに巡回に出て頂きます。目安としては近隣の村や街道、畑などを3~4時間程度で巡回して頂きます。夜間は視界が悪いですが、人の動きも減りますので、主に村周辺を巡回して頂くことになると思います。これを交代制でなるべく隙間なく行っていきたいと思います。そして魔物や<ワームホール>が発見された場合には、伝達に1名が走り、残りの者は追跡を継続します。そしてギルドから討伐可能なクランへ連絡し、討伐に向かって頂くという流れになります」

 インフェリテスさんに続いてリッツィ王子も補足した。

「巡回や討伐には王国騎士団も可能な限り協力する予定です。ハンターギルドは国からは独立した機関となっておりますが、実際に魔物が出現し、早急な準備や調整には国とギルドの連携が重要ですので、本日王城へお招きした次第です。必要な物資などは最大限ハンターギルドに提供いたしますので、皆さんよろしくお願いします」

 そういってリッツィ王子が頭を下げ、宰相、ギルドマスター、騎士団長も頭を下げた。
 慌ててオレたちも頭を下げた。
 その後は報酬についての説明を聞いたり、今後も何かあればここにいるクランで集まって会議をしたいとのことで王都滞在用の家を各クラン1つ頂いたり、初めての方が殆どなので自己紹介などをしたりしていた。

 その間、オレはこっそりセリシャさんからコピーした“スキャン”を使っていた。
 しかも改良してドーム状に魔力を展開することで、直接触れず、範囲内なら同時に何人も”スキャン“出来るという便利さだ。
 やはりAランクの面々は高Lvスキルを持っているようで、剣術や体術などLv7の人が殆どだった。
 ただ、オレたちのように変わったスキルを持った人は見当たらなかった。

 レイダー騎士団長も剣術Lv7を中心に様々な武器にも精通しているようだし、リッツィ王子も剣術Lv6と高Lvスキルだった。
 オレたち以外で一番スキルのLvが高かったのは、ダークエルフ族の細目の男性だった。
 しかも暗殺術Lv8、隠密術Lv7という恐ろしいスキルを持っていた。
 穏やかな表情で話を聞いているが、スキルを見るとあまり関わりたくはないので、あとで皆にも伝えておこう。

 などと考えていると、突然、強烈な違和感を感じた。
 驚いて思わず立ち上がりその方向に目を向ける。
 恐らくここからは2~3㎞離れた位置だと思われるが、セラーナの結界の時に感じた違和感を何倍も強くして、更に気持ち悪くしたような感覚だ。
 突然立ち上がったオレをみんなが見ており、レイダー騎士団長はリッツィ王子を守るため警戒している。

「お、おいヴィト、どうした? トイレか?」
「ち、違うよ! なんか凄い嫌な予感がする。セラーナは感じない?」
「感じます。すごく不快な感じがします。たぶんあちら、3㎞位離れた所……もしかしたら<ワームホール>なのかもしれません」
「やっぱり。オレもそう思うよ」

 再度ざわつく室内を落ち着かせ、リッツィ王子が確認してくる。

「<ワームホール>が発生したということですか?」
「<ワームホール>なのかどうなのかはわかりませんが、その可能性はあると思います。この方角の2~3km先には何がありますか?」
「その方向と距離ですと街からは外れていますね。おそらく畑が広がる一帯だと思われます」

 オルザファレン宰相が教えてくれた。

「何はともあれ向かってみよう。<ワームホール>だったら一大事だ。失礼、改めてお名前は?」
「“ブルータクティクス”のヴィトです」
「君たちがあの……。いや、後にしよう。ともかく急ごう」

 オレたちは念のため全員で違和感を感じた場所へと向かうことにした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

処理中です...