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第四章 討伐依頼
第51話 刻み込まれた爪痕
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「ただいまです」
「あらお帰り、リルちゃん。どこに行っていたの? あら? そちらの方は?」
この家の奥さんらしき人が迎えてくれた。
「初めまして。ハンターギルドから参りました”ブルータクティクス”のヴィトと申します。リルファちゃんのお話を聞いて、お姉ちゃんにお会いできればと思い伺いました」
「あら、それはそれは……。私はこの子たちの父親の妹でサラと申します。エイミーはあの部屋にいますが、出てくるかどうか……」
「仕方ないですよね。結構深い傷でしたか?」
「えぇ……。お医者様もどうやっても傷は残ってしまうし皮膚が引きつった様になってしまうとおっしゃられて……」
「顔以外の傷はどうですか?」
「手足やお腹にも傷はありますが、命に別状はないとのことです。」
「わかりました。ではちょっとお邪魔致しますね」
家に上がらせてもらい、お姉さんのお部屋に向かう。
お姉ちゃんはエイミーというらしい。
「お姉ちゃん! 傷を治してくれる人が来たよ!」
「嘘よ! お医者様でも治せないと言っていたわ! もう私は一生このままなのよ!」
部屋の中からリルファちゃんとお姉ちゃんの話し声が聞こえる。
女の子だもの顔に傷がついたら当然絶望するよな。
何とかしてあげたいと改めて思い、ノックをしてドア越しに話しかける。
「こんにちは。ハンターギルドから来ました“ブルータクティクス”のヴィトと言います。リルファちゃんからお話を伺って来たんだけど、お部屋に入らせてもらえないかな?」
リルファちゃんとお姉ちゃんが話し合っている気配がした後、リルファちゃんがドアを開けてくれた。
カーテンを閉め切ってベッドの上ですっぽりと布団をかぶっている。
傷ついた顔を見せたくはないのだろう。
「入れてくれてどうもありがとう。突然お邪魔してごめんね。エイミーさんでいいかな?」
ベッドに近づき、顔は見えないが屈んで視線の高さを合わせる。
返事はないが、話は聞いてくれているみたいだ。
「辛い思いをさせてしまってごめんね。オレたちがしっかり魔物を見つけられたらよかったんだけど……。同じ被害に遭う人をこれ以上増やさないためにも、魔物のお話を聞きたいんだ。でも、その前に怪我を何とかできればいいよね。手でいいからちょっと見せてもらえないかな」
顔の傷を見せろと言われても抵抗があるだろうけど、手足なら少しはマシかもしれない。
少し悩んだようだが、布団の隙間からスッと右腕を出してくれた。
前腕部に包帯が巻かれている。
「足とかお腹にも……。でもお医者さんは、傷跡は一生残るって……」
布団を被ったまま涙声で答えてくれる
「包帯を外して見せてもらってもいいかな?」
「……うん」
「ありがとう。痛くしないように気を付けるけど、痛かったら言ってね」
怪我を負ってから何日か経っているが、熱を帯びて腫れているので慎重に包帯を剥がしていく。
爪の攻撃を防ごうとしたのだろう、深く抉られた傷が3本ついている。
縫合はされておらず薬を塗って布を当てているだけの様だ。
これが顔にも着いていると思うと、申し訳なくなってくる。
しかし、これならば何とかなりそうだ。
「痛かったろうね。助けてあげられなくてごめんね。顔やお腹もこれと同じような傷があるかい?」
「うん……」
「そっか。ならよかった。これならオレでも治せるよ」
「えっ?」
「この傷だったら治してあげられるよ。ただ、ちょっと時間がかかるけどね」
あまり期待はしていなかったのだろうが、予想外の言葉に初めて布団から顔を出してくれた。
顔全体にも包帯が巻かれており、巻かれていないのは左目と口、鼻の穴の部分だけだが、その眼には期待に満ちた光が灯っている。
「本当に、治るの? 嘘じゃないの?」
「うん、治る。嘘じゃないよ。じゃあ信じてもらうために、小さい傷をまず治して見せようか。ここの傷、見ていてね」
安心させるようににっこりと笑って優しく伝え、右腕の傷の中でも小さい傷を治していく。
自分の怪我や命に係わる事態なら多少跡が残ってもいいのでそのまま“治癒”をかければよいが、それだと若干傷跡が残ったり、皮膚が突っ張ってしまったりする。
今回は傷跡も残らないように治してあげたい。
だから回復魔法の原点でもある魔力を送り込み、新陳代謝を活性化させて傷を治していく方法にすることにした。
こっちの方が時間は掛かるが目立った傷跡は残らない。
暖かい光に包まれて徐々に塞がっていく傷を見つめるその眼から、驚きと安堵と喜びが涙となってこぼれ始めた。
「ほら、治ったでしょ。傷跡も目立たないでしょ?」
「うん……。ありがとう、ございます……うぅ……」
「よくよく見ると跡自体はあるんだけどね。でもこれは新しく生まれたばかり皮膚だからしょうがないんだ。今は跡として見えるけど、生活していくうちに馴染んで目立たなくなるからね」
家の修理とかをすると一部だけ真新しさが目立つけど、時間と共に馴染んでいくのと同じようなものだな。
「うん、こんなの全然気にならないです! ありがとうございます。本当にありがとうございます!」
「お姉ちゃん!! 良かったね!!」
泣きながら抱き合う姉妹。
喜んでくれてよかった。
「喜んでくれるのは嬉しいけど、まだ傷を治すのはこれからが本番だからね。顔とお腹の傷をまだ見ていないから、見せてもらえるかな?」
「はい! お願いします!」
布団から出てベッドに腰掛けるように体勢を直し、顔の包帯を解き始めた。
傷が治るとわかったので、抵抗感をなくしてくれたようだった。
「あらお帰り、リルちゃん。どこに行っていたの? あら? そちらの方は?」
この家の奥さんらしき人が迎えてくれた。
「初めまして。ハンターギルドから参りました”ブルータクティクス”のヴィトと申します。リルファちゃんのお話を聞いて、お姉ちゃんにお会いできればと思い伺いました」
「あら、それはそれは……。私はこの子たちの父親の妹でサラと申します。エイミーはあの部屋にいますが、出てくるかどうか……」
「仕方ないですよね。結構深い傷でしたか?」
「えぇ……。お医者様もどうやっても傷は残ってしまうし皮膚が引きつった様になってしまうとおっしゃられて……」
「顔以外の傷はどうですか?」
「手足やお腹にも傷はありますが、命に別状はないとのことです。」
「わかりました。ではちょっとお邪魔致しますね」
家に上がらせてもらい、お姉さんのお部屋に向かう。
お姉ちゃんはエイミーというらしい。
「お姉ちゃん! 傷を治してくれる人が来たよ!」
「嘘よ! お医者様でも治せないと言っていたわ! もう私は一生このままなのよ!」
部屋の中からリルファちゃんとお姉ちゃんの話し声が聞こえる。
女の子だもの顔に傷がついたら当然絶望するよな。
何とかしてあげたいと改めて思い、ノックをしてドア越しに話しかける。
「こんにちは。ハンターギルドから来ました“ブルータクティクス”のヴィトと言います。リルファちゃんからお話を伺って来たんだけど、お部屋に入らせてもらえないかな?」
リルファちゃんとお姉ちゃんが話し合っている気配がした後、リルファちゃんがドアを開けてくれた。
カーテンを閉め切ってベッドの上ですっぽりと布団をかぶっている。
傷ついた顔を見せたくはないのだろう。
「入れてくれてどうもありがとう。突然お邪魔してごめんね。エイミーさんでいいかな?」
ベッドに近づき、顔は見えないが屈んで視線の高さを合わせる。
返事はないが、話は聞いてくれているみたいだ。
「辛い思いをさせてしまってごめんね。オレたちがしっかり魔物を見つけられたらよかったんだけど……。同じ被害に遭う人をこれ以上増やさないためにも、魔物のお話を聞きたいんだ。でも、その前に怪我を何とかできればいいよね。手でいいからちょっと見せてもらえないかな」
顔の傷を見せろと言われても抵抗があるだろうけど、手足なら少しはマシかもしれない。
少し悩んだようだが、布団の隙間からスッと右腕を出してくれた。
前腕部に包帯が巻かれている。
「足とかお腹にも……。でもお医者さんは、傷跡は一生残るって……」
布団を被ったまま涙声で答えてくれる
「包帯を外して見せてもらってもいいかな?」
「……うん」
「ありがとう。痛くしないように気を付けるけど、痛かったら言ってね」
怪我を負ってから何日か経っているが、熱を帯びて腫れているので慎重に包帯を剥がしていく。
爪の攻撃を防ごうとしたのだろう、深く抉られた傷が3本ついている。
縫合はされておらず薬を塗って布を当てているだけの様だ。
これが顔にも着いていると思うと、申し訳なくなってくる。
しかし、これならば何とかなりそうだ。
「痛かったろうね。助けてあげられなくてごめんね。顔やお腹もこれと同じような傷があるかい?」
「うん……」
「そっか。ならよかった。これならオレでも治せるよ」
「えっ?」
「この傷だったら治してあげられるよ。ただ、ちょっと時間がかかるけどね」
あまり期待はしていなかったのだろうが、予想外の言葉に初めて布団から顔を出してくれた。
顔全体にも包帯が巻かれており、巻かれていないのは左目と口、鼻の穴の部分だけだが、その眼には期待に満ちた光が灯っている。
「本当に、治るの? 嘘じゃないの?」
「うん、治る。嘘じゃないよ。じゃあ信じてもらうために、小さい傷をまず治して見せようか。ここの傷、見ていてね」
安心させるようににっこりと笑って優しく伝え、右腕の傷の中でも小さい傷を治していく。
自分の怪我や命に係わる事態なら多少跡が残ってもいいのでそのまま“治癒”をかければよいが、それだと若干傷跡が残ったり、皮膚が突っ張ってしまったりする。
今回は傷跡も残らないように治してあげたい。
だから回復魔法の原点でもある魔力を送り込み、新陳代謝を活性化させて傷を治していく方法にすることにした。
こっちの方が時間は掛かるが目立った傷跡は残らない。
暖かい光に包まれて徐々に塞がっていく傷を見つめるその眼から、驚きと安堵と喜びが涙となってこぼれ始めた。
「ほら、治ったでしょ。傷跡も目立たないでしょ?」
「うん……。ありがとう、ございます……うぅ……」
「よくよく見ると跡自体はあるんだけどね。でもこれは新しく生まれたばかり皮膚だからしょうがないんだ。今は跡として見えるけど、生活していくうちに馴染んで目立たなくなるからね」
家の修理とかをすると一部だけ真新しさが目立つけど、時間と共に馴染んでいくのと同じようなものだな。
「うん、こんなの全然気にならないです! ありがとうございます。本当にありがとうございます!」
「お姉ちゃん!! 良かったね!!」
泣きながら抱き合う姉妹。
喜んでくれてよかった。
「喜んでくれるのは嬉しいけど、まだ傷を治すのはこれからが本番だからね。顔とお腹の傷をまだ見ていないから、見せてもらえるかな?」
「はい! お願いします!」
布団から出てベッドに腰掛けるように体勢を直し、顔の包帯を解き始めた。
傷が治るとわかったので、抵抗感をなくしてくれたようだった。
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