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しおりを挟む「はあ」
「大きい溜息だね、八代」
「何度もあの先輩から声を掛けられて疲れたから...」
一限目の体育から始まり、その後も声を掛けられ続けたのだ。
目立ちたくないのに。
飽きられるまで塩対応し続けるしかないのかな。
「七星先輩だっけ。結構来てたもんな」
「うん、やっと放課後だし」
疲れたので帰りたいところだが、今日は部活がある。
絶対行かなければいけないという程厳しい訳ではないし、むしろ僕がいなくても気付かれないかもしれない。
でも、やっぱり絵を描くことは好きだから、リフレッシュになるだろう。
必要なものを持って部室へと向かう。
昨日の続きに取り掛かった。
大部分は完成している。
あとは背景かな。
「秋くん、何描いてるのー?」
「わっ、びっくりした」
七星先輩だ。
後ろから声をかけられるまで気付かなかったからとても驚いた。
「なんで、ここに居るんですか。美術部員ではないでしょう」
「ああ、見学だよー。美術部に入りたいなと思って」
僕のオアシスが...。
「僕の方は見なくていいです。絵、見せたくないです」
「もう見ちゃったし。それ宇宙人?」
「違います。猫です」
即座に否定した。
...しまった、スルーすれば良かったのか。
「え、猫?っふ、ふふ」
「猫に見えなくてもいいんです、自己満足で描いてるんですから」
宇宙人と間違われると思わなかったけど、と心の中で付け足す。
「七星くん、話してばかりいないで」
部長の華山先輩が七星先輩を注意する。
華山先輩は女子だけれど、そこらの男子より強いかもしれない。
結構ズバッと言うし。
それが良いという男子が多いのも事実。
僕もはっきり言ってくれる為、助かっている。
七星先輩に付き纏われている、こう言う場面とかね。
「はーい。華ちゃん」
「はあ...見学し終わったなら帰って」
そうだそうだ、帰ってくれと心の中で同調していると、目が合った。
心の声は聞こえてない...はず。
「またね、秋くん~」
嵐が去っていく。
ふっと息を吐いた。
「八代くん、大丈夫?」
華山先輩が声をかけてくれた。
「...大丈夫です」
華山先輩が言ってくれたおかげ。
素直に帰るとは思わなかったけれど。
「ならいい。困ったら言って」
「ありがとうございます」
かっ、かっこいい...。
頼りになる先輩って感じ。
僕は描いている絵に再度取り掛かった。
絵が上手という訳ではなく、独創的なのは自覚している。
だけど、宇宙人に見えたのかと思うと複雑な気分になった。
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