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フェイス(正義)とヒール(悪)の心中
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プロレスリングの上で俺様攻めとヘタレ受けが心中する話。(腹黒俺様ベビーフェイス×へたれメンヘラヒール)
死ネタ、メリバ、暴力、胸糞。
飲尿、事後フェラ、横暴
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「ん゛ンッ、あ゛、うぁ、っぐ、は…ふ……う゛」
「なぁ、もう少し気持ちよさそうに喘げよ。萎えるだろ。」
「っ! っあ、あんンッ! は、あぅん、んんっ、あっ、あッ、アんっ!」
「ん、っし……出すぞ。」
どくどくとおれの体内を犯していたモノが脈打っている。ずるりと引き抜かれる感触に背筋が粟立ち、崩れ落ちそうになるが、それに耐えて彼の前に膝立ちになる。少しだけ硬度を失ったソレを口に咥え、尿道に残った精子をすする。これはあまり好きじゃない。いつもえずきそうになる。彼がふるりと体を震わせた。あ、嫌な予感。
「やべ、出るから溢さず飲めよ。」
ぐっと、頭を押さえつけられて喉の奥で放尿される。溺れそうになりながら必死に嚥下する。
「ふー、んじゃ、俺は先に帰るから、お前ここ片付けてから帰れよ?じゃあまたな。」
彼はおれの頭をひと撫でして、除菌用のウェットティッシュで自身を拭いた後、身支度を整えて、また俺をひと撫でして、俺の額にキスを落とすと部屋を出て行った。
◇◇◇
いつも通りに後始末を終えて、帰宅する。さっき彼が帰った時には聞こえた歓声も、僕の時は一切ない。当然だ。彼は爽やかでカッコいい、人気者のベビーフェイス。おれは嫌われ者のヒール。今日の興行だって、卑怯な手をつかって彼をダウンさせた時なんかブーイングの嵐だった。ブーイングには慣れない。でも、仕事なんだから仕方ない。フロントには今日もいいヒールっぷりだったなと、肩を叩かれた。だから耐えるしかない。それに――おれには彼、ユウイチが居る。ユウイチがおれのことを認めて、求めてくれる。
最初は少し苦手だった。リングにいる時とプライベートであまりにも性格が違ったから。おれもそうだったけど……ユウイチはおれとは真逆で、我が強くて自分に自信があった。そんなユウイチに求められた時、密かに彼に憧れていたおれは、一も二もなく応じた。そうやって始まった関係は、今もずるずる続いている。ユウイチはリングに上がった後、興奮からか、しばらく猫が被れなくなる。その気持ちを鎮めるためにセックスをする。おれとの試合で興奮して、それをおれに発散して帰る。これがここのところのおれたちの関係だった。
家にたどり着いて、ベッドに横になる。あぁ、風呂入らないと。それに、掻き出さずにきたから腹が冷えて痛い。のろのろと立ち上がってシャワーを浴びる。中から掻き出したユウイチの精子が太ももを伝って流れていく。もったいない。無意識に腹を撫でた。
◇◇◇
翌日、休みだというのに会社に呼び出された。昨日のダメージで鈍く痛む体を引きずるようにして会社へ向かう。会社にはおれを含めほとんどの社員が集められていた。ユウイチの姿はない。社長がみんなの前に立って言う。
「ユウイチが暴力沙汰を起こして、勾留された。相手とは示談で片を付けるが、少なくともアイツはベビーフェイスとしてはやっていけないだろう。今後のことは追って伝えるが、くれぐれもアイツに関わる情報を外で漏らさないでくれ。」
ざわつく室内で、おれは呆然としていた。ユウイチが逮捕された? ベビーフェイスじゃなくなる? 今知った情報がぐるぐると頭の中を回る。
報道が出た日から、会社周辺は騒がしくなった。おれは呆然としたまま、練習場と自宅を往復した。他の奴らはマスコミを鬱陶しがってここには来ない。ひとりで黙々と基礎練を繰り返す。リングには上がらなかった。ユウイチがいないのに、おれが立っても仕方ない。ユウイチのために何もできないおれは本当に情けない。じわりと滲んだ涙を拭っていると、後ろから声をかけられた。
「……よぉ。」
その声にバッと振り向くと、ユウイチが立っていた。少しやつれている。ユウイチだ。俺は思わず立ち上がってユウイチを抱きしめる。ユウイチはおれより背が低い。だから、いつもはこうやって正面から抱きしめようとすると嫌がられる。でも、今日は無抵抗だ。
「……どうした?」
「んー……疲れた、かな。」
ユウイチは、会えなくなってからのことをぽつぽつと語り出した。そして全部吐き出した後こう言った。
「死のうと思ってさ。そしたら――お前の顔が浮かんだ。」
その言葉を聞いた時、おれは嬉しかった。この上ない喜びを感じた。
「それで?」
「うん、なぁ、俺と一緒に死んでくんねぇ?」
「いいよ。」
ユウイチが目を見開いた。
「言っといてなんだが、いいのか?」
「うん。いいよ。」
「……ありがとな。」
ユウイチはおれの頭を撫でて、唇にキスをした。
「ん?もしかしてちゃんとキスするの初めてか?」
「そうだね。」
「あー……」
少し気まずそうなユウイチに、ふっと笑ってしまう。そんなこと気にしなくていいのに。
「なぁ、最後にヤるか?」
「やりたいの?」
「んー、どうだろうな。ただ、人肌が恋しいかな。」
おれたちは裸で抱き合う。深いキスをする。互いに裸になるのも、こんなキスをするのも初めてだ。
「あー、やっぱヤる気にはなんねぇわ。」
長いキスのあと、ユウイチがそう言う。そしてまたキスをして、おれの胸元に額をこすりつけて、でも、お前の体温は悪くねぇ。と呟いた。
◇◇◇
リングのロープに紐を括り付ける。こんなんで死ねるのだろうか。
「大丈夫だ。」
ユウイチがそう言うなら、大丈夫なんだろう。おれたちは手を繋いで、身体の力を抜いた。頭がぼんやりする。目を閉じて、最後に、ユウイチの幸せそうな笑顔を思い浮かべた。
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