異世界でケモミミを追いかけて

さえ

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第十一話 日焼け止め

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よろしく、と言い合った後俺は砂の上に横たわるサンドワームの巨体に目を向ける。
昔の自分なら一瞬も持たなかっただろう、悪魔になって初めて人助けができるなんて皮肉だ、心まで人間離れしたわけではない。
「こうしてみると、本当に何もない砂漠だな」

「ああ」

「これからどうします?」

「どうするも何も、街を目指すしかないだろ」

「じゃあ行こう。と言いたいとこなんだけど、右も左も全くわからなくて」

「おい、そんな感じでよくここまで来れたな。ってまぁそれは後にするとして。この砂漠は東西に長くて南北にはそんなに距離はない。さらに南側は砂漠でも砂ではなく砂利を敷き詰めたみたいになっている。つまりここはその砂漠の北側だ。このまま北へ歩けばザークトの街にたどり着く。行くぞ」

戦闘を終えて一息つく間に陽も傾きはじめ、茹だるような暑さでは無くなった。まぁ日本の猛暑日くらいはあるが悪魔化したこの肉体は暑さを不快に思うことはない。

コンパスのようなもので北を確認する。このコンパスはこの国の魔法で動くらしい。どんな場所でも狂うことがないんだとか。

 ジャックはそのまま歩き出そうとするが、火傷寸前の日焼けした皮膚を見るのが痛々しくてバックパックに入っていたスプレー型の日焼け止めを渡す。

「なんだよ、これ」

そりゃ分からないのも当然か。
「目瞑って息止めて」

「は?」
嫌がる素振りを見せたがやってくれた。

カラカラと日焼け止めスプレーを振る。
「何をする気だ?妙なことをしたら容赦しねえぞ」

シューッ 

「殺す!」

「まぁまぁ待てって。ほら、次は腕出して」
今度は腕などの露出しているとこにかける

「さっきからなんなんだよまったく。毒か?」

「そんなはずない」
そういって自分にも吹きかける。
効果はないと思ったが、少し体の砂化がマシになった気がする。

「このスプレーにはな、日焼けをある程度なら防ぐ効果があるんだよ」

「・・・すぷれぇ??そんな魔道具聞いたことねえぞ。」

ジャックは日焼け止めを知らないのか。

日焼けを止めるっていう発想自体こっちだと珍しいのかもな。

 ちなみにさっきの戦いで2人とも全身砂まみれなので砂化現象はバレていない。

 ジャックの肌の色を見ても暑い地域には慣れていないと思われる。あまりに痛そうな日焼けはせっかくのイケメンが勿体無い。
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