逢魔時高校の妖怪嫌い

ゐしゐ

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その1

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「母さん!!!」
 これは……夢?
「母さん!!母さん!!!」
 ああ、これは10年前の……
「母さん!!母さん!!!!!!」
 俺は物凄い勢いでベッドから起き上がる。体中から汗が出ている。
(クッ、悪夢だ……)
 俺はベッドから起き上がる。
(汗だらけだ……風呂に入らねえと……

 街並みを眺めるとどこもかしこも不愉快な風景だ。
 妖怪と人間がいちゃついてる風景なんか見て誰が喜ぶか。(人間の男女がいちゃついてても不愉快なのには変わらないが)
「オッス、霧島!うへー、相変わらず不機嫌な顔」
 いきなり後ろから声をかけてきたこの無神経なデカ物は西園寺零さいおんじ れい。俺の小学生からの親友だ。
「お前、そろそろこの環境に慣れろよなー、妖怪だって悪いやつばかりじゃ……」
 零はそこまで言うと急に黙り込んだ。俺の事で黙り込んだのだ。
 10年前、俺の家族は鬼に殺された。だから妖怪が大っ嫌いだ。それが決して良い妖怪でも……だ。
「ま、まぁ、慣れるのは無理でも仕方ないだろう。国が妖怪の存在を認識して妖怪と人間が共に通える学校を建てて、そこに俺らは通ってるんだし」
「国もふざけやがって」
 俺は眉間に皺を寄せながら周りを見渡した。妖怪、それは昔の日本人が空想の中で考え出された存在だとずっと思われていた。ところが10年前、突如妖怪があちらこちらに現れだした。総大将だという妖怪と総理大臣が会談をして今から5年前に妖怪と人間の平和条約が結ばれた。妖怪と条約を結ぶなんていかれているがこれが現実だ。
「零、おはよー」
「ああ、茨、おはよう」
「霧島君もおはよー」
「……」
「あははー、僕って本当に嫌われちゃってるんだねー」
 今、笑っているこいつは熊野茨くまの いばら。俺が嫌いな鬼の娘だ。と言ってもこいつは茨木童子っていう鬼の娘で俺の家族殺しをした鬼では無い。だが、俺は鬼がそもそも嫌いだ。
「気にすんなって、こいつは鬼が嫌いなだけだから」
「鬼も全部が全部が悪いわけじゃないんだけどなー……」
 茨は少し悲しそうな表情をした。知ったこっちゃない。
 さて、今日も嫌な学校生活が始まる。ここ、逢魔時高校おうまがときこうこうで
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