13 / 45
第一章:魔法学園の空間魔導師
夏休み前
しおりを挟む
ここは都心から遠く離れた島々────
〝小笠原諸島〟と呼ばれる大小様々な島の中でも特に小さく、また住民が居ない無人の離島。
人が居ないはずのその島にポツリと建つ建物は民家と言うよりは何かの施設のようにも見えた。
しかしその見た目は〝廃墟〟と言っても遜色が無く、とても誰かが出入りしているようには思えない。
その建物内にて、数人の白衣に身を包んだ男性達が、様々な生き物が入れられた檻や強化ガラスの箱の前で何やら話をしていた。
「まったく……世間では長い休みに入ろうかってのに、俺達はこんな離島で働き詰めかよ」
「そう言うな。そろそろ結果を出さんと援助が切られっちまうんだからよ」
「そうは言ったってここの所、全く成果が出そうな兆しが見えないじゃないか」
「秘密裏に捕獲してきたこいつらの餌代も半端じゃねぇしよ」
「喧しいぞ!文句を言っている暇があるのなら手を動かさんか!」
口々に愚痴を放っていた男性達……しかし突如聞こえてきた叱責の声に思わずその場で姿勢を正した。
彼らを叱責した人物は、そのでっぷりと肥えた身体を動かし、両側に美女を侍らせながら男性達に怒鳴り始めた。
「せっかく雇ってやっているというのに愚痴だけは達者になりおって!いいか?ここで結果を出さねば、ワシだけでなく貴様らも切られる事になるのだ!そうなれば路頭に迷うどころか、全員この世から消されるぞ!」
その言葉に男性達はガタガタと震え出す。
それを見た男はため息をついたあと、先程とは変わって温厚な口調でこう諭した。
「思わず怒鳴ってしまったが、幸いにも我々には唯一の〝成功例〟がある……それを被検体とすれば更に先鋒にとって満足となる結果を残せるだろう」
「しかし……いくら成功例と言えど、未だ不安定な存在ですよ?」
「もし、それに何か問題が起きたら……」
「それを考えてどうにかするのがお前達の仕事だろう?ワシは何も考え無しに言っているのでは無い。お前達の腕を信頼しているからこそ言っておるんだ。お前達はワシが今まで見てきた中でも優秀な者達ばかりなのだからな」
そう言われ途端に気を良くする男性達。
男は鼻を鳴らしたあと、踵を返してそこから立ち去ろうとする。
「では任せたぞ。良い結果が出るのを楽しみにしている」
「「「はい、お任せ下さい!!」」」
「フンッ……単純な奴らは使い勝手が良くて、実に扱いやすいな」
男のその言葉は士気が向上している男性達には聞こえていなかった。
男は女性を侍らせながら移動すると、その先に置かれていた生体ポッドの中に入れられていた一人の少女を見てこう呟いた。
「〝コレ〟が量産出来れば……ワシの余生は安泰だな」
男が見つめる先……生体ポッドの中の少女はゆっくりとその瞼を開けると、感情な無い目で男を見つめるのであった。
◆
アルセーヌとの一件があってから月日が経ち、早いもので七月も半ば頃を迎えていた。
教室内では迫る夏休みへの話題で溢れており、この夏を楽しむ者や、課せられた宿題に嘆く者など様々な反応を示している。
そんな俺も例には漏れず、今ではお馴染みの顔ぶれとなった瑠璃、煉、都胡、咲良、そして才加で夏休みの予定について話をしていた。
その前にだが才加について、今まで俺は彼女のことを〝霧隠〟と呼んでいたのだが、彼女から〝一人だけ苗字で呼ぶのはちょっと〟と言われ名前呼びに変えた。
確かに一人だけ下の名前で呼ばないってのも距離を置いてるようで申し訳ないと、俺は直ぐに納得しそう呼ぶようにしたのである。
まぁ、そんな才加が咲良と夏休みの事について話をしていた際に、ふと俺達はどう過ごすのか気になって話しかけてきたというわけである。
ちなみに俺の夏休みの予定は既に決まっていたりする。
それを話してやると、途端に才加が羨ましそうに声を上げるのだった。
「旅行か~……いいな~……」
俺の家族は長期の休みになる度に一回は家族旅行に出かけている。
それに今年は都胡が帰ってきたので、数年ぶりに双方の家族同士で一緒に旅行に行こうという話になったのだ。
行き先は小笠原諸島の父島である。
なんでも叔父さんが〝どうせならば〟と色々と予定を立てて、しかもそこの旅館にも予約を入れてくれたそうだ。
そしてついでにそこでバーベキューでもしようという話になり、家族全員が賛成したことでそこに決まったのである。
「いつもは川や山荘でのバーベキューやったけど、今回は海を見ながらやから楽しみやわ~」
気の早い事で都胡は既にそれを思い浮かべてウキウキしている。
それを見て才加は更に羨ましがるのであった。
「そんなに羨ましいなら才加はん達も一緒に行こか?」
「いいの?!」
都胡の提案に俯いていた才加がガバッとその顔を上げる。その目は高まる期待で爛々と輝いていた。
「まぁ御影のご両親がええのなら、ウチは別に構わんのやけど……それに皆一緒ならもっと楽しくなるやろ?」
「そうは言ってもだな……もう既に宿に予約入れっちまってんだろ?今から追加頼んでも受け入れてくれるか分からねぇぞ?」
「ほんなら今聞いてみるわ」
そう言って自身の父親に連絡を入れる都胡。
そして数秒の会話を経て、都胡は満面の笑みでこちらへとサムズアップをしたのだった。
「三人分の予約を追加出来ないか聞いてくれるって♪︎」
「「都胡様ーーー!!」」
まだ受け入れてくれるか分からないのに都胡に尊敬の眼差しを向ける煉と才加。
咲良はそれを見て苦笑いを浮かべ、俺と瑠璃は呆れたような笑みを浮かべるのだった。
その後、叔父さんからの連絡で宿泊先の旅館からOKの返事を貰ったとの事で煉、咲良、才加も追加で旅行に行く事が決まった。
俺は旅館の方々の寛容さに感心しながら、心の中で旅行が更に楽しみになるのであった。
しかしこの時の俺は、まさかその旅行先でとんでもない事件に巻き込まれるなど、夢にも想わなかった。
〝小笠原諸島〟と呼ばれる大小様々な島の中でも特に小さく、また住民が居ない無人の離島。
人が居ないはずのその島にポツリと建つ建物は民家と言うよりは何かの施設のようにも見えた。
しかしその見た目は〝廃墟〟と言っても遜色が無く、とても誰かが出入りしているようには思えない。
その建物内にて、数人の白衣に身を包んだ男性達が、様々な生き物が入れられた檻や強化ガラスの箱の前で何やら話をしていた。
「まったく……世間では長い休みに入ろうかってのに、俺達はこんな離島で働き詰めかよ」
「そう言うな。そろそろ結果を出さんと援助が切られっちまうんだからよ」
「そうは言ったってここの所、全く成果が出そうな兆しが見えないじゃないか」
「秘密裏に捕獲してきたこいつらの餌代も半端じゃねぇしよ」
「喧しいぞ!文句を言っている暇があるのなら手を動かさんか!」
口々に愚痴を放っていた男性達……しかし突如聞こえてきた叱責の声に思わずその場で姿勢を正した。
彼らを叱責した人物は、そのでっぷりと肥えた身体を動かし、両側に美女を侍らせながら男性達に怒鳴り始めた。
「せっかく雇ってやっているというのに愚痴だけは達者になりおって!いいか?ここで結果を出さねば、ワシだけでなく貴様らも切られる事になるのだ!そうなれば路頭に迷うどころか、全員この世から消されるぞ!」
その言葉に男性達はガタガタと震え出す。
それを見た男はため息をついたあと、先程とは変わって温厚な口調でこう諭した。
「思わず怒鳴ってしまったが、幸いにも我々には唯一の〝成功例〟がある……それを被検体とすれば更に先鋒にとって満足となる結果を残せるだろう」
「しかし……いくら成功例と言えど、未だ不安定な存在ですよ?」
「もし、それに何か問題が起きたら……」
「それを考えてどうにかするのがお前達の仕事だろう?ワシは何も考え無しに言っているのでは無い。お前達の腕を信頼しているからこそ言っておるんだ。お前達はワシが今まで見てきた中でも優秀な者達ばかりなのだからな」
そう言われ途端に気を良くする男性達。
男は鼻を鳴らしたあと、踵を返してそこから立ち去ろうとする。
「では任せたぞ。良い結果が出るのを楽しみにしている」
「「「はい、お任せ下さい!!」」」
「フンッ……単純な奴らは使い勝手が良くて、実に扱いやすいな」
男のその言葉は士気が向上している男性達には聞こえていなかった。
男は女性を侍らせながら移動すると、その先に置かれていた生体ポッドの中に入れられていた一人の少女を見てこう呟いた。
「〝コレ〟が量産出来れば……ワシの余生は安泰だな」
男が見つめる先……生体ポッドの中の少女はゆっくりとその瞼を開けると、感情な無い目で男を見つめるのであった。
◆
アルセーヌとの一件があってから月日が経ち、早いもので七月も半ば頃を迎えていた。
教室内では迫る夏休みへの話題で溢れており、この夏を楽しむ者や、課せられた宿題に嘆く者など様々な反応を示している。
そんな俺も例には漏れず、今ではお馴染みの顔ぶれとなった瑠璃、煉、都胡、咲良、そして才加で夏休みの予定について話をしていた。
その前にだが才加について、今まで俺は彼女のことを〝霧隠〟と呼んでいたのだが、彼女から〝一人だけ苗字で呼ぶのはちょっと〟と言われ名前呼びに変えた。
確かに一人だけ下の名前で呼ばないってのも距離を置いてるようで申し訳ないと、俺は直ぐに納得しそう呼ぶようにしたのである。
まぁ、そんな才加が咲良と夏休みの事について話をしていた際に、ふと俺達はどう過ごすのか気になって話しかけてきたというわけである。
ちなみに俺の夏休みの予定は既に決まっていたりする。
それを話してやると、途端に才加が羨ましそうに声を上げるのだった。
「旅行か~……いいな~……」
俺の家族は長期の休みになる度に一回は家族旅行に出かけている。
それに今年は都胡が帰ってきたので、数年ぶりに双方の家族同士で一緒に旅行に行こうという話になったのだ。
行き先は小笠原諸島の父島である。
なんでも叔父さんが〝どうせならば〟と色々と予定を立てて、しかもそこの旅館にも予約を入れてくれたそうだ。
そしてついでにそこでバーベキューでもしようという話になり、家族全員が賛成したことでそこに決まったのである。
「いつもは川や山荘でのバーベキューやったけど、今回は海を見ながらやから楽しみやわ~」
気の早い事で都胡は既にそれを思い浮かべてウキウキしている。
それを見て才加は更に羨ましがるのであった。
「そんなに羨ましいなら才加はん達も一緒に行こか?」
「いいの?!」
都胡の提案に俯いていた才加がガバッとその顔を上げる。その目は高まる期待で爛々と輝いていた。
「まぁ御影のご両親がええのなら、ウチは別に構わんのやけど……それに皆一緒ならもっと楽しくなるやろ?」
「そうは言ってもだな……もう既に宿に予約入れっちまってんだろ?今から追加頼んでも受け入れてくれるか分からねぇぞ?」
「ほんなら今聞いてみるわ」
そう言って自身の父親に連絡を入れる都胡。
そして数秒の会話を経て、都胡は満面の笑みでこちらへとサムズアップをしたのだった。
「三人分の予約を追加出来ないか聞いてくれるって♪︎」
「「都胡様ーーー!!」」
まだ受け入れてくれるか分からないのに都胡に尊敬の眼差しを向ける煉と才加。
咲良はそれを見て苦笑いを浮かべ、俺と瑠璃は呆れたような笑みを浮かべるのだった。
その後、叔父さんからの連絡で宿泊先の旅館からOKの返事を貰ったとの事で煉、咲良、才加も追加で旅行に行く事が決まった。
俺は旅館の方々の寛容さに感心しながら、心の中で旅行が更に楽しみになるのであった。
しかしこの時の俺は、まさかその旅行先でとんでもない事件に巻き込まれるなど、夢にも想わなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ
鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。
それが約50年前。
聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。
英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。
俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。
でも…英雄は5人もいらないな。
うちの冷蔵庫がダンジョンになった
空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞
ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。
そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる