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第一章:神術学園
第一話:少年の力
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二人の案内で天城ウツロが呼び出された場所へと到着した女性刑事……すると彼女の視界にこちらへ飛んでくる人影が写った。
女性刑事は柘植口と御白瀬の二人を庇うようにして避けると、その人影は先程まで三人がいた場所を転がって行った。
「やっぱりもう終わってんじゃん」
「どうせなら見たかったよね~」
「……」
二人が不満そうにそう話をしている横で、女性刑事はその光景に息を飲んでいた。
地面に転がる数人もの不良生徒達の中心で悠然と佇む一人の男子生徒─────彼は三人の気配に気づいたのか顔をこちらへと向ける。
「なんだ……誰かと思ったら柘植口と御白瀬じゃねぇか。様子でも見に来たのか?だが生憎と見ての通りもう終わったぞ?」
「いや~、ウチらが来たのはそういうことじゃないんだよね~」
「なんかこの人が天城くんに用事があるんだって~」
二人はそう言うと女性刑事へと顔を向ける。
男子生徒……先程まで丸山の話題に出ていた天城ウツロはその女性刑事を見て訝しげな表情を浮かべたあと、今朝の事を思い出したか〝あっ!〟と目を見開いた。
「今朝の……」
「はい、今朝方ぶりですね天城ウツロくん。私は警視庁第0課神威犯罪対策室所属の刑事、〝香村秋穂〟と申します」
「へぇ……その刑事さんが俺に何の用っスかね?」
その口調は今朝、自身を助けてくれたあの少年と同じであった。
違うところと言えば今朝は被っていなかった帽子を被っているというところだろう。
そんな帽子のツバを僅かに上げながら訊ねてくる天城ウツロに、女性刑事……香村秋穂は丁寧に頭を下げた。
「今朝は本当にありがとう。私はもちろん、上司達も大変感謝していたわ」
「別に礼を言われる程ではないっスよ。向こうが〝邪魔だ、どけ!〟なんて言ってくるもんですからムカついて投げ飛ばしてやっただけの事っスから」
ウツロの様子からその言葉が照れ隠しからくるものでは無いと見抜いた秋穂……それにより彼女はウツロが丸山達から聞いた通りの人物だと改めて思った。
そして彼女はウツロにある疑問を投げる。
「そういえば……今朝貴方が捕まえた犯人なのだけど、神威所有者だったのよね」
「へぇ……そうだったんスか」
「あの時、奴は自身を掴んでいる貴方に抵抗する為に神威を使った……けれどその神威は発動しなかった。いったい何故なのでしょうね?」
「さぁ?調子でも悪かったんじゃないっスかね?」
「ふぅん……」
神威犯罪者を取り締まる部署に務めている秋穂は当然、自身も神威所有者である。
彼女の神威は〝芳香〟─────様々な効力を持つ香りを使う事が出来る能力で、その特性として相手が放つ微細な香りでその感情を読み取ることも出来るのであった。
それ故に秋穂はウツロから僅かな〝嘘〟の香りを嗅ぎとる。
それにより少しだけ疑いの眼差しをウツロへと向けてみたが、彼の表情は依然として変化が見られない。
(ここに来て嘘をつく理由は何なのかしら?まさかとは思うけれど……)
そんな事を考えていた秋穂。
しかし彼女の目の前で、ウツロの背後でゆらりと影が動いた。
「後ろ!」
「あん?」
秋穂の声で背後を振り返ったウツロ。
そこには先程まで彼の足元に転がっていた不良生徒の姿があった。
その不良生徒はスキンヘッドが特徴な生徒で、しかもかなり身体が大きい。
そんなスキンヘッドの不良は何本もの青筋を浮かべながらウツロを見下ろし睨みつける。
「天城ウツロぉぉぉ……テメェを必ず殺してやる!」
「やれやれ……なんでこういう手合いは無駄にしぶといんだか」
ため息をつきながらそう話すウツロ。
そんな彼の前で不良生徒の姿がみるみるうちに変化し、そこには大柄な〝鬼〟が立っていた。
(〝鬼人〟の神威所有者!)
神威所有者は相手が無能力者なのか、または人間かそうでないかを見分ける能力を持ち合わせている。
秋穂の目線では不良生徒は確かに人間であり、妖怪では無い事は分かっていた。
そして彼が〝鬼人〟の神威所有者である事を知る。
神威には二つの種類が確認されており、一つは〝汎用型〟……これは一つの神威を多数の神威所有者が持つ能力であり、今朝に捕まった神威犯罪者の神威もこれに値する。
そしてもう一つが秋穂が所有している〝芳香〟のような〝固有型〟神威である。
こちらはその人本人しか持ちえぬ神威で、世界に一つだけの能力を有した神威と言っていいだろう。
そんな汎用型神威〝鬼人〟を持つ不良を前にしてなお、ウツロは至って冷静に彼のことを見上げていた。
「喧嘩が強いからって調子に乗りやがってぇ……だが、この俺様が神威を発動したからにはもう好きにはさせねぇぞ?」
得意げにそう話す不良だったが、その表情は次のウツロの一言で怒りに染る。
「くだらねぇ御託はいいから、さっさとかかってこいよ」
〝ブチッ!〟という血管が切れた音が聞こえてきそうな程の怒りの形相となる不良は勢いよく拳を振り上げると、それをウツロに向けて叩き込んだ。
「「天城くん!!」」
柘植口と御白瀬の悲鳴が揃う。
しかし当のウツロは拳を受けたというのに微動だにしないどころか怪我のひとつも負っていなかった。
それに驚いたのは秋穂だけでなく殴った本人である不良生徒。
「な、なんで……」
「あ?今なんかしたか?」
ウツロはそう言うとお返しと言わんばかりにその拳を不良生徒の腹部へと叩き込む。
「おぐぁ?!」
身体をくの字に折り曲げて吹き飛ぶ不良生徒。
それを見ていた秋穂は酷く混乱していた。
(鬼人となった不良の拳を受けて何ともないなんて……しかも殴り飛ばした?!あの身体の何処にそんな膂力が?!)
「おごっ……がはっ……?!」
「なんだ?もう終いか?」
腹部に受けた衝撃で呼吸がままならなくなる不良生徒……そんな彼を今度は見下ろしながらウツロは首の節をパキポキと鳴らした。
「な、舐めやがってぇぇぇ!」
不良生徒はそう叫ぶと徐ろに両手を地面へ付ける。
すると驚くことに彼が触れた地面が盛り上がり、そこには巨大な土……いや、巨大な岩が出来上がっていた。
それを見た秋穂は目を大きく見開く。
(違う……これは鬼人の神威なんかではないわ!まさか……固有型?!)
秋穂が驚く前で不良生徒は作り上げた巨岩を軽々と持ち上げると、それをウツロ目掛けて投げつけた。
「潰れろやァァァ!!」
これを受けたらいくらウツロでも一溜りもないと判断した秋穂は彼を助けるために動いた。
しかしそんな秋穂の目の前でウツロはゆっくりと手を挙げ、まるでボールを捕ろうとするかのように前方……飛んでくる巨岩へと差し伸ばした。
「何やってるの?!早く避けなさい!」
「避ける必要ねぇよ」
「……え?」
〝避けろ〟という秋穂の指示に〝必要ない〟と返すウツロ。
どうしてそのような返事をしたのか秋穂には分からなかったが、その理由はこの後直ぐに明らかとなる。
一直線にウツロ目掛けて飛ぶ巨岩─────しかしその巨岩は差し伸ばされていたウツロの手に触れるか否かのところで消え去った。
「え?」
「は?」
「「うそぉ……」」
まるでその光景だけ切り取られたかのように一瞬で消え去った巨岩にウツロ以外の全員が唖然とした。
もしウツロが何かしらの衝撃を与えて砕いたとしても、破片どころか砂粒一つすら無いのはおかしい。
だがそんな事を考えている暇もなく不良生徒は今度は自らの体を岩へと変えてウツロへと突進した。
「ウオォォォォ!!」
(やはり固有型の神威……しかしこんな能力見た事がないわ。未確認?それならば納得がいくわね)
まるで一つの岩となった不良生徒を見ながら冷静にそう分析する秋穂。
固有型神威はまだ存在が明らかとなっていないものが多く、このように未だ確認されていない神威を持つ者が少なからずいるのである。
しかし岩と化した不良生徒を前にしてもウツロは全く動じず、今度は両手を差し出して不良生徒を受け止めようとする姿勢を取った。
「無駄だ!このままぶっ飛ばしてやらぁ!」
まるで目標を定めた猪の如く突進してくる不良生徒─────そして彼がウツロへ衝突するその瞬間、その突進は意図も容易く止められてしまった。
それだけでは無い……先程までゴツゴツとした岩と化していた身体が元に戻っただけでなく、鬼人の姿さえも保っていなかった。
人間としての姿へと戻ってしまった不良生徒はウツロに受け止められた状態で目を大きく見開く。
「お、俺の……俺の〝岩鬼〟が……しかもなんだ?さっきから神威を発動させようとしてんのに全然発動しねぇ!」
(あの時と同じだわ……)
神威が発動しないことに戸惑う不良生徒……その様子は今朝の強盗犯と全く同じであった事に秋穂は気がつく。
そんな彼女の視線の先ではウツロが不良生徒の頭を掴み、そして全体重を込めて下へと振り下ろしていた。
「ちょっ……待っ─────」
その言葉が言い終わる前に不良生徒の頭は深々と地面へと突き刺さった。
頭だけ地面に埋まりながらもんどりを打つような姿勢で動かなくなった不良生徒。
それを見下ろしながらウツロは手についた埃を払いながらあっけらかんにこう言った。
「これでようやく静かになったか」
そして彼は振り返ると秋穂に訊ねる。
「それで……なんの話しでしたっけ?」
「えぇ……っと~……」
何事も無かったのようなウツロに、秋穂は何を言えば良いのか分からず、言葉を探しあぐねるのであった。
──────────────────
《次回予告》
天城空洞の力を垣間見た香村秋穂は、彼と話をする為に喫茶店へと向かう
そして空洞から聞かされた話に秋穂は驚きを隠せないのであった
次回、〝天城空洞の過去〟
女性刑事は柘植口と御白瀬の二人を庇うようにして避けると、その人影は先程まで三人がいた場所を転がって行った。
「やっぱりもう終わってんじゃん」
「どうせなら見たかったよね~」
「……」
二人が不満そうにそう話をしている横で、女性刑事はその光景に息を飲んでいた。
地面に転がる数人もの不良生徒達の中心で悠然と佇む一人の男子生徒─────彼は三人の気配に気づいたのか顔をこちらへと向ける。
「なんだ……誰かと思ったら柘植口と御白瀬じゃねぇか。様子でも見に来たのか?だが生憎と見ての通りもう終わったぞ?」
「いや~、ウチらが来たのはそういうことじゃないんだよね~」
「なんかこの人が天城くんに用事があるんだって~」
二人はそう言うと女性刑事へと顔を向ける。
男子生徒……先程まで丸山の話題に出ていた天城ウツロはその女性刑事を見て訝しげな表情を浮かべたあと、今朝の事を思い出したか〝あっ!〟と目を見開いた。
「今朝の……」
「はい、今朝方ぶりですね天城ウツロくん。私は警視庁第0課神威犯罪対策室所属の刑事、〝香村秋穂〟と申します」
「へぇ……その刑事さんが俺に何の用っスかね?」
その口調は今朝、自身を助けてくれたあの少年と同じであった。
違うところと言えば今朝は被っていなかった帽子を被っているというところだろう。
そんな帽子のツバを僅かに上げながら訊ねてくる天城ウツロに、女性刑事……香村秋穂は丁寧に頭を下げた。
「今朝は本当にありがとう。私はもちろん、上司達も大変感謝していたわ」
「別に礼を言われる程ではないっスよ。向こうが〝邪魔だ、どけ!〟なんて言ってくるもんですからムカついて投げ飛ばしてやっただけの事っスから」
ウツロの様子からその言葉が照れ隠しからくるものでは無いと見抜いた秋穂……それにより彼女はウツロが丸山達から聞いた通りの人物だと改めて思った。
そして彼女はウツロにある疑問を投げる。
「そういえば……今朝貴方が捕まえた犯人なのだけど、神威所有者だったのよね」
「へぇ……そうだったんスか」
「あの時、奴は自身を掴んでいる貴方に抵抗する為に神威を使った……けれどその神威は発動しなかった。いったい何故なのでしょうね?」
「さぁ?調子でも悪かったんじゃないっスかね?」
「ふぅん……」
神威犯罪者を取り締まる部署に務めている秋穂は当然、自身も神威所有者である。
彼女の神威は〝芳香〟─────様々な効力を持つ香りを使う事が出来る能力で、その特性として相手が放つ微細な香りでその感情を読み取ることも出来るのであった。
それ故に秋穂はウツロから僅かな〝嘘〟の香りを嗅ぎとる。
それにより少しだけ疑いの眼差しをウツロへと向けてみたが、彼の表情は依然として変化が見られない。
(ここに来て嘘をつく理由は何なのかしら?まさかとは思うけれど……)
そんな事を考えていた秋穂。
しかし彼女の目の前で、ウツロの背後でゆらりと影が動いた。
「後ろ!」
「あん?」
秋穂の声で背後を振り返ったウツロ。
そこには先程まで彼の足元に転がっていた不良生徒の姿があった。
その不良生徒はスキンヘッドが特徴な生徒で、しかもかなり身体が大きい。
そんなスキンヘッドの不良は何本もの青筋を浮かべながらウツロを見下ろし睨みつける。
「天城ウツロぉぉぉ……テメェを必ず殺してやる!」
「やれやれ……なんでこういう手合いは無駄にしぶといんだか」
ため息をつきながらそう話すウツロ。
そんな彼の前で不良生徒の姿がみるみるうちに変化し、そこには大柄な〝鬼〟が立っていた。
(〝鬼人〟の神威所有者!)
神威所有者は相手が無能力者なのか、または人間かそうでないかを見分ける能力を持ち合わせている。
秋穂の目線では不良生徒は確かに人間であり、妖怪では無い事は分かっていた。
そして彼が〝鬼人〟の神威所有者である事を知る。
神威には二つの種類が確認されており、一つは〝汎用型〟……これは一つの神威を多数の神威所有者が持つ能力であり、今朝に捕まった神威犯罪者の神威もこれに値する。
そしてもう一つが秋穂が所有している〝芳香〟のような〝固有型〟神威である。
こちらはその人本人しか持ちえぬ神威で、世界に一つだけの能力を有した神威と言っていいだろう。
そんな汎用型神威〝鬼人〟を持つ不良を前にしてなお、ウツロは至って冷静に彼のことを見上げていた。
「喧嘩が強いからって調子に乗りやがってぇ……だが、この俺様が神威を発動したからにはもう好きにはさせねぇぞ?」
得意げにそう話す不良だったが、その表情は次のウツロの一言で怒りに染る。
「くだらねぇ御託はいいから、さっさとかかってこいよ」
〝ブチッ!〟という血管が切れた音が聞こえてきそうな程の怒りの形相となる不良は勢いよく拳を振り上げると、それをウツロに向けて叩き込んだ。
「「天城くん!!」」
柘植口と御白瀬の悲鳴が揃う。
しかし当のウツロは拳を受けたというのに微動だにしないどころか怪我のひとつも負っていなかった。
それに驚いたのは秋穂だけでなく殴った本人である不良生徒。
「な、なんで……」
「あ?今なんかしたか?」
ウツロはそう言うとお返しと言わんばかりにその拳を不良生徒の腹部へと叩き込む。
「おぐぁ?!」
身体をくの字に折り曲げて吹き飛ぶ不良生徒。
それを見ていた秋穂は酷く混乱していた。
(鬼人となった不良の拳を受けて何ともないなんて……しかも殴り飛ばした?!あの身体の何処にそんな膂力が?!)
「おごっ……がはっ……?!」
「なんだ?もう終いか?」
腹部に受けた衝撃で呼吸がままならなくなる不良生徒……そんな彼を今度は見下ろしながらウツロは首の節をパキポキと鳴らした。
「な、舐めやがってぇぇぇ!」
不良生徒はそう叫ぶと徐ろに両手を地面へ付ける。
すると驚くことに彼が触れた地面が盛り上がり、そこには巨大な土……いや、巨大な岩が出来上がっていた。
それを見た秋穂は目を大きく見開く。
(違う……これは鬼人の神威なんかではないわ!まさか……固有型?!)
秋穂が驚く前で不良生徒は作り上げた巨岩を軽々と持ち上げると、それをウツロ目掛けて投げつけた。
「潰れろやァァァ!!」
これを受けたらいくらウツロでも一溜りもないと判断した秋穂は彼を助けるために動いた。
しかしそんな秋穂の目の前でウツロはゆっくりと手を挙げ、まるでボールを捕ろうとするかのように前方……飛んでくる巨岩へと差し伸ばした。
「何やってるの?!早く避けなさい!」
「避ける必要ねぇよ」
「……え?」
〝避けろ〟という秋穂の指示に〝必要ない〟と返すウツロ。
どうしてそのような返事をしたのか秋穂には分からなかったが、その理由はこの後直ぐに明らかとなる。
一直線にウツロ目掛けて飛ぶ巨岩─────しかしその巨岩は差し伸ばされていたウツロの手に触れるか否かのところで消え去った。
「え?」
「は?」
「「うそぉ……」」
まるでその光景だけ切り取られたかのように一瞬で消え去った巨岩にウツロ以外の全員が唖然とした。
もしウツロが何かしらの衝撃を与えて砕いたとしても、破片どころか砂粒一つすら無いのはおかしい。
だがそんな事を考えている暇もなく不良生徒は今度は自らの体を岩へと変えてウツロへと突進した。
「ウオォォォォ!!」
(やはり固有型の神威……しかしこんな能力見た事がないわ。未確認?それならば納得がいくわね)
まるで一つの岩となった不良生徒を見ながら冷静にそう分析する秋穂。
固有型神威はまだ存在が明らかとなっていないものが多く、このように未だ確認されていない神威を持つ者が少なからずいるのである。
しかし岩と化した不良生徒を前にしてもウツロは全く動じず、今度は両手を差し出して不良生徒を受け止めようとする姿勢を取った。
「無駄だ!このままぶっ飛ばしてやらぁ!」
まるで目標を定めた猪の如く突進してくる不良生徒─────そして彼がウツロへ衝突するその瞬間、その突進は意図も容易く止められてしまった。
それだけでは無い……先程までゴツゴツとした岩と化していた身体が元に戻っただけでなく、鬼人の姿さえも保っていなかった。
人間としての姿へと戻ってしまった不良生徒はウツロに受け止められた状態で目を大きく見開く。
「お、俺の……俺の〝岩鬼〟が……しかもなんだ?さっきから神威を発動させようとしてんのに全然発動しねぇ!」
(あの時と同じだわ……)
神威が発動しないことに戸惑う不良生徒……その様子は今朝の強盗犯と全く同じであった事に秋穂は気がつく。
そんな彼女の視線の先ではウツロが不良生徒の頭を掴み、そして全体重を込めて下へと振り下ろしていた。
「ちょっ……待っ─────」
その言葉が言い終わる前に不良生徒の頭は深々と地面へと突き刺さった。
頭だけ地面に埋まりながらもんどりを打つような姿勢で動かなくなった不良生徒。
それを見下ろしながらウツロは手についた埃を払いながらあっけらかんにこう言った。
「これでようやく静かになったか」
そして彼は振り返ると秋穂に訊ねる。
「それで……なんの話しでしたっけ?」
「えぇ……っと~……」
何事も無かったのようなウツロに、秋穂は何を言えば良いのか分からず、言葉を探しあぐねるのであった。
──────────────────
《次回予告》
天城空洞の力を垣間見た香村秋穂は、彼と話をする為に喫茶店へと向かう
そして空洞から聞かされた話に秋穂は驚きを隠せないのであった
次回、〝天城空洞の過去〟
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