姫待ち。魔王を倒したチート魔術師は、放っておかれたい

在江

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14 金属の偏愛 *

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 ベイジルの住まいは、城下町の郊外にある立派なお屋敷だった。召使というよりも、部下と言いたくなるような、体格の良いドワーフが並んで俺たちを出迎えた。

 「すごいなあ。一人で住んでいるのか?」

 「いや。もう一人いる。後で紹介する」

 俺は、ベイジルがちょっと照れたことに気が付いた。してみると、結婚したのだ。
 出迎えにいないのは、子供を産んだばかりだからかもしれない。幸せそうで何よりだ。

 「夕食まで休んでおけ。湯浴ゆあみなら、部屋にもあるが、大浴場も使ってくれ。うちの自慢だ」

 「おお。どこだかの街にあった奴か。懐かしいな」

 一緒に旅をした時、火山の熱で温まった湧水ゆうすいの池があり、地元民の湯浴みに使われていた。
 薬湯にでも入ったみたいに、体の疲れが取れたものだった。

 あれを自宅に作ってしまうとは、豪勢である。
 俺は喜んで旅の思い出を追体験し、部屋で眠らせてもらった。


 起こされた時には、夕食の時間となっていた。
 案内された食堂の席に着くのは、俺とベイジルだけである。食卓には、新鮮な野菜や果物が並び、肉料理や魚料理も供された。

 給仕も全て髭面ひげづらのドワーフが行う。髪の色合いや、髭の感じなど、よく見れば一人一人異なるのだが、体型など全体の印象は皆同じだった。

 俺一人が異質である。警戒されたり、注目を集めたりするのも当然だった。
 見た目は違っても、食べる物は変わらない。どれも、食材の良さがわかる美味しい料理だった。

 ドワーフだって、金属や宝石だけで生きている訳ではない。それらが埋まる土にも造詣ぞうけいが深い。
 だから、農業や酪農に従事するドワーフも存在するのだ。ベイジルは薬草にも興味を持っていて、俺も旅の間世話になった。


 食事の席では、四方山よもやまの話をした。ベイジルは王位継承権を放棄して、身軽な立場で外交面から王を支えている、ということだった。
 王位争いに敗れ、不遇をかこっている訳ではなかった。安心した。

 「王族は色々しがらみがあるからな」

 意味ありげに俺を見る。姫のことを指しているのだ。給仕もいる場で、あからさまに口に出すことはしない。俺も適当に頷くだけに留めた。

 アデラが辺境騎士団長になった話をすると、ベイジルは喜んでみせた。俺はゴールト前団長の行状ぎょうじょうや、アデラと俺がヤッた話は伏せておいた。

 「あちこちで魔物が出現しているらしいからな。アデラなら対処に慣れているだろう」

 「ここでも出るのか?」

 俺が驚いて尋ねると、ベイジルが手を振った。

 「いいや。外の話だ。出入りの商人から聞いた。魔王と一緒に自然に滅びたものだと思っていたんだが、そういう存在ではないのだな」

 俺たちが魔王を倒した時、魔物が一斉に姿を消した、という報告があちこちから上がった。それで俺たちは、魔王と魔物はつながった一つの存在と思っていたのだ。

 中には、魔王と一緒に滅びた魔物もいただろうが、見た通り別個の存在と考えるべきなのだろう。

 「それについては、個別に潰していくしかないんだろうな」

 「増えないといいな。その中から、新しい魔王が育つかもしれん」

 俺たちは、自分たちの言葉に身震いした。


 食後、飲み直そうと案内された部屋には、酒の瓶が棚にずらりと並んでいた。
 ここには召使もいない。二人きりである。

 「どんな酒がいい? 甘いの辛いの、炭酸入り、香りや色まで、お好みを言ってみろ」

 「俺、そんなに酒に詳しくない。エールぐらいの強さで、苦くなければ、あとは何でも」

 「水じゃないか」

 ベイジルはそう言いながら、甘い香りのする酒を水で割って注文通りに仕立てた。ここの酒器は金属カップである。木製よりも、酒の味がよくわかる。

 シャラシャラ‥‥細かい金属同士の擦れるような音がした。俺が警戒するまでもなく、ベイジルが顔を向けた。俺たちが入ってきた方とは別の、奥へ通じる扉である。

 「紹介しておこうと思っていたんだ。入っていいぞ」

 密やかなノックの後に、扉が開いた。
 ドワーフである、多分。というのも、ドワーフにしては凹凸がはっきりしている。髭も生えていない。

 その女の体には、鎖が巻き付いていた。正面に、綺麗な菱形が形作られている。手足にも鎖が巻き付いているが、彼女は自力で扉を開閉し、歩いてきた。自由を制限するためではなく、そういう形の物なのだろう。

 問題は、女がまとっている物がその鎖だけ、ということである。
 鎧の下に着込む鎖帷子くさりかたびらとは違う。

 何故なら、鎖が突き出た乳房を囲むように配置され、心臓の部分、というか乳首がもろ見えなのだ。股の間にも縦に鎖が渡され、何なら割れ目に食い込んでいた。

 思い切り全部確認したところで、俺は我に返り、目を逸らす。女の恥じらう表情が目に残った。

 「えっ、と。ベイジル?」

 「ああ。彼女が同居するパメラだ。パメラ。彼はザカリー。今はザックと名乗っているんだったな。昔の仲間で、優秀な魔術師だ。挨拶しなさい」

 そう言われては、相手を見ない訳にいかない。俺は、パメラの方へ顔を向けながら目の焦点をぼかそうと、無駄な努力をした。ダメだ。尖った乳首まで、くっきりと見えてしまう。

 「はい。ベイジル様。ザック様、初めてお目にかかります。パメラと申します。どうぞお見知り置きを」

 腰をかがめ、精一杯のお辞儀をするパメラ。鎖があそこを擦るのか、脚をもじもじさせている。
 俺は、ああとか何とか、いい加減な挨拶しか返せなかった。

 「どうだ。鎖の輪一つから全部わしが手がけたんだぞ。磨きは特に念入りにした。触ってみてもいいぞ」

 「いいの?」

 もちろん、鎖の方である。パメラが顔を赤くしている。
 俺は遠慮しておきたかったが、ベイジルは大真面目に鎖衣装を勧める。酔った頭で、ようやく腕を触れば良いことに気付き、形ばかり撫でた。

 「おおっ」

 思わず声が出た。
 金属なのに、柔らかい感触を得たのである。間違って肌を触ってしまったかと思い、もう一度触れてみた。間違いない。鎖の方である。

 「これは、すごい」

 「な。お前もわかってくれたか」

 ベイジルは満足そうだった。なるほど。鎖の凄さを理解してもらうために、余計な布を着せなかったのか。職人肌の彼らしいやり方だ。

 「作るのは大変だったろう。商品化したのか?」

 鎖帷子の形にするなら、もっと輪の数が必要だ。注文生産になるだろう。

 「今のところ、わしの趣味だな。パメラ。客人をおもてなししろ」

 「はい」

 「それより、もう着替えた方が」

 言いかけた俺の下半身が、素早くかれた。勢いよく飛び出した俺の息子を恥ずかしく思う間もなく、パメラが口に頬張った。

 「あ、いや。ぐっ。ベイジル、ちょっと」

 「遠慮するなザック。パメラは食事がまだなんだ。しぼり出すのも上手いぞ。存分に飲ませてやってくれ」

 ベイジルは上機嫌で金属カップをあおった。先ほど封を切った酒の瓶が、空になっていた。

 言われるまでもなく、パメラの巧さは実感していた。

 じゅぼじゅぼじゅぼ、と俺の先走り液と彼女の涎が派手に音を立てる。

 酔いと目の前のエロい肢体が興奮を高め、パメラの頭を掴みたい衝動を抑えるために、ソファの肘掛けを掴んだ。

 「ああっ。出るっ」

 たちまち俺は精を放った。パメラはごくりと飲み下し、手の甲で口の周りを拭った。
 その視線の先は、ベイジルである。褒めて、と顔に書いてあった。

 「ザックはまだ、出し足りないだろう?」

 「へ。いえいえ、そんなことは」

 俺は遠慮したが、ベイジルの意向を察したパメラが素早くしごき始め、俺はたちまち復活した。

 「どうだ。手だけでもイケるぞ。だが、パメラもあれだけでは足りん。もっと飲ませてやれ」

 パクリ、とパメラが再び俺をくわえる。たちまち先ほどの快感が蘇った。

 「あの、その」

 「どおれ。わしも、使わせて貰おう。あそこの具合は、どうなっとるかな」

 ベイジルがパメラの腰を叩くと、彼女がぐうっと尻を持ち上げた。猫みたいだ。彼は、その尻に手を伸ばすと、ぐいっと何かを引っ張り出した。

 「うぐっ」

 パメラが俺のモノを咥えたまま、呻く。きゅっ、と締まった口に、俺も危うく放出するところだった。

 彼が取り出したのは、男のモノを模した金属棒だった。ぐじょぐじょに濡れて、粘液がたらりとしたたった。

 「良さそうだな」

 ベイジルはローテーブルの上にそれを置いた。それからひょいと自分の息子を引き出すと、パメラの腰を掴み、一気に突き入れた。

 「はうっ」

 パメラの口が緩む。俺は思わず、彼女の頭を手で挟み、息子から外れるのを防いだ。

 「どうだ、俺の趣味は?」

 腰を小刻みに使いつつ、ベイジルが尋ねる。彼と俺は、パメラをテーブルのように挟んで向かい合っていた。

 「趣味?」

 再び俺を咥え込んだパメラの舌使いに溺れそうなところへ訊かれて、一瞬どのことか混乱する。鎖の技術は素晴らしかった。パメラの性技もイイ。それに彼女は

 「ドワーフにしては美人だ。あっ、俺の趣味の問題なんだけど」

 「おっ、締まった。そうだろ、美人だろう」

 ベイジルの腰使いが、勢いを増す。突かれたパメラの口が、より一層俺のあそこと密着する。先っぽは、喉元まで入り込んでいる。

 「わしらの間では、彼女は非常にみにくいことになっとる」

 「まさか。信じられん」

 「本当だ。平民だしな」

 「そこは関係ないだろう」

 「まあ、そうだな。わしが王城に住んでいたら、こういうことはできん、と言いたかっただけだ。そろそろイこうか」

 「ぐぐうっ」

 ベイジルが激しく腰を動かすにつれ、俺の息子も激しく扱かれた。
 俺たちは、同時に達したのだった。
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