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帝国編
言い回しが変わっても意味は同じなのです
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帝都の東城壁門から出て北に向かい歩き様子を見つつ、リアにソリを転送してもらう事にする・・・戦闘以外なら融通を利かせてくれる古龍様である。
レナは突如として出現した物体を不思議そうに触っている、転送という現象を目の当たりにしたからなのかソリに見せかけた鉄箱に対してかの疑問かは不明だが。
「なるほど、流石は古龍様と言うべきなのかな、次元の壁とかお構いなしと」
「謎だよね!フィオナも杖とか鎧を使ってないとき同じようにしてる気がするけど!」
「私のは家の物置から取り出しているだけですが、リアみたいな異空間から際限なくとはいかないのです」
ソリも物理的に置く場所がなかったのでリアに預けている、家の屋上に置けなくもないが・・・マリナが洗濯物を干す際に邪魔になるだろう。
「・・・あの時はフィオナがソリを転送したと思ってたけど、私達的にはどっちでも大差ないかな」
「以前と形が少し変わってますわね、前側面の窪みは何の意味がありまして?」
「ディオールの杖先を取り付けるのです、私は今まで通り杖に乗ってソリを引く・・・といった感じなのです」
赤い服のおじいさんがトナカイに引かせるようなイメージで改良してみたが、この場合だと、私がトナカイである。
「・・・今更だけど魔導師の長杖って万能道具のように使うものだったかな・・・大鎌や弦のない弓みたいに使用できる武器では・・・」
「学院に入学する前から既に使い方はおかしかったですわ、長杖はそもそも宙に浮きませんわ」
さも私だけがおかしいみたいに言っているな、今まで見てきた冒険者の中に杖を手甲の形で使ったり、刀の鞘で魔導術を使う者はいない・・・2人も仲間である。
「大森林から帝都への帰り道じゃ結構地面ギリギリだったよ!大丈夫なのフィオナ?」
「浮遊のみにイメージを集中させれば・・・大丈夫だとは思うのです、恐らく」
「フィオナがソリを浮かせれるのが前提ですので、皆さん乗ってみますわよ」
4人がソリに乗り、私は杖に跨がる・・・杖の固定力に問題はなさそうだが浮くだろうか。
ソリは少しふらつき、不安定ながらも宙に浮き、徐々に高度を上げると城壁上部の辺りまで高さは確保できていた。
「おお!浮いてる浮いてる!」
「姉様あまり動かないで欲しいのです、バランスが崩れそうなのですー」
アイリがソリの側面から下を見下ろす際、重心が傾くのを戻す・・・自分のイメージにない動きが加わることで常時修正するのが少々難しい。
「・・・大変そうだね、ミリーには何か考えがあるようだけど・・・どうするの?」
「こうするのですわ、フィオナは速度を上げても大丈夫なら言って下さいまし」
ミリーは後ろを向き、両手から風の属性放出を使うと・・・ソリが前進していく。
どうやら風の推進力で移動するというのがミリーの手段だったようだ、ジオのスラスター飛行時を参考にしたらしい。
「風の魔導術・・・にしては術式が展開されてないね、フィオナ以外にもそんなことできる人いたんだ」
「・・・正確には魔力の属性放出だよ、私の魔力なら雷みたいに発生する・・・みたいな」
ユラは手からバリバリと電撃を発生させレナに見せているようだ、雷撃での反動を推進力にしようものならバランスが崩れるだろう・・・ミリーの風力は的確な判断と言える。
「問題なさそうなので、風量増やしても大丈夫なのです・・・・・・あ、少しずつでお願いするのです」
ソリは徐々に加速し帝都を離れ、大森林に向けて進んでいくのであった。
帝都から進むこと1時間、大森林の上空に到達する。
アイリと2人で来たときと違い、風圧の軽減力が弱いのもあり空気抵抗により速度は出きらないようだ。
「バンバンババン~なんだかな~~」
「その鼻歌・・・?は何なんですの・・・・・・まあ、いいですわ」
ミリーは1時間魔力を放出しっぱなしだが大丈夫なのだろうか・・・そう思っていたところでレナが聞いていた。
「放出って言うくらいだから、魔力を常時使ってるようなものだよね・・・魔力切れは大丈夫?」
「この程度なら問題ありませんわ、思ってたより風の抵抗感が少ないような気がしますわね・・・」
「私知ってるよ!フィオナが飛ぶ時にういんどり・・・・・・なんだっけ・・・?風圧と音を弱くするとかなんとか言ってた!」
実際のウインドノイズリダクションはワイヤレスイヤホン、もしくはヘッドホンとかに使われてる技術だが、あれは風切り音軽減らしいのでイメージの参考にしたくらいのものである。
ヒアスルーやトランスペアレントというとどういった機能か伝わりづらいが・・・外音取り込みの言い回しが違うだけに過ぎないだろう。
ビームと言わず、レーザー(強調)と言いたいのも私の個人的な好みでしかないが。
「そういうことですの・・・・・・私(わたくし)も飛行を試みたのですけれど、速度を上げたら目が痛かったのですわ」
どうやらミリーも飛ぼうと思えばできるようだ、ゴーグルでも使えば問題なさそうだが・・・使用時の風貌が魔導師らしさは皆無だろう。
そうこうしていると大森林から鳥型の魔物がこちらに向かって飛んできていた。
「急に方向転換するのは安定性が危ういのです、前方から飛来する個体なら一瞬だけバリアーを張って突撃するという手段も・・・」
「・・・私が撃ち落とすよ、ライトニング・バレット!」
ソリの上から鞘尻を前に向け、鳥型に雷撃が走る・・・スナイパーのように次々と撃ち落としていくその姿は刀を使う近接のやることではなかった。
「身体の真横を雷が走ってくのはとてもとても心臓に悪いのです・・・・・・前置きされてもびっくりして少しバランスががが・・・・・・・・・」
「この感覚は・・・魔力の消耗が激しくなりましたわ、大樹の影響のようですわね」
大樹の上を通らないようにはしていたが、どうもこの高度だと魔力を吸われるようだった。
ミリーの魔力放出も多めに消費することで速度はあまり落ちないで済んでいるが、長い時間使わせてるのも気が引ける。
徐々に大樹から離れつつあるものの、魔力吸収の影響が減った所で私の方でも推進力を上げてみる・・・・・・速度も上がりバランスも崩れない事で、このまま大森林を突っ切ろうとした矢先。
「わわわ、いつの間にかソリに穴が広がっていってるよ!!」
「これは・・・・・・溶解液みたいですわ、いったいどこから・・・?」
どうやら大樹の影響を受けていた際、バランスを取るのに集中して速度が落ちたところで、下の死角から溶解液を直撃させられたようだった・・・・・・やってくれたな・・・。
「う、ソリが完全に逝っているのです、狙ったか、羽毛虫ーー!!」
「フィオナ!?何で少し楽しそうにしておりますの!!」
ソリは空中分解されてしまい、当然の事ながら全員が大森林に落下してしまうのであった。
レナは突如として出現した物体を不思議そうに触っている、転送という現象を目の当たりにしたからなのかソリに見せかけた鉄箱に対してかの疑問かは不明だが。
「なるほど、流石は古龍様と言うべきなのかな、次元の壁とかお構いなしと」
「謎だよね!フィオナも杖とか鎧を使ってないとき同じようにしてる気がするけど!」
「私のは家の物置から取り出しているだけですが、リアみたいな異空間から際限なくとはいかないのです」
ソリも物理的に置く場所がなかったのでリアに預けている、家の屋上に置けなくもないが・・・マリナが洗濯物を干す際に邪魔になるだろう。
「・・・あの時はフィオナがソリを転送したと思ってたけど、私達的にはどっちでも大差ないかな」
「以前と形が少し変わってますわね、前側面の窪みは何の意味がありまして?」
「ディオールの杖先を取り付けるのです、私は今まで通り杖に乗ってソリを引く・・・といった感じなのです」
赤い服のおじいさんがトナカイに引かせるようなイメージで改良してみたが、この場合だと、私がトナカイである。
「・・・今更だけど魔導師の長杖って万能道具のように使うものだったかな・・・大鎌や弦のない弓みたいに使用できる武器では・・・」
「学院に入学する前から既に使い方はおかしかったですわ、長杖はそもそも宙に浮きませんわ」
さも私だけがおかしいみたいに言っているな、今まで見てきた冒険者の中に杖を手甲の形で使ったり、刀の鞘で魔導術を使う者はいない・・・2人も仲間である。
「大森林から帝都への帰り道じゃ結構地面ギリギリだったよ!大丈夫なのフィオナ?」
「浮遊のみにイメージを集中させれば・・・大丈夫だとは思うのです、恐らく」
「フィオナがソリを浮かせれるのが前提ですので、皆さん乗ってみますわよ」
4人がソリに乗り、私は杖に跨がる・・・杖の固定力に問題はなさそうだが浮くだろうか。
ソリは少しふらつき、不安定ながらも宙に浮き、徐々に高度を上げると城壁上部の辺りまで高さは確保できていた。
「おお!浮いてる浮いてる!」
「姉様あまり動かないで欲しいのです、バランスが崩れそうなのですー」
アイリがソリの側面から下を見下ろす際、重心が傾くのを戻す・・・自分のイメージにない動きが加わることで常時修正するのが少々難しい。
「・・・大変そうだね、ミリーには何か考えがあるようだけど・・・どうするの?」
「こうするのですわ、フィオナは速度を上げても大丈夫なら言って下さいまし」
ミリーは後ろを向き、両手から風の属性放出を使うと・・・ソリが前進していく。
どうやら風の推進力で移動するというのがミリーの手段だったようだ、ジオのスラスター飛行時を参考にしたらしい。
「風の魔導術・・・にしては術式が展開されてないね、フィオナ以外にもそんなことできる人いたんだ」
「・・・正確には魔力の属性放出だよ、私の魔力なら雷みたいに発生する・・・みたいな」
ユラは手からバリバリと電撃を発生させレナに見せているようだ、雷撃での反動を推進力にしようものならバランスが崩れるだろう・・・ミリーの風力は的確な判断と言える。
「問題なさそうなので、風量増やしても大丈夫なのです・・・・・・あ、少しずつでお願いするのです」
ソリは徐々に加速し帝都を離れ、大森林に向けて進んでいくのであった。
帝都から進むこと1時間、大森林の上空に到達する。
アイリと2人で来たときと違い、風圧の軽減力が弱いのもあり空気抵抗により速度は出きらないようだ。
「バンバンババン~なんだかな~~」
「その鼻歌・・・?は何なんですの・・・・・・まあ、いいですわ」
ミリーは1時間魔力を放出しっぱなしだが大丈夫なのだろうか・・・そう思っていたところでレナが聞いていた。
「放出って言うくらいだから、魔力を常時使ってるようなものだよね・・・魔力切れは大丈夫?」
「この程度なら問題ありませんわ、思ってたより風の抵抗感が少ないような気がしますわね・・・」
「私知ってるよ!フィオナが飛ぶ時にういんどり・・・・・・なんだっけ・・・?風圧と音を弱くするとかなんとか言ってた!」
実際のウインドノイズリダクションはワイヤレスイヤホン、もしくはヘッドホンとかに使われてる技術だが、あれは風切り音軽減らしいのでイメージの参考にしたくらいのものである。
ヒアスルーやトランスペアレントというとどういった機能か伝わりづらいが・・・外音取り込みの言い回しが違うだけに過ぎないだろう。
ビームと言わず、レーザー(強調)と言いたいのも私の個人的な好みでしかないが。
「そういうことですの・・・・・・私(わたくし)も飛行を試みたのですけれど、速度を上げたら目が痛かったのですわ」
どうやらミリーも飛ぼうと思えばできるようだ、ゴーグルでも使えば問題なさそうだが・・・使用時の風貌が魔導師らしさは皆無だろう。
そうこうしていると大森林から鳥型の魔物がこちらに向かって飛んできていた。
「急に方向転換するのは安定性が危ういのです、前方から飛来する個体なら一瞬だけバリアーを張って突撃するという手段も・・・」
「・・・私が撃ち落とすよ、ライトニング・バレット!」
ソリの上から鞘尻を前に向け、鳥型に雷撃が走る・・・スナイパーのように次々と撃ち落としていくその姿は刀を使う近接のやることではなかった。
「身体の真横を雷が走ってくのはとてもとても心臓に悪いのです・・・・・・前置きされてもびっくりして少しバランスががが・・・・・・・・・」
「この感覚は・・・魔力の消耗が激しくなりましたわ、大樹の影響のようですわね」
大樹の上を通らないようにはしていたが、どうもこの高度だと魔力を吸われるようだった。
ミリーの魔力放出も多めに消費することで速度はあまり落ちないで済んでいるが、長い時間使わせてるのも気が引ける。
徐々に大樹から離れつつあるものの、魔力吸収の影響が減った所で私の方でも推進力を上げてみる・・・・・・速度も上がりバランスも崩れない事で、このまま大森林を突っ切ろうとした矢先。
「わわわ、いつの間にかソリに穴が広がっていってるよ!!」
「これは・・・・・・溶解液みたいですわ、いったいどこから・・・?」
どうやら大樹の影響を受けていた際、バランスを取るのに集中して速度が落ちたところで、下の死角から溶解液を直撃させられたようだった・・・・・・やってくれたな・・・。
「う、ソリが完全に逝っているのです、狙ったか、羽毛虫ーー!!」
「フィオナ!?何で少し楽しそうにしておりますの!!」
ソリは空中分解されてしまい、当然の事ながら全員が大森林に落下してしまうのであった。
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