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帝国編
被害者意識は視野を狭くするかもです
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烏が空を飛び、私はその少し上を高く飛行しつつミリーに話し掛ける。
「魔導術にはやはり詠唱が必要なのです?」
「いきなりどうしましたの・・・・・・?発動に必要かと言うことでしたら、不要なのは無詠唱で展開できる事が物語っていますわ」
「それはそうなのですが、ミリーが発動させたグラインド・ディストラなんとか?には詠唱を挟んでいたようなので・・・国級までにもなると流石に詠唱が必要になるのかと」
さも当前のように不要と言っているミリーではあるのですが、魔導術は術式と詠唱で展開するというのが一般認識・・・・・・私が言えた口ではないですが。
遠足は帰るまで、とは言うけど急いで帰省する必要性もないので、緩やかな速度で飛行しながらの会話を続行する。
「魔導術って私未だに基準が分からないよ!フィオナはぱっと出すし、ミリーちゃん達も同じように見えるし!」
「・・・理論上は魔力操作で使えるものだから、術式を覚えれば誰でも使えるはずだものね」
「現在まで引き継がれている書物に記されたのをなぞる・・・基準と言われればこうなりますわね、詠唱はあくまで術式に使われている古代文字を模様で思い浮かべやすくする暗記方法にすぎませんわ」
(人族にしては勤勉である・・・この時代で古代文字に理解あるのは素晴らしい事なのである)
「ヴェルトールが感心している・・・私にはまったく理解できないけど、古代文字と認識している人族は少ないらしいね」
ヴェルトール曰わく、古代文字は人族では廃れていき、既に言葉としての意味は失われたと・・・・・・ん?
「アイリさんが最初に見た魔導術がフィオナだったのが原因ですわね、常識外が先であれば無理もないですわ」
(人族でヴェルガリアと同質の力を持つなど、例外もいいところである)
「今日は特に饒舌だねヴェルトール・・・と、つい声を出して話してしまったよ」
「霊的な存在と喋れるのも常識外だと思うのですが・・・リアの力はアートマ領域なのです、イレギュラーはあちらの方なのですよ」
半信半疑でレナの方に視線を送りながら声を掛けてみる、先程から聞こえているこの声の主・・・古龍は驚いて返してきたのです。
(我が声を拝聴した・・・だと・・・・・・?君に話し掛けた覚えはないのである)
「それは内容で察してはいるのですが・・・・・・聞こえてきたものはしょうがないのです」
「え、フィオナにもヴェルトールの声聞こえているの・・・?」
何故聞こえるようになったのか甚だ疑問ではあるのですが、まあいいのです。
「・・・端から見ると2人共独り言みたいになってるよ」
「レイちゃんが話しかけてきたときに返事はしなくていいって言ってたけど、こういう事なんだね!」
「リアさんもそうですけれど、妙な縁ですわね、私(わたくし)達の出会いは偶然ではなく、必然だったのかもしれませんわね」
(ヴェルガリアと繋がりのある者達とは極力関わりたくなかったのである・・・故に図書館の時にも、その場を離れるように催促したと言うのに)
「その言い方だとリアだけじゃなく、私とも関わりたくないということに・・・・・・霊狐のレイちゃんといいコーザル体といい、私の意に反して嫌われすぎなのです」
(あんな化け物を外に連れ出したのは君なのだろう?二度も我を滅っしおってからに・・・・・・)
(聴いておれば被害者振りおるな、そもそも最初に妾へ喧嘩を売ってきたのはそなたじゃ?)
会話にリアも交ざることで頭の中で声が乱立して・・・聴覚を無視して音が鳴り響いてる感覚も実に不思議な気分なのです。
(異質なものに警戒するのは当然なのである、貴様に出会ったのが我の運の尽きだった・・・以降ろくな目にあわないのである)
(被害者意識も甚だしいのぅ、少なくとも二度目に他意はないのじゃ、過去を嘆くより今を視よ)
「ちょっとフィオナ・・・少しふらついていますわよ?」
「少々頭の中が忙しいのですー」
「ヴェルトールは誰と話して・・・・・・頭の中であまり騒がないでほしい」
(魂だけでどうしろというのだ、レナの身体を乗っ取るわけにもいかないのである)
(被害者意識と生への執着が邪魔をしてコーザル体に至れなかったのは運の尽きじゃが、その者が契約を承諾してくれたのは強運と、前向きに捉えればいいものを)
どうやら契約を通してレナの魔力により、存在を維持しているようなのです。
(お二方やかましいのだわ!おちおち寝ていられないのだわ!)
「わわ、レイちゃんが急に不機嫌になった!」
既に脳内が賑やかだったところで、更に声が増えるのでした。
烏が太陽を背に鳥型の目をくらまし、逃げ切る様を見送り改めて聞き耳たてるのです。
(ごめんなのだわアイリ、古龍二体がやかましかったのだわ!)
「んー私にはレイちゃんの声しか聞こえてないよ?」
「・・・3人も独り言で話されると、いよいよ反応に困るのだけど」
「魔導術の話が既に通り越してますわよ・・・話してる相手が古龍と神器と、もはや意味が不明ですわよ」
念話で起こる脳の影響を危惧していたのですが、私も含め3人の実例により恐らく・・・大丈夫そうと判断した私はミリーとユラに念話状態を共有するイメージを試みるのです。
(それはそうと、帝都に戻ったらギルドではなく神殿に来るのじゃ)
「・・・あれ、リアさんの声が聞こえて・・・・・・?」
「どういうこ・・・いえ、フィオナですわね?こんなことをこの場で可能にできるのは」
「まだ何も言っていないのですが・・・ミリーは察するのが早いのです」
(ふむ、コーザルクオリアに移行したようじゃな、高次領域の力を存分に無駄遣い・・・・・・それ自体は今までと大差ないがの)
「貴重な体験ですけれど、大森林も抜けて帝都が見えてきましたわよ?」
「・・・神殿、と仰ってましたね、リアさんが古龍ヴェルガリアなのは存じてますけど・・・」
(今更畏まらないでよいぞユラよ、ヒュージのやつめが皇帝に妾の事も伝えてしまったようでな。昨日の今日で面倒な事になっておるのじゃ)
「面倒は嫌いなん・・・・・・もしかしてリアが本物かどうか疑われたです?」
(本物と証明した後で次元断裂の件を裁かれるといいのだわ!)
(お主には特に何もしとらんじゃろ、悪ノリするでないわ・・・)
脳内が騒がしい中、無事、帝都に到着したのでした。
「魔導術にはやはり詠唱が必要なのです?」
「いきなりどうしましたの・・・・・・?発動に必要かと言うことでしたら、不要なのは無詠唱で展開できる事が物語っていますわ」
「それはそうなのですが、ミリーが発動させたグラインド・ディストラなんとか?には詠唱を挟んでいたようなので・・・国級までにもなると流石に詠唱が必要になるのかと」
さも当前のように不要と言っているミリーではあるのですが、魔導術は術式と詠唱で展開するというのが一般認識・・・・・・私が言えた口ではないですが。
遠足は帰るまで、とは言うけど急いで帰省する必要性もないので、緩やかな速度で飛行しながらの会話を続行する。
「魔導術って私未だに基準が分からないよ!フィオナはぱっと出すし、ミリーちゃん達も同じように見えるし!」
「・・・理論上は魔力操作で使えるものだから、術式を覚えれば誰でも使えるはずだものね」
「現在まで引き継がれている書物に記されたのをなぞる・・・基準と言われればこうなりますわね、詠唱はあくまで術式に使われている古代文字を模様で思い浮かべやすくする暗記方法にすぎませんわ」
(人族にしては勤勉である・・・この時代で古代文字に理解あるのは素晴らしい事なのである)
「ヴェルトールが感心している・・・私にはまったく理解できないけど、古代文字と認識している人族は少ないらしいね」
ヴェルトール曰わく、古代文字は人族では廃れていき、既に言葉としての意味は失われたと・・・・・・ん?
「アイリさんが最初に見た魔導術がフィオナだったのが原因ですわね、常識外が先であれば無理もないですわ」
(人族でヴェルガリアと同質の力を持つなど、例外もいいところである)
「今日は特に饒舌だねヴェルトール・・・と、つい声を出して話してしまったよ」
「霊的な存在と喋れるのも常識外だと思うのですが・・・リアの力はアートマ領域なのです、イレギュラーはあちらの方なのですよ」
半信半疑でレナの方に視線を送りながら声を掛けてみる、先程から聞こえているこの声の主・・・古龍は驚いて返してきたのです。
(我が声を拝聴した・・・だと・・・・・・?君に話し掛けた覚えはないのである)
「それは内容で察してはいるのですが・・・・・・聞こえてきたものはしょうがないのです」
「え、フィオナにもヴェルトールの声聞こえているの・・・?」
何故聞こえるようになったのか甚だ疑問ではあるのですが、まあいいのです。
「・・・端から見ると2人共独り言みたいになってるよ」
「レイちゃんが話しかけてきたときに返事はしなくていいって言ってたけど、こういう事なんだね!」
「リアさんもそうですけれど、妙な縁ですわね、私(わたくし)達の出会いは偶然ではなく、必然だったのかもしれませんわね」
(ヴェルガリアと繋がりのある者達とは極力関わりたくなかったのである・・・故に図書館の時にも、その場を離れるように催促したと言うのに)
「その言い方だとリアだけじゃなく、私とも関わりたくないということに・・・・・・霊狐のレイちゃんといいコーザル体といい、私の意に反して嫌われすぎなのです」
(あんな化け物を外に連れ出したのは君なのだろう?二度も我を滅っしおってからに・・・・・・)
(聴いておれば被害者振りおるな、そもそも最初に妾へ喧嘩を売ってきたのはそなたじゃ?)
会話にリアも交ざることで頭の中で声が乱立して・・・聴覚を無視して音が鳴り響いてる感覚も実に不思議な気分なのです。
(異質なものに警戒するのは当然なのである、貴様に出会ったのが我の運の尽きだった・・・以降ろくな目にあわないのである)
(被害者意識も甚だしいのぅ、少なくとも二度目に他意はないのじゃ、過去を嘆くより今を視よ)
「ちょっとフィオナ・・・少しふらついていますわよ?」
「少々頭の中が忙しいのですー」
「ヴェルトールは誰と話して・・・・・・頭の中であまり騒がないでほしい」
(魂だけでどうしろというのだ、レナの身体を乗っ取るわけにもいかないのである)
(被害者意識と生への執着が邪魔をしてコーザル体に至れなかったのは運の尽きじゃが、その者が契約を承諾してくれたのは強運と、前向きに捉えればいいものを)
どうやら契約を通してレナの魔力により、存在を維持しているようなのです。
(お二方やかましいのだわ!おちおち寝ていられないのだわ!)
「わわ、レイちゃんが急に不機嫌になった!」
既に脳内が賑やかだったところで、更に声が増えるのでした。
烏が太陽を背に鳥型の目をくらまし、逃げ切る様を見送り改めて聞き耳たてるのです。
(ごめんなのだわアイリ、古龍二体がやかましかったのだわ!)
「んー私にはレイちゃんの声しか聞こえてないよ?」
「・・・3人も独り言で話されると、いよいよ反応に困るのだけど」
「魔導術の話が既に通り越してますわよ・・・話してる相手が古龍と神器と、もはや意味が不明ですわよ」
念話で起こる脳の影響を危惧していたのですが、私も含め3人の実例により恐らく・・・大丈夫そうと判断した私はミリーとユラに念話状態を共有するイメージを試みるのです。
(それはそうと、帝都に戻ったらギルドではなく神殿に来るのじゃ)
「・・・あれ、リアさんの声が聞こえて・・・・・・?」
「どういうこ・・・いえ、フィオナですわね?こんなことをこの場で可能にできるのは」
「まだ何も言っていないのですが・・・ミリーは察するのが早いのです」
(ふむ、コーザルクオリアに移行したようじゃな、高次領域の力を存分に無駄遣い・・・・・・それ自体は今までと大差ないがの)
「貴重な体験ですけれど、大森林も抜けて帝都が見えてきましたわよ?」
「・・・神殿、と仰ってましたね、リアさんが古龍ヴェルガリアなのは存じてますけど・・・」
(今更畏まらないでよいぞユラよ、ヒュージのやつめが皇帝に妾の事も伝えてしまったようでな。昨日の今日で面倒な事になっておるのじゃ)
「面倒は嫌いなん・・・・・・もしかしてリアが本物かどうか疑われたです?」
(本物と証明した後で次元断裂の件を裁かれるといいのだわ!)
(お主には特に何もしとらんじゃろ、悪ノリするでないわ・・・)
脳内が騒がしい中、無事、帝都に到着したのでした。
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