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帝国編
近くにいる人の行動は伝搬しやすいのです
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帝都の全貌が見えてきた辺りで、そりを少し手前で降下させる・・・ふと考えが過ったのは。
「リアが昨日今日と言っていたのを思い直したのですが、事の顛末を知ってるなら騎士団の方々は帰りを急ぐ必要がなかったのでは・・・?」
「・・・まあそうなるけれど、話が通ってるのを知ったのが今し方だし・・・どの道遅かったね」
「私(わたくし)達が先に戻って伝えるの一言でも十分でしたわね、そこからは他国の事情ですから気にしなくてもよいでしょう」
割とドライな対応のミリーなのですが、私達はクロウディル王国の民・・・ふむ、兄様にくらいは話しておけばよかったかもです。
と思ったが王都に伝わっているわけではないからどの道帰る必要があるかと、念話はやめておくのです。
「ねえフィオナ、ミリーちゃんとユラちゃんには古龍様達の声が聞こえてるんだよね?私は聞こえてないんだけど!」
「そうだね、私にもヴェルトールの声しか・・・何か理由でも?」
「んー2人には既に高次領域に近い存在とバイパスがあるから・・・私の力が変に干渉しそうな気がしたのです、不測の予測なのです」
(賢明な判断なのである、万が一契約ごと断ち切られたらたまったものではないのである)
(まぁ、アタシとアイリなら問題などないのだわ!問題はないけど止めておくのだわ!)
控えめに大反対らしい、リア意外の高次存在にはなかなか受け入れてはもらえないようなのです。
私の力という意味では魔力を使えるようにした方がよさそうなのです・・・そもそも何故魔力が使えなかったのかを再度見直してしまった。
「先程リアはコーザルクオリアとか言ってましたが・・・私の魔力が抑制されてないのに関係しているのです?」
確か龍族の血と魔力の性質が肉体と相性が悪い事で、本来私は死んでいたはず・・・?
いや、既に逝ってしまった結果この世界に来たのだから・・・生まれた瞬間に逝くのを止めれる可能性を見つけたのです。
(フィオナ、それ以上考えるでない)
「?何の事なのです・・・?」
(気にせんでよい、妾はアートマ体であっても原初の存在ではないのだと再認識したのじゃ・・・お主らは視てて退屈せんのう)
結局リアは質問の答えを保留にしたまま、私達は帝都に入り神殿へと向かう事にしたのです。
気にしなくていいと言われると余計に気になるのを一旦放り投げ、東城下町の市場を串焼きを齧りながら歩く・・・ミリーも同じように齧ってるのに上品に見えるから不思議なのです。
「・・・みんなしてフィオナにつられすぎじゃない・・・まあ私も食べるんだけどね」
「露店の龍人様フィオナにいつもありがとうって言ってたね!実は毎日買いに行ってたんだね」
レイちゃんが齧った残りを一口で頬張って食べる姉様、食べ方は人それぞれとはいえ豪快なのです。
(人族の食べ物も美味しくなったものだわ!焼いてたのは龍族だったけど!)
(誇り高き龍族が露店を出す時代・・・我は複雑なのである・・・混血も随分増えたのである)
「グレイス家も龍人貴族だから、私も混血ではあるんだけどね」
「え、レナって貴族だったのです・・・?」
「その反応は気になるけど、言ってなかったっけ?」
「私(わたくし)も初めて聞きましたわね、ヴェルトールの契約も龍族の血が関係していますの?」
(波長が合うことが大前提なのである、アーシュラルドの転生を利用してこの時代に到達し・・・レナの波長がかみ合ったのである)
アーシュラルドの転生先がたまたまこの時代だったようで、それに付いてきたものの波長が合うレナがいなかったら魂は霧散していた・・・という事みたいなのです。
「・・・アーシュラルドって魔王の名前だよね、転生?」
(魂を別の肉体へと移す秘術らしいのである、魔族は姑息な手段を思いつくのである)
「魔王がこの時代に生まれ変わっている・・・ということですわね・・・フィオナはこういう時は全然驚きませんわね?」
知っていましたわね?とミリーに言われるが、転生の話が出るとは思ってなかった事でリアクションが遅れただけでもあるのです。
事前に知っていても、急に話が出てきた時に反応できるかはまた別なのです。
「リアから聞いてはいたのですが、やっぱりそれだと肉体を乗っ取る事にならないです?」
(人族との共存と綺麗事を言っても所詮魔族なのである、自己犠牲よりは賢明なのである)
「魔王=魔族全体の総意でもないと思うです、意見が相違するのも必然なのです」
「好きなものや嫌いなものは皆違うもんね!私が野菜嫌いなのも仕方ないよね!」
皆違って皆良いというやつなのです、とそれはそれとして1つ気になる事があったのです。
「レナの肉体にはヴェルトールの魂が内包してるようですが・・・1つの肉体に2つの魂が存在していて大丈夫なのです?」
「?特に何ともないけど・・・私以外に誰か知ってるの?」
「知らないのです・・・聞いた事があるようなそうでないような」
「フィオナはたまにどころかよく突拍子もないことを聞きますわね・・・話の流れ的に波長が合わないのが問題と言ってると思いますわよ?」
「・・・どんなものであれ、相性が悪ければ壊れるみたいなものじゃない?」
(波長が合うことが大前提と最初から言っているのである、そういう意味ではジェネラルの作った魔槍は最悪だったのである)
自分の意思に反して、狭い場所に隔離されているような状態は居心地が悪そうなのです。
(アタシも波長が合うのはアイリが初めてだったのだわ!獣人族に何百年も奉られているだけなのは退屈でしょうがなかったのだわ!)
(楽だからといって自由を手放すからじゃ、妾が昔神殿に居着いていたのも同じ理由じゃから否定もできぬがの)
与えられて楽を得るのと充足感が得られるのは別のようなのです、一時的な快楽は際限がなくなるのです。
串焼きをもう少し買っておけばよかったと思いながら、六段程度の横に広い階段を上がりデカい扉へと向かうと・・・
「申し訳ない、神殿への立ち入りはご遠慮願えないだろうか」
「あ、入れないなら仕方ないのです。カフェ・フレイヤに向かうのです」
「・・・踵を返すのが早いよ、事情を話せば入れるでしょ・・・」
「面倒事を後回しにする癖は直しなさいな・・・行きますわよ」
両脇をミリーとユラに抱えられ、再度扉の前にいる騎士2人に事情を説明し神殿内部に入る。
大きな支柱が左右対称に三本ずつ立ち、大広間の先に祭壇が見え手前の長い榻背の椅子に座るリア・・・片膝を付いてその姿を見上げている御仁は皇帝陛下のようだったのでした。
「リアが昨日今日と言っていたのを思い直したのですが、事の顛末を知ってるなら騎士団の方々は帰りを急ぐ必要がなかったのでは・・・?」
「・・・まあそうなるけれど、話が通ってるのを知ったのが今し方だし・・・どの道遅かったね」
「私(わたくし)達が先に戻って伝えるの一言でも十分でしたわね、そこからは他国の事情ですから気にしなくてもよいでしょう」
割とドライな対応のミリーなのですが、私達はクロウディル王国の民・・・ふむ、兄様にくらいは話しておけばよかったかもです。
と思ったが王都に伝わっているわけではないからどの道帰る必要があるかと、念話はやめておくのです。
「ねえフィオナ、ミリーちゃんとユラちゃんには古龍様達の声が聞こえてるんだよね?私は聞こえてないんだけど!」
「そうだね、私にもヴェルトールの声しか・・・何か理由でも?」
「んー2人には既に高次領域に近い存在とバイパスがあるから・・・私の力が変に干渉しそうな気がしたのです、不測の予測なのです」
(賢明な判断なのである、万が一契約ごと断ち切られたらたまったものではないのである)
(まぁ、アタシとアイリなら問題などないのだわ!問題はないけど止めておくのだわ!)
控えめに大反対らしい、リア意外の高次存在にはなかなか受け入れてはもらえないようなのです。
私の力という意味では魔力を使えるようにした方がよさそうなのです・・・そもそも何故魔力が使えなかったのかを再度見直してしまった。
「先程リアはコーザルクオリアとか言ってましたが・・・私の魔力が抑制されてないのに関係しているのです?」
確か龍族の血と魔力の性質が肉体と相性が悪い事で、本来私は死んでいたはず・・・?
いや、既に逝ってしまった結果この世界に来たのだから・・・生まれた瞬間に逝くのを止めれる可能性を見つけたのです。
(フィオナ、それ以上考えるでない)
「?何の事なのです・・・?」
(気にせんでよい、妾はアートマ体であっても原初の存在ではないのだと再認識したのじゃ・・・お主らは視てて退屈せんのう)
結局リアは質問の答えを保留にしたまま、私達は帝都に入り神殿へと向かう事にしたのです。
気にしなくていいと言われると余計に気になるのを一旦放り投げ、東城下町の市場を串焼きを齧りながら歩く・・・ミリーも同じように齧ってるのに上品に見えるから不思議なのです。
「・・・みんなしてフィオナにつられすぎじゃない・・・まあ私も食べるんだけどね」
「露店の龍人様フィオナにいつもありがとうって言ってたね!実は毎日買いに行ってたんだね」
レイちゃんが齧った残りを一口で頬張って食べる姉様、食べ方は人それぞれとはいえ豪快なのです。
(人族の食べ物も美味しくなったものだわ!焼いてたのは龍族だったけど!)
(誇り高き龍族が露店を出す時代・・・我は複雑なのである・・・混血も随分増えたのである)
「グレイス家も龍人貴族だから、私も混血ではあるんだけどね」
「え、レナって貴族だったのです・・・?」
「その反応は気になるけど、言ってなかったっけ?」
「私(わたくし)も初めて聞きましたわね、ヴェルトールの契約も龍族の血が関係していますの?」
(波長が合うことが大前提なのである、アーシュラルドの転生を利用してこの時代に到達し・・・レナの波長がかみ合ったのである)
アーシュラルドの転生先がたまたまこの時代だったようで、それに付いてきたものの波長が合うレナがいなかったら魂は霧散していた・・・という事みたいなのです。
「・・・アーシュラルドって魔王の名前だよね、転生?」
(魂を別の肉体へと移す秘術らしいのである、魔族は姑息な手段を思いつくのである)
「魔王がこの時代に生まれ変わっている・・・ということですわね・・・フィオナはこういう時は全然驚きませんわね?」
知っていましたわね?とミリーに言われるが、転生の話が出るとは思ってなかった事でリアクションが遅れただけでもあるのです。
事前に知っていても、急に話が出てきた時に反応できるかはまた別なのです。
「リアから聞いてはいたのですが、やっぱりそれだと肉体を乗っ取る事にならないです?」
(人族との共存と綺麗事を言っても所詮魔族なのである、自己犠牲よりは賢明なのである)
「魔王=魔族全体の総意でもないと思うです、意見が相違するのも必然なのです」
「好きなものや嫌いなものは皆違うもんね!私が野菜嫌いなのも仕方ないよね!」
皆違って皆良いというやつなのです、とそれはそれとして1つ気になる事があったのです。
「レナの肉体にはヴェルトールの魂が内包してるようですが・・・1つの肉体に2つの魂が存在していて大丈夫なのです?」
「?特に何ともないけど・・・私以外に誰か知ってるの?」
「知らないのです・・・聞いた事があるようなそうでないような」
「フィオナはたまにどころかよく突拍子もないことを聞きますわね・・・話の流れ的に波長が合わないのが問題と言ってると思いますわよ?」
「・・・どんなものであれ、相性が悪ければ壊れるみたいなものじゃない?」
(波長が合うことが大前提と最初から言っているのである、そういう意味ではジェネラルの作った魔槍は最悪だったのである)
自分の意思に反して、狭い場所に隔離されているような状態は居心地が悪そうなのです。
(アタシも波長が合うのはアイリが初めてだったのだわ!獣人族に何百年も奉られているだけなのは退屈でしょうがなかったのだわ!)
(楽だからといって自由を手放すからじゃ、妾が昔神殿に居着いていたのも同じ理由じゃから否定もできぬがの)
与えられて楽を得るのと充足感が得られるのは別のようなのです、一時的な快楽は際限がなくなるのです。
串焼きをもう少し買っておけばよかったと思いながら、六段程度の横に広い階段を上がりデカい扉へと向かうと・・・
「申し訳ない、神殿への立ち入りはご遠慮願えないだろうか」
「あ、入れないなら仕方ないのです。カフェ・フレイヤに向かうのです」
「・・・踵を返すのが早いよ、事情を話せば入れるでしょ・・・」
「面倒事を後回しにする癖は直しなさいな・・・行きますわよ」
両脇をミリーとユラに抱えられ、再度扉の前にいる騎士2人に事情を説明し神殿内部に入る。
大きな支柱が左右対称に三本ずつ立ち、大広間の先に祭壇が見え手前の長い榻背の椅子に座るリア・・・片膝を付いてその姿を見上げている御仁は皇帝陛下のようだったのでした。
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