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ダブリン 10
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「どうしたの考え込んで?」とオーリア。
「相手が多いからどうしたものかと思ってな。夜まで待つか?」
「いっそのこと、魔物を誘い込んで襲わせたら」と、クレラインが意外なことを言い出した。
「魔物をどやって誘い込むんだ?」
「あれよ、あれ。眷属のメイを使うのよ。メイはゴブリン人間だから、ゴブリンの言葉が分かるはずよ。メイにゴブリンを集めさせるのよ」
「メイにそんなことが出来ると思うのか?」
「メイを呼び出して聞いてみたら」
俺は、半信半疑ながらメイを召喚して、「ゴブリンを集められるか?」と聞いた。
メイは首を縦に振る。
「なら、ゴブリンを集めてくれ」
メイはコクリと頷くと、上を向いて「グギャグギャ」と叫び始めた。
俺達は3人とも驚いて唖然としていたが、我に返ると、周囲の草むらから
「グギャ」
「グギャ」
「グギャ」
と鳴き声が聞こえて、3匹のゴブリンが草の間から顔を出した。
メイは、ゴブリンたちを見回して頷くと「グギャ」と優しい声を上げた。
すると3匹のゴブリンは草むらから出てきてメイの足元まで来て、クンクンとメイの臭いを嗅いでいる。
そのまま暫く様子を見ていたが、もうゴブリンはやって来ない。
「メイ、集まったゴブリンはそれで全部か?」と聞くと、
メイは首を縦に振った。
「ゴブリンが3匹じゃ戦力にならないな。せめて、10匹ぐらい居れば・・・」
と俺が渋い顔をしていると、
「この3匹を囮に使って、盗賊の数を減らせばいい」とオーリア。
「よし、それなら試してみるか。メイ、そのゴブリンを洞窟の前まで連れて行けるか?」と聞くと、メイは首を縦に振ると踵を返して洞窟の方に向かって歩いて行き、3匹のゴブリンがその後を付いて行く。
そのときは、ゴブリンがたった3匹増えただけで、俺達の戦力がまるで足りていないことに頭が回っていなかった。いや、気付いていたんだが、メイがゴブリンを呼び寄せたことや、クレライン達の楽観的な様子に、油断が生じていたのだ。
俺達は3匹のゴブリンのさらにその後を付いて行く。
ぞろぞろと森の中を進み、ようやく洞窟が見えて来たところで俺達は茂みの中に身を隠す。
メイと3匹のゴブリンはそのまま洞窟の前に進んでいく。
洞窟の前に居た盗賊の見張り達が、メイとゴブリンに気が付いて、
「おい、ゴブリンだ。メイジもいるぞ」と叫んだ。
その瞬間に俺はメイの召還を解除する。
メイが消えると、それまでメイに魅了されたように大人しかったゴブリンたちが急に我に返って、グギャグギャと騒ぎ出した。
「ゴブリンが出たぞ」
「ゴブリンが攻めて来たぞ」
盗賊の見張りが剣を抜いて構えたところに、3匹のゴブリンが突っ込んでいく。
盗賊達の見張りは2人。
ゴブリンを迎え撃とうと剣を振り上げた所へ、俺が撃ったエアーカッターが襲い掛かる。
1人は剣を構えたまま首を切られ、もう1人は顔を切られて、思わず尻もちを付いた。
そこへ殺到したゴブリンたちが棍棒を振り下ろす。
ドスッ、ドガッ、ドスッ。
鈍い音がして、見張りは叩きのめされた。
そこへ、洞窟の中から剣を手にした新しい盗賊が3人飛び出してきた。
「何だ、こいつら」
「やりがったな」
「どこから来やがった」
と、口々に叫びながらゴブリンに斬り掛かる。
周囲への警戒を忘れた無防備な盗賊に、オーリアとクレラインが飛び掛かって、あっという間に3人を斬り殺した。俺達は、最初の騒動の間に、洞窟の入口に忍び寄っていたのだ。
その間に、俺はもう一度メイを召喚した。
洞窟の中から、後続の奴らの足音がするので、洞窟の入口から中に向けてエアーカッターを放つ。
奥から駆け付けて来た先頭の奴がエアーカッターに斬られて悲鳴を上げる。俺の斜め後ろからメイがフィアーボールを続けざまに撃つ。
俺のエアカッターと、メイのファイアーボールで、洞窟の入口に駆けつけて来た盗賊達は大混乱に陥った。
しかし、その魔法攻撃をかいくぐって何人かが飛び出してきた。
1人が、オーリアの投げナイフで倒れ、1人は、クレラインの投石で仰け反る。
残り2人は、ゼネラルソードの一振りで纏めて斬った。
俺は洞窟の中に少し踏み込んで、地面で転がって喚いている盗賊達の止めをさして回る。
5人殺したところで、洞窟の奥から矢が飛んできて、ゼネラルアーマーに当たって跳ね返ったが、俺は、その矢の勢いで洞窟の外に弾き飛ばされた。
車に跳ねられたような衝撃だった。ゼネラルアーマーを着ていなければ、矢が貫通して体に大きな穴が空いていただろう。
さっきの衝撃で体中が痛いが、歯を食いしばって剣を構えると、洞窟の奥から数人の男が姿を現した。その1人が大きなボーガンを持っている。そいつが、また矢をつがえようとしている。1メートルぐらいもある太い矢だ。さっきの矢だろう。
俺は咄嗟に身を翻して逃げ出した。
「逃げろ」と叫び、メイの召還を解除する。
しかし、それより一瞬早く、メイの体をさっきの矢が貫いた。
俺は、必死で森の中に駆け込んだ。目の前に木があったので回り込もうと横にステップしたとき、俺の横をさっきの矢が掠めて、目の前の木をへし折っていった。
森の中に入ると木が邪魔で、真っすぐに走れないが、矢も狙いを定められない。
俺は必至で駆け続け、何とか盗賊の追跡を振り切った。
幸か不幸か、メイが犠牲になって、俺が逃げる時間を稼げたことになった。
クレラインとオーリアは、きっと先に逃げているはずだ。どこかで合流できればいいが、それが無理なら、街に帰って待つしかない。
俺のステータスから、オーリアとクレラインが消えていないので、生きていることは確かだろう。ただ、最悪の場合は、盗賊に捕まっているかもかもしれない。その場合は、取り返しに行かないといけないだろう。
森を出る前にゼネラルアーマーとゼネラルソードの召還を解除したので、盗賊が俺を探していたとしても気付かれる可能性は少ない。
茂みに隠れてメイを召喚したが、召喚できなかった。貴重な戦力を一つ失ったことが悔やまれた。
そのまま街道を避けて、木立ちから木立ちへと身を隠しながら街に近づき、ようやく街の門をくぐった。
泊まっていた宿屋に戻ると、入り口の蔭でオーリアが待っていた。
俺が駆け寄って、
「よかった、逃げのびたか。クレラインは?」と聞くと
オーリアは首を振り、
「分からない」と答えた。
「俺のステータスからクレラインの名前が消えていないから、生きているはずだ。ただ、問題は、奴らに捕まっていないかどうかだ」
「私も、それが心配よ。捕まっていたら助けに行く?」
「もちろんだ。しかし、その前に戦力を整えないとな。いったん、部屋に戻ろうか。まだ、捕まったと決まったわけじゃないからな」
「そうね」
オーリアの前では平静を装っているが、
『仲間を増やすつもりだったのに、逆に、仲間を失ったかもしれない。あんまりにも考え無しだな、俺は。クレラインに何かがあったらどうしよう』
後悔と自己嫌悪が俺を苦しめていた。
部屋に戻って2人でベッドに腰を下ろすと、
「少し考えさせてくれ」と言って俺は、そのまま目を瞑って、今後の策を考える。
『自分の判断ミスにこだわっていても仕方がない。この状況をどうやって打開するかだ。今の課題は、戦力アップだ。そして、戦力をアップするには強い冒険者を雇うか、俺自身が強くなるかしかない』
それからさらに考える。
『強い冒険者を雇えるほどの金はない。それなら、俺自身が強くなるしかない。手っ取り早く強くなるには・・・魔石を食うしかない。それも強い魔物の魔石だ』
「なあ、魔石って、どれくらいの値段がするんだ?」と俺が口にすると
「やっぱり魔石を食うんだね」と考えていることを見抜かれていた。
「強い魔物の魔石は高いよ。あんたが今以上に強くなるにはオークゼネラルぐらいの魔石が必要だけど、買うとしたら金貨数十枚は必要じゃないかな」
「金貨数十枚か・・・。どこで売ってる?」
「道具屋だろうね。ギルドは買い取るばかりで売ってくれないからね」
「よし、これから道具屋に行って見てくる」
「オークゼネラルの魔石なんか、そうそう置いてないと思うけどね」
「そうか。でも、それしか手は無さそうだからな」
「分かった。私も一緒に行くよ。あんたが1人だと、ぼったくられそうだ」
「それなら、クレラインが帰って来た時の為に、宿屋の親父に伝言を頼もう。それで、一旦ここに戻って、まだ、クレラインが帰っていなかったら、助けに出よう」
俺達は宿屋の父に「仲間が帰ってきたら、部屋で待つように伝えてくれ」と言いながら、部屋の鍵を渡した。
「相手が多いからどうしたものかと思ってな。夜まで待つか?」
「いっそのこと、魔物を誘い込んで襲わせたら」と、クレラインが意外なことを言い出した。
「魔物をどやって誘い込むんだ?」
「あれよ、あれ。眷属のメイを使うのよ。メイはゴブリン人間だから、ゴブリンの言葉が分かるはずよ。メイにゴブリンを集めさせるのよ」
「メイにそんなことが出来ると思うのか?」
「メイを呼び出して聞いてみたら」
俺は、半信半疑ながらメイを召喚して、「ゴブリンを集められるか?」と聞いた。
メイは首を縦に振る。
「なら、ゴブリンを集めてくれ」
メイはコクリと頷くと、上を向いて「グギャグギャ」と叫び始めた。
俺達は3人とも驚いて唖然としていたが、我に返ると、周囲の草むらから
「グギャ」
「グギャ」
「グギャ」
と鳴き声が聞こえて、3匹のゴブリンが草の間から顔を出した。
メイは、ゴブリンたちを見回して頷くと「グギャ」と優しい声を上げた。
すると3匹のゴブリンは草むらから出てきてメイの足元まで来て、クンクンとメイの臭いを嗅いでいる。
そのまま暫く様子を見ていたが、もうゴブリンはやって来ない。
「メイ、集まったゴブリンはそれで全部か?」と聞くと、
メイは首を縦に振った。
「ゴブリンが3匹じゃ戦力にならないな。せめて、10匹ぐらい居れば・・・」
と俺が渋い顔をしていると、
「この3匹を囮に使って、盗賊の数を減らせばいい」とオーリア。
「よし、それなら試してみるか。メイ、そのゴブリンを洞窟の前まで連れて行けるか?」と聞くと、メイは首を縦に振ると踵を返して洞窟の方に向かって歩いて行き、3匹のゴブリンがその後を付いて行く。
そのときは、ゴブリンがたった3匹増えただけで、俺達の戦力がまるで足りていないことに頭が回っていなかった。いや、気付いていたんだが、メイがゴブリンを呼び寄せたことや、クレライン達の楽観的な様子に、油断が生じていたのだ。
俺達は3匹のゴブリンのさらにその後を付いて行く。
ぞろぞろと森の中を進み、ようやく洞窟が見えて来たところで俺達は茂みの中に身を隠す。
メイと3匹のゴブリンはそのまま洞窟の前に進んでいく。
洞窟の前に居た盗賊の見張り達が、メイとゴブリンに気が付いて、
「おい、ゴブリンだ。メイジもいるぞ」と叫んだ。
その瞬間に俺はメイの召還を解除する。
メイが消えると、それまでメイに魅了されたように大人しかったゴブリンたちが急に我に返って、グギャグギャと騒ぎ出した。
「ゴブリンが出たぞ」
「ゴブリンが攻めて来たぞ」
盗賊の見張りが剣を抜いて構えたところに、3匹のゴブリンが突っ込んでいく。
盗賊達の見張りは2人。
ゴブリンを迎え撃とうと剣を振り上げた所へ、俺が撃ったエアーカッターが襲い掛かる。
1人は剣を構えたまま首を切られ、もう1人は顔を切られて、思わず尻もちを付いた。
そこへ殺到したゴブリンたちが棍棒を振り下ろす。
ドスッ、ドガッ、ドスッ。
鈍い音がして、見張りは叩きのめされた。
そこへ、洞窟の中から剣を手にした新しい盗賊が3人飛び出してきた。
「何だ、こいつら」
「やりがったな」
「どこから来やがった」
と、口々に叫びながらゴブリンに斬り掛かる。
周囲への警戒を忘れた無防備な盗賊に、オーリアとクレラインが飛び掛かって、あっという間に3人を斬り殺した。俺達は、最初の騒動の間に、洞窟の入口に忍び寄っていたのだ。
その間に、俺はもう一度メイを召喚した。
洞窟の中から、後続の奴らの足音がするので、洞窟の入口から中に向けてエアーカッターを放つ。
奥から駆け付けて来た先頭の奴がエアーカッターに斬られて悲鳴を上げる。俺の斜め後ろからメイがフィアーボールを続けざまに撃つ。
俺のエアカッターと、メイのファイアーボールで、洞窟の入口に駆けつけて来た盗賊達は大混乱に陥った。
しかし、その魔法攻撃をかいくぐって何人かが飛び出してきた。
1人が、オーリアの投げナイフで倒れ、1人は、クレラインの投石で仰け反る。
残り2人は、ゼネラルソードの一振りで纏めて斬った。
俺は洞窟の中に少し踏み込んで、地面で転がって喚いている盗賊達の止めをさして回る。
5人殺したところで、洞窟の奥から矢が飛んできて、ゼネラルアーマーに当たって跳ね返ったが、俺は、その矢の勢いで洞窟の外に弾き飛ばされた。
車に跳ねられたような衝撃だった。ゼネラルアーマーを着ていなければ、矢が貫通して体に大きな穴が空いていただろう。
さっきの衝撃で体中が痛いが、歯を食いしばって剣を構えると、洞窟の奥から数人の男が姿を現した。その1人が大きなボーガンを持っている。そいつが、また矢をつがえようとしている。1メートルぐらいもある太い矢だ。さっきの矢だろう。
俺は咄嗟に身を翻して逃げ出した。
「逃げろ」と叫び、メイの召還を解除する。
しかし、それより一瞬早く、メイの体をさっきの矢が貫いた。
俺は、必死で森の中に駆け込んだ。目の前に木があったので回り込もうと横にステップしたとき、俺の横をさっきの矢が掠めて、目の前の木をへし折っていった。
森の中に入ると木が邪魔で、真っすぐに走れないが、矢も狙いを定められない。
俺は必至で駆け続け、何とか盗賊の追跡を振り切った。
幸か不幸か、メイが犠牲になって、俺が逃げる時間を稼げたことになった。
クレラインとオーリアは、きっと先に逃げているはずだ。どこかで合流できればいいが、それが無理なら、街に帰って待つしかない。
俺のステータスから、オーリアとクレラインが消えていないので、生きていることは確かだろう。ただ、最悪の場合は、盗賊に捕まっているかもかもしれない。その場合は、取り返しに行かないといけないだろう。
森を出る前にゼネラルアーマーとゼネラルソードの召還を解除したので、盗賊が俺を探していたとしても気付かれる可能性は少ない。
茂みに隠れてメイを召喚したが、召喚できなかった。貴重な戦力を一つ失ったことが悔やまれた。
そのまま街道を避けて、木立ちから木立ちへと身を隠しながら街に近づき、ようやく街の門をくぐった。
泊まっていた宿屋に戻ると、入り口の蔭でオーリアが待っていた。
俺が駆け寄って、
「よかった、逃げのびたか。クレラインは?」と聞くと
オーリアは首を振り、
「分からない」と答えた。
「俺のステータスからクレラインの名前が消えていないから、生きているはずだ。ただ、問題は、奴らに捕まっていないかどうかだ」
「私も、それが心配よ。捕まっていたら助けに行く?」
「もちろんだ。しかし、その前に戦力を整えないとな。いったん、部屋に戻ろうか。まだ、捕まったと決まったわけじゃないからな」
「そうね」
オーリアの前では平静を装っているが、
『仲間を増やすつもりだったのに、逆に、仲間を失ったかもしれない。あんまりにも考え無しだな、俺は。クレラインに何かがあったらどうしよう』
後悔と自己嫌悪が俺を苦しめていた。
部屋に戻って2人でベッドに腰を下ろすと、
「少し考えさせてくれ」と言って俺は、そのまま目を瞑って、今後の策を考える。
『自分の判断ミスにこだわっていても仕方がない。この状況をどうやって打開するかだ。今の課題は、戦力アップだ。そして、戦力をアップするには強い冒険者を雇うか、俺自身が強くなるかしかない』
それからさらに考える。
『強い冒険者を雇えるほどの金はない。それなら、俺自身が強くなるしかない。手っ取り早く強くなるには・・・魔石を食うしかない。それも強い魔物の魔石だ』
「なあ、魔石って、どれくらいの値段がするんだ?」と俺が口にすると
「やっぱり魔石を食うんだね」と考えていることを見抜かれていた。
「強い魔物の魔石は高いよ。あんたが今以上に強くなるにはオークゼネラルぐらいの魔石が必要だけど、買うとしたら金貨数十枚は必要じゃないかな」
「金貨数十枚か・・・。どこで売ってる?」
「道具屋だろうね。ギルドは買い取るばかりで売ってくれないからね」
「よし、これから道具屋に行って見てくる」
「オークゼネラルの魔石なんか、そうそう置いてないと思うけどね」
「そうか。でも、それしか手は無さそうだからな」
「分かった。私も一緒に行くよ。あんたが1人だと、ぼったくられそうだ」
「それなら、クレラインが帰って来た時の為に、宿屋の親父に伝言を頼もう。それで、一旦ここに戻って、まだ、クレラインが帰っていなかったら、助けに出よう」
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