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影将軍
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ここは、トラディション伯爵家の居城の一室、
「閣下、カスタリング鉱山が、ランズリード侯爵軍に占領されましたぞ」と、領地軍の将軍が報告に来た。
「鉱山を護っていたスリングはどうした?」
「どうも殺られたようです」
「はっきりせんのか?」
「申し訳ありません」
「しかし、あの坑道にはリッチが巣食っておって、我が家の者以外は誰も入れぬはずだが」とトラディション伯爵。
「はい。仰せの通りでございます」
「我が家がリッチと盟約を結んでおるという話を無視しおったのか?ふん、どうせ、そやつらは坑道に入って、リッチの餌食になればよかろう」と伯爵は髭を撫ぜながら余裕の態度を見せる。
「それが、リッチと交渉が成功したと吹聴しておるようです」
「リッチと交渉?」伯爵は、隣に座っているフェイナールに疑問の眼差しを向けた。
フェイナールは首を横に振って、
「リッチと交渉など、あり得ませんな。ただし、その者が死霊の加護を受けた者なら、あるいはということもありますが」
「死霊の加護だと。うむ、あの囚人船から生きて戻ったという男、王家の影の手先か。そやつは、シャザール兄弟が始末したのではなかったのか?」
「シャザール兄弟は、取り逃がしたのかもしれません」と、将軍が再び会話を引き継いだ。
「報告が上がっていないのか」
「分家の方々のことなので、命令も出来ませんので」
「仕方のない奴らじゃ。ちゃんと報告をせよと、あれほど言っておるのに」
「確かなことは分かりませんが、王家の影の手先は侯爵軍に加わっておるようです」
伯爵の顔から余裕が消えた。
「リッチの秘密がバレては具合が悪い。侯爵がリッチと交渉したなどという噂が広がる前に、そやつを消せ。フェイナール、貴様の秘蔵っ子を出せ」
「はは、仰せのままに」
伯爵の横に座っていたフェイナールは、そう言って立ち上がると、足早に部屋を出て行った。
フェイナールは、伯爵家の影を率いる影将軍を呼び出した。
影将軍とは、フェイナールが自らの手で育て、特殊なスキルを開発させた子飼いの殺し屋で、伯爵家の最凶の戦力とされる者達だ。この者達は、表舞台で行われる戦いには出てこない。影部隊を率いて、謀略、暗殺、誘拐、拷問、強盗、放火など、伯爵家の為にあらゆる荒事をこなしている部隊であり、王都の闇ギルドでさえ恐れる犯罪者達だった。
そして、この影将軍の強さと残虐さが、伯爵家の闇社会での地位を支えていた。
ついでに言えば、王家も他の貴族家も、影将軍のような犯罪者達を飼っていたりはしない。
フェイナールの呼び出しに応じたのは、ドーン、ヒギンズ、フォータイム、カーリフの4人だけだった。
「スリングは殺られたのか?」と、背が高く髭の濃いドーンが聞く?
「奴が護っていた鉱山が敵の手に落ちたのだ。もし生きていたら、この手で殺してやるわい」とフェイナールが怒りの籠った目でドーンを睨む。
「けっ、俺のせいじゃねえしよ」とドーンはそっぽを向く。
伯爵家の影将軍は9人いる。そのうち領地に配属されているのは5人。残りの4人は、王都で活動している。
ドーンとヒギンズは、伯爵の居城の護衛の任務に就いている。フォータイムとカーリフは、主に、領都とナザニエールを結ぶ街道の不審者、つまり、他の貴族家の影の潜入を見張っている。そして、スリングがカスタリング鉱山を護っていたが、この男は、すでにダブリンに殺されている。
バルダール鉱山とグランズドリー鉱山は、分家の貴族が利権をもっているために、シャザール、シャズオ、シャンクの分家貴族の3兄弟が護っていた。
「カスタリング鉱山の奪還は、正規軍の仕事だ。お前達の仕事は、王家の影の手先の始末だ。名前はダブリン。そいつさえ殺れば、侯爵軍など放っておいても構わん。そいつについては大したことは分かっていない。背がドーンと同じ位で、女を3人連れている。他には、死霊の加護を持っているかもしれないということぐらいだ」
「死霊の加護だと?何だそれは?」とドーン。
「王都で、そう噂されている。詳しいことは、儂にも分からぬ」
「そいつは、侯爵軍と一緒にいるのか?」とフォータイムが聞く。
「恐らくな。これ以上の情報はないし、不要だろう。さっさと殺ってこい」
フェイナールがそう叱咤すると、4人はその場で姿を消した。
『強い奴らがやって来る』
念話を送って来たのはフィアだった。
『何者だ?』
『奴の仲間じゃ』
奴のというのは、この鉱山に来る途中で待ち伏せされた伯爵家の影のことだ。
『何人来る?』
『強いのは4人』
『部下もいるのか?』
『300人位じゃな』
『俺が勝てる相手か?』
『今のままでは無理じゃのう』
『今のまま?ということは、方法があるということか?』
『そなたには試練となるがな』
『どんな方法か言ってみてくれ』
『今のうちに死んで、アンデッド復活しておくのじゃ』
『それって、俺は死ぬってことだろう?』
『アンデッドとして復活するから問題ない』
『いや、問題、大ありだ。アンデッドになったら、勝っても意味がないじゃなか』
『それなら、ヘルゲートを使ってみるかのう?』
『ヘルゲートか?使うとどうなるんだ?』
『ヘルゲートは、冥界の魔物を1体呼び出せる。呼び出した魔物は、召喚眷属にすることが出来るのじゃ。ただし、どんな魔物が出て来るのかは運次第じゃ。我のときには、ケルベロスじゃった』
『あのケルベロスは、冥界から呼び出したのか。しかし、魔物を呼び出せるなら、眷属をどんどん増やせるじゃないか』
『そうはいかん。ヘルゲートは、1回だけしか使えぬからな』
『1回使えば終わりのスキルなのか。それだけ強力なスキルってことだよな。よし。俺も早速使ってみよう』
「閣下、カスタリング鉱山が、ランズリード侯爵軍に占領されましたぞ」と、領地軍の将軍が報告に来た。
「鉱山を護っていたスリングはどうした?」
「どうも殺られたようです」
「はっきりせんのか?」
「申し訳ありません」
「しかし、あの坑道にはリッチが巣食っておって、我が家の者以外は誰も入れぬはずだが」とトラディション伯爵。
「はい。仰せの通りでございます」
「我が家がリッチと盟約を結んでおるという話を無視しおったのか?ふん、どうせ、そやつらは坑道に入って、リッチの餌食になればよかろう」と伯爵は髭を撫ぜながら余裕の態度を見せる。
「それが、リッチと交渉が成功したと吹聴しておるようです」
「リッチと交渉?」伯爵は、隣に座っているフェイナールに疑問の眼差しを向けた。
フェイナールは首を横に振って、
「リッチと交渉など、あり得ませんな。ただし、その者が死霊の加護を受けた者なら、あるいはということもありますが」
「死霊の加護だと。うむ、あの囚人船から生きて戻ったという男、王家の影の手先か。そやつは、シャザール兄弟が始末したのではなかったのか?」
「シャザール兄弟は、取り逃がしたのかもしれません」と、将軍が再び会話を引き継いだ。
「報告が上がっていないのか」
「分家の方々のことなので、命令も出来ませんので」
「仕方のない奴らじゃ。ちゃんと報告をせよと、あれほど言っておるのに」
「確かなことは分かりませんが、王家の影の手先は侯爵軍に加わっておるようです」
伯爵の顔から余裕が消えた。
「リッチの秘密がバレては具合が悪い。侯爵がリッチと交渉したなどという噂が広がる前に、そやつを消せ。フェイナール、貴様の秘蔵っ子を出せ」
「はは、仰せのままに」
伯爵の横に座っていたフェイナールは、そう言って立ち上がると、足早に部屋を出て行った。
フェイナールは、伯爵家の影を率いる影将軍を呼び出した。
影将軍とは、フェイナールが自らの手で育て、特殊なスキルを開発させた子飼いの殺し屋で、伯爵家の最凶の戦力とされる者達だ。この者達は、表舞台で行われる戦いには出てこない。影部隊を率いて、謀略、暗殺、誘拐、拷問、強盗、放火など、伯爵家の為にあらゆる荒事をこなしている部隊であり、王都の闇ギルドでさえ恐れる犯罪者達だった。
そして、この影将軍の強さと残虐さが、伯爵家の闇社会での地位を支えていた。
ついでに言えば、王家も他の貴族家も、影将軍のような犯罪者達を飼っていたりはしない。
フェイナールの呼び出しに応じたのは、ドーン、ヒギンズ、フォータイム、カーリフの4人だけだった。
「スリングは殺られたのか?」と、背が高く髭の濃いドーンが聞く?
「奴が護っていた鉱山が敵の手に落ちたのだ。もし生きていたら、この手で殺してやるわい」とフェイナールが怒りの籠った目でドーンを睨む。
「けっ、俺のせいじゃねえしよ」とドーンはそっぽを向く。
伯爵家の影将軍は9人いる。そのうち領地に配属されているのは5人。残りの4人は、王都で活動している。
ドーンとヒギンズは、伯爵の居城の護衛の任務に就いている。フォータイムとカーリフは、主に、領都とナザニエールを結ぶ街道の不審者、つまり、他の貴族家の影の潜入を見張っている。そして、スリングがカスタリング鉱山を護っていたが、この男は、すでにダブリンに殺されている。
バルダール鉱山とグランズドリー鉱山は、分家の貴族が利権をもっているために、シャザール、シャズオ、シャンクの分家貴族の3兄弟が護っていた。
「カスタリング鉱山の奪還は、正規軍の仕事だ。お前達の仕事は、王家の影の手先の始末だ。名前はダブリン。そいつさえ殺れば、侯爵軍など放っておいても構わん。そいつについては大したことは分かっていない。背がドーンと同じ位で、女を3人連れている。他には、死霊の加護を持っているかもしれないということぐらいだ」
「死霊の加護だと?何だそれは?」とドーン。
「王都で、そう噂されている。詳しいことは、儂にも分からぬ」
「そいつは、侯爵軍と一緒にいるのか?」とフォータイムが聞く。
「恐らくな。これ以上の情報はないし、不要だろう。さっさと殺ってこい」
フェイナールがそう叱咤すると、4人はその場で姿を消した。
『強い奴らがやって来る』
念話を送って来たのはフィアだった。
『何者だ?』
『奴の仲間じゃ』
奴のというのは、この鉱山に来る途中で待ち伏せされた伯爵家の影のことだ。
『何人来る?』
『強いのは4人』
『部下もいるのか?』
『300人位じゃな』
『俺が勝てる相手か?』
『今のままでは無理じゃのう』
『今のまま?ということは、方法があるということか?』
『そなたには試練となるがな』
『どんな方法か言ってみてくれ』
『今のうちに死んで、アンデッド復活しておくのじゃ』
『それって、俺は死ぬってことだろう?』
『アンデッドとして復活するから問題ない』
『いや、問題、大ありだ。アンデッドになったら、勝っても意味がないじゃなか』
『それなら、ヘルゲートを使ってみるかのう?』
『ヘルゲートか?使うとどうなるんだ?』
『ヘルゲートは、冥界の魔物を1体呼び出せる。呼び出した魔物は、召喚眷属にすることが出来るのじゃ。ただし、どんな魔物が出て来るのかは運次第じゃ。我のときには、ケルベロスじゃった』
『あのケルベロスは、冥界から呼び出したのか。しかし、魔物を呼び出せるなら、眷属をどんどん増やせるじゃないか』
『そうはいかん。ヘルゲートは、1回だけしか使えぬからな』
『1回使えば終わりのスキルなのか。それだけ強力なスキルってことだよな。よし。俺も早速使ってみよう』
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