ダブリン。進化者は無双する。8歳だけど身体は大人。

肩ぐるま

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二つ名の冒険者

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街道を3000近いアンデッドが進んでいる。
何故かアンデッド達は、アンデッドの原の境界である筈のカスタリング鉱山から離れ、領都へ向かって迫っている。
しかも、そのアンデッド達は、身体から、鎧から、槍や剣や盾からも炎が吹き出している。それが見た目にはアンデッドが燃えているように見える。いや、実際に燃えているのだが、その炎は普通の炎ではない。煉獄の業火という、冥界の炎だった。アンデッドはこの炎に焼かれながら、焼かれても焼かれても直ぐに元に戻る。つまり、永遠に火の責苦が終わらない炎だった。
また、この炎は、この世のモノを全て燃やし尽くす。石であれ、鉄であれ、この炎に触れて燃えないモノない。
しかし、アンデッドが身に付けている防具や武器は、アンデッドと同じように、燃えながらも再生を続けている。
燃えるアンデッドの行軍を止める為、領兵が何度も立ち向かったが、領兵の剣は、炎を吹き出すアンデッドの剣と打ち合った途端に燃え出して、領兵自身も、その炎が身体に燃え移って焼け死んだ。そして、この死んだ兵もまた燃えるアンデッドとなって行軍に加わるので、領兵は直接戦うのを止めた。

そして、このアンデッドの行軍を食い止めるため、あらゆる飛び道具と魔法が放たれたが、全てが、途中で燃え尽きた。
矢やバリスタの矢は当然として、ストーンランスやウォーターボール、アイスランスまでが燃え尽きた。

ラディウスが到着したのは、迫り来るアンデッドを食い止めようとしながらも、手が出せずに後退を余儀なくされている、領兵達の最前線だった。
ラディウスは、ナザニエールでも腕利きの冒険者を連れて来ていた。
氷結剣のアライザ、水龍使いのベララ、海嘯のリヴァイ、デッドホールのブルド、それぞれ二つ名を持つ冒険者、4人だ。
彼等は、道楽で冒険者をしているが、貴族でもあり、貴族家だけが伝える特殊なスキルの数々を身に付けている。

「まず、俺がやってみよう」とリヴァイが前に出て、杖を掲げ、「大海嘯」と唱えた。
ゴゴゴと地鳴りが起こり、高さ5メートル、30メートルもある津波が空中から現れ、燃えるアンデッドに向かって押し寄せ、アンデッドの群れを飲み込んだ。
だがその津波は、直ぐに燃え始め、アンデッドの前方10分の1程を飲み込んだところで、燃えて消滅してしまった、
「くそ、俺の海嘯を燃やしやがった。水が燃えるなんて、有り得ねぇ」と、リヴァイ。
「次は俺だな」と進み出て来たのは、土魔法の使い手ブルドだ。
ブルドは、しゃがみ込んで打面に手を着いた。
「デッドホール」と唱えると、アンデッドの先頭が、足元の地面に空いた、直径50メートルほどもある大穴に飲み込まれた。
これで200程のアンデッドが深い穴に落ちたが、他のアンデッドは穴を迂回して前進して来る。
「かなり数を削ったが、相手が多すぎるな」
とブルドが愚痴を零す。
「次は私だね」
べララが杖を掲げて「水龍」と唱える。するとべララの周囲に、体長が3メートルを超える水で出来た龍が5体現れた。
「お行き」とべララが杖を振り下ろすと、5体の水で出来た龍は前方に飛び出して、アンデッドに襲い掛かった。しかし、この水龍は、アンデッドに触れると瞬く間に炎に包まれ、燃え尽きて消えてしまった、
べララは「チクショウ、自信のある技だったのに」と悔しがる。
「最後は、私か」と言ってアライザが、腰の剣を抜く。アンデッドとの距離を少し詰めると剣を構え、「氷結剣」と唱えて、剣を水平に振った。
すると剣から白い筋が迸り、扇状に広がりつつ、前の方の100近いアンデッドを凍らせていく。しかし次の瞬間には、その氷が燃えて消滅して、アンデッドは何事もなかったように進み出していた。
「くそっ、削れなかったか」と悔しがるアライザ。。
そのアライザに、
「安心しろ。お前だけじゃない、誰の攻撃でも1体も削れていない」
とラディウスが慰めにならない、慰めの言葉を掛けた。
「ラディウス、そう言っちゃあ身も蓋もないぜ」とブルドが文句を言う。
ブルドがつくった落とし穴に落ちたアンデッドは、次々と穴から這い上がって来ているし、リヴァイが起こした津波で流されたアンデッドもダメージは全くないように、また進軍を始めている。

「こいつらには、スキルも魔法も効かないのか?」
と言いながらラディウスは4人の前に出て、腰の大剣を引き抜いて、上段に構えると
「転移斬」と唱えながら、剣で空間を十字に斬った。
戦闘にいるアンデッド達が、縦真っ二つ、横真っ二つに斬られ、4つの塊になって地面に落ちた。
ラディウスは、転移斬を何度も繰り返して、500近いアンデッドを斬ったが、アンデッドの数はまだまだ残っており、しかも、斬り倒した筈のアンデッドがいつの間にか復活して進んで来る。
「一旦退くぞ」
打つ手が無くなったラディウス達は、一旦、退却した。
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