上 下
294 / 341
第16章五つの玉錚々のレクイエム

錚々のレクイエム#18

しおりを挟む
崖は湖の大半を埋める程崩れ、砂煙が高らかに舞い上がり、遂に親玉の全貌が明らかになる。

「おやっちゃんが来た!皆んなおやっちゃんが来たよ!」
 
その姿は、半分溶けた年老いた老人だった。

「おい!お前、私の仲間を治して貰おうか!」

フルミは、声高らかに老人に苦言を告げると、大慌てで近くの妖精が制止した。

「あ!駄目よ、あの方はそっとしといて差し上げないと、貴方子供じゃないから分かるわよね?…」

フルミは察したように後退りし、老人をしばらく様子を見る事にする。

老人「ブルジョア、ブルジョア…」

老人は、訳の分からない事を言いながら、妖精をしばいている。

「おやっちゃん許して、この妖精は何も悪い事してないわ、それにブルジョアって何?」

湖の大半の妖精を痛め付けて気が済んだのか、黒こげになった妖精を背中の籠に入れて立ち去っていくのであった…続く
しおりを挟む

処理中です...