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最終章帰還

帰還#28

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全身カチカチになり、見た目も逞しくなった、この頃になると目を覚ますのもの早くなり、真夜中に起きてしまう。

「なんだこの包容感は、身体中から溢れ出すこの何とも言えない感じ、まさにカルメ焼きやな、知らんが…」

寝惚けているのか、訳の分からない事を言っている。

「はぁ、最後の巻物どうしようかな?真っ黒でなんだか怖いし、悩ましいぞ…」

言葉とは反し、身体は巻物を手に取り開こうとする、これは無意識なのである。

「ヒャッ!巻物を開いてしもうた、ここまで来たら極めたいが、もう時間も無いし…読むだけ読んでみるか」

黒々としたその巻物は、見た目を遥かに超える重量感があり、腰を抜かせた。

「この巻物は、悪を増幅させ、善を軽減するだろう、もし極める物なら空を闇にし、生き物は消滅するだろう、読む時は必ず1人の時にするべし、人に聞かれし時、己は闇に包まれ姿を変えるだろう、修行方法はまず座禅を組み、目を瞑り一点の丸い光を思い浮かべ、それを徐々に小さくしていき真っ暗にさせべし、次に尿立ちになり両腕を正面に伸ばし掌を広げ、闇を出現させべし、これは高度な技術を必要とする為、無理はするべからず」

その先は文字が潰れて読めなくなっていた、日常的に座禅をしていた優は、第1段階を難なくクリアし、次の段階へと進むのであったそうな…続く
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