ネトリ愛〜オモヒノクサリ〜

寿 退社

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最終話 モブ男の真意

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 マジメちゃんがとっくに冷めてたことは分かってた。
 昔は気に入ってくれてたと思うけど、何か違ったのだろう。
 ギャル男と仲良くしているところを見たら妙に納得した。
 少し前からマイペースな僕より甘えん坊のギャル男が気になってたんだと思う。


 ギャル男はチャラ美ちゃんとよく喧嘩することを悩んでいた。
 理由は一目瞭然だった。
 ギャル男はリードされたいタイプなのに、実はチャラ美ちゃんも同じタイプなのだ。
 だからチャラ美ちゃんが無理して引っ張ってた。
 そんな無理が少しずつ二人の絆を蝕んでいった。


 チャラ美ちゃんはギャル男が好きでずっと努力してた。
 無理してチャラく振る舞ったり、ギャル男をリードしてた。
 だから昔はよくギャル男のことを相談された。
 旅行の時も無理して幹事やったのに、文句を言ったギャル男に怒ったんだ。
 チャラ美ちゃんは本当に良い子だと思う。


 え?なんでこんな状態ならすぐに別れないのかって?
 そんなの簡単だよ。みんなそれでも相手のことを好きだったから。
 自分が我慢すれば良いだけって思っちゃうんだ。
 僕もずっと思ってた。
 でももう分かったと思うけどそんな関係を壊したのは僕だ。


 まずマジメちゃんに二人が惹かれ合ってることは分かって るって伝えた。
 別れを切り出したに等しいから、マジメちゃんは泣き崩れてた。
 あときちんとチャラ美ちゃんに相談したほうが良いことも伝えた。
 二人が絶交しない可能性があるとすればこれしかなかった。後は二人次第だ。


 その後マジメちゃんがチャラ美ちゃんに打ち明けた。
 そして身を引こうとしたチャラ美ちゃんが僕の家に来た。
 寝たことにしようって言われたのは驚いたし、直接相談できないほど二人の溝は深くて可哀想だなと思った。
 あとは僕がギャル男に寝たことを伝えて今に至るって感じか な。


 ん?そもそもチャラ美ちゃんと寝る必要あったのかって?
そこは、ぼくも男だからね。
 チャラ美ちゃんおっぱい大きいし最高なんだよ。

 さて、整理もできたしそろそろ出ようかな。
 こうなった以上、この部屋から出ていくことにした。
 これまで通りって訳にもいかないしね。


 さて、部屋の鍵を大家さんに返してこよう……ん?
 なんかアパートの階段からドタドタと聞こえるな。
 この足音は…
「こらああああモブ男!!!」
「こんにちはチャラ美ちゃん」
「あ、こんにちは。じゃないし!」
 今日も変わらずエッチな体だ。
「どういうこと?」
「ん?」


「黒幕はあんただってマジメちゃんが!!」
「まあ、うん…。そうかも」
 チャラ美ちゃんが下を向いてわなわな震えてる
「きちんと説明するまで帰らないから」
 僕はあっさり降参して、ことの顛末を伝えた。
「ふうん…全部分かっててうちの話聞いてたんだ」
「うん」


「全部分かっててうちのこと抱いたんだ」
「うん」
「何でよ!!何でこんなことしたのよ!!」
「これが一番みんな幸せになれるって思ったから」
「そんなの勝手に決めないでよ!!」
 チャラ美ちゃんは少しだけ泣いていた。
「別にモブ男が悪者になる必要なかったじゃない!」


「でもきっと僕にしかできなかったから…」
「そんなことな…って、え?」
 ようやくチャラ美ちゃんは僕の部屋の状況に気づく
「なに?この部屋…」
「出ていこうかと」
「ど、どうして?」
「どうしてって、あんなことがあったし…」
「でも、モブ男がいなくなる必要ないし!」


「もう決めたんだ。引っ越しも手配しちゃったし」
「そ、そんな…」
「ごめんね」
「引っ越し先は…??」
 チャラ美ちゃんが、泣きそうな目でこっちを見る。
 少しいじめすぎたかな?
「チャラ美ちゃん家」
「……………は?」
 わあ、いい反応
「だから、チャラ美ちゃん家」


「いや…家主が聞いてないんですけど…」
「だって、ギャル男はもう出てったでしょ?」
「うん」
「そしたらチャラ美ちゃん寂しいでしょ?あと、チャラ美ちゃんは僕を放っておけないし、なにより本当は僕のこと…」
「勝手に決めんなあああ!」
 初めて女の子に殴られた


「これからは、うちにも相談して」
「てことは…?」
「うちの隣で寝てもいいよ」
「やった」
「もう、ほら行こ」
 チャラ美ちゃんと手を繋いで歩き出す。
 相談…か。そんなのするわけないだろ。
 これが君を手に入れられる1番の方法だったんだから。

ネトリ愛 完
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