12 / 18
12話目・男社会で男がそういう広告とかを求めるから、女の子も売れる作品として作らないといけなくなるんです!
しおりを挟む
「この街の五分くらいの人口はこんなもんだよ」
以前に調べたところ、現在の“バステズ”は3万人ほどがいるとのことだ。そのうちの5%ならば1500人といったところだろう。
「なるほど。まずは……決して貧しい生活をしているという感じではなさそうですが?」
真清は座布団もない畳の上に座りつつ、漫画家女性に妙なちぐはぐさについて聞いた。お金とは違う事情でこの人物は今の生活を甘受しなければならなくなっているのだと考えた。
「うん、確かに金銭面は贅沢こそできないけど問題ないよ」
漫画家は服や髪を撫でて仕事着だという程度の主張をしてくる。
「私ら作家って仕事は、自由に作品を作ることもできないんだよ。下手すると、不名誉作家のレッテルを貼られる」
一度話を始めると、後は少し突っつくだけであれこれと続けてくれる。真清は続けた。
「ほう。システムとしてはわかりませんが、検閲が入るって捉えても?」
「そこまでじゃないけど、そんなとこかな」
要領を得ない回答ではあったものの、少なくとも今の作風を気に入っているという風ではなかった。コンビニでチラ見したことのある漫画の作者だった。
「真バステズ民が気に入らないものを書くと、それこそ炎上って勢いで叩かれるんだよ」
「あぁ、なるほど」
起こる事実を伝えられて、真清も得心がいった。早い話、自主規制を強要される感じなのだろう。
およそ作家と呼ばれる職業は“バステズ”の上位階級とか模範的な民衆に忖度しなければ続けられないのである。
「たまに抜き打ちで、そういうものを作ったりしてないか見にくることもある」
真清が感じた通り、ここは心の牢獄だった。当然、当たり前の疑問をぶつける。
「外に出ていこうとかは考えないのですか?」
それほどやりづらい環境であるなら、『オリク』から出て働けば良いだけなのだ。しかし、それも甘い考えだったようである。
「それも無理」
短い否定だ。
「なぜ?」
「ここが表向きには駆け込み寺っていうのは知ってるでしょ? 私らは元々、外では生きづらくて逃げてきた女なのに、いまさらそんなことできるはずないでしょう」
「あ~……」
端的に尋ねると、うっかり失念していた情報を再確認することになった。確かに、一度は逃げ出したところへ逃げても上手くいくという保証はない。
怖気づいたら人というのは間違った選択をし続ける。
「せめて、このことを外に伝えようとは、いや、そうか……」
「そう。街がなくなったら困るというのは皆同じ。けど、誰かは何度も暴露しようとしたヤツもいた」
自分から動かない理由はすぐに思いついた。さらに、ウワサにはなりつつも行政が動くまでにいたらない理由も。
「ここに逃げてきたとき、なにか精神的な検査をしましたね?」
真清はネットに転がっている様々な与太話を思い出して漫画家女性に確認した。
以前に調べたところ、現在の“バステズ”は3万人ほどがいるとのことだ。そのうちの5%ならば1500人といったところだろう。
「なるほど。まずは……決して貧しい生活をしているという感じではなさそうですが?」
真清は座布団もない畳の上に座りつつ、漫画家女性に妙なちぐはぐさについて聞いた。お金とは違う事情でこの人物は今の生活を甘受しなければならなくなっているのだと考えた。
「うん、確かに金銭面は贅沢こそできないけど問題ないよ」
漫画家は服や髪を撫でて仕事着だという程度の主張をしてくる。
「私ら作家って仕事は、自由に作品を作ることもできないんだよ。下手すると、不名誉作家のレッテルを貼られる」
一度話を始めると、後は少し突っつくだけであれこれと続けてくれる。真清は続けた。
「ほう。システムとしてはわかりませんが、検閲が入るって捉えても?」
「そこまでじゃないけど、そんなとこかな」
要領を得ない回答ではあったものの、少なくとも今の作風を気に入っているという風ではなかった。コンビニでチラ見したことのある漫画の作者だった。
「真バステズ民が気に入らないものを書くと、それこそ炎上って勢いで叩かれるんだよ」
「あぁ、なるほど」
起こる事実を伝えられて、真清も得心がいった。早い話、自主規制を強要される感じなのだろう。
およそ作家と呼ばれる職業は“バステズ”の上位階級とか模範的な民衆に忖度しなければ続けられないのである。
「たまに抜き打ちで、そういうものを作ったりしてないか見にくることもある」
真清が感じた通り、ここは心の牢獄だった。当然、当たり前の疑問をぶつける。
「外に出ていこうとかは考えないのですか?」
それほどやりづらい環境であるなら、『オリク』から出て働けば良いだけなのだ。しかし、それも甘い考えだったようである。
「それも無理」
短い否定だ。
「なぜ?」
「ここが表向きには駆け込み寺っていうのは知ってるでしょ? 私らは元々、外では生きづらくて逃げてきた女なのに、いまさらそんなことできるはずないでしょう」
「あ~……」
端的に尋ねると、うっかり失念していた情報を再確認することになった。確かに、一度は逃げ出したところへ逃げても上手くいくという保証はない。
怖気づいたら人というのは間違った選択をし続ける。
「せめて、このことを外に伝えようとは、いや、そうか……」
「そう。街がなくなったら困るというのは皆同じ。けど、誰かは何度も暴露しようとしたヤツもいた」
自分から動かない理由はすぐに思いついた。さらに、ウワサにはなりつつも行政が動くまでにいたらない理由も。
「ここに逃げてきたとき、なにか精神的な検査をしましたね?」
真清はネットに転がっている様々な与太話を思い出して漫画家女性に確認した。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
貴方なんて大嫌い
ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と
いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている
それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
Husband's secret (夫の秘密)
設楽理沙
ライト文芸
果たして・・
秘密などあったのだろうか!
むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ
10秒~30秒?
何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。
❦ イラストはAI生成画像 自作
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる