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4篇目タイトル【蘇生の回廊】
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「……」
「何も、なさそうですね」
「えぇっと、奥にヒッ!」
少し広めの場所に降り立ち、闇に慣れ始めた目で周囲を見渡すが目立ったものは見当たらなかった。いや、千春の手にした明かりが隅へと移動したところで、彼女の悲鳴が短く上がった。
覚悟はできていた上に、そこに落ちていたものがまだ人間の形をしていたおかげかなんとか足がすくまず見られた。
「し、死体……?」
一部を欠損している以外は生まれたままの姿で倒れていたのは女性らしき何かで、淳平は小さな恐怖と妙な気まずさを覚えた。
別荘を作った何者かが、セベクに復活させようとしていた者の肉体だろうか。室内の臭いが、カビ臭さなのか遺体のものだったのかわからなくなる。
「多分、石井 美佐江氏でしょう。この様子ですと、後一周していたら完全に復活していたかもしれませんね」
「なるほど。でも、ただ遺体を置いてあっただけ?」
死体だと考えたか奈々は冷静に分析した。しかし、ここへやってきてどうすれば良いのか千春の言う通りでわからなかった。
見当違いだったのかと三人が階段の方へ戻ろうとしたとき、何かが地面を擦るような音がする。
「……え?」
淳平が気のせいだと思いたくなりながらも振り返った。動いている? いや、わずかな変化過ぎて思考がどちらにも動かない。
しかし、千春の持ったライトがそちらを向いた瞬間。
「ぁ、あぁ……」
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ! あ!」
確かに、長い髪を持ち上げて美佐江の体が動いた。淳平は心の底からは信じていなかった死者の蘇生という現象を目の当たりにして、後ろに逃げようとして足を滑らせてしまう。
「こぉ……ぉぉ……」
美佐江のゾンビは唸り声を上げて這いずってきた。
淳平は床を蹴りながらなんとか下がろうとするも、やはり階段で阻まれてしまう。腰が抜けて立ち上がれない彼に、美佐江ゾンビの手が伸びて……。
「は、離せ!」
獲って食うといった様子には見えなかったものの、異形の存在に足を掴まれ戸惑ってしまい彼は初めて女性の顔を蹴った。
ゲシゲシッと、何度も、何度も、蹴った。
「おぉいぃぃっ……」
まるで細い蒼白な手で地獄に招こうとしているかのようだ。響き渡るうめき声が耳障りだ。
蹴っても蹴っても離れないゾンビがついに、淳平の腰にまで登ってきてしまう。良く見えるところまで来た顔の目はぽっかりと穴が空き、口も黒く塗りつぶされているようだった。
「笑って……」
「離れて!」
淳平が言いかけたタイミングで、声を張り上げて近づいてきたのは奈々。両手で握った短剣を振り上げているのが目の端に映る。
「何も、なさそうですね」
「えぇっと、奥にヒッ!」
少し広めの場所に降り立ち、闇に慣れ始めた目で周囲を見渡すが目立ったものは見当たらなかった。いや、千春の手にした明かりが隅へと移動したところで、彼女の悲鳴が短く上がった。
覚悟はできていた上に、そこに落ちていたものがまだ人間の形をしていたおかげかなんとか足がすくまず見られた。
「し、死体……?」
一部を欠損している以外は生まれたままの姿で倒れていたのは女性らしき何かで、淳平は小さな恐怖と妙な気まずさを覚えた。
別荘を作った何者かが、セベクに復活させようとしていた者の肉体だろうか。室内の臭いが、カビ臭さなのか遺体のものだったのかわからなくなる。
「多分、石井 美佐江氏でしょう。この様子ですと、後一周していたら完全に復活していたかもしれませんね」
「なるほど。でも、ただ遺体を置いてあっただけ?」
死体だと考えたか奈々は冷静に分析した。しかし、ここへやってきてどうすれば良いのか千春の言う通りでわからなかった。
見当違いだったのかと三人が階段の方へ戻ろうとしたとき、何かが地面を擦るような音がする。
「……え?」
淳平が気のせいだと思いたくなりながらも振り返った。動いている? いや、わずかな変化過ぎて思考がどちらにも動かない。
しかし、千春の持ったライトがそちらを向いた瞬間。
「ぁ、あぁ……」
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ! あ!」
確かに、長い髪を持ち上げて美佐江の体が動いた。淳平は心の底からは信じていなかった死者の蘇生という現象を目の当たりにして、後ろに逃げようとして足を滑らせてしまう。
「こぉ……ぉぉ……」
美佐江のゾンビは唸り声を上げて這いずってきた。
淳平は床を蹴りながらなんとか下がろうとするも、やはり階段で阻まれてしまう。腰が抜けて立ち上がれない彼に、美佐江ゾンビの手が伸びて……。
「は、離せ!」
獲って食うといった様子には見えなかったものの、異形の存在に足を掴まれ戸惑ってしまい彼は初めて女性の顔を蹴った。
ゲシゲシッと、何度も、何度も、蹴った。
「おぉいぃぃっ……」
まるで細い蒼白な手で地獄に招こうとしているかのようだ。響き渡るうめき声が耳障りだ。
蹴っても蹴っても離れないゾンビがついに、淳平の腰にまで登ってきてしまう。良く見えるところまで来た顔の目はぽっかりと穴が空き、口も黒く塗りつぶされているようだった。
「笑って……」
「離れて!」
淳平が言いかけたタイミングで、声を張り上げて近づいてきたのは奈々。両手で握った短剣を振り上げているのが目の端に映る。
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