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8睡目・God knows・・・?
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待つ間、暇なのでピンクチラシよろしく壁に張り付いているものを読んでいく。大半は風俗店の広告だが、中には普通の新聞みたいなものもある。
「おや、この似顔絵は……ザエヌティアイさん? えー、国内の手合場選手権ベストエイト、だと……」
勝てないわけだ。
言ってしまえば、関東地方の格闘選手を集めた大会で本戦とかに上がるような人物だからな。まさかそれほどの人だとは思わず、ついつい友人感覚でザエさんなんて呼んじゃってるけど。
村一番とか言ってたけど、流石にベストエイトぐらいじゃ胸も張れないってことなのかな。
「えーと、次は」
男の矜持など感じつつ、別の張り紙へと視線を移した。それは、西部劇なんかで良く見る『WANTED!』って書かれた紙だ。
描かれているのは人ではなく、『エアエムダアール』なる偶蹄類のものである。シカのような体をしているものの、角は水牛みたいに反り返っていて物恐ろしい。
「なになに、討伐求む、懸賞金15万セブ、即金払い、首都西の街道に出没して商隊などを襲っている。お、掲載日が今日だ」
内容を読み上げつつ、あるあるなんて内心で笑っていた。イノシシとかサルなんかも、悪さしていたら猟友会とかに依頼が来るもんな。地方自治体によっては、普通にハブとかの危険な生物を狩猟すると、役所などで数千円くらいで引き取って貰える。
あぁ、もちろん、お小遣い欲しさに挑戦するなら自己責任だぞ。
「西かぁ。どんな生物なんだろ。ハァビーなら知ってるか?」
珍しい生き物に好奇心を膨らませつつ、俺はハァビーが出てくるのを待った。
彼女が店内に入ってから3分も経っていないのに、なぜかそわそわとしてしまう。気になって入り口を見やれば、帽子を被ってマントを羽織った男が入っていった。強面で毛の濃いおじさんだ。
「あ、何? 例の嬢ちゃんが来てんのか? ハハッ、早速使わせて貰って良いか?」
閉じかけた扉の隙間から、そのおじさん客の野太い声が滑り出た。
タイミングを考える限り、男の言うお嬢ちゃんとやらが誰を指しているのか察しはつく。そしてセリフ、何を意味してるのかはわかるよなぁ?
「ッ!?」
いやいや! のんきに構えてる場面じゃないって! 今止めに……ッ。
俺は扉に手をかけるも、飛び込むのをためらった。なんでって、そりゃ、ハァビーが待っていてくれって言ったんだ。彼女がどんな手段で交渉するのか言わず、ただただ俺を信じてお願いした。
ここで乗り込んで行ったら彼女の信頼を裏切ることになる。俺が彼女や他の皆を犠牲に何かを得るのが嫌いだとわかっていて、それでも後悔を押し殺して挑んでいるんだ。
この世界の法律や契約もわからない俺が突っ込んでいって、正当防衛やら合法なんて言い訳が通じる可能性もない。下手に問題を起こせば、身元を保証してくれているハァビー、その更に親保証人にあたるサムベアさんにまで累が及ぶかもしれないしな。
「ごめん……! ハァ、ッ!?」
だからと言って諦められるわけもなく、俺は謝りながらも扉を開いた。ハァビーの名前を呼ぼうとして、詰まって間抜けな声が出てしまう程の光景がそこにあった。
「はぁ……ぅぅ。はぁ、はぁ……」
テーブルの上に寝かされ、息を荒くして顔を赤らめた彼女の姿。
「うぉぉッ。良い感じだぞ。お嬢ちゃん! 若返る気持ちだぁ」
その正面に立つ男が腰を動かす度に、テーブルがギシギシと軋みをあげた。強面の犬耳を生やした男は、ハァビーの辛さもわからない様子で自らの快楽のみを求めてストロークを続ける。翼を傷つけないよう、クッションを敷いてあるのだけが救いか。
買ってあげた衣装がなければ、双子山は大きく前後に揺れていたであろう。それを脱がなかったハァビーの心境が読み取れる。
「ふ、ふぅ、え……? ダイナ、さん……? ッッ~!」
彼女が俺の存在に気づいた。彼女は自身の痴態を見られたという事実に、全身を赤熱せんばかりに火照らせた。顔を腕で覆って、見ないでくれと暗に訴える。
続いて男の方も俺の方を向き、大きな口を三日月型に歪めてみせる。店主であろう老婆は、そんな様子を眺めて優雅に水タバコのようなものを吹かす。
「ほぅ、嬢ちゃんの良い人かい。これのことは知らなかったようだね」
老婆が紫煙をくゆらせながら口を開いた。
「そりゃすまんな。先に貰っちまったよ」
男も、全く申し訳なくなさそうな口調で俺に言うのだ。
なんとも状況が飲み込みきれないので、ハァビーへの謝罪は彼女が落ち着いてからにするとして。えーと、先に、どういう話になっているのかを訊くことにしようか。
「おや、この似顔絵は……ザエヌティアイさん? えー、国内の手合場選手権ベストエイト、だと……」
勝てないわけだ。
言ってしまえば、関東地方の格闘選手を集めた大会で本戦とかに上がるような人物だからな。まさかそれほどの人だとは思わず、ついつい友人感覚でザエさんなんて呼んじゃってるけど。
村一番とか言ってたけど、流石にベストエイトぐらいじゃ胸も張れないってことなのかな。
「えーと、次は」
男の矜持など感じつつ、別の張り紙へと視線を移した。それは、西部劇なんかで良く見る『WANTED!』って書かれた紙だ。
描かれているのは人ではなく、『エアエムダアール』なる偶蹄類のものである。シカのような体をしているものの、角は水牛みたいに反り返っていて物恐ろしい。
「なになに、討伐求む、懸賞金15万セブ、即金払い、首都西の街道に出没して商隊などを襲っている。お、掲載日が今日だ」
内容を読み上げつつ、あるあるなんて内心で笑っていた。イノシシとかサルなんかも、悪さしていたら猟友会とかに依頼が来るもんな。地方自治体によっては、普通にハブとかの危険な生物を狩猟すると、役所などで数千円くらいで引き取って貰える。
あぁ、もちろん、お小遣い欲しさに挑戦するなら自己責任だぞ。
「西かぁ。どんな生物なんだろ。ハァビーなら知ってるか?」
珍しい生き物に好奇心を膨らませつつ、俺はハァビーが出てくるのを待った。
彼女が店内に入ってから3分も経っていないのに、なぜかそわそわとしてしまう。気になって入り口を見やれば、帽子を被ってマントを羽織った男が入っていった。強面で毛の濃いおじさんだ。
「あ、何? 例の嬢ちゃんが来てんのか? ハハッ、早速使わせて貰って良いか?」
閉じかけた扉の隙間から、そのおじさん客の野太い声が滑り出た。
タイミングを考える限り、男の言うお嬢ちゃんとやらが誰を指しているのか察しはつく。そしてセリフ、何を意味してるのかはわかるよなぁ?
「ッ!?」
いやいや! のんきに構えてる場面じゃないって! 今止めに……ッ。
俺は扉に手をかけるも、飛び込むのをためらった。なんでって、そりゃ、ハァビーが待っていてくれって言ったんだ。彼女がどんな手段で交渉するのか言わず、ただただ俺を信じてお願いした。
ここで乗り込んで行ったら彼女の信頼を裏切ることになる。俺が彼女や他の皆を犠牲に何かを得るのが嫌いだとわかっていて、それでも後悔を押し殺して挑んでいるんだ。
この世界の法律や契約もわからない俺が突っ込んでいって、正当防衛やら合法なんて言い訳が通じる可能性もない。下手に問題を起こせば、身元を保証してくれているハァビー、その更に親保証人にあたるサムベアさんにまで累が及ぶかもしれないしな。
「ごめん……! ハァ、ッ!?」
だからと言って諦められるわけもなく、俺は謝りながらも扉を開いた。ハァビーの名前を呼ぼうとして、詰まって間抜けな声が出てしまう程の光景がそこにあった。
「はぁ……ぅぅ。はぁ、はぁ……」
テーブルの上に寝かされ、息を荒くして顔を赤らめた彼女の姿。
「うぉぉッ。良い感じだぞ。お嬢ちゃん! 若返る気持ちだぁ」
その正面に立つ男が腰を動かす度に、テーブルがギシギシと軋みをあげた。強面の犬耳を生やした男は、ハァビーの辛さもわからない様子で自らの快楽のみを求めてストロークを続ける。翼を傷つけないよう、クッションを敷いてあるのだけが救いか。
買ってあげた衣装がなければ、双子山は大きく前後に揺れていたであろう。それを脱がなかったハァビーの心境が読み取れる。
「ふ、ふぅ、え……? ダイナ、さん……? ッッ~!」
彼女が俺の存在に気づいた。彼女は自身の痴態を見られたという事実に、全身を赤熱せんばかりに火照らせた。顔を腕で覆って、見ないでくれと暗に訴える。
続いて男の方も俺の方を向き、大きな口を三日月型に歪めてみせる。店主であろう老婆は、そんな様子を眺めて優雅に水タバコのようなものを吹かす。
「ほぅ、嬢ちゃんの良い人かい。これのことは知らなかったようだね」
老婆が紫煙をくゆらせながら口を開いた。
「そりゃすまんな。先に貰っちまったよ」
男も、全く申し訳なくなさそうな口調で俺に言うのだ。
なんとも状況が飲み込みきれないので、ハァビーへの謝罪は彼女が落ち着いてからにするとして。えーと、先に、どういう話になっているのかを訊くことにしようか。
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この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
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本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
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