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ハァビーの懐妊を機に保留にしていたエルフ首長との婚約を、転じて結婚として位置づけたわけだが……まさかエルフが増えることになるとは思わなかった。一種の精神体であるせいか、形だけの婚姻で子を為せる想像妊娠仕様なのである。これは流石の研究者とは言え、文献に残せるだけの情報を得られていなかったようだ。
とまぁ、そういうこともあり感慨もなく大家族になっていたりする。
そこに、まぁこれは主に俺の弱気からくる無節操さが原因だが、追い打ちを掛けてくる子がいた。うん、ハァビーがってなったら追従してくるよね。
「ダイナ殿~、こっちは雪の対策が終わったのじゃ。ぅん? 皆さん、今日はどうしたのじゃ?」
「えっと……お疲れ様。悪いな」
以前に比べて少しお腹の皮が張ったファリッバがやってきて、俺は任せっきりにしてしまったことを謝る。ファリッバは5人を見つけてハァビーや俺と似たような反応を示した。
生徒達はと言うと、ケェヌを除いて一様に冷ややかとニヤニヤを足して2で割ったような表情を浮かべている。
「なんなのじゃ?」
そうだよ! やることやりましたよ! 春先には子供が生まれて、初夏ぐらいに青鋼蚕達と一緒に旅立つんだよな……。
虫人の血を引いているから普通の人よりも、子孫繁栄のサイクルが短いと見られる。
流石のフェイも、おめでたい話に水を指すほど不謹慎ではなくラフの居場所だけを訊ねる。
「えっと、ラフを探しているんですのよ。知りませんこと?」
「ラフさんじゃな。生憎とフェイさんの接近を聞いて逃げたのじゃ」
「やっぱりですのね! キィー! 悔しいですのよ!」
予想通りの反応をありがとう。
さて、俺達も冬に備えて作業しないとならないから、さっさと生徒達を出発させよう。
「飛べるようになってから結構自由にやってるし、探しても無駄だぞ? さぁ、早く出発しなさい」
先生風を吹かせながらあしらおうとするも、それがフェイの琴線に触れてしまったらしかった。
「そんなこと言って、私達のいない数日の間は大丈夫ですの?」
「それは~……」
訊ねられて、俺も少しだけ言いよどんでしまう。
そりゃ、一日の出荷量が決まっているわけでもなければ、どれだけの野菜を出さなければならないということもない。非常にその日の取れ高をまとめて、『シィディア』に打ち込んでおくだけだ。それを首都へ行った機会に売れば良い話だ。
当然、今回もお願いしてある。
「白菜100箱、背高ネギ20箱、他諸々……まぁ、無駄にしないで余裕を持った計画だし。うん、なんとか?」
大体15キログラム入ぐらいのケースだし、力仕事を俺が担当すれば無理無茶無謀ってわけでもない。
しかし、そこにエアール姿のラフという馬力の権化を含めていると考えるのは、フェイならば当然であろう。
「ラフに無茶させるつもりですの?」
そう言われても困る。別に無理させるつもりはないが、どこまでやれるか、どこまでラフが仕事を優先するかはわからない。
ここで、俺の代わりに口を挟んだのはハァビーとファリッバである。
「えっと、私達も可能な限り頑張りますから」
「そうなのじゃッ。働ける間は体を動かさないと、良い子が生まれてこないのじゃ」
必死でフォローしてくれる2人に感謝の念が耐えない。
しかし、フェイが気にしていたのは彼女らの気持ちとかそういうところじゃない。
「ラフこそ譲っても、その子供まで一任した覚えはありませんわよ?」
「なッ!?」
頭上で飛行しながらこちらの会話を聞いていたラフまで、そのセリフに驚きを隠せなかった。
「な、なんでそれを!?」
俺も驚いた。
ラフが懐妊していることを知っているのは、ハウスツリーに住んでいる面々だけのはずだ。あの様子から、ラフが教えたわけではないだろうしハァビー達も信じている。
「フェイ、それはもう少ししてから言おうって!」
「あッ……」
これにはシジットもフォローを入れられなかった。というか、5人とも知ってたのか……。
えぇ、えぇ、俺とラフを除いて学園の畑に夜間作業で泊まらせたときに感づいたんですね。わざわざ、こっちまで出歯亀しにきたのね!
「仕方ない。逃げろ!」
「全く成長してない」
「仕方ありませんね……」
5人は俺をからかうのを止めて、大急ぎで首都へと走り出した。
「帰ってきたら覚えておけ! ほんと、なんて奴らだ」
その後姿をなんとか見送ってぼやいた。
「そうですね。ただ、この機にハルピュイアの皆さんもこっちへ来ますからね」
ハァビーが、バロメッツ達を抱きかかえて寄り添ってくる。
「そうだったのじゃ。うかうかはしておれんのじゃ」
ファリッバがハァビーとは反対側にきた。
背後に降り立つのはラフ。
「全く、フェイってば……。でも、にぎやかになるわね」
本当にな。
そんな俺達の姿を、エルフ首長が描く。
完成した絵を家に飾るのも良いのだが、それよりもやることがあった。
……。
…………。
『というわけで、お父様お母様。このような形でしか連絡できないことをお許しください。なぜって、そりゃ、大事な家族達が隣で寝てるからですけど?』
とまぁ、そういうこともあり感慨もなく大家族になっていたりする。
そこに、まぁこれは主に俺の弱気からくる無節操さが原因だが、追い打ちを掛けてくる子がいた。うん、ハァビーがってなったら追従してくるよね。
「ダイナ殿~、こっちは雪の対策が終わったのじゃ。ぅん? 皆さん、今日はどうしたのじゃ?」
「えっと……お疲れ様。悪いな」
以前に比べて少しお腹の皮が張ったファリッバがやってきて、俺は任せっきりにしてしまったことを謝る。ファリッバは5人を見つけてハァビーや俺と似たような反応を示した。
生徒達はと言うと、ケェヌを除いて一様に冷ややかとニヤニヤを足して2で割ったような表情を浮かべている。
「なんなのじゃ?」
そうだよ! やることやりましたよ! 春先には子供が生まれて、初夏ぐらいに青鋼蚕達と一緒に旅立つんだよな……。
虫人の血を引いているから普通の人よりも、子孫繁栄のサイクルが短いと見られる。
流石のフェイも、おめでたい話に水を指すほど不謹慎ではなくラフの居場所だけを訊ねる。
「えっと、ラフを探しているんですのよ。知りませんこと?」
「ラフさんじゃな。生憎とフェイさんの接近を聞いて逃げたのじゃ」
「やっぱりですのね! キィー! 悔しいですのよ!」
予想通りの反応をありがとう。
さて、俺達も冬に備えて作業しないとならないから、さっさと生徒達を出発させよう。
「飛べるようになってから結構自由にやってるし、探しても無駄だぞ? さぁ、早く出発しなさい」
先生風を吹かせながらあしらおうとするも、それがフェイの琴線に触れてしまったらしかった。
「そんなこと言って、私達のいない数日の間は大丈夫ですの?」
「それは~……」
訊ねられて、俺も少しだけ言いよどんでしまう。
そりゃ、一日の出荷量が決まっているわけでもなければ、どれだけの野菜を出さなければならないということもない。非常にその日の取れ高をまとめて、『シィディア』に打ち込んでおくだけだ。それを首都へ行った機会に売れば良い話だ。
当然、今回もお願いしてある。
「白菜100箱、背高ネギ20箱、他諸々……まぁ、無駄にしないで余裕を持った計画だし。うん、なんとか?」
大体15キログラム入ぐらいのケースだし、力仕事を俺が担当すれば無理無茶無謀ってわけでもない。
しかし、そこにエアール姿のラフという馬力の権化を含めていると考えるのは、フェイならば当然であろう。
「ラフに無茶させるつもりですの?」
そう言われても困る。別に無理させるつもりはないが、どこまでやれるか、どこまでラフが仕事を優先するかはわからない。
ここで、俺の代わりに口を挟んだのはハァビーとファリッバである。
「えっと、私達も可能な限り頑張りますから」
「そうなのじゃッ。働ける間は体を動かさないと、良い子が生まれてこないのじゃ」
必死でフォローしてくれる2人に感謝の念が耐えない。
しかし、フェイが気にしていたのは彼女らの気持ちとかそういうところじゃない。
「ラフこそ譲っても、その子供まで一任した覚えはありませんわよ?」
「なッ!?」
頭上で飛行しながらこちらの会話を聞いていたラフまで、そのセリフに驚きを隠せなかった。
「な、なんでそれを!?」
俺も驚いた。
ラフが懐妊していることを知っているのは、ハウスツリーに住んでいる面々だけのはずだ。あの様子から、ラフが教えたわけではないだろうしハァビー達も信じている。
「フェイ、それはもう少ししてから言おうって!」
「あッ……」
これにはシジットもフォローを入れられなかった。というか、5人とも知ってたのか……。
えぇ、えぇ、俺とラフを除いて学園の畑に夜間作業で泊まらせたときに感づいたんですね。わざわざ、こっちまで出歯亀しにきたのね!
「仕方ない。逃げろ!」
「全く成長してない」
「仕方ありませんね……」
5人は俺をからかうのを止めて、大急ぎで首都へと走り出した。
「帰ってきたら覚えておけ! ほんと、なんて奴らだ」
その後姿をなんとか見送ってぼやいた。
「そうですね。ただ、この機にハルピュイアの皆さんもこっちへ来ますからね」
ハァビーが、バロメッツ達を抱きかかえて寄り添ってくる。
「そうだったのじゃ。うかうかはしておれんのじゃ」
ファリッバがハァビーとは反対側にきた。
背後に降り立つのはラフ。
「全く、フェイってば……。でも、にぎやかになるわね」
本当にな。
そんな俺達の姿を、エルフ首長が描く。
完成した絵を家に飾るのも良いのだが、それよりもやることがあった。
……。
…………。
『というわけで、お父様お母様。このような形でしか連絡できないことをお許しください。なぜって、そりゃ、大事な家族達が隣で寝てるからですけど?』
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