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悪友の腕の中は実家のような安心感
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放課後、石動 峇清は細い肩に紺色のカバンを掛ける。鎖骨のラインに沿って流れる汗を、小枝かと思うような腕で拭って野外の暑さに備えた。
学校の敷地内にある寮へ到着するまでの間の、僅かな我慢。
そう思ったタイミングだ。
外人の母親譲りの円らな碧眼を廊下に向ければ、メガネを掛けた青年が佇んでいた。峇清は、生憎とブロンドなどではない日本人らしい黒髪を手で掻き乱し、小さくため息をつく。
「やぁ、イッシ~ッ」
青年は周囲の目も憚らず、峇清のことをふざけた渾名で呼んだ。厳格な姓や名など感じさせない、間延びした愛称である。最後を長音ではなく波ダッシュにするのがコツなのだとか。知ったことではない。
さておき、青年の名前は野口 瑛太。峇清とは小学生ぐらいの頃からの付き合いとなる悪友で、そのふざけた愛称も納得の関係である。
単なる遊びのお誘いならば、無視してもう一つの出口から立ち去っても良い。
「野口、また、なのか……」
「ま~た、だよ♪」
峇清の言葉に、瑛太は歌うようなリズムで答えた。峇清はまた小さくため息をつく。
踵を返した瑛太の背中を追った。黙っていれば厳ついめなポニーテール姿。
向かった先は、今は資料室としてしか使われていない空き教室の1つで、少し埃臭い部屋に2人で入り瑛太が内側の鍵を掛ける。
「閉めなくても逃げない」
「誰かに入って来られたら困るでしょ? イッシ~だって大丈夫じゃないでしょ」
「それは、まぁ……」
「フフッ、こっち」
「気が早いって。ほら、渡して」
その場面でニタリと笑うとどこか不気味な印象を受けた。瑛太は、峇清をからかいながら細い体を押して部屋の中央へ向かった。
ご丁寧に机を並べて作られたダブルベッド。男同士で就寝しても良いなどと考えるのは瑛太ぐらいのものだろう。
峇清は遠慮願いたいので、手を出して何かを催促した。
「ごめん、ごめん♪ ボクも我慢も限界でさ」
瑛太はポケットから、液体の入った金魚の器を出した。お弁当に入れる醤油やソースとかのあれである。
峇清にそれ手渡しながら女っぽい口調で言うものだから、また峇清を不快にさせるのだ。性格の女々しさを考えるなら、これを飲むのは自分より瑛太の方だと考える。
「我慢の限界は俺の方。一昨日もだし」
悪態をつきつつも、飲まざるを得ないから飲むのだった。
「明日には会えなくなると思うとね」
「夏休みの帰省な。どうしてもっていうなら、野口持ちで遠出ぐらいする」
「そんなこと言ってぇ、イッシ~もまんざらじゃないんでしょ? 立場上、男同士っていうのがまずいだけで、さ」
「違う……チュッ」
否定を吐きつつ口に液体を押し込んだ。数秒後、また瑛太が口を開く。
「そう言ったの、イッシ~だし?」
「そういう意味じグッ……。はじまッ、あぁぁぁ~!」
瑛太のからかいに答えきる暇もなく、峇清は体を襲った感覚に悲鳴を上げた。細い体が弾けんばかりに膨張を開始したのだから、痛みに近いものだったのかもしれない。
少し蒸す部屋に、やや甘さのある汗の匂いが充満した。瑛太の前には、いつの間にか黒いボブカットに碧眼の女性が膝をついている。
「これ……相変わらず、なに入れて、あるのさ? なんか、クラクラするし……」
口調は峇清のままに、少しアルトに近い声音で問いかけた。
「聞かないほうが良いよ。飲みづらくなるかも? ただ酩酊感は、イッシ~の心を守るためだから許してちょーだい」
「クソッ……。もう既に、飲みたくなくなってる」
絶対に合法じゃないやつだなどと、峇清は内心で呆れながら自分の体を確認した。
手足の肉付きは男のときとあまり変わらないも、少し肌のキメは細かいかもしれない。特筆すべきは、その豊満になった乳房だろうか。
「巨乳になる成分なんて入ってないはずなのにね。やっぱり、元から女性ホルモンが多いのかもね」
「ばっ、か! マジマジ見る、な///」
「ま、そんなことよりさぁ」
「って、聞けよ……バイセクシャル野郎」
「イッシ~専用ってつけなきゃぁ。ほら」
男が好きと言いつつも女でも良いから体を隠すも、学習机ベッドに腰掛けた姿を見て諦めた。
学生ズボンから飛び出て真っ直ぐ天井へ伸びるロケットは、まだ完全に硬化していないというのに平均くらいの峇清を上回っていた。それを彼は、いや彼女は、その大玉メロンで挟み込む。挨拶程度のいつものこと。
ペニスに近づくと、フワッと恥垢の臭いが鼻を突く。それを、擬似的とはいえ自身の体で挟み込むことに嫌悪を感じる。しかし、酩酊状態の頭はそうした気持ちさえも誤魔化してしまい、言われるままにおっぱい肉で扱き出す。
「お、おぉっ。やっぱり、イッシーのパイオツは一品だね」
「うる、さいっ/// 変な声出すな…///」
学校の敷地内にある寮へ到着するまでの間の、僅かな我慢。
そう思ったタイミングだ。
外人の母親譲りの円らな碧眼を廊下に向ければ、メガネを掛けた青年が佇んでいた。峇清は、生憎とブロンドなどではない日本人らしい黒髪を手で掻き乱し、小さくため息をつく。
「やぁ、イッシ~ッ」
青年は周囲の目も憚らず、峇清のことをふざけた渾名で呼んだ。厳格な姓や名など感じさせない、間延びした愛称である。最後を長音ではなく波ダッシュにするのがコツなのだとか。知ったことではない。
さておき、青年の名前は野口 瑛太。峇清とは小学生ぐらいの頃からの付き合いとなる悪友で、そのふざけた愛称も納得の関係である。
単なる遊びのお誘いならば、無視してもう一つの出口から立ち去っても良い。
「野口、また、なのか……」
「ま~た、だよ♪」
峇清の言葉に、瑛太は歌うようなリズムで答えた。峇清はまた小さくため息をつく。
踵を返した瑛太の背中を追った。黙っていれば厳ついめなポニーテール姿。
向かった先は、今は資料室としてしか使われていない空き教室の1つで、少し埃臭い部屋に2人で入り瑛太が内側の鍵を掛ける。
「閉めなくても逃げない」
「誰かに入って来られたら困るでしょ? イッシ~だって大丈夫じゃないでしょ」
「それは、まぁ……」
「フフッ、こっち」
「気が早いって。ほら、渡して」
その場面でニタリと笑うとどこか不気味な印象を受けた。瑛太は、峇清をからかいながら細い体を押して部屋の中央へ向かった。
ご丁寧に机を並べて作られたダブルベッド。男同士で就寝しても良いなどと考えるのは瑛太ぐらいのものだろう。
峇清は遠慮願いたいので、手を出して何かを催促した。
「ごめん、ごめん♪ ボクも我慢も限界でさ」
瑛太はポケットから、液体の入った金魚の器を出した。お弁当に入れる醤油やソースとかのあれである。
峇清にそれ手渡しながら女っぽい口調で言うものだから、また峇清を不快にさせるのだ。性格の女々しさを考えるなら、これを飲むのは自分より瑛太の方だと考える。
「我慢の限界は俺の方。一昨日もだし」
悪態をつきつつも、飲まざるを得ないから飲むのだった。
「明日には会えなくなると思うとね」
「夏休みの帰省な。どうしてもっていうなら、野口持ちで遠出ぐらいする」
「そんなこと言ってぇ、イッシ~もまんざらじゃないんでしょ? 立場上、男同士っていうのがまずいだけで、さ」
「違う……チュッ」
否定を吐きつつ口に液体を押し込んだ。数秒後、また瑛太が口を開く。
「そう言ったの、イッシ~だし?」
「そういう意味じグッ……。はじまッ、あぁぁぁ~!」
瑛太のからかいに答えきる暇もなく、峇清は体を襲った感覚に悲鳴を上げた。細い体が弾けんばかりに膨張を開始したのだから、痛みに近いものだったのかもしれない。
少し蒸す部屋に、やや甘さのある汗の匂いが充満した。瑛太の前には、いつの間にか黒いボブカットに碧眼の女性が膝をついている。
「これ……相変わらず、なに入れて、あるのさ? なんか、クラクラするし……」
口調は峇清のままに、少しアルトに近い声音で問いかけた。
「聞かないほうが良いよ。飲みづらくなるかも? ただ酩酊感は、イッシ~の心を守るためだから許してちょーだい」
「クソッ……。もう既に、飲みたくなくなってる」
絶対に合法じゃないやつだなどと、峇清は内心で呆れながら自分の体を確認した。
手足の肉付きは男のときとあまり変わらないも、少し肌のキメは細かいかもしれない。特筆すべきは、その豊満になった乳房だろうか。
「巨乳になる成分なんて入ってないはずなのにね。やっぱり、元から女性ホルモンが多いのかもね」
「ばっ、か! マジマジ見る、な///」
「ま、そんなことよりさぁ」
「って、聞けよ……バイセクシャル野郎」
「イッシ~専用ってつけなきゃぁ。ほら」
男が好きと言いつつも女でも良いから体を隠すも、学習机ベッドに腰掛けた姿を見て諦めた。
学生ズボンから飛び出て真っ直ぐ天井へ伸びるロケットは、まだ完全に硬化していないというのに平均くらいの峇清を上回っていた。それを彼は、いや彼女は、その大玉メロンで挟み込む。挨拶程度のいつものこと。
ペニスに近づくと、フワッと恥垢の臭いが鼻を突く。それを、擬似的とはいえ自身の体で挟み込むことに嫌悪を感じる。しかし、酩酊状態の頭はそうした気持ちさえも誤魔化してしまい、言われるままにおっぱい肉で扱き出す。
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