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FILE1.痴漢幽霊騒動
その4-5
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「なになに? 生徒が飛び降、痛い!」
手渡されたタブレットに表示されたパワーポイントを不用意に読み上げそうになったところ、零士に副所長パンチがミゾオチに飛ぶ。
「?」
「?」
「?」
明可達がこちらを気にしてくる。
「いえ、何でもありませんわよ、おほほほほっ!」
一昔前の漫画のようなセレブ笑いで無理やり誤魔化す双葉。その間にも零士は整理された資料に目を通す。百童子高校の女子生徒が1年前に受験ノイローゼで自らこの世から去ったという話が軸であり、そこから信憑性のある噂などを統合した結果。
「九十九さんの妹が?」
「はい。学校関係者の家族なのは地方紙にも載ってて、さらに生徒達らしきコメントから推察すると……」
2人でヒソヒソと話し合う。先の明可や無央の反応からして大きくハズレてはいないだろう。
「驚いたが、今回の件には気持ち以外関わってないだろうな」
校長先生達が当たり障りなく立ち回ろうとしたり、生徒の言い淀む理由もわかった。おかしな壁に当たったと呆れる零士。
「うーん、話を聞きづらくなっちまったな……」
「また別の方法を考えましょう」
明可の心境を思うと、双葉も所長のデリカシーのなさに託せなくなったらしい。
「お二人とも、よろしいですか?」
「え? あ、はい、大丈夫だぜ?」
いきなり明可に確認され、零士は慌てて考えもなしに答えた。
「それで、大丈夫、というのは?」
なんとか冷静さを取り戻した双葉が意味を問い返す。気を散らしていた2人に明可は少し呆れたように答えてくれる。
「聞いていらっしゃらなかったんですか……。放送部の見学をしていくという話ですよ」
意外な話の進み方に零士と双葉は顔を見合わせそしてまた振り向き確認する。
「勝手に決めて良いのか?」
「さっきの今ですよ?」
「ええ、まあ、五十鈴先生がダメと言えばそこまでですが」
「アタシはもっと2人と話してたいからなんとか説得してみるわ」
明可は素直に乗り気ではないことを顕にし、反面で無央には気に入られてしまっている。そんな流れで零士達は放送部の部室へと向かうことになる。
だいぶ日の暮れた時間になるも、放送室には人の気配があった。
「……!」
零士達ではない。
「まだ機材と格闘してるみたい」
無央が怒鳴り超えを聞いて推測する。しかし、何か様子が変だ。
「――ぎぃ!!」
近づくに連れてはっきりしてくる声の内容。防音の扉を突き抜けてくるそれは明らかに通常とは違う声色だった。
「どちらかというと悲鳴じゃないか?」
「ぐぐぅぅぁぁぁっ!」
「うおっ!?」
やはりセリフになっていない何かだ。
「こんなの普通じゃありませんよ……!」
異常事態だと気づいた零士と双葉は慌てて放送室の扉に近づくが、中から鍵がされているらしくドアノブを回しても開かない。
手渡されたタブレットに表示されたパワーポイントを不用意に読み上げそうになったところ、零士に副所長パンチがミゾオチに飛ぶ。
「?」
「?」
「?」
明可達がこちらを気にしてくる。
「いえ、何でもありませんわよ、おほほほほっ!」
一昔前の漫画のようなセレブ笑いで無理やり誤魔化す双葉。その間にも零士は整理された資料に目を通す。百童子高校の女子生徒が1年前に受験ノイローゼで自らこの世から去ったという話が軸であり、そこから信憑性のある噂などを統合した結果。
「九十九さんの妹が?」
「はい。学校関係者の家族なのは地方紙にも載ってて、さらに生徒達らしきコメントから推察すると……」
2人でヒソヒソと話し合う。先の明可や無央の反応からして大きくハズレてはいないだろう。
「驚いたが、今回の件には気持ち以外関わってないだろうな」
校長先生達が当たり障りなく立ち回ろうとしたり、生徒の言い淀む理由もわかった。おかしな壁に当たったと呆れる零士。
「うーん、話を聞きづらくなっちまったな……」
「また別の方法を考えましょう」
明可の心境を思うと、双葉も所長のデリカシーのなさに託せなくなったらしい。
「お二人とも、よろしいですか?」
「え? あ、はい、大丈夫だぜ?」
いきなり明可に確認され、零士は慌てて考えもなしに答えた。
「それで、大丈夫、というのは?」
なんとか冷静さを取り戻した双葉が意味を問い返す。気を散らしていた2人に明可は少し呆れたように答えてくれる。
「聞いていらっしゃらなかったんですか……。放送部の見学をしていくという話ですよ」
意外な話の進み方に零士と双葉は顔を見合わせそしてまた振り向き確認する。
「勝手に決めて良いのか?」
「さっきの今ですよ?」
「ええ、まあ、五十鈴先生がダメと言えばそこまでですが」
「アタシはもっと2人と話してたいからなんとか説得してみるわ」
明可は素直に乗り気ではないことを顕にし、反面で無央には気に入られてしまっている。そんな流れで零士達は放送部の部室へと向かうことになる。
だいぶ日の暮れた時間になるも、放送室には人の気配があった。
「……!」
零士達ではない。
「まだ機材と格闘してるみたい」
無央が怒鳴り超えを聞いて推測する。しかし、何か様子が変だ。
「――ぎぃ!!」
近づくに連れてはっきりしてくる声の内容。防音の扉を突き抜けてくるそれは明らかに通常とは違う声色だった。
「どちらかというと悲鳴じゃないか?」
「ぐぐぅぅぁぁぁっ!」
「うおっ!?」
やはりセリフになっていない何かだ。
「こんなの普通じゃありませんよ……!」
異常事態だと気づいた零士と双葉は慌てて放送室の扉に近づくが、中から鍵がされているらしくドアノブを回しても開かない。
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