真夏に降る雪・真夏の雪はあなたを狂わせる

グタネコ

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第一章 奇跡

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 柏井病院は、お世辞にも立派とは言えなかった。破綻の噂が流れるのもうなずけるほど、建物外観も病院の中も、古く薄汚れていた。手すりのペンキは所々はげ、待合室の椅子の破れたシートは布テープで補修されていた。
 建物の屋上に取り付けられている病院の看板も掃除をする余裕がないのか、汚れていて、井の字のまん中に点が打たれているように見えた。柏丼、総合病院、と笑えない冗談になっていた。
 病院に入ると、消毒の臭いが体を包んだ。
外来患者の診察時間は終了していて、病院の中は閑散としていた
 隆夫の叔父、友野庄一の病室は三階の312号室だった。隆夫は受付で名前を書き、階段を登っていった。いつもはエレベーターで行くのだが、今日は無意識に階段を選んでいた。
 体が軽かった。階段を上っても息がきれなかった。隆夫は階段の途中で、一度立ち止まり、息を大きく吸ってみた。力強い心臓の鼓動が何とも心地よかった。
 隆夫が三階に上ると、廊下に叔母、昌子の姿が見えた。叔父の病室の前で、荷物を廊下に運び出していた。
 隆夫の足が止まった。急に、周りの空気が凍り付いたような気がした。零下三十度。真夏の東京から、シベリアに瞬間移動した。透明な冷房装置が急に働いて氷の欠片を隆夫に向かって吐き出した。
 末期ガン、容体急変、死亡、病室の整理。
連想が頭の中を駆けめぐった。
 顔を上げた叔母と目があった。何か声をだそうとしたが、体が固まり、喉から空気が出ていかなかった。
「あら、隆夫君」
 隆夫を見ると、叔母は、びっくりするほど明るい声をだした。
 痩せて顔色の悪い叔父とは対照的に、叔母は、布袋様のように丸々と太っていた。
「あ、あの、こんにちは」
 隆夫は取りあえず頭を下げた。
「隆夫君、実はね」
 叔母が手招きをした。
 隆夫が病室に向かって歩いて行くと、
「よお」
 と叔父が病室から顔をだした。パジャマ姿ではなく、普通のズボンにポロシャツだった。
「退院なのよ」
 叔母は笑っていた。
「退院、ですか……」
 隆夫は頭が混乱していた。
 末期ガン。二週間前に来た時には、確かに、叔父は青白い顔でベッドに横たわっていた。
「治ったんですか」
 二人の明るさに、隆夫は思わず聞いてしまい、すぐに後悔した。末期ガンがそう簡単に治るはずがない。もしかしたら最後の数日だけ家で過ごす、という可能性のほうが高い。家に帰れると言うので、二人は今だけ明るいのではないか。
 しかし、隆夫の心配とは異なり、叔父は明るい表情で、
「ああ、治ったよ」とあっさり答えた。
 病室に入ると、部屋はすでに整理されていた。ベッドカバーは外され、着替えや身の回りの細々とした物もバッグに入れて持ち出されていた。
 叔父が最後に残った雑誌をバッグに詰めていった。
「何だか知らないけど、治っちゃったのよ」
 叔母が言った。
「きれいさっぱり、検査でも以上なしだ」
「生命保険を期待してたのにね」
「ばかやろう」
 同じフロアーの病室には、他にもガンの患者がいるというのに、二人は場違いなほど、明るく笑った。
「奇跡だな。まったく」
 叔父がつぶやいた。
「そうね」
 奇跡だ。末期ガンが一週間で消えた。平凡な町で起きた、小さな奇跡だ。
(何だろう?)
 不安が顔をのぞかせる。何かが胸がつかえる。すばらしいニュースのはずなのに、素直に喜べない。
「病気が治った」
 どこかで聞いた台詞だった。ほんの数分前に……。そう、透が言った言葉と同じだった。
「病気が治った」
 それなら、治したのは誰なんだ。 
「ちょっと、お金を払ってくるからね」
 叔母が病室から出ていった。
「まったく、病院っていうのは、お金ばっかりかかるね」
 言葉とは裏腹に、叔母はスキップでもしそうな軽い足取りで廊下を歩いていった。
 叔父の病気が治って、叔母は急に若返ったように見えた。
 叔父は、「ああ、頼むよ」と言って、軽く右手を上げた。そして、叔母の姿が見えなくなると、「ふー」と息を吐き、死にかけた人間が生き返った奇跡のベッドに腰を掛けた。
 隆夫と同じように、叔父もどこかで自分の身に起きた奇跡を納得してはいないように見えた。
 ここを出る時には死神が叔父の手を引いていくはずだった。死の息づかいを耳もとで聞きながら、ベッドの上で意地の悪い神の拷問に耐えていた叔父を天国の門の前でUターンさせたのは誰なのか。
 病室の窓から浦積の町が見えていた。ビルの隙間から、隆夫の通う高校の校舎も見ることができた。
 雪……。
 一瞬、窓の外に雪が見えたような気がした。
あの日、雪はこの病院にも降っていたに違いない。隆夫が公園でブランコに腰掛けていた時、そして、体育の授業で透とイチョウの木の下で座っていた日。雪はこの病院にも舞い降りていたに違いない。
「叔父さん」
 隆夫は、ベッドに腰掛けている叔父に小声で聞いた。悪魔に気づかれないように、死神に聞こえないように、
「ん?。なんだ?」
 叔父が隆夫の顔を見た。
「雪……見た?」
 隆夫は唇だけを動かした。「ゆ・き」、声にするな。死神がこの部屋のどこかに隠れて聞いているかもしれない。「俺が連れていくはずだったのに、一体誰がじゃまをしたんだ」といぶかりながら、
「雪?」
「そう、雪」
 真夏に降る雪。病院の上に降っていた雪を叔父も見たに違いない。
 叔父は、隆夫の顔を見つめ、
「……見たよ」と囁くような小さな声で言った。
「隆夫も見たのか……」
 隆夫がうなずいた。
「そうか、見間違いじゃなかったんだ」
 叔父は雪を思い出すように病室の天井を見上げた。
 
 隆夫の叔父、友野庄一が雪を見たのは、隆夫が公園で初めて雪を見た日と同じ七月一日だった。
 その日、庄一は病室を抜けだし、屋上に向かう階段を上っていった。屋上に何か目的があるわけではなかった。ただ最後に、太陽の光を浴びたかっただけだった。
 前の夜、自分が死んだ夢を見た。末期ガンの痛みを抑えるためにモルヒネを打っているのだが、痛みは消えない。夜中に苦しくなり、意識が朦朧となった。夢か現実か分からなくなり、呼吸が止まった気がした。魂が体から抜けだし、ベッドの上に横たわる自分の死に顔を見た。棺に入れられ、葬儀が行われた。通夜、焼香、読経。妻が泣いていた。告別式が終わり、霊柩車が来て焼き場に送られる途中で目が覚めた。
 まだ生きていた。もう、口からは食事がとれなくなっている。点滴だけで生き続けている身だ。死ぬ前にもう一度だけ、太陽の光を浴びて、外の空気を胸の中に納めたかった。 庄一は病室を抜け出し、屋上に向かった。筋肉がそげ落ちた足が最後の階段を登っていく。骨が軋む。体中の骨という骨がバラバラになりそうだった。
 最後の二十段が永遠に感じられた。見えない巨大な十字架が庄一の腰を曲げていく。
 屋上に出る扉に体をあずけ、ドアノブを回す。幸い鍵はかかっていなかった。屋上の扉を開けると、強い光が庄一の目を射した。
 目眩がした。庄一はドアノブに掴まり、崩れ落ちそうになる体を支えた。
 強烈な潮の臭いと湿気が襲ってきた。吐き気がして、屋内に戻ろうと一瞬考えたが、また思い直して屋上に出た。屋上には遮る物が何も無く、灼けるような日ざしが直接体に突き刺さってきた。コンクリートが太陽に炙られていた。スリッパが焦げ、足の裏が焼けてくる。
 踏ん張りがきかず、体が前後左右に揺れた。汗が一気に吹き出す。抗ガン剤の副作用で髪の毛がほとんど抜け落ちている頭に直射日光は強すぎた。
 庄一は太陽に向かって、両手を広げ、精一杯息を吸った。魚の腐臭と潮の臭いが混ざっていた。それでも、消毒液と糞尿の臭いが混じり、配管の迷路を延々と廻って黴と埃を集めてきた冷房の空気と比べれば、たとえようもないほどの旨さだった。
 目の前にキラキラと光の粒が見えた。
 迎えが来たのか、と庄一は思った。臨死体験を集めた本には、例外なく、死に際して光りに包まれると書いてある。
 光りの粒が庄一の体を包んだ。庄一は目を閉じて自分の死を待った。しかし、ただ暑さが増すだけで、本に書いてあったようなことは起きなかった。
 目を開けた。目の前に白い結晶が漂っていた。庄一は結晶を手の平に受け止めた。
 雪だった。六角形の結晶。はるか昔、小学生の頃、科学雑誌で見たそのままの形だった。
 雪は小さな塵を核として雲の中で少しずつ成長していく。結晶の形は、温度と落ちる速度によって様々に変化し……脳の奥で眠っていた記憶が一瞬浮かんだ。
「雪?」
 庄一は空を見上げた。頭上には梅雨の晴れ間の真夏の青空が広がっていた。吸い込まれて行きそうな青い空だ。まさに雲一つない。雪が降るわけがなかった。
 しかし、頭の上からは、雪が光りを浴びてきらめきながら静かに降りてきていた。白い結晶がゆらゆらと目の前で揺れていた。庄一は大きく息を吸い、雪を肺の奥深くまで吸い込んだ。
 その夜、庄一は痛みもなく熟睡した。三日日後には、口から食事をとるようになり、十日後、ガンは消え、医者が首をひねり、退院が決まった。
 
「幻かと思ったよ。やっぱり、あれは、幻じゃなかったんだ……」
 庄一が隆夫に言った。
「ええ」隆夫はうなずいた。
「雪か……」
 庄一は窓の外に目をやった。しかし、今日は、雪は見えなかった。
 昌子が戻って来て、真夏の雪の話はそこで終わった。
「庄一さん。帰る?」
「ああ、帰ろう」
 昌子がバックを二つ持った。
「荷物、一つ持つよ」
「大丈夫なの」
「ああ、もうこんな物、四つでも五つでも大丈夫だ」
 庄一は、少しおどけながら両手に持ったバックを振ってみせた。
 ベッドの横に、紙袋が一つ残っていた。庄一は紙袋を指さし、
「それ、隆夫にやるよ」と言った。
「なにこれ?」
「漫画。生きてるうちにどうしても読みたかった本を持ってきたんだ」
「それじゃ、悪いから良いよ」
「まあ、いいから、持ってけよ。形見になりそこねた本だけどな」
 隆夫は庄一の車で、家まで送り届けてもらった。
 庄一と昌子が隆夫の母、信子に退院を報告すると、
「よかったわね」と母はおおげさに喜んだ。
 玄関で、三人が笑っていた。嬉しい出来事のはずなのに、強烈な不安が襲ってきた。
 病気が治った。叔父の透の、そして自分の病気が治り健康な体になった。それで……治したのは誰だ。誰が治したんだ。
 雪……だろうか? 真夏に降る雪。あの雪は奇跡を起こす天からの贈り物だったのだろうか。浦積市の善良な市民に神様が気まぐれに届けてくれた小さな奇跡。聖書のモーゼやイエスのように、奇跡を起こす誰かがこの町にいて、その人がみんなの病気を治してくれた。
 隆夫は嘘でもいいから、そう信じたい気持ちだった。

 その日、隆夫が浦積市の病院をまわれば、不思議な静けさに戸惑ったはずである。
 柏井総合病院、市民病院、浦積中央病院、浦積市にある三カ所の総合病院のいずれも、今週、外来患者の数が通常の五分の一以下に減っていた。
 特に隆夫の叔父が退院した金曜日は、どの病院も数人の患者が訪れただけで、受付開始から一時間も過ぎると、閑散とし、眠気を誘う平和な静けさに包まれていた。
 受付の職員は欠伸をかみ殺し、パソコンのキーを時々思い出したように叩いていた。
 病院の前にある調剤薬局も開店休業状態だった。
「珍しいな」
 薬剤師の太田浩一が同僚の浜野涼子に言った。
「そうね」
 恋人と喧嘩別れをしたばかりの涼子は、暇になると無性にタバコが吸いたくなった。
「今日は、何か催し物でもあったのかな。老人クラブの旅行とか、市民会館でのど自慢大会とか。夏祭りはまだだし」
「そうね」
 涼子にとって、太田の言葉は機械の雑音と同じだった。心がささくれだっていた。暴力的な衝動が胃の底から突き上げてくる。急に、棚に並んでいる薬ビンをたたき落としたくなる。無神経にしゃべっている太田の横顔を思い切り殴りたくなる。
 涼子は席を立ちトイレに向かった。タバコを吸おう。そうすれば、少しはイライラが収まるかもしれない。
 病気が治ったのは、隆夫や叔父だけではなかった。浦積市に住むほとんどの人間が―意識するかしないかは別にして―二週間前よりも、はるかに健康になっていた。

 古来より、人類最大の関心事と言えば、第一に不老不死だろう。いかに莫大な財宝を得ようとも、死は全てを取り去り、人を無惨な骸に変えてしまう。
 絶世の美女も黄金の王も、時は顔に皺を刻み、精気を失わせ、棺の蓋を閉じてしまう。
 死は時と共に確実に近づいてくる。自分は老いるわけがないと、意味のない確信を持っていた青年期と違い、死の影を髪の毛に、顔に皮膚に足に、体のそこかしこに感じ始めると、酒色に溺れていても、棺の中で冷たくなり、腐って蛆に食われ骨となっていく自分の姿が頭から離れなくなる。
 死後の世界で―そこが、あればの話だが―生前の生活がそのまま続く保証などどこにもない。
 権力者ほど、自分の人生が嘘や裏切りや殺人に満ち、美徳とはかけ離れていることを自覚している。
 ささいな事に腹を立てて、善良な人間を死に追いやったことはなかっただろうか、人を騙し破滅に追いやったことはなかっただろうか、こんなことは、問うことさえ馬鹿馬鹿しい。
 権力者が聖人君子のはずがない。嘘と謀略に満ちた自分の伝記が、血と精液で書かれていることを知らないはずはない。
 神がいたとして、自分に死後の平安が与えられるとは夢にも思えない。いや、平安などもともと望んではいない。多くの民が望む平安な日々など、権力者にとっては、退屈の極みなのだから。
 ともかく、かぐや姫にさえ出てくる不老長寿の薬を、人は中国の深山に、西方の砂漠に探し求めた。しかし、限りない努力にもかかわらず、猿の小便のような冗談にもならない薬を詐欺師につかまされるのがせいぜいだった。
 現代の不老不死の妙薬は、さしずめ遺伝子治療だろうか。老化を司る遺伝子の発見に、様々な企業が多大な努力をしている。
 細胞は再生のために分裂を繰り返しているが、その再生の回数は遺伝子によって定められている。プロテアという遺伝子の末端についた特別の部位が細胞分裂を繰り返す毎に切断され、短くなり、最終的には無くなり、分裂が止まる。分裂の停止が死だ。
 プロテアを再生させることが出来れば、永遠に細胞は分裂を繰り返し蘇る。命が消えることはない。
 問題はもう一つある。遺伝子の損傷である。
遺伝子は様々な理由により絶えず傷つけられている。紫外線や化学物質、ストレス、過度な運動、その他、通常の生活を営んでいても、遺伝子は傷つき、正確な情報の受け渡しが出来なくなる。
 もちろん、傷ついた遺伝子の修復も行われてはいるのだが、攻撃の頻度と損傷の多さに比べて修復は間に合わないため、細胞の分裂に際して、複製が不完全になる。
 年齢を重ねるに従って顔の皺が増えたり、
体の諸機能が低下するのは、細胞分裂の頻度の減少と機能の低下の両方によるものである。
 単純に考えれば、細胞の一つ一つが劣化することなく分裂を繰り返し、二十代のまま若々しく保つことが出来れば、体全体も二十代の若さでいられるはずである。
 哲学は、次の疑問に答えて欲しい。もし不老不死が得られたとして、我々は幸せなのであろうか。失う物は無いのだろうか。
 永遠の時が約束されたとして、その時間に耐えられるだけの精神を我々は持てるのだろうか。
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