真夏に降る雪・真夏の雪はあなたを狂わせる

グタネコ

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第二章 悪夢

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 雪を見てから十日あまりが過ぎていた。隆夫の心は次第に健康な体に順応してきていた。健康な自分に感じていた戸惑いや不安は急速に消えていき、今は、初めて経験する感情を楽しんでいた。
 晴れた日に、薄暗い洞窟の中から急に表に出たような感覚だった。
 今までは、自分の身の回りや部屋の中、自分の周囲、数メーターの世界が全てだった。 健康になり、顔を上げて周囲を見ると、今まで気が付かなかった刺激的な世界が広がっていた。
 興味や好奇心が外に向かっていく。今まで内にだけ向いていた自分の目が外の世界を捕らえだしていた。
 女生徒の髪型や笑顔、風に揺れるスカート、足もとの靴下、香水の匂い。以前なら決して気にも留めなかった細かな事柄が、今は気になってしかたがない。
 高揚した浮き立つような気分。笑いながら走り回りたくなる。
「おはよう」
 自然に声が出てくる。
「隆ちゃん、おはよう」
 隆夫の母も同じように機嫌が良かった。長年の肩こりと不眠はどこかへ消えてしまったらしく、鼻歌を歌いながら朝食の準備をしていた。
 父親も会社の上司とのストレスで荒れた胃を気にしなくなっていた。テーブルの上の胃薬のビンには薄らと埃が積もっていた。
 隆夫の右腕の発疹は消えたままだった。消えた時に感じた不安は、心の底にしまいこまれていた。
 隆夫が小走りで町を駆け抜けていく、息があがることはない。「ドクドク」と力強く規則正しい心臓の鼓動が心地よかった。
 駅に着き、額に浮かんだ汗をぬぐう。ワイシャツの袖から突きだした腕が赤銅色に日焼けしていた。真夏の日差しを浴びても、ジンマシンはもう出ない。拳を握りしめると力が入った。心なしか、腕が太くなっているような気がする。
 不安が有るとすれば、一瞬こみ上げてくる怒りだった。すれ違いざま、肩が触れただけで殴りかかりたくなる。
 電車が来た。ドアが閉まる。電車は前と変わらない。窓から見える風景も何も変化していないはずなのに、キラキラと輝いて見えた。
「おはよう」
 電車に乗ってきた奈保子とも自然に挨拶を交わしていた。
 電車から降り、高校へ向かう道も、華やいでいるように感じられた。
 校門を入ったところで、「やあ」と、透が隆夫に声をかけた。一週間前、叔父の病院まで一緒に歩いた時に見せていた不安そうな顔は、すっかり消えていた。
 透は、「ちょっと」と言うと、校庭に向かって走りだし、鉄棒に飛びつくと、逆上がりをした。そして、体を大きく振り、鉄棒から飛ぶようにして降りると、両手を開いて体操選手のように着地を決めた。
「すごい」
 隆夫は拍手をした。
「一度、やってみたかったんだ」
 透の頬が少し上気していた。
 隆夫は鉄棒を見上げた。
「鉄棒ってさ、嫌な思い出ばっかり」
 小学校。逆上がりができないのは隆夫一人だった。中学校の体力テスト、懸垂はいつもゼロ回だった。ぶら下がるのが精一杯で、やせた筋肉のない腕は、隆夫の体を十センチも引き上げてはくれなかった。
「友野ゼロ回。はい次ぎ」
 鉄棒から降り、列の一番後ろで俯いて座る。鉄棒にはそんな想い出しかない。
 逆上がり、前まわり、後ろまわり、車輪、蹴あがり。そんなことができて何の役に立つのだろう。クルクルと回る他の生徒を見ながら、隆夫はいつも心の中でつぶやいていた。
 自分の思いがイソップのすっぱいブドウなのはよくわかっていた。本当は自分も逆上がりをしたいし、何度も懸垂をしたかった。しかし、病弱な赤い発疹のある痩せた腕では、隆夫の体を自由に宙に遊ばせる力が有るはずもなかった。
 君もやってみたら、という目で透が見ていた。隆夫はうなずき、鉄棒に飛びついた。体が軽い。力を入れると体は軽々と上がっていった。
 空中で体をくの字に曲げ、体を鉄棒の上に上げた。下に透がいた。初めて見る風景だった。僅か二メートルなのに、上から見る景色は下で見ていたのとは、別の世界だった。
 みんなこんな景色を見ていたのか。小さな感動だった。
 隆夫は鉄棒の上で体を大きく振り、後ろに一回まわった。
 爽快だった。体を自由に扱える。いつも体にまとわりついている空気を今は切ることができた。
「はっ」
 隆夫は透と同じように、大きく体を振って、鉄棒から飛び降りた。そして、透と手をパチンと合わせた。
 やった。二人だけに分かる感情だった。
「上手だね。鉄棒」
 振り返ると奈保子がいた。
「私、鉄棒って、ぜんぜんだめなんだ」
「できるんじゃない」
 隆夫が言った。
「そうかな」
「やってみなよ。僕も今日まで、できなかったんだ」
「そう」
 奈保子は、低い鉄棒を握り、「えい」と、地面を蹴った。きれいな半円を描いて奈保子の体が鉄棒の上に上がっていった。
「できた」
 奈保子は鉄棒から降りると、隆夫と透とハイタッチをした。
「私、初めて逆上がりができたの」
 奈保子の顔も上気していた。
 今なら何でもできるんじゃないか、隆夫は赤ん坊のような万能感を感じていた。
 苦手だった水泳も器械体操もマラソンも山登りも、普通の人に苦もなくできて、自分にはできなかったことが、簡単に、息をするように、何でもなくできそうな気がする。
 恋愛、デート、将来の夢、望むと辛くなる物は厳重にカギをかけて心の底にしまっておいた。今は、そのカギを開けてもだいじょうぶな気がする。淡い幸せなモヤが隆夫を包んでいた。
 少し離れた所から、隆夫と同じクラスの堀尾登がつまらなそうな顔で三人の様子を見ていた。堀尾は、多くの人がそうであるように、特に健康になったという実感はなかった。
 もともと、つまらない事で腹が立ってのが、今は、どうでもいいことまで腹が立つようになっていた。廊下のゴミ箱を蹴って壊したのは堀尾だった。体育館の隅のガラスを割ったのも堀尾だった。近頃は頭にくる事が多い。
「あいつらも」と堀尾は鉄棒の前で笑い合っている三人をにらんでいた。
 こそこそと生きていた奴らが日向に出てきて、俺の前で笑っている。
 堀尾は無性に腹が立った。ネズミのように隠れていた奴らが笑い合っている、それも、女と話している、あいつらは学校の裏につれていって胸倉をつかめば、びびって金を出すような奴らのくせに、朝から楽しそうに笑っている。
 走っていって殴り倒したかったが、堀尾は止めた。以前なら二人でも三人でも関係なかったが、今は二人相手では―そんなこと思いたくもなかったが―負けるかもしれないという恐れがあった。堀尾は暗い目でにらみ、校舎に入っていった。
 四時間目が終わるとすぐに、隆夫は学校の前のコンビニに向かった。弁当は二時間目の休み時間に食べ終わっていた。
 以前の隆夫は、学校に弁当を持って来ることはなかった。昼には購買で買ったパンを一つ食べれば、それで充分だった。それさえも面倒に思えて昼飯を抜くこともしばしばだった。
 食が細く、食べ物にたいする執着い。好き嫌いも考えたことがなかった。自分に食べられる物があれば食べるし、何も無ければ一日や二日、口に入れなくても平気だった。
 小さい時から、胃が弱く食欲がなかった。
「友野君、好き嫌いはだめよ」
 小学校の給食は先生に叱られながら食べた思い出しかない。食べ物への執着のなさは、そのまま生への執着のなさに繋がっていた。
 それが、最近は腹が減った。先週から母親に弁当をしっかり作ってもらっていた。
「珍しいわね。隆夫がお弁当を作ってなんて言うのは」
 隆夫に食欲がでてきたのを母親は素直に喜んでいた。
「何か食べたいおかずがあったら言ってね」
「別に何でもいいよ」
 隆夫は弁当に加えて、今週はパンも買っていた。今日は二時間目が終わった休み時間に弁当を食べ、昼休みにコンビニに向かっている。
 学校の購買は既に売り切れていた。コンビニにも浦積高校の生徒が群がっていた。
 隆夫が棚に残っていたお握りに手を伸ばすと、横から手が伸びてきた。
「あっ」
 手が触れた。奈保子だった。二人はお握りを一つずつ取り、顔を見合わせて、微笑んだ。
「なんだかお腹が空いちゃって」
「僕も」
 隆夫はお握りを二つとコロッケパンを買い、奈保子と歩きながら食べた。
 幸せな気分だった。胃が弱く食が細かった自分。給食を残して怒られていた小学生。帰りの草むらに弁当を捨てていた中学時代。それが、今日は昼休みにコンビニでお握りを買って食べている。
 体の変化に心が適応していく。不思議を不思議と感じなくなっていく。それは奈保子も同じだった。
 学校の帰り、隆夫は駅前でハンバーガーを買った。ハンバーガー、照り焼きバーガー、ポテト、チキン、二週間前なら、写真を見ただけで、気持ち悪くなりそうだったのに、今は立ち止まり、注文の列に並んでいる。
「ご注文は?」
 アルバイトの女子大生がマニュアル通りの笑顔で応対した。
「あっ、ハンバーガー、一つ」
「ハンバーガー、一つですね。ポテトと飲み物はいかがですか」
「えーと、あっ、それじゃ、ポテトを」
「ポテトはMとSがありますが」
「えーと、Mを」
「オーダー入ります。ハンバーガー、ワン。ポテトのM、ワン以上です」
 ポニーテールの目の大きな女子大生は、張りのある声で注文を告げた。
「二百五十円になります」
「あ、はい」
 隆夫は駅前のベンチに座り、ハンバーガーを口に運んだ。
 隆夫は無意識に通り過ぎる女性を目で追っていた。一週間前までは、女性を意識することはなかった。学校の女生徒もテレビのアイドルもグラビア写真のモデルにも興味はなかった。まったく興味がないといえば嘘になるが、体の弱いに自分には、女性は縁が無いものと考えていた。
 いつ終わって不思議ではない自分の未来、今日生きるだけで精一杯なのに、他人との関わりを想像しろというのは無理がある。
 ヌード写真ではなく、叔父の部屋の古いマンガを見ていた隆夫が、今は無意識に駅前を歩いていく女性の姿を目で追っていた。
 食欲がわき、体が元気になり、隠されていた本能が姿を現す。夢精すらなかったのに、今は日に二回、いや三回、自分で白い煩悩を体の外にはき出す。ここ数日、夢をよく見た。原色に彩られた食べ物とセックスの夢だった。
 隆夫は家に帰り自分の部屋に戻ると、すぐに自慰をした。一度目はハンバーガー店のアルバイトの子を思い浮かべて、そして、二度目に脳裏に浮かんだのは奈保子の顔だった。

 平安時代の絵巻物のように、浦積の家々の屋根が開いて室内をのぞき見ることができたなら、どの家でも熱心に夜の営みが行われているのを見ることができただろう。
 退院してから一週間。友野庄一の体から胃ガンは完全に消えていた。庄一の妻昌子は、毎晩体を求めてくる夫に少し不安を感じていた。
 夫婦には子供がいなかった。できなかった原因の大半は庄一にあった。結婚当初、一年ほどは月に一度体を重ねていたような気がするが、その後は年に数度に減った。もしかしたら一度も無い年すらあったかもしれない。それほど庄一は淡泊だった。
 朝も求められた。目覚めると、夫の腕が伸びてきて体を抱かれた。もちろん夜も、そして、昨日は昼も。
 おかしい。
「あなた、少し、控えた方が……」
 頭では分かっていても、体は拒めなかった。
自分も、日に何度も何度も求めたくなる。突き上げてくる衝動を抑えきれなかった。
 浦積は町全体が奇妙な幸福感に包まれていた。食欲と性欲が適度に満たされていれば、悩みの多くは消えてしまう。適度に……それが難しいのだが。

 都会を生き物に例える学者がいる。生き物の定義によれば、自分の外から何かを吸収し、吸収した物からエネルギーを取り出し、排泄し、何らかの活動をして増殖し死滅する。
 動物や植物を思い浮かべれば、いずれの生物も、水や栄養をどこからか摂り、消化し吸収し排泄する。増殖し、いつかは寿命を終える。
 町もまた、様々な物を呑み込み、活動し排泄している。はるか高みより地球を見ている者がいれば、町こそが地球上の生物と考えるかもしれない。
 道路や鉄道は血管に、電話線や電線は神経に、家々は細胞に、人は細胞のなかでうごめく小器官か、それとも害を及ぼすウイルスか。
 トラックは野菜や肉や様々な食料品を運び込み、下水道は汚物を流し、家から出されたゴミが運び出されていく。
 浦積市は、ここ二週間で食料品の消費が三倍になっていた。ハンバーガーやフライドチキン、ピザ、クレープ、たこ焼き、パン、鯛焼き、有りとあらゆるファーストフード店が売り上げを三倍から五倍に伸ばしていた。
 駅前に店を構えるドーナッツ店では、アルバイトはドーナッツが食べ放題になっていた。一日に五個も食べれば嫌になるだろうと、言うのが目論見だったが、ここ数日は一人あたり二十個を優に超えていた。客用と従業員用にドーナッツは作っても作っても消えていった。
 スーパーやコンビニでは、おにぎりや総菜、弁当、サンドウィッチといった食料品が入荷が間に合わず、棚から姿を消していた。
 ファミリーレストラン、回転寿司、ラーメン屋、特に焼き肉屋やステーキ屋は順番待ちの長い行列ができていた。
 市役所では、仕事をしながら握り飯を頬張る職員がいたが、誰も注意しなかった。注意しようにも、ほぼ全員が机の上に食べ物を置いて仕事をしているのだから、注意のしようがなかった。
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