銀の旋律

福澤賢二郎

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《僕》
音楽室には鈴野京太という男子生徒がいた。
とても感じが良い人だ。
僕の隣には葵がいるが、鈴野君には見えていないようだ。
(この人、ホントにピアノが上手なのかな。あんまり見えないね。翔平)
笑顔の葵。
僕にしか見えない葵の笑顔だ。
「本当だね」
そこに天野先生ともう一人知らないスーツ姿の男性 が入ってきた。
顎髭を生やしサングラスをしている。
天野先生が紹介する。
「この人は私の友人であるピアニストの田仲修司さんです。今日はあなた達のピアノを聴いてもらうために来てもらいました」
田仲修司はサングラスを取る。
なかなかのイケメンぶりだ。
「宜しく。俺はお世辞とか言えないからその辺は勘弁な」
「じゃぁ、早速、鈴野君から弾いて」

同世代のピアノは初めてだ。
(楽しみだね)
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