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第1章
20話:売られた喧嘩は買う
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「へ、陛下に王女殿下⁉」
「ど、どうしてここに……」
エルセリオスの登場に子弟たちが驚いていた。
「私はテオ殿とエイシアス殿と話したかっただけだ。驚く必要がどこにある?」
「私もお父様と同じです。エイシアス様にお願いしたいこともありましたので」
会場中の注目を集めているが、エルセリオスは気にした様子もなく子弟たちを一瞥して俺に顔を向ける。
「悪いね。少し食べてから行こうと思ったんだけど、決闘を挑まれちゃってね」
敬語で話さない俺に周囲は無礼だというが、エルセリオスは気にした様子は見せない。
それどころか決闘と聞いて面白そうにしていた。
「ふむ。決闘か……」
「そこの馬鹿が俺の連れに断られて、腹いせに俺のことを馬鹿にしてきてね。売られた喧嘩は誰であろうと買う主義なんだ。悪いね王様」
悪びれた様子を見せない謝罪にエルセリオスは面白そうに笑う。
「面白い。この場で行うのか? ちょうどダンスも終わって空いているが」
「そうですか? でも喧嘩を売ってきた相手は基本的に殺すようにしてるんだ。折角のパーティーが血の舞踏会になったらマズいでしょ?」
会場は俺の血の舞踏会という発言を聞いて静まり返る。
国王が開催した舞踏会で流血騒ぎを起こすけどいいの? という発言は不敬罪にあたるだろう。
「私の舞踏会で流血沙汰か」
「悪いね。でも喧嘩を売ったのが悪い。こうして丁寧に手袋まで投げつけられたんだ。止めろとは言わせねぇぞ?」
「私を脅しているのかね?」
平民が国王を脅しているという場面に緊張が走る。
「もちろんだ。それに俺とコイツの問題だ。部外者のあんたが口を挟むな。殺すぞ?」
俺から放たれる殺気が会場を支配する。
誰もが「ひぃ」と小さな声が漏れ、騎士たちも震えながら俺に剣を向ける。
騎士は俺との実力差には気付いているようだが、護衛ということで剣を向けている。
仕事熱心なことだ。
殺気に当てられたエルセリオスの顔色が悪いので、俺が殺気を収めると安堵の声が聞こえてきた。
「半分は冗談だ。護衛の騎士も剣を収めろ」
「言う通りに」
エルセリオスの言葉で騎士が剣を収めるが、警戒している様子だ。
「王国の中心部で随分と強気で、余裕でいられる」
「実際余裕だからな。で、決闘は中央で?」
「うむ。ただし殺すことは許さない」
「仕方がない。冗談半分で国王を脅したんだ。それくらいは聞いてやる」
俺は怯えている貴族の子弟たちをみる。
「さて、せっかくだ。文句があるやつ全員でかかってこい。お前たちは俺を殺してもいい。俺はお前たちを殺さないことを誓おう」
「や、やっぱり――」
「止める。とは言わないよな? まさかお貴族様が一介の冒険者にビビったのか? まあ、ご令嬢がいる前で恥をさらしたくないもんな?」
笑てやると顔を真っ赤にしていた。
こいつら案外面白いな。
武器をもった15人の子弟たちが中央に集まる。
「そうだ。ここだと魔法も使えないと思うが安心してほしい。優秀な相棒がいるんだ。エイシアス」
「わかっているよ。主」
エイシアスがパチンッと指を鳴らすと、結界が展開された。
周囲の貴族たちも一瞬で展開された結界を見て驚愕していた。
「キミたち程度にこの結界は破壊できない。周りの被害など考えず十分に楽しむといいさ。主は結界を壊さないようにね」
「分かってるわ。――さて、かかってこいよ、雑魚ども」
そうして舞踏会なのに武闘会が始まった。
最初は遠慮気味に魔法を放った子弟だが、結界に当たって爆発して被害がないことを確認すると遠慮なく高威力の魔法を放ってきた。
すでに周囲の貴族たちは楽しそうに見学しており、令嬢たちも面白そうにみていた。
俺は飛来する魔法を躱したり、拳で打ち消して楽しんでいた。
だが威力が弱いのでがっかりしている。
「何をしている! 殺してもいいんだ! 全力でやつを殺せ!」
「あ、ああ!」
周りが連携して俺を殺そうと全力の魔法を放ってくる。
剣などが使える子弟は俺に斬りかかって来るも、すべて素手で受け止めていた。
「素手で……凄いですね。エイシアス様もできるのですか?」
その光景を見ていたイスティリアは、楽しそうに眺めながらワインを飲むエイシアスに聞いてみた。
「あの程度の実力が相手ならな。まあ、この国の者を相手しても素手で余裕さ」
「そこまでお強いのですか……」
「だが、そんな私でも主に本気を出されたら手も足も出ない。アレは一種の怪物さ」
「怪物……」
畏怖の念を込めてテオを見つめ、その戦いを少しでもものにしようとしていた。
そんな中、テオはそろそろ飽きてきていた。
「もう一通り見たけど、飽きたな。んじゃあ俺からも行くぞ」
俺は子弟の背後に瞬間移動する。
軽く尻を蹴飛ばすと吹き飛んで無様に転がる。
驚く面々に、俺は拳を構える。
すると子弟たちは俺に引き寄せられていく。
「ど、どうなっている⁉」
「ひ、引き寄せられる……!」
「こ、攻撃しろ!」
魔法が飛んでくるも、重力の壁によって俺には直撃しない。
そして三メートルほどまで近づいたので、俺は拳を突き出した。
瞬間、子弟たちが吹き飛ばされて結界に衝突して気絶し、決闘は当然のごとく俺の完勝で終わりを告げるのだった。
「ど、どうしてここに……」
エルセリオスの登場に子弟たちが驚いていた。
「私はテオ殿とエイシアス殿と話したかっただけだ。驚く必要がどこにある?」
「私もお父様と同じです。エイシアス様にお願いしたいこともありましたので」
会場中の注目を集めているが、エルセリオスは気にした様子もなく子弟たちを一瞥して俺に顔を向ける。
「悪いね。少し食べてから行こうと思ったんだけど、決闘を挑まれちゃってね」
敬語で話さない俺に周囲は無礼だというが、エルセリオスは気にした様子は見せない。
それどころか決闘と聞いて面白そうにしていた。
「ふむ。決闘か……」
「そこの馬鹿が俺の連れに断られて、腹いせに俺のことを馬鹿にしてきてね。売られた喧嘩は誰であろうと買う主義なんだ。悪いね王様」
悪びれた様子を見せない謝罪にエルセリオスは面白そうに笑う。
「面白い。この場で行うのか? ちょうどダンスも終わって空いているが」
「そうですか? でも喧嘩を売ってきた相手は基本的に殺すようにしてるんだ。折角のパーティーが血の舞踏会になったらマズいでしょ?」
会場は俺の血の舞踏会という発言を聞いて静まり返る。
国王が開催した舞踏会で流血騒ぎを起こすけどいいの? という発言は不敬罪にあたるだろう。
「私の舞踏会で流血沙汰か」
「悪いね。でも喧嘩を売ったのが悪い。こうして丁寧に手袋まで投げつけられたんだ。止めろとは言わせねぇぞ?」
「私を脅しているのかね?」
平民が国王を脅しているという場面に緊張が走る。
「もちろんだ。それに俺とコイツの問題だ。部外者のあんたが口を挟むな。殺すぞ?」
俺から放たれる殺気が会場を支配する。
誰もが「ひぃ」と小さな声が漏れ、騎士たちも震えながら俺に剣を向ける。
騎士は俺との実力差には気付いているようだが、護衛ということで剣を向けている。
仕事熱心なことだ。
殺気に当てられたエルセリオスの顔色が悪いので、俺が殺気を収めると安堵の声が聞こえてきた。
「半分は冗談だ。護衛の騎士も剣を収めろ」
「言う通りに」
エルセリオスの言葉で騎士が剣を収めるが、警戒している様子だ。
「王国の中心部で随分と強気で、余裕でいられる」
「実際余裕だからな。で、決闘は中央で?」
「うむ。ただし殺すことは許さない」
「仕方がない。冗談半分で国王を脅したんだ。それくらいは聞いてやる」
俺は怯えている貴族の子弟たちをみる。
「さて、せっかくだ。文句があるやつ全員でかかってこい。お前たちは俺を殺してもいい。俺はお前たちを殺さないことを誓おう」
「や、やっぱり――」
「止める。とは言わないよな? まさかお貴族様が一介の冒険者にビビったのか? まあ、ご令嬢がいる前で恥をさらしたくないもんな?」
笑てやると顔を真っ赤にしていた。
こいつら案外面白いな。
武器をもった15人の子弟たちが中央に集まる。
「そうだ。ここだと魔法も使えないと思うが安心してほしい。優秀な相棒がいるんだ。エイシアス」
「わかっているよ。主」
エイシアスがパチンッと指を鳴らすと、結界が展開された。
周囲の貴族たちも一瞬で展開された結界を見て驚愕していた。
「キミたち程度にこの結界は破壊できない。周りの被害など考えず十分に楽しむといいさ。主は結界を壊さないようにね」
「分かってるわ。――さて、かかってこいよ、雑魚ども」
そうして舞踏会なのに武闘会が始まった。
最初は遠慮気味に魔法を放った子弟だが、結界に当たって爆発して被害がないことを確認すると遠慮なく高威力の魔法を放ってきた。
すでに周囲の貴族たちは楽しそうに見学しており、令嬢たちも面白そうにみていた。
俺は飛来する魔法を躱したり、拳で打ち消して楽しんでいた。
だが威力が弱いのでがっかりしている。
「何をしている! 殺してもいいんだ! 全力でやつを殺せ!」
「あ、ああ!」
周りが連携して俺を殺そうと全力の魔法を放ってくる。
剣などが使える子弟は俺に斬りかかって来るも、すべて素手で受け止めていた。
「素手で……凄いですね。エイシアス様もできるのですか?」
その光景を見ていたイスティリアは、楽しそうに眺めながらワインを飲むエイシアスに聞いてみた。
「あの程度の実力が相手ならな。まあ、この国の者を相手しても素手で余裕さ」
「そこまでお強いのですか……」
「だが、そんな私でも主に本気を出されたら手も足も出ない。アレは一種の怪物さ」
「怪物……」
畏怖の念を込めてテオを見つめ、その戦いを少しでもものにしようとしていた。
そんな中、テオはそろそろ飽きてきていた。
「もう一通り見たけど、飽きたな。んじゃあ俺からも行くぞ」
俺は子弟の背後に瞬間移動する。
軽く尻を蹴飛ばすと吹き飛んで無様に転がる。
驚く面々に、俺は拳を構える。
すると子弟たちは俺に引き寄せられていく。
「ど、どうなっている⁉」
「ひ、引き寄せられる……!」
「こ、攻撃しろ!」
魔法が飛んでくるも、重力の壁によって俺には直撃しない。
そして三メートルほどまで近づいたので、俺は拳を突き出した。
瞬間、子弟たちが吹き飛ばされて結界に衝突して気絶し、決闘は当然のごとく俺の完勝で終わりを告げるのだった。
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