森に捨てられた俺、転生特典【重力】で世界最強~森を出て自由に世界を旅しよう! 貴族とか王族とか絡んでくるけど暴力、脅しで解決です!~

WING

文字の大きさ
67 / 84
第4章

9話:武神祭4

しおりを挟む
 その日は終わり、大会も一日休息となった。
 決勝では、互いに最高のコンディションを発揮できるようにと、運営側の配慮なのだろう。
 空いた一日は、リリアも一緒に街を見て回っていた。
 路上でパフォーマンスをする者、吟遊詩人が歌っていたりと、賑わいを見せている。
 中でも多かったのは、決勝でどちらが勝つかの話しだったが、俺には興味がない。熱い戦いを見せてほしいものだ。

 翌日の夕方、日が沈みかけた頃、決勝戦が始まろうとしていた。
 場内の熱気は最高潮に達し、誰もがこの一戦の行方を見守っている。

『皆様、お待たせしました! ついに、武神祭決勝戦の幕が上がります! ここに立つのは、全ての試合を勝ち抜いた最強の二人! 己の全てをかけ、最強の座を賭けた一戦。頂へと至は一体どちらなのか⁉ ――それでは、決勝戦開始です!』

 決勝に進んだのは、先ほど勝利した剣士と、二試合目で見事に相手を破った魔法使いだった。観客席からも「頑張れ!」という声援が飛び交い、全員が固唾を飲んで見守っている。

「剣と魔法の激突か……これは本当に、最高の見ものになりそうだな」
「そうだな。どちらも戦い方の癖を熟知し、それをどう生かすかが鍵だろう」

 エイシアスも興奮を隠せないようだ。
 ゴングの音が響き、決勝戦が始まった。剣士が素早く魔法使いに距離を詰め、強烈な一撃を繰り出すが、魔法使いもすかさず防御魔法を展開し、それを防ぐ。
 さらに魔法使いは間を取りながら詠唱を続け、強力な攻撃魔法を繰り出そうとしている。

 剣士は間合いを詰め、魔法使いの詠唱を止めようとするが、魔法使いも俊敏に動きながら魔法を放つ。その度に閃光が走り、雷鳴が響き、まるで天地が揺れ動くような壮絶な戦いが繰り広げられる。
 やがて、観客席からも感嘆の声が上がり、エイシアスも目を輝かせていた。

「これほどの熱い戦いを見られるとは……この場にいる全員が、この一瞬のために集まったのだな」
「本当に。これが武神祭の醍醐味だな」

 試合は長引き、最後の力を振り絞った剣士が渾身の一撃を繰り出し、魔法使いの盾を突き破る。
 剣士が勝利の瞬間を掴むと、場内は大歓声に包まれ、観客は皆、彼を称える拍手を惜しまなかった。

『つ、ついに決まったぁぁあ! 数多の強者たちを打ち倒し、頂点に立ったのは――剣士だぁぁあ!』

 アナウンスが鳴り響くと、剣士が誇らしげに拳を掲げ、勝利の証をその手に握りしめると、観客席は興奮と喜びで溢れ返った。
 武神祭の最高潮にふさわしい幕引きで、全ての戦いが終わりを告げた。

「それでは最後に、皇帝陛下よりお言葉を頂きたいと思います!」

 会場が静まり返る中、皇帝カリオスがゆっくりと立ち上がり、優勝者の剣士に向けて力強い声で語りかけた。

「見事だ、剣士よ。貴公は幾多の戦士たちを前にしても怯まず、己の信念を貫き通し、勝利を掴んだ。その剛勇と技量、そして揺るぎない精神――すべてにおいて、貴公は誇るべき戦士である」

 剣士は膝をつき、頭を垂れながら、静かに皇帝の言葉を受け止めていた。

「戦いを極め、栄冠を手にした貴公の名は、このアルグラシアに永遠に刻まれることだろう。そして、貴公が今後もさらに高みを目指し、名誉と誇りを持って戦い続けることを願っている」

 カリオスは優しげな微笑みを浮かべ、剣士に歩み寄り、肩に手を置いた。そして、柔らかな声で続ける。

「貴公の勇気と力が、我が国、そしてこの世界に更なる光をもたらすことを期待している。この勝利は、貴公だけのものではない。我々全ての誇りだ」

 剣士は感謝の言葉を口にしようとしたが、感動に胸を打たれ、ただ深く頭を下げるばかりだった。
 会場からは惜しみない拍手が送られ、皇帝の称賛の言葉と剣士の勝利の余韻が、観客の心に深く刻まれた。

 閉会式が始まった。
 武神祭の全日程が無事に終わり、壮大な閉会式が幕を開ける。
 会場には観客が最後の熱狂と共に集まり、戦いの興奮と感動がまだ消えない空気が漂っていた。
 カリオスが立ち上がり、会場全体を見渡しながら高らかに宣言した。

「皆の者、本年もこの武神祭を無事に終えられたこと、心より感謝する。戦士たちよ、貴公らの勇敢な戦いがこの地に新たな栄光と熱意をもたらした。そして観客の皆々も、熱い応援を惜しみなく送り、武神祭をともに盛り上げてくれたこと、誠に感謝する」

 静かだった会場から、やがて拍手が沸き起こり、徐々にそれは大きな歓声となって会場を包み込んだ。

「本年の武神祭は、例年にも増して白熱し、数々の勇者がその名を刻んだ。剣士、魔法使い、騎士、全ての参加者が全力で己を賭して戦い、その魂を我々に示してくれた。彼らの闘志は、これからもこのアルグラシアの誇りであり続けるだろう」

 カリオスは一拍おいてから、続ける。

「そして、また来年、この地で新たな強者たちが集うことを願っている。戦いは終わったが、武神祭の精神は我らの心の中で生き続ける。名誉を目指し、限界を超えようとする者たちの魂が、この国と共に在る限り、武神祭もまた続いていく」

 その言葉に会場全体が静まり返り、やがてゆっくりと、そして力強く拍手が巻き起こった。
 各々がその余韻に浸りながら、今回の武神祭の激闘と熱気を思い返しているようだった。

「では――今年の武神祭はこれにて閉幕とする。皆の無事な帰還を祈りつつ、また来年、この地で再び会おう!」

 カリオスの締めくくりの言葉と共に、空には花火が打ち上がり、夜空を鮮やかに彩った。
 観客や戦士たちは最後の瞬間を惜しむように、笑顔と感動の声を上げ、名残を惜しんでいた。
 こうして、アルグラシアの街で開催された第十回武神祭は、盛大な拍手と祝福の中、幕を閉じた。
 俺は隣のエイシアスを見て微笑みかけた。

「来年もまた、こうして共に戦士たちの熱い戦いを見届けよう」
「そうだな。だが、来年こそは……私たちも――」

 意味深な笑みを浮かべるエイシアスの言葉に、俺も笑みを返しながら肩をすくめた。
 観戦としての楽しみはこの日で終わり、来年の武神祭に新たな期待と興奮が芽生えたのだった。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ
ファンタジー
入学式から3週間目にして『退学」を言い渡された。 (早くない?RTAじゃないんだからさ。) 自分で言うのもアレだけど、入学してからは結構真面目に通ってた。 けど、どうやら教員の不況を買ってしまったらしい。 幸か不幸か、退学まで1週間の執行猶予が与えられた。 けど、今更どう足掻いても挽回する事は不可能だろうし、 そもそも挽回する気も起こらない。 ここまでの学園生活を振り返っても 『この学園に執着出来る程の魅力』 というものが思い当たらないからだ。 寧ろ散々な事ばかりだったな、今日まで。 それに、これ以上無理に通い続けて 貴族とのしがらみシミッシミの薬師になるより 故郷に帰って自由気ままな森番に復職した方が ずっと実りある人生になるだろう。 私を送り出した公爵様も領主様も、 アイツだってきっとわかってくれる筈だ。 よし。決まりだな。 それじゃあ、退学するまでは休まず毎日通い続けるとして…… 大人しくする理由も無くなったし、 これからは自由気ままに、我儘に、好き勝手に過ごす事にしよう。 せっかくだし、教員達からのヘイトをカンストさせるのも面白そうだ。 てな訳で……… 薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。 …そう息巻いて迎えた執行猶予満了日、 掲示板に張り出された正式な退学勧告文を 確認しに行ったんだけど…… どういう事なの?これ。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

処理中です...