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第1章 貴族編
1.卒業
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いよいよ、卒業式だ。3年間だったが、あっという間に過ぎたようだ。最初の目的は、余り達成できていないが、良き仲間ができたので、楽しい学院生活だった。
卒業後の進路は、それぞれ異なってしまったが、まだ、パーティーとしては、名前を残している。いつか、また、集まって、冒険に出かけることができるようにって、思っている。
魔法学院の他の生徒は、兵士に成る者や官吏に成る者や色々だ。でも、貴族は、そのまま、家に戻るだけのようだ。もともと、家業があり、それを継ぐのが普通の様だ。一部だが、卒業後に直ぐに、結婚する者もいる。
卒業式には、国王も出席するようだ。そして、卒業生の代表として、主席が挨拶をする。主席は、どうも、クルドのようだ。私達と一緒に入学してきたので、貴族ではないと思っていたが、どうやら、違うようだ。よく分からないが、何かの事情で、貴族の地位を隠していたようだ。
壇上から、クルドが、私に手を振っている。私は、少し恥ずかしいので、小さく手を振った。
クルドの話が終わると、国王が、壇上に上がり、皆を祝福してくれた。
卒業式が終わって、もう一度、食堂で、集まることにした。これが、キリのパーティーの最後の集会になるかもしれない。
「キリ、卒業おめでとう」
「ミユ、おめでとう」
私は、ミユと握手を交わした。そして、そのまま、食堂に入って行った。
「キリ、こっちだよ」
フヨウが、手を振って、私達を呼んでいる。その隣には、エルミアが座っていた。
「キリ、ミユ、卒業おめでとう」
フヨウが、声を掛けてきた。フヨウは、私の冒険者パーティ(マジック・スクール)の一員で、魔法が苦手な女剣士だ。苦手な魔法を勉強するために魔法学院に入学してきた変わり者だ。
「フヨウ、エルミア、卒業おめでとう」
「ありがとう。キリも、ミユも、おめでとう」
エルミアとも、これで、お別れだ。これで、最後になるって、不思議な気分だった。
「ミユは、卒業後どうするの?」
エルミアが、ミユに尋ねた。
「私は、キリと一緒に商売を始めるわ」
「えっ、商人になるの?」
「そうよ。キリと一緒よ」
「キリが、商人をするって、それは、分かって居たけど、どうして、ミユも商人になるの?」
「だって、キリと一緒に居たいからよ」
「なんだ。キリと一緒にいるだけ?」
「そんなことないわ。商売も、やっていくわよ」
「そうよ。私は、ミユを頼りにしているの」
私は、エルミアに、ミユの能力をもっと、知って欲しかった。
「ところで、エルミアは、魔法学院に残れることになったの?」
「えぇ、残れるようになったわ。でも、最初の1年は、補助教師になるらしいの。それで、能力を認められてから、正式に採用されるということなの」
「そうか。大変だね。それで、どの先生の補助に入るの?」
「それが、まだ、決まっていないの。だから、今は、不安なの」
「そうだ。マルグリット先生に相談してみる?」
「いいの? キリ」
「いいよ。話を聞いて貰うだけでも、不安が無くなると思うよ」
「分かったわ。お願いね」
私は、エルミアを連れて、マルグリット先生の部屋を尋ねた。
「コン、コン、コン」
「はい、どなた?」
「キリとエルミアです」
「どうぞ、入って来て」
「はい、失礼します」
私達は、部屋に入り、マルグリット先生の机の前に行った。今日は、卒業式だというのに、何か、仕事を忙しそうにしている。
「先生、忙しそうですが、今、いいですか?」
「キリ、心配しないで、大丈夫です」
「それでは、少し、話を聞いて貰っていいですか?」
「はい」
私達は、エルミアの抱えている不安について、マルグリット先生に話した。すると、意外な返事が返って来た。
「エルミアは、誰がいいの?」
「えっ、希望が言えるのですか?」
「いいわよ。希望通りに出来るかどうかは、相手の先生に訊かないとだめだけど」
「それなら、私は、マルグリット先生がいいです。どうですか?」
「いいわよ。私でよかったら、補助に入ってくれる?」
「はい、喜んで。お願いします」
何と、希望を言っても、良かったんだ。折角、魔法学院に残って、仕事をして貰うのに、厭な思いをさせたくないということらしい。だから、エルミアの意向を確認するまで、担当の教師が発表されていなかったようだ。
「キリ、ありがとう。不安で、寝れなかったの」
「これで、ぐっすりと寝れるね。エルミア、頑張ってね」
「はい。頑張ります」
私達は、また、食堂に戻った。食堂には、ミユとフヨウが待って居てくれた。2人に結果を報告した。
「エルミア、よかったね」
フヨウが、エルミアに声を掛けた。ミユも嬉しそうに頷いている。
「フヨウは、冒険者になるって聞いたけど、どこかのパーティーに入るの?」
「いいや、今は、一人で、やっていくつもりだよ」
「危険なことは、ないの?」
「僕は、キリとは違うよ。無理は、しないよ」
「あら、私も、無理はしないわよ」
「そうか。はたから見ているとそうは、思えないけどね。まあ、キリが、そういうのなら、いいけど」
「フヨウは、私の事を信用していないの?」
「信用は、しているけど、無謀な所があると思っているよ」
「そうかなぁ?」
「でも、今は、ミユが一緒に居るから、安心しているよ」
「ミユのお陰?」
「そうだよ。ミユを大事にしてあげてね」
「もちろんよ。ミユと私は、仲良しなの。ねえ、ミユ」
「私は、キリが大好きです」
「あら、ミユに告白されたよ」
フヨウが、嬉しそうに、私とミユの顔を見つめている。
「私も、ミユが大好き」
これは、本当だ。ミユの事を知ってから、離れられなくなっている。これからも、仲良くしたい。
卒業後の進路は、それぞれ異なってしまったが、まだ、パーティーとしては、名前を残している。いつか、また、集まって、冒険に出かけることができるようにって、思っている。
魔法学院の他の生徒は、兵士に成る者や官吏に成る者や色々だ。でも、貴族は、そのまま、家に戻るだけのようだ。もともと、家業があり、それを継ぐのが普通の様だ。一部だが、卒業後に直ぐに、結婚する者もいる。
卒業式には、国王も出席するようだ。そして、卒業生の代表として、主席が挨拶をする。主席は、どうも、クルドのようだ。私達と一緒に入学してきたので、貴族ではないと思っていたが、どうやら、違うようだ。よく分からないが、何かの事情で、貴族の地位を隠していたようだ。
壇上から、クルドが、私に手を振っている。私は、少し恥ずかしいので、小さく手を振った。
クルドの話が終わると、国王が、壇上に上がり、皆を祝福してくれた。
卒業式が終わって、もう一度、食堂で、集まることにした。これが、キリのパーティーの最後の集会になるかもしれない。
「キリ、卒業おめでとう」
「ミユ、おめでとう」
私は、ミユと握手を交わした。そして、そのまま、食堂に入って行った。
「キリ、こっちだよ」
フヨウが、手を振って、私達を呼んでいる。その隣には、エルミアが座っていた。
「キリ、ミユ、卒業おめでとう」
フヨウが、声を掛けてきた。フヨウは、私の冒険者パーティ(マジック・スクール)の一員で、魔法が苦手な女剣士だ。苦手な魔法を勉強するために魔法学院に入学してきた変わり者だ。
「フヨウ、エルミア、卒業おめでとう」
「ありがとう。キリも、ミユも、おめでとう」
エルミアとも、これで、お別れだ。これで、最後になるって、不思議な気分だった。
「ミユは、卒業後どうするの?」
エルミアが、ミユに尋ねた。
「私は、キリと一緒に商売を始めるわ」
「えっ、商人になるの?」
「そうよ。キリと一緒よ」
「キリが、商人をするって、それは、分かって居たけど、どうして、ミユも商人になるの?」
「だって、キリと一緒に居たいからよ」
「なんだ。キリと一緒にいるだけ?」
「そんなことないわ。商売も、やっていくわよ」
「そうよ。私は、ミユを頼りにしているの」
私は、エルミアに、ミユの能力をもっと、知って欲しかった。
「ところで、エルミアは、魔法学院に残れることになったの?」
「えぇ、残れるようになったわ。でも、最初の1年は、補助教師になるらしいの。それで、能力を認められてから、正式に採用されるということなの」
「そうか。大変だね。それで、どの先生の補助に入るの?」
「それが、まだ、決まっていないの。だから、今は、不安なの」
「そうだ。マルグリット先生に相談してみる?」
「いいの? キリ」
「いいよ。話を聞いて貰うだけでも、不安が無くなると思うよ」
「分かったわ。お願いね」
私は、エルミアを連れて、マルグリット先生の部屋を尋ねた。
「コン、コン、コン」
「はい、どなた?」
「キリとエルミアです」
「どうぞ、入って来て」
「はい、失礼します」
私達は、部屋に入り、マルグリット先生の机の前に行った。今日は、卒業式だというのに、何か、仕事を忙しそうにしている。
「先生、忙しそうですが、今、いいですか?」
「キリ、心配しないで、大丈夫です」
「それでは、少し、話を聞いて貰っていいですか?」
「はい」
私達は、エルミアの抱えている不安について、マルグリット先生に話した。すると、意外な返事が返って来た。
「エルミアは、誰がいいの?」
「えっ、希望が言えるのですか?」
「いいわよ。希望通りに出来るかどうかは、相手の先生に訊かないとだめだけど」
「それなら、私は、マルグリット先生がいいです。どうですか?」
「いいわよ。私でよかったら、補助に入ってくれる?」
「はい、喜んで。お願いします」
何と、希望を言っても、良かったんだ。折角、魔法学院に残って、仕事をして貰うのに、厭な思いをさせたくないということらしい。だから、エルミアの意向を確認するまで、担当の教師が発表されていなかったようだ。
「キリ、ありがとう。不安で、寝れなかったの」
「これで、ぐっすりと寝れるね。エルミア、頑張ってね」
「はい。頑張ります」
私達は、また、食堂に戻った。食堂には、ミユとフヨウが待って居てくれた。2人に結果を報告した。
「エルミア、よかったね」
フヨウが、エルミアに声を掛けた。ミユも嬉しそうに頷いている。
「フヨウは、冒険者になるって聞いたけど、どこかのパーティーに入るの?」
「いいや、今は、一人で、やっていくつもりだよ」
「危険なことは、ないの?」
「僕は、キリとは違うよ。無理は、しないよ」
「あら、私も、無理はしないわよ」
「そうか。はたから見ているとそうは、思えないけどね。まあ、キリが、そういうのなら、いいけど」
「フヨウは、私の事を信用していないの?」
「信用は、しているけど、無謀な所があると思っているよ」
「そうかなぁ?」
「でも、今は、ミユが一緒に居るから、安心しているよ」
「ミユのお陰?」
「そうだよ。ミユを大事にしてあげてね」
「もちろんよ。ミユと私は、仲良しなの。ねえ、ミユ」
「私は、キリが大好きです」
「あら、ミユに告白されたよ」
フヨウが、嬉しそうに、私とミユの顔を見つめている。
「私も、ミユが大好き」
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