キリの異世界探検( Kiri's Otherworldly Exploration)

無似死可

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第3章 教会(陰謀)編

51.苦肉の策

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 ついに、ダンジョンも、ゴーレム擬きも、消し去ることが出来た。これで、神殿長の思惑も、頓挫するだろう。

 次に、神殿長が流した噂を打ち消す必要がある。特に、新たな勇者の召喚はさせるべきではない。単純に、勇者召喚に使う神具を盗めばいいのだが、それだと、他の神具に代用される恐れがある。

 国王に、勇者召喚が不要だと、理解して貰う必要がある。

 私は、隠密チームに命じてダンジョンが消滅したこと、そして、何より、神官達を食べたゴーレム擬きが討伐されたことを国民に広く知らせた。

 そして、自ら、冒険者ギルドに出向いて、更なる噂を広めた。

 私は、冒険者ギルドの中に入って、受付に声を掛けた。

 「ちょっと、調べて貰いたいことがあるのだけど、いいかな?」

 「はい、何でしょうか?」

 「昔の事だけど、あるパーティーが今、どうしているか、分るかな?」

 「そうですね。パーティー名か、メンバーの名前が分かっていれば、今、どのように活動しているのか、分ります」

 「メンバー名は、ハルトとキリです」

 「少し、待って下さい」

 受付は、受付を離れて、奥に消えて行った。暫くして、戻って来た。

 「この国のパーティーでは、在りませんね」

 「はい、他国の冒険者ギルドに登録されていると思います」

 「確かに、一度登録されています。勇者パーティと言う名前ですね」

 「はい、そうです。それで、今は、活動していますか?」

 「登録されてから、活動記録がありません。ですから、現在の状況も分かりません」

 「えっ、活動記録がないって、どういうことですか?」

 「詳しくは、分りませんが、冒険者ギルドを通して仕事の依頼をこなしたことがないようです。また、魔物の討伐の結果を冒険者ギルドに報告したこともないようです」

 私は、少し、昔のことを思い出そうとした。確かに、ハルトは、勇者として、召喚された。本人も、勇者だと、思っていた。だが、ミユやキリ姉達とパーティーを組んだ時は、既に、魔王や四天王などが存在しており、冒険者ギルドに頼らずに活動していた。

 「分かりました」

 私は、目論見が完全に崩れるのを感じた。確かに、勇者パーティは、存在したが、それは、単なる名前だけだった。

 一緒に活動していた私にとっては、勇者パーティは、現実のものだった。それが、当然、他の一般の者にとっても、現実のものだと思い込んでいた。

 現実の勇者ハルトを知っているのは、王族だけだ。魔王軍の四天王との死闘も、誰にも知られていないことだ。国王ですら、本当の事は、知らない。

 私は、自分の考え足らずに、呆れながら、ミユに相談することにした。転移魔法で、一旦、城に戻った。

 「あら、キリ、お帰りなさい」

 「うん」

 「元気がないみたいね。どうしたの?」

 「実は、神殿長が国王から勇者召喚の許可を取ってのだけど、それに対抗するために、勇者パーティが、存在することを情報として、国民に流そうと思ったの」

 「えっ、勇者パーティって、以前、私達が入っていたパーティーのことなの?」

 「そうだよ」

 「あのパーティーの活動は、どこにも知られていないわよ」

 「そうなんだ」

 「キリ、大丈夫? 今頃何を言っているの?」

 「うん、勇者パーティの事は、噂になっていると思っていたの」

 「自分が知っていることが、世間の常識だと思っていたの?」

 「そんな言い方しなくても、いいじゃない」

 「今更、言っても無駄ね」

 「ねえ、ミユ、何か、手立てはないかな?」

 「そうね。もう一度、作ったらどうかしら?」

 「ハルトを呼ぶの?」

 「キリが勇者になれば、いいじゃない」

 「そんな!」

 「考え出したのは、キリだから。責任を取ってね」

 結局、ミユに押し切られて、勇者パーティを造ることになった。今から作っても、そう簡単に実績を積むことはできないと思うけど、ミユが言い出したら、仕方がない。

 「ねぇ、メンバーは、どうするの?」

 「私とキリは、絶対ね」

 「タンクが欲しいね。後、遠距離攻撃が出来る者とかもね」

 「カルロスは、どうかしら?」

 「カルロスなら、いいじゃない。でも、忙しいかもね」

 「あら、形だけのパーティーじゃないの?」

 「えっ、ミユ、活動はしないの?」

 「それは、キリとパープルの2人で、十分よ」

 「分かった。それなら、名前を借りるということで、エミリアやアーカネと入れておこう」

 「そうね。5人ぐらいがいいかもね」

 「それでは、確認だけど、私とミユとカルロスとエミリアとアーカネの5人ね」

 「エミリアは、連絡できるの?」

 「大丈夫だよ。魔法学院の教師だから、直ぐに、連絡しておくよ」

 私は、パーティーのメンバーに了解を得るために、思念伝達で連絡を取った。

 名前だけということで、全員の了解が取れた。そして、委任状も貰った。

 「それじゃ、冒険者ギルドには、私が行って来るね」

 私は、ミユと別れて、冒険者ギルドにパーティーの申請をした。

 「それでは、パーティー名を教えてください」

 受付の係に言われて、パーティー名を決めていなかったことに気付いた。

 私は、思念伝達でミユと連絡を取った。

 「パーティー名を決めていなかったよ」

 「キリの好きな名前でいいよ」

 「うーん、ホワイト ドラゴンはどうかしら?」

 「それでいいよ」

 まあ、ミユは、適当なんだから、でも、いいわ。これにしようっと。

 「それでは、ホワイト ドラゴンで、お願いします」

 「はい、分りました。それから、パープルは、従魔でいいですね」

 「はい。従魔として登録してください」

 「これが、パープルの冒険者IDです。それから、今回、初めて冒険者登録する人のIDです」

 私は、すべてのIDを預かって、城に戻った。

 「ミユ、終わったよ」

 私は、受け取って来たIDをテーブルの上に並べた。

 「それじゃ、始めましょうか」

 ミユが、やけに乗り気になっているので、少し、驚いた。でも、やる気になってくれて、有難いわ。 
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