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 第5章 ソーロン帝国編

507.新商品の開発

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 私達は、支店で、遠隔通話器テレ・ボイスの改良に取り組んだ。
 
 といっても、もうすでに、構想は、完成している。遠隔投影接続器テレビジョン・コネクタの魔法陣の機能を一部なくすだけだ。つまり、映像の部分をカットして、音声だけにすればいいだけだ。

 魔法陣に新たな機能を付けるのは大変だが、機能を減らすことは、簡単だ、魔法陣の線を消すだけで済む。

 ただ、1本線を消すだけで、目的は達成できるが、それでは、無駄な線が多く残ってしまう。不要な線をすべて消して、シンプルな魔法陣を作り上げた。

 「あとは、同じ様に動作するかを確認するだけだ。それは、セーロンに任せよう」

 私達は、完成した新商品を持って、セーロンのいる商業ギルドに向かった。

 「セーロン、今、時間ある?」

 「はい、テラ様、大丈夫ですよ」

 「これを見てくれる」

 「もう、出来たのですか。早いですね。それでは、確認します」

 セーロンは、検査用のトレーに私が持って来た品物を入れた。

 「はい、大丈夫です。機能面では合格です。ただ、納品して貰うには、形状を整えて貰いたいのですが、よろしいでしょうか」

 セーロンは、一旦、部屋を出て、通常の商品を持って、戻って来た。

 「こちらが、私どものギルドで扱っている物です。これと、同じ形状にして貰いたいのです。
 出来ますでしょうか」

 「問題ないです。ちょっと、待ってください」

 私は、その場で、持って来た品の形状をセーロンが持って来た商品と同じに土魔法で加工した。

 「はい、これで、一緒ですね」

 「あぁ、テラ様、その商品は!」

 「どうしたの、セーロン。言葉になっていないよ」

 「テラ様、商人ですよね」

 「そうだよ。今更、何を言っているの」

 「でも、魔法を使いました。今、商品を加工しましたね」

 「それが、どうしたの」

 「普通の商人は、魔法を使えません。品物を仕入れて、売るだけですよ。
 先日の特許も、誰か、鍛冶屋から買い取った物かと思っていました」

 「そうなの。言わなかったからね。内緒よ」

 「はい、誰にもいいません。言えば、大変なことになります。テラ様の取り合いになりますよ。それも、国通しの」

 「セーロンは、大げさね」

 「いえ、本心で行っています。本当に、誰にも知られないようにして下さい」

 「そうなの。でも、もうダメかも、うっかり、使っていたかも」

 「でも、今みたいに、商品を目の前で創ることはないのでは?」

 「そうね、ゼロではないけど、多分、内緒にして貰えると思うわ」

 「できれば、確認しておいてください。秘密だと」

 「はい、分かったわ」

 それから、セーロンは、私が加工した商品をもう一度、トレーに入れて、確認をしていた。

 「はい、大丈夫です。買い上げできます」

 「これをどれぐらい納品したらいいかしら」

 「というと、大量に作るつもりですか?先日のアイテムボックスのように」

 「売れる分だけ、作るつもりよ」

 「ちょっと、ギルド長と相談します。テラ様の話では、買取価格を下げることが可能ですね」

 「そうね。今は、金貨1万枚って、言っていたかな?」

 「そうですね。現在は、その価格です」

 「それなら、1個金貨5000枚でいいよ」

 「えぇ、半額ですか。それで、材料費は、大丈夫ですか?」

 「それは、大丈夫だけどね。もう少し、改良してもいい?」

 「えぇ、いいですよ。時間は気にしなくていいです」

 「そんなに掛からないわ」

 私は、アイテムボックスから、少し大きめの魔石を取り出して、今埋め込んでいる魔石と交換した。

 「はい、出来上がり。もう一度、調べてみてくれる」

 「はい、トレーに入れて、えぇ、これは、何をしたんですか?」

 「ちょこっと、高級にしたのよ」
 
 「これなら、月1回のメンテがいりません。数年持ちます」

 「どう、これなら。もう少し高くても売れそうよ」

 「これなら、安くする必要ありません。通常価格で、この機能なら、独占できますよ」

 「そうね。そういうことで、ギルド長と相談してもらえる」

 「はい、早速行ってきます」

 その後、セーロンは、ギルド長と相談して、月100個で買い取ることに決まった。

 その後は、売れ行きを見ながら、考えることになった。この商品もギルド経由なので、5%の手数料が、取られる。

 そのため、ギルド長は、すごい、乗り気だ。多分、、ボーナスが貰えるのだろう。セーロンは、貰えるのかな?今度、聞いてみよう。

 私は、思念伝達で、現状をサルビアに伝えた。これから、いよいよ、帝国に行く。

 当初の目的だが、どのような危険があるか、分からない。本当に、上級ダンジョンより恐ろしい。

 「サルビア、元気にしていた?」

 「はい、元気ですが、寂しいです。早く、戻ってきてください」

 「そうね。何か、いい方法を考えるわ」

 「早く、考えてくださいよ」

 「そうだ、一つお願いしてもいい?」

 「何ですか?」

 「サルビアは、まだ、商業IDを持っていなかったね」

 「はい、冒険者IDしか、持っていません」

 「商業ギルドのリンダに会って、商業IDを作っておいてくれる」

 「はい、わかりました。今日、言っておきます」

 「それから、その店を管理できる、従業員を一人、雇っておいてくれるかな。給料等は、リンダに任せていいわ」

 「はい、わかりました。早速、手配しておきます」

 「それじゃ、またね」

 「はい、早く一緒にいたいです」

 私は、思念伝達を切った。サルビアに早く会いたいなぁ。でも、暫くは、我慢だ。
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