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 第9章 リザードマン編

912.ミヤーコ王国の特産品

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 私達は、ミヤーコ王国の特産品が何かを探るために、隠密魔法で、姿を消した。

 思念伝達で、スピアに声を掛けてた。

 「リリーは、北の方角にあるって言っていたね」

 「うん。北だね」

 「それに、井戸のような物と言っていたね」

 「うん。井戸。くみ上げる」

 「そうか。何かを汲み上げているんだ」

 「うん。井戸、どこかな?」

 「確か、リリーは、厳重に守られているって言っていたよね」

 「うん。兵士、いる」

 「そうだね。兵士を探せばいいんだ。井戸じゃなくて」

 私は、スキル探索で、近くに集まっている兵士を探した。

 すると、北の方角ではなく、北東の方角に、兵士がかたまっている建物を見つけた。
 
 「スピア、見つけたよ」

 「うん。テラ、背中、乗る」

 「お願いね」

 私は、スピアの背中に負んぶされて、運ばれていった。すると、何やら、嫌なにおいが漂ってきた。これは、道路を舗装する時の匂いだ。何って言ってたかな。

 「これ、アスファルトの匂いだ」

 「テラ、アスファルト、何?」

 「私も、言葉だけで、よく分からない。なぜ、そんな匂いがするのか、分からない」

 「テラ、分からない」

 「そうだよ。わからない。ごめんね」

 「それに、あそこを見てよ。何か、ドロドロした物が、湧き出ているよ」

 「スピア、あのドロドロをこの箱に入れてくれる」

 私達は、ミヤーコ王国の秘密の特産品を見つけた。でも、何故、秘密なのか、わからない。輸出していたら、秘密じゃないじゃない。

 取り敢えず、この箱の中の物が何か、確認する方が先だ。私は、知っているような気がするが、断言できるほど、自信は無い。

 私は、思念伝達で、リンダに連絡を取った。

 「リンダ、今から、箱を送るから、中身が何か、調べてくれる?」

 「はい、分かったわ」

 「いま、送ったよ」

 「はい、受け取りました。箱の中身は、原油です」

 「そうか、原油か。アスファルトの匂いがしたので、そうかなぁって、思っていたけど、自信がなかったよ」

 「もう一つ、調べて欲しい事が在るんだ」

 「何、言ってくれる」

 「実は、その原油は、ミヤーコ王国の秘密の輸出品のようなんだ。なぜ、秘密なのか、調べて欲しい」

 「それは、出荷しているのが、原油じゃないからよ」

 「どういうこと?」

 「ミヤーコ王国が輸出しているのは、原油じゃないのよ。灯油よ」

 「何が違うの?」

 「原油から、灯油を精製しているのよ。その過程を秘密にしているということね」

 「そうか、原油のままではなくて、加工した物を輸出しているようなものだね」

 「そうね。そんな感じかな?」

 「原油って、何処でも取れるの?」

 「うーん、そんなことは無いと思うよ。地面に黒いドロドロした物が浸み出しているみたい」

 「そんな場所を探すということか」

 「匂いが凄いから、もう、とっくに見つかっていると思うわ」

 「それじゃ、無理かなぁ」

 「原油を取り出すのに、井戸みたいなものって、使うの?」

 「私は、聞いたことがないわ。地面に染み出ていると聞いているよ」

 「本当、初めて聞くことなの?」

 「そうね。それが、本当なら、初めて聞くことね」

 「そうか、それも、秘密の内容かもしれないね」

 「私は、分からないわ」

 「ありがとう、参考になったよ」

 「それじゃ、またね」

 私は、リンダとの思念伝達を切った。あのリリーは、かなり価値のある情報をくれたようだ。

 私達は、次に、アータキ国の都市コーリマに行くことにした。
 この国は、フラン連合国のちょうど中心にある国で、すべての物がここに集まってくる。そして、その国の中心の街である都市コーリマは、最も裕福な街になっている。

 「この街は、人が多いね。それに活気があるよ」

 「うん。皆、元気」

 「商店の種類も多いね。品物も豊富だ」

 「テラ、これ、食べたい」

 「美味しそうだね。食べようか」

 「うん。食べる」

 私達は、初めて見る料理に興味津々だ。ここには、色んな国の食べ物が集まってきている。そして、食べ物だけでなく、人も色んな人が集まってきている。
 
 初めて見るような人もいる。身長が3mもある。それも、その人だけでなく、5人とも皆、3m以上の身長だ。そういう、民族なんだろう。

 逆に、とても小さな人もいる。そして、私が大好きな猫耳族も大勢いた。

 「すごいね。こんなに色んな人を同時に見ることが出来るなんて、夢みたいだ」

 「うん。大勢いる」

 周りを見てみると、多くの民族がいるだけでなく、色んな職業の人がいることも分かる。

 ミヤーコ王国の都市シジン では、見ることがなかった冒険者風の人も大勢いる。

 こんなに賑やかな街は、他にないだろう。できれば、ヤガータ国の都市デンロンが、このような街になってくれれば、嬉しいな。

 それには、私が頑張らないとだめだ。それと魅力がある街には、魅力がある人が集まるということが実感できた。

 そろそろ、官吏を募集する時期かもしれないな。

 私は、思念伝達で、ガーベラに連絡した。

 「ガーベラ、テラだけど。今、急に思いついたことがあるんだけど、いい?」
 
 「何、急に思いついたことって」

 「そろそろ、官吏を雇わないか」

 「確かに、今、不足しているわ。でも、優秀な人材がいるかしら」

 「今、優秀な人材じゃなくても、いいよ」

 「どうして?優秀な人でないとだめじゃない」

 「そんなことは、無いよ。意欲さえあれば、ガーベラが育ててくれるだろう」

 「私一人じゃ、厭よ。テラも、手伝いなさいよ」

 「わかったから、意欲のある若者を集めておいてね。そしたら、私達も戻るから」

 「本当ね。直ぐに、集めるよ。いい?」

 「いいよ。お願いするね」

 私は、思念伝達を切った。どんな人材が集まってくれるのか、ワクワクしてきた。
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