錬金術師の召喚魔法 ゴーレム擬きで世界征服?

無似死可

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 第18章 テラjr誕生編

1812.テラjr

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 スピアが、赤子テラを連れて、ガーベラの所に現れた。

 「この子ね。テラが言っていたのは」

 「これ、テラ。ガーベラ、分かる?」

 ガーベラは、スピアの言葉の真意が分からなった。でも、テラが生前言っていたように、2人の子供として、届け出を済ませた。そして、ウェーリィ王にテラが死亡したことを伝え、国葬にする許可をもらった。

 オーガネッチは、財産を取り上げられ、地下牢に永久に監禁されることになった。オーガネッチが、用意できないような毒なので、オーガネッチの殺人容疑は晴れたが、毒を確認せずに、テラに飲ませたことが過失と認められた。それ故、死刑には、ならなかった。

 ガーベラによって、これまでのテラの権利は、すべて、2人の子供、テラjrに相続されることが宣言された。そして、テラ・ワールドは、リンダが代表代理となった。

 スピアとレイカは、テラjrの乳母として、テラjrの世話をすることになった。

 テラjrは、マナを練り上げる練習に余念がない。意識と身体とのギャップを埋めないと、思い通りの魔法を放つことができない。マナを蓄える力が足らなかった。しかし、スピアに用意してもらった大きな魔石を持っている。これで、普通の魔法使い程度には、魔力を使える。

 レイカは、母乳が出ることを不思議がっていたが、テラによく似たテラjrに喜んで、母乳を飲ませている。テラjrも喜んで、レイカの乳首に吸い付いている。

 スピアは、何度も、テラjrがテラだと、皆に伝えようとしたが、誰にも、伝わらなかった。リンダを除いては。

 リンダは、最初から、分かっていた。この子は、テラだ。しかし、何故、こんなことをしたのか、その本当の理由は分からなかった。他に、方法があるように、思えてならない。

 テラが、土人形ゴーレムということを知っているのは、僅かだ。スピアは、その一人で、事前にテラの計画を知らされていた。でも、誰も、スピアの言葉を真剣に聞こうとしない。あの、レイカでさえ、常にスピアと一緒にいるのに、テラjrがテラだとは、思いもしなかった。テラが、暗示を掛けていたせいもあるが、もう、その暗示は、解かれており、また、レイカの身体に掛けられた闇魔法も解除されていた。

 ガーベラは、テラjrがテラの血を引いていると確信していたが、テラ自身だとは、考えてもいなかった。当然、生きた人間の転生など、聞いたことがなかった。

 「この子は、テラが死んでから、生まれたのでは? テラの生まれ変わりなの?」

 少しの疑念が生じた。しかし、テラは、生前から、この子の事を知っていた。いずれ、生まれてくることを知っていた。ということは、誰かわからないけど、テラの子を妊娠していたということになる。ということは、テラが、死ぬ前に既に生を受けていたということにならないのかしら?

 今回の召喚転生魔法は、時間を超越している。つまり、未来のテラを召喚している。だから、死亡してからの召喚であり、矛盾ではなかった。

 ガーベラは、あやふやな気持ちで、テラjrに接していた。どうも、すっきりしない。

 テラの国葬も無事終わり、すべての雑務を終えたガーベラは、城に済むことにした。すこしでも、テラjrと一緒に過ごそうと思った。

 「テラjr、お母さんですよ? わかるかな?」

 「あぶぅ、あぶぅ」

 「まだ、話せないよね。ねえ、テラjr、あなたのお父さんは、テラなの?」

 「ぶぅー」

 「あなたが、喋れても、お父さんの事は、分からないよね」

 私は、思念伝達で、ガーベラに話しかけることも出来るが、我慢した。今は、まだ、真実を告げる時期ではないと思った。私は、近くにいるスピアに思念伝達で、連絡を取った。

 「テラだよ。スピアにお願いがあるの」

 「いいよ。言って」

 「ダンジョンに連れて行ってくれる? まだ、まだ、魔力が足りないけど、そろそろ、魔法の練習がしたいんだ」

 「いいよ。レイカに言うよ」

 「それは、だめだよ。黙っていてくれる。それから、私が、テラだということは、暫く、内緒にしておいてね。時期を見て、自分から説明するよ」

 「いいよ。では、夜中に出かけよう」

 「お願いね」

 魔力は、使わないと魔力量が増えない。そこで、急いで、魔力量を増やそうと思っている。出来るだけ早く、以前の状態に戻しておきたい。

 そうだ、練習の施設を創ろう。それも、早急に取り掛かることにしよう。

 私は、レイカか、スピアにいつも抱かれていた。そして、母乳を貰うので、お腹が空くとレイカが抱くという毎日だった。離乳食には、まだ早いようだ。意識では、普通の物を食べてみたいが、身体は、ついていかない。
 
 夜中になり、レイカが寝たようだ。スピアが、私を抱き上げて、思念伝達で言った。

 「レイカ、寝たよ。行こうか」

 「アイテムボックスに、青のポーションを沢山入れておいてね」

 「大丈夫、入れているよ」

 私達は、転移用の魔法陣で、ダンジョンに移動した。

 「スピアは、僕を守ってね」

 「スピア、テラ、守る。見張ってる」

 「ありがとう。それじゃ、潜ろうか」

 私達は、ダンジョンの中をゆっくと、歩いて行った。取り敢えず、風魔法で、スライムなどの低位に魔物を倒して行った。たまに、範囲魔法を起動して、魔力を大幅に消費して、青のポーションで、補充していった。

 取り敢えず、ダンジョンに潜る前の倍には魔力量が増えた。思っている量には程遠いが、今日は、戻る事にした。生身の身体なので、無理はしない方が良いだろう。

 スキル鑑定で、自分の状態を調べてみた。魔力量以外では、レベルが総じて、低くなっている。でも、すべてのスキルは、備わっていた。当然、すべての魔法属性も以前のままだ。

 テラjrが活躍するには、まだまだ、時間が掛かりそうだ。
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