錬金術師の召喚魔法 ゴーレム擬きで世界征服?

無似死可

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 第19章 ムーン誕生編

1903.新生テラ

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 魂の分離に成功した私は、赤ちゃんの身体をレイカとスピアに任せて、自由に動ける身体を得ることが出来た。しかも、今回は、長時間でも、赤ちゃんの身体に影響が出ていない。そして、距離が離れても、全く問題が起こっていない。想像以上に、理想的な環境にすることが出来た。

 だが、以前のテラの身体では、不具合を生じてしまう。当然、テラは、死んでいるからだ。そこで、私が認めた者以外が見れば、テラとは分からないように、闇魔法を掛けることにした。一種の目の錯覚だ。

 そこで、リンダの部屋で、実験をすることにした。うまく、魔法が機能するのかどうかを、確認することにした。

 私は、思念伝達で、リンダに連絡を取ってから、リンダに会いに行くことにした。

 「リンダ、テラだけど、今いい?」

 「ええ、大丈夫よ。でも、どうしたの? まだ、赤ちゃんの身体じゃないの?」

 「取り敢えず、そっちに行くね」

 私は、転移魔法で移動して、リンダの部屋に行った。リンダは、机で、事務作業をしているようだ。

 私は、早速、新しく考えた闇魔法を起動した。これで、リンダ以外には、テラと分からないだろう。

 「リンダ、久しぶり」

 「やっぱりね。テラは、死んでいないと思ってた。テラって、毒の耐性もあるのでしょ」

 「そうだね。まあ、毒では僕は死なないね」

 リンダには、内緒だが、土人形ゴーレムが毒で死ぬはずがない。まあ、そうでなくても、毒を飲む前にスキル鑑定で気が付いているだろう。

 「ところで、あの赤ちゃんは、テラの子供なの?」

 「そんなとこだね。リンダには、言っておくね。あの赤ちゃんは、レイカと僕の子供なんだ。そして、僕自身でもあるんだ」

 「どういうこと? よく、分からないわ」

 「つまり、あの赤ちゃんの身体は、レイカと僕の子供なんだ。でも、意識は、僕の物なんだ」

 「つまり、レイカの子供に転生したの?」

 「そうなんだ。レイカの子供の意識が芽生える時に、転生するようになっていたんだ。そのため、僕にも、いつ転生するのか、分からなかった」

 「そういうことね。でも、今のテラは、以前のままの姿だよ」

 「これは、仮の姿なんだ。赤ちゃんの身体では、なにも出来ないので、この以前の身体を使っているんだ」

 「そんな事ができるの?」

 リンダには、以前の私が土人形ゴーレムだったということは、隠しておくことにした。

 バイオレットが、リンダを呼びに上がって来た。そして、私を見て、声を掛けて来た。

 「初めまして、バイオレットといいます。
 リンダ姉さん、この方は、どちら様?」

 「あら、バイオレットは、初めてだった?」

 私は、リンダに目配せをして、私に合わすように指示をした。

 「私は、この度、リンダ様と商品の取引に来ました」

 「そうですか。私は、リンダ姉さんのお手伝いをしています。今後とも、よろしくお願いいたします」

 「こちらこそ、よろしくお願いいたします」

 バイオレットは、リンダに用件を伝えると、下に降りて行った。

 リンダは、バイオレットが下に行ったことを確認したら、私に抱き付いてきた。暫くは、バイオレットが上がって来ないと分かっているようだ。

 「テラ、これって、どういうこと?」

 「実は、魔法なんだ。リンダとか、一部の人間以外には、テラに見えないようにしたんだ」

 「そんな、魔法があるの。知らなかった」

 私は、リンダの長い髪を撫でながら、リンダに魔法の説明をした。

 「僕が、創ったんだ。人間って、見たいものを見るという性質があるので、それをうまく利用した魔法なんだ」

 「そうなの。だから、バイオレットは、テラと分からなかったのね」

 「そうだよ。バイオレットには、悪いけど、テラとは、見えないようにしたんだ。実験をしたかったんだ。うまくいったようだね」

 「まあ、テラったら。悪い人ね」

 「そんなに、言わなくてもいいじゃないか」

 私は、リンダを抱き上げて、ベッドへ連れて行った。何か月振りだろう。リンダを抱くのは。

 今日は、このまま、止まっていくことにした。私の赤ちゃんの身体の事が気になった。そこで、私は、スピアに、思念伝達で連絡をして、様子を聞くことにした。

 「スピア、テラだけど。赤ちゃんの身体は、どうかな?」

 「問題ないみたいよ。レイカが大事に抱いているよ。それに、お乳も飲むし、おしめも濡らしているよ」

 「ホントの赤ちゃんになっているんだね。今、リンダの所にいるよ。何か、あれば、連絡してね」

 「うん、わかった」

 無事、赤ちゃんと自分の両方が正常に機能しているようだ。私は、安心して、リンダの待っているベッドに潜り込んだ。今日は、ヘノイ王国の征服の事は、忘れて、リンダと楽しむことにした。
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