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第27章 ソーロン帝国の秘密編

2711.竜人ルーブロマ・ドラコ

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 竜人族が魔人族とのみ交易をしていることには、大きな理由があった。それは、魔人族の領土の中にある遺跡に関係している。竜人族の世界とこの世界とを繋いでいるのは、魔人族の領土内にある遺跡だけだからだ。また、ソーロン帝国が魔人族の領土を封鎖していたため、魔人族も、竜人族以外との交易をすることが出来なかった。

 竜人族は、自身の姿を自由に変えることができる。そのため、初めは、竜人族が魔人族に化けて接触を図ったようだ。そして、遺跡の転移魔法陣は、魔人族は操作することが出来ずに、必ず、竜人族と共に行動しないといけない状態をしいられている。

 魔人族も竜人族も、人間に比べてはるかに長命だ。およそ5倍から、10倍は長生きをする。そのため、急激な変化を好まないようだ。

 私は、マリー達を連れて、竜人族と交易をするために、赤の竜人ルーブロマ・ドラコと交渉することにした。

 私達は、魔人族の領土の中にある遺跡から、竜人族の大陸に転移した。そして、赤の竜人ルーブロマ・ドラコが現れるのを待った。

 「ムーン様、赤の竜人ルーブロマ・ドラコが現れました。一人だけのようです」

 「よし、わかった」

 私達は、静かに、赤の竜人ルーブロマ・ドラコに近づいて行った。暫くして、赤の竜人ルーブロマ・ドラコは、私達に気が付いたようだ。私達の方を向くと、声を掛けて来た。

 「お主たちは、どのようにして、此処までやって来たのだ」

 「私は、ムーンという商人です。あなたは、赤の竜人ルーブロマ・ドラコで、間違いがありませんね」

 「うむ、そうだが、まだ、私の問いに答えていないぞ」

 赤の竜人ルーブロマ・ドラコは、少し、私達を警戒し、また、威嚇しているように、大きな声で、私達に問いかけた。

 「これは、申し訳ない。竜人族が設置している遺跡を利用させて貰いました」

 「あの遺跡の魔法陣を理解したということか? これは、驚いた。あの魔人族ですら、理解できない物を」

 「私は、闇魔法に通じております。それ故、魔法陣についての知識も豊富です」

 「そうか、これは少し、私も、態度を変えねばならないようだな」

 「赤の竜人ルーブロマ・ドラコ様、それは、どのような意味ですか?」

 「言葉通りだよ。単なる人間なら、即座に殺して秘密を守るつもりだったが、ムーンとか、言ったか、お主は、人間にしては、役に立ちそうだ」

 「それは、ありがたい。私も、赤の竜人ルーブロマ・ドラコ様に、商人として、交渉したいと思っていたので、できれば、穏便に商談をしたいですね」

 「よかろう」

 赤の竜人ルーブロマ・ドラコは、私達を手招きで呼び寄せて、付いてくるように指示を出した。

 だが、周りを見渡しても、たの竜人は、一人もいなかった。赤の竜人ルーブロマ・ドラコは、一人で、私達を引き連れて、少し離れた所にある倉庫に案内した。

 「この中で、話をしよう」

 赤の竜人ルーブロマ・ドラコは、倉庫の一つの前で、立ち止まり、私達をその中に案内した。

 その倉庫は、外観とは違い、中は、来客をもてなすのに十分な広さと調度品が揃えられていた。

 「さて、ムーン、どのような品を調達できるのだ」

 「赤の竜人ルーブロマ・ドラコ様が、必要とする物なら、何でも、取り扱いができます」

 「ほう、大きく出たな。私が、どのような物を所望するか予想ができるということかな?」

 「いいえ、そういう訳ではありません。私共のテラ・ワールド商店では、どのような物でも取り扱いできるということで。もし、今、私どもが持っていない物であっても、必ず、探してお持ちします。それだけ、自信があるということです」

 「そうか、それなら、試しに一つ調達して貰おうか」

 「はい、何でしょうか?」

 「魔王の首を持ってまいれ」

 「ほう、魔王の首ですか」

 「そうだ。可能か?」

 「はい、可能ですが、リスクが大きいので、その分、値が張りますが、よろしいでしょうか?」

 「ほう、金次第というのか?」

 「はい、そのとおりです」

 赤の竜人ルーブロマ・ドラコは、暫し、考え込んでいた。

 私は、赤の竜人ルーブロマ・ドラコが本気で言っているのか計りかねていた。だが、もし、本気なら、それに対応しても良いと思っていた。

 「おもしろい」

 赤の竜人ルーブロマ・ドラコは、大声で、笑い始めた。

 「それなら、これから、交渉を始めても大丈夫そうだな」

 「私どもを認めてくれるということでしょうか?」

 「その通りだ。面白い奴だ。これなら、付き合っても損はないだろう。私は、無駄な時間を使いたくないからな」

 「時は金なりですからね」

 「ふふふ、その通りだ」

 赤の竜人ルーブロマ・ドラコは、魔人族から、日常品を調達しているようだったが、本来は、他の物を欲していたのだろう。魔人族では、無理な物を私に依頼するつもりのようだ。

 まずは、階段を1段上ることが出来たようだ。しかし、何を言い出すか分からない。用心しないと、私の首が飛びかなない。まあ、それも一興だけど。

 
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