引きこもり令嬢の恋愛事情(改)【完結】

無似死可

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第2章 魔法学院(夏休み)

第31話 ファースト魔法学院での見学

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 朝食後、直ぐに馬車で、ファースト魔法学院に向かったの。長く、掛かるかなぁって、思っていたけど、たった10分ほどで、ファースト魔法学院に着いたわ。

 シーニ王国は、フラン連合国の西端の国で、農業中心の国なの。そので、ファースト魔法学院では、農業関係の魔法が活発に研究されて、利用されているの。普通は攻撃系の魔法・火魔法のできる者が多いのに、ここでは、水魔法のできる者が多いの。

 それに、光魔法を使って、治癒ではなくて、土壌の改良などに魔法を活用しているの。これって、私が知っていたことじゃなくて、テルースから、聞いた受け売り。本当、テルースったら、色んな国のことをよく知っているわ。

 ファースト魔法学院の前で、係のゲーマン先生が私達を出迎えてくれたわ。

 私達は、馬車を下りて、ゲーマン先生の案内で建物の説明を聞きながら、学院長室室まで行ったの。

 「コン、コン。学院長、お連れしました」

 ゲーマン先生が、学院長室のドアをノックして、中に私達を招き入れた。

 「どうぞ、お入りください」

 私達は、学院長室のソファに座り、ゲーマン先生の言われたようにソファに座って、学院長を待ったわ。

 「ようこそ、おいで下さった。私が、当学院長のコ―メンです。よろしく」

 奥の机の前に座っていたコ―メン先生が、私達の前に来て、挨拶をした。

 「コ―メン先生、この度は、見学を了承していただき、ありがとうございました。
 私は、ヤガータ国のデンロン魔法学院から来ました引率教師のエイコといいます」


 今日は、何故か、エイコが、挨拶をしたの。いつもなら、他の引率の先生が挨拶するのに、何故か、今日は、張り切っているの。何か、あるのかなぁ。

 「長旅で、お疲れでしょう。この魔法学院では、将来自分の領土を豊かにするための豊穣の魔法などを中心に学習しています。教師の研究もそちら方面が多いですね」

 「そうですか。一般的には、兵士のための魔法学院と言うような雰囲気が学校が多いですが、こちらは、異なっているのですね」

 「そうですか。私は、あまり他国との交流をしていないので、良くは存じていません」

 「これは、失礼いたしました。それでは、早速、案内して貰えますでしょうか?」

 「そうですね。ここで、長話をしても、生徒さん達が退屈でしょうから」

 「ゲーマン先生、案内してあげてください」

 私達は、ゲーマン先生に案内されて、学院長室を出た。 

 「エイコ先生、よろしく、お願いします」

 「こちらこそ、よろしくお願いします」

 私達は、ゲーマン先生とエイコ先生の後を付いて行った。暫く、歩くと、校舎の外に出た。

 「先ほど、学院長が申していたように、この学院では土壌改良関係の実習がほとんどで、そのため授業を外で行っています」

 「そうですか。座学のような物はないのですか?」

 「いえ、無いことはないのですが、生徒があまり希望しないのです。つまり、受講生がほとんどいないので、結果的にそのような講座が開講されていません」

 「そうですね。座学は、生徒の人気がないですね」

 「そうでしょ。生徒は、魔法をとにかく使いたいですからね」

 私達は、農園の前にやって来たの。そこでは、いくつかのグループに分かれて、実習を行っているみたい。

 あるグループでは、用水路を作って、別のグループは、倉庫を作っている。よく見るとそれは、サイロに変化していった。

 「さあ、付きました。この学院の授業は、ここを見れば、よく分かると思います」

 よく見るのゲーマン先生は、がっちりした体躯の教師で、率先して、農作業を行っているの。それも、魔法ではなくて、自分の身体を使ってするの。びっくり!

 「あの、自由に見学させて貰ってもいいですか?」

 エイコが、ゲーマン先生に訊いているわ。

 「どうぞ、生徒さん達も面白そうなところを好きに見て回ってください」

 私達は、ゲーマン先生に言われたように、自由に動き回っていったわ。

 「ユイカ、ここの生徒は、土魔法が得意みたいだね。それに、光魔法もうまく使っているよ」

 隣のテルースが、私に声を掛けてくれた。エイコが、ゲーマン先生にくっ付いているので、安心して、私の隣に来たのね。

 「本当ね。私は、光魔法で、豊穣の魔法を使うところ見るのは、初めてよ」

 「ぼくも、見るのは、初めてだ。何も無い所から、芽吹いて行くのだね」

 「なんだか、役に立つ魔法と言う感じね。私達のは、何処で使うのって、言う感じの魔法が多いわね」

 「それは、仕方がないよ。将来国のために働く人材を無償で育てているのだから」

 「そうね。国の為って言うより、国王の為って感じ」

 「ユイカは、そんなことを感じているの。国王中心だって」

 「テルースもそう思っているのじゃないの? すべて、国王の為って」

 「ぼくは、考えたこともないよ。それに、そう感じたこともないよ」

 「そうなんだ。テルースは、何に興味があるの? 政治? 経済? 医学?」

 「わからない。取り敢えず、目の前の物を一つずつ処理するだけで、精一杯だよ」

 「テルースは、夢ってないの?」

 「僕の夢か。今は、ユイカのことかな」

 「それって、どういうこと?」

 「ユイカと仲良く過ごしたいなぁって。それが、今の夢だよ」

 「それって、もう、叶っているじゃないの。夢って、これから、叶えたいことよ」

 「そうかなぁ。まだまだ、これからって感じなんだ。ユイカは、不安じゃないの」

 「不安ね。特にないわ。私は、自由になりたいの。誰からも、指図されたくないの。特に、あのエイコ先生にはね」

 「どうして、そんなに嫌っているの?」

 「テルースは、どうして? そんなにエイコ先生の味方をするの? 昨日だって、私の事を見張っていたのよ」

 「そうだね。ちょっと、引率教師としては、度が過ぎるね」

 「そうね。テルースもそう感じた?」

 「そう思うよ。ユイカに干渉し過ぎだよ」

 私達は、ファースト魔法学院の見学を終えて、一旦、ホテルに戻ったわ。
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